ベルがアークスなのは間違っているだろうか 作:さすらいの旅人
ファントムは本来チャージテクニックを使うと、ステルステックチャージで透明化になります。
しかし、この作品でのベルはテクニックのチャージ中に透明化にならない仕様になっています。
獣人の青年――ベートさんとの決闘を終えた後、お店に代金を払ってすぐに
明日に訊けばいいかと思った翌日、僕は再び作業同然であるダンジョンの上層探索を行った。早くエイナさんに中層進出許可を貰いたいなぁと思いながら探索を終えて、ギルドで換金しようと思ったんだけど……予想外な事が起きた。ギルド本部へ入って早々、エイナさんに面談室へ連れて行かれたからだ。
いきなりの事に僕が困惑しながら訪ねると、偶然耳に入った噂について聞きたい事があったらしい。『豊穣の女主人』の前で新人冒険者がロキ・ファミリアの幹部と決闘をしたと言う噂を。僕は内心、もう広まったのかと他人事のように内心聞いていた。
奇妙な衣服をまとった白髪の新人冒険者と聞いたエイナさんが、すぐに僕だと予想したみたいだ。奇妙な衣服とは、僕が着ている『シャルフヴィント・スタイル』の事だろう。確かにこの世界の住人から見たら、奇妙と思われても仕方ない。尤も、コスチューム制作したキョクヤ義兄さんが知れば絶対に抗議していると思う。
因みに僕もキョクヤ義兄さんとお揃い。唯一違いがあるのは、僕が黒のインナーシャツも着ていると言う点だ。それが無ければ、キョクヤ義兄さんみたいに胸元が開いた状態になる。
とまあ、それはどうでもいいとして。エイナさんに問い詰められた僕は、取り敢えず全て答えた。それを聞いたエイナさんから物凄く怒られてしまったけど。
その際にベートさんの事も聞く事が出来た。彼のフルネームはベート・ローガさん。ロキ・ファミリアの幹部で『Lv.5』。『
確かにあの人は二つ名通りの外見の人だ。僕も一応『白き狼』の異名はあるけど、それはまだ公表していない。いずれベートさんと会った時には自己紹介をしておくとしよう。当然、異名も含めて。
それと僕がベートさんに勝った事で、オラリオ中が凄い大騒ぎになっているようだ。『Lv.1』が『Lv.5』に勝つのは絶対にあり得ないと。
だから真相を確かめようと、他の冒険者達や神々が僕の事を調べようとギルドへ来ているらしい。言われてみればギルド本部へ来た時、受付にはかなりの人数がいた。って事は、あの人たち全員が僕について調べていると言う事なんだろう。
因みにその中にはロキ・ファミリアの人もいたみたいだ。一応、あそこの団長――フィン・ディムナさんには軽い自己紹介はした筈なんだけど。一体何を調べようとしていたんだろう? ギルドは基本、公開している情報しか教える事は出来ない筈なのに。
ついでにエイナさんから忠告された。暫くの間はダンジョンに行かない方が良いと。それはエイナさんとの面談を終えた後に理解した。僕がギルド本部から出ようとしたのを目撃した多くの神様達が、こぞって僕を勧誘しようと接近してきた事に。如何にも下心が見え見えな顔をして。当然僕はそれに付き合う気はないので、早々に姿を消して
以前まで僕の事を弱そうだと見向きもしなかったのに、噂を知った途端に勧誘をするなんて……もう不快を通り越して呆れるばかりだった。もしキョクヤ義兄さんがいたら――
『綺麗事ばかり並べる愚者共の言葉に耳を貸すな。今まで培ってきた闇の力が穢されてしまうぞ』
如何にも不愉快だとしかめっ面で言い放つだろうね。
なので僕は暫くエイナさんの忠告通り、ダンジョンには行かない事にした。その事を神様に報告したら、憤慨しながらも了承してくれた。神様が憤慨してたのは、身勝手な振る舞いをした他の神様達の行動に対してだ。
あと、ロキ・ファミリアと一悶着あった事を教えた際、物凄く心配もされた。更にはロキ様の事について尋ねると、さっきまでとは打って変わるように不機嫌な顔となり、『今度ボクのベル君にちょっかいを掛けたら成敗してやる!』と言って。ロキ様と過去に何か遭ったのかとさり気なく訊いてみると、どうやら天界時代の頃から不仲だったみたいだ。神様にも色々な事情があったんだろう。
そんな事があって数日の間、僕は主に
けれど、変装の効果はあった。何故なら『シャルフヴィント・スタイル』がよっぽど印象的だったのか、誰も僕だって事に気付かれなかった。『豊穣の女主人』にいるシルさんと会った時、僕だと気付くのに数秒掛かっていたし。シルさんから見たら、僕の衣装はとても印象強くて忘れられないみたいだ。それによって、僕がオラリオ産の普段着を纏ってるから、すぐに僕だと分からなかったと。
シルさんとの話をしてる時、興味深い話を聞いた。明日には年に一度行われるオラリオのイベント――
「ほらベル君! 早く行かないとお祭りが終わっちゃうぜ!」
「神様、そんなに慌てなくても大丈夫ですから……」
翌日。僕は神様と一緒に街を歩いている。ハイテンションになっている神様を宥めるのに一苦労だ。思わずキョクヤ義兄さんの幼馴染――ストラトスさんを思い出す。
今回のお祭りはガネーシャ・ファミリアが年に一度主催している。そのメインとなるのが、ダンジョンから連れ出した怪物を
僕としても興味はある。出現したら問答無用で襲い掛かってくるダンジョンのモンスターを、どうやって
「ちょっと落ち着いて下さい、神様。僕はシルさんを探さなきゃいけませんし」
「そんなのデートしながら探せばいいじゃんか! ほら、行こう行こう!」
「ですから……!」
だけど、その前に僕は人探しをしなければいけなかった。僕達と同じく祭りに行ったシルさんを。
事の発端はつい先程で、西のメインストリートにある『豊穣の女主人』の前を横切ろうとした時だ。僕を見た
それを聞いた神様が最初断ろうとしていたけど、僕としてはこの前やらかした騒動の件もあって引き受けた。その所為で神様は剥れ気味になってしまったけど、そこは妥協してもらいたい。
神様を宥めながらメイン会場となってる闘技場前に着くも、たくさんの人でいっぱいだった。それでも何とか探そうと闘技場周辺をグルリと回るも、結局シルさんらしき人影は全然見付からなかった。
「なぁベルくん、探すのは一旦止めて何か食べないかい? ボクもうおなかペコペコだよぉ~」
「あ、そ、そうですね」
言われてみれば確かに僕もお腹が空いていた。今日は朝から何も食べず、そのままお祭りに来たんだった。
取り敢えず神様の言う通り、腹ごしらえをしようと近くの屋台へ向かう事にした。そこは偶然にも屋台が集中しているエリアなので、神様に迷惑を掛けたお詫びとして多めに買うとしよう。
エイナさんに言われてからダンジョンには行ってないけど、今のところ生活に支障はない。お金も未だに20万ヴァリス以上は残っている。
とは言え、いい加減にダンジョンに行かないと身体が鈍ってしまう。なので明日以降は再びダンジョンに行くつもりだ。遅れた分を取り戻す為に、今度は思い切って10階層以降へ進んでみようと思っている。いつまでも弱過ぎるモンスターと相手をしても、自分の訓練にもならないので。
そう思いながら食べたい物を一通り注文して、神様と一緒に食べている。ちょっと値段は高かったけど、美味しいので気にしない事にした。
「シルさん、大丈夫かなぁ……?」
「むっ! ちょっとベルくん、デート中に女の子の名前を出すのはマナー違反だよ!」
「で、デートって……」
おかしいな。今日はお祭り見物と人探しの筈なのに、いつの間に神様とデートになったんだろうか?
神様の発言に思わず突っ込みを入れようとしていると、どこからか不穏な気配を感じた。まるでダンジョンにいるモンスターみたいな……。
「まさか……」
「ん? どうしたんだい、ベル君?」
僕の呟きを聞いた神様が気になって問おうとしてると――
「も、モンスターだぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
大勢の悲鳴が聞こえ、さっきまでの平和な一時が即座に凍り付いた。
『ガァァァァァァァッ!!』
『ッ!?』
雄叫びがした方へ振り向くと、大勢の人たちが円を描くようにしている中心にモンスターがいた。真っ白な体毛を全身に生やし、筋骨隆々と呼べる体付きをした巨大な猿型のモンスターが。
あのモンスターには見覚えがある。確かエイナさんの講習時に、中層手前に出てくるモンスターだと言ってた。シルバーバック……と言う名前だったな。何となくだけど、アレは惑星ナベリウスの凍土エリアにいる『キングイエーデ』と似た感じがする。
そんなのが此処にいるのは、アレも今回の
って、今は悠長な事を考えている場合じゃない。状況から考えて、この場で戦えるのは……どうやら僕しかいないようだ。シルバーバックを見ている人達は腰を抜かしたり、呆然としているのが殆どだった。
僕の方へ引き付ける方法がないかと必死に模索してる中、シルバーバックがグルリと周囲を見渡している。すると、急にピタリと止まった。僕達の方を見ながら。
「ね、ねぇベル君。何かあのモンスター、ボクを見てないかい?」
「みたいですね」
シルバーバックは一歩、二歩と大きく進みながら神様を凝視している。まるで、神様以外は眼中にない感じで。大勢の人達も、この隙にと言わんばかりに逃げ出している。
何故かは分からないけど、僕としては実に好都合だ。態々向こうが此方へやって来るんだから。
そう思いながら愛用の
「べ、ベル君……?」
「神様、そこから動かないで下さい」
不安そうに尋ねる神様に、僕は安心させる為にいつもの調子で言う。
本当なら今すぐ『シャルフヴィント・スタイル』に変えたいけど、生憎と着替え直す時間はない。神様に狙いを定めているシルバーバックが、もう今にも襲い掛かりそうな雰囲気だから。
それじゃあ……やるか!
『ルガァァァァァァァァッ!!』
僕が動き出した事に反応したのか、シルバーバックが力強く一歩を踏み出しながら駆け出す。
キングイエーデより素早いなと思いながらも、僕は居合の構えを取る。その直後にスライディングしながら剣閃を残しつつ、敵をすり抜けるフォトンアーツ――シュメッターリングを発動させた。
シュメッターリングは既にダンジョンで使用したけど、今回はシフトフォトンアーツとして発動させた。性能は当然異なっている。
ファントムクラスは他のクラスと異なって、一つのフォトンアーツに二つの性能がある。キョクヤ義兄さん風に言えば、謂わば『表の技』と『裏の技』が存在する。僕がさっきシルバーバックに使ったのは裏の技だ。
当然、シュメッターリング以外のフォトンアーツにも裏の技が存在する。それらを説明すると長くなるので割愛させてもらうが。
『?』
「素早い割には鈍いんだね。斬られている事にすら気付きもしないなんて」
対象を見失ったシルバーバックが不思議そうに周囲を見渡しているので、背後にいる僕がそう言いながら既に抜いていた
『グギャァァァァァァァァ!?』
全身が斬り裂かれたように血を吹き出した。シルバーバックは悍ましい悲鳴をあげつつも、力尽きるように倒れる。
「僕に出逢った己の運命を呪うといい。そのまま無様に朽ち果てるんだね」
思わずキョクヤ義兄さんの決め台詞を言うと、死んだと思われるシルバーバックが灰となって消滅した。核となる魔石を残して。
「す、す、す……凄いじゃないかぁベルくぅん!! 今の君はすっごくカッコイイよぉぉぉぉおおおお!!!」
「うわっ! ちょ、神様……!?」
神様が感動しながら僕に近付いて抱き着いてきた事により、先程までの悲鳴が歓声となった。
「お、おい! よく見るとあのガキ、前に酒場で『
「でもあの子、魔導士の筈なのに剣を使ってたわよ!?」
「ねぇちょっと君ぃ~! 良かったら私のファミリアに入らない~!?」
「いや待て! 君は是非とも我がファミリアに入るべきだ!」
あっ! 誰かが僕に気付いた! 一般人や冒険者の中に神様と思われる人もいて、僕を勧誘しようと近づいてくる!
やっと落ち着き始めたのに、この前の面倒事が再発してしまった。こんな事ならシルバーバックと戦わずに逃げればよかった!
「な、何を言ってるんだ!? ベル君はボクのだぞ!」
周囲の叫び声を聞いたことに反応した神様が憤慨しながら思いっきり抗議していた。
「か、神様! この場は一先ず退散しましょう!」
「え? わひゃあ!」
惚ける神様に気にせず、僕はすぐ抱き抱えながらこの場を離脱する。お姫様抱っこの要領で。
ふと見ると、神様は僕の腕の中で顔を真っ赤にしていた。
「すまない、ベル君! ボクはこんな状況なのに、心の底から幸せを感じてしまっている……!」
「何を訳の分からない事を言ってるんですか神様ぁ!?」
自分の生まれた世界とは言え、この世界の神様って全く分からない。取り敢えず気にしないでおこう。
そう結論しながら離脱している中、もういつの間にか闘技場から結構離れていた。もう追っては来ないだろうと安心し、お姫様抱っこしてる神様を降ろしていると――
「んな、なな、なんじゃありゃぁぁぁあああ!!??」
「神様? 一体何を………え?」
突然神様が奇怪な叫び声を出した。思わず僕も見ると、少し離れた先から花みたいな植物モンスターがいた。口と歯がある悍ましい植物モンスターが、倒れている女性へゆっくりと向かっている。
大きな口を開きながら倒れている女性にって……あのモンスター、ひょっとして食べるつもりなのか!?
「神様、ここから動かないで下さい!」
「ちょ、ベル君!?」
神様に動かないよう言った僕は、即座に全速力で走り出した。展開中の
そしてある程度の位置についた僕は足を止めて――
「芽吹け、氷獄の
『ッ!?』
ダメージを与えつつ、同じテクニックの威力を増幅させる氷の紋章を刻み込む上級氷属性テクニック――イル・バータを発動させた。
イル・バータはナ・メギドと同様に射程範囲内なら任意の場所に発生させる事が出来るテクニック。ベートさんと戦った時は充分範囲内だったけど、今回は射程範囲内ギリギリだった。
「ちょっとティオナ、あそこにあの子がいるわ!」
「え!? じゃあ、あのモンスターが急に凍ったのって……!」
僕が植物モンスターに攻撃したと気付いたのか、アレの蔦に絡まって身動きが取れなくなっている女性二人が凝視している。あの二人は確か、酒場で見たロキ・ファミリアの人達だ。褐色肌から見てアマゾネスで、顔立ちがそっくりだから多分姉妹だろう。
けれど、僕は気にする事なく詠唱を続けようとする。
「凍れる魂を持ちたる氷王よ! 汝の蒼き力を以って魅せるがいい! 我等の行く手を阻む愚かな存在に! 我と汝が力を以って示そう! そして咲き乱れよ、美しきも儚き氷獄の華!」
「何なのよ、あの魔法は!? さっきから詠唱しながら魔法を六回も発動させてるわよ!?」
「って言うか、発動してる度に規模が大きくなってきてない!?」
一文ごとに詠唱を区切っている中、イル・バータを連続で受け続けている植物モンスターは既に動きを止めていた。けれど僕は気にせずに最後まで続ける。
因みに植物モンスターの蔦に絡まって動けなかったアマゾネス姉妹は既に避難していた。恐らく僕がイル・バータを発動させてる時に、難を逃れる事が出来たんだろう。
そして――
「イル・バータ!!」
連続で撃ち続けてる七発目のイル・バータを植物モンスターの花の中心部に当てると、その瞬間に大きな氷の華が出来上がった。
花の中心部が本体なのか、氷漬けとなった植物モンスターは完全に動きが止まっている。
「これで……終わりだ!」
僕は止めを刺そうと、敵に素早く接近して武器を振り下ろすファントム用
カラミティソウルを振り下ろした僕の一撃は、氷の華を真っ二つにした。それにより植物モンスターは死んだのか、割れた氷の華ごと消滅していく。
「ふぅ……。大丈夫ですか?」
「あ、あなたは、あの時の……?」
植物モンスターがいなくなったのを確認した僕は、傷を負って倒れている女性エルフに声を掛ける。
「すぐに治療した方がいいですね。傷を癒せ、レスタ!」
「えっ、ちょっ……!」
向こうは何か言おうとしてたが、僕は気にせずにレスタを発動させた。
……あれ? よく見たらこの人も前の酒場にいた女性エルフだ。さっき向こうにいたアマゾネス姉妹も此処にいるって事は……もしかして僕、邪魔をしちゃった?
「君、あの時の……」
「へ?」
「あ、アイズさん!?」
レスタの治療が完了した途端、僕の背後から話しかけてくる声が聞こえた。僕が振り向いたその先には……アイズ・ヴァレンシュタインさんがいた。
僕が治療した女性エルフも彼女を見て驚愕している。
こ、この人も此処にいるって事はまさか……!
「あ、あのぅ……つかぬことをお聞きします。さっきのモンスターは、貴女が倒す予定でしたか?」
「…うん。レフィーヤを助けようと来たんだけど……」
………やばい。僕、本当に有名なロキ・ファミリアの邪魔をしちゃった!
「代わりに助けてくれてありがとう。あと、出来れば教えて欲しい。君は『Lv.1』の筈なのに、どうしてそんなに強いのかを……」
「ちょっ、アイズさん! そのヒューマンに顔を近付き過ぎですよ!?」
「あ、あたしも知りたーい!」
「出来れば私にも教えてくれないかしら? 詠唱中に魔法を発動させるなんて聞いたこともないわ」
すると、ロキ・ファミリアの女性陣が何故か僕を問い詰めるみたいな感じで近づいてきた。
取り敢えず此処は――
「お、お邪魔してすいませんでした~~~~!!!!!」
『消えた!?』
すぐに退散しようと、ファントムの回避スキルを使ってこの場から離脱する事にした。その後に神様も連れて、ロキ・ファミリアからの逃走に成功する。
因みに、これは翌日以降に知ったんだけど、僕が離脱した後に三匹の植物モンスターが現れていたみたいだ。そこから先はヴァレンシュタインさん達が始末したのは言うまでもない。
☆
再びオラリオに平穏が戻って一夜を過ごそうとする中、とある一団は緊急会議を開いている。
「とまあ、そんな事があったっちゅう話や。あとコレは直接見た内容やないが、どうやらあの小僧は剣も扱えるみたいや。目撃者の話によると、脱走したシルバーバックを瞬殺しおったらしいで」
「んー……。聞いた僕としては俄かに信じがたい話だね。ベートを倒したから只者じゃないのは分かってはいたけど、三種類以上の魔法だけじゃなく、まさか剣までも扱える万能型だったなんて……。ウチのファミリアに正式加入出来なかったのが、非常に悔やまれるよ」
「全くだ。そう考えるだけで、あの馬鹿者共を再び説教したくなってくる……!」
「もうそこまでにしておけ、リヴェリア。あの後にお主がこっ酷く叱ったではないか。ただでさえ謹慎させておると言うのに、これ以上は酷じゃろう」
その一団はロキ・ファミリア。今は
因みにリヴェリアが言った馬鹿者共と言うのは、以前ロキ・ファミリアに入団しようとしたベルを追いだした門番達の事だ。宴会が終わった翌日、門番達はロキやフィン達からによるお説教をされた。その中で特に凄かったのはリヴェリアで、鬼の形相と化している彼女の説教によって門番達のライフは殆どゼロとなっていた。その場にいたロキ達が気の毒と思ってしまうほどに。
そして門番達は暫しの間、冒険者活動が出来ないよう謹慎処分を下された。『入団希望者は必ず通すように』と命じられた事をせず、独断で追い出したのは見過ごせなかったから。例えそれがベル以外の入団希望者に対しても。
「にしても、詠唱中に魔法を発動させたとは聞いたことないのう。念の為に確認するがリヴェリア、『
「訊くまでもないだろう。そんな馬鹿げた魔法があるなら、寧ろ私が真っ先に知りたい位だ。教えを請いたい程にな」
ガレスからの問いに、リヴェリアは割と本気な返答をする。
「やれやれ、君の魔法に対する探究心は相変わらずだね」
「頼むから間違ってもドチビんとこに
リヴェリアの返答を聞いたフィンは苦笑するも、ロキは若干ドン引きしながらも
もしも魔法目的の為にヘスティア・ファミリアへ期間限定の
「まぁ、それはともかくとしてだ。今後ヘスティア・ファミリアの動向に注意を向けておく必要があるね。『Lv.1』でもベートを倒す実力を持ち、更には未知の魔法や剣を扱うとなれば、他のファミリアも放ってはおかない筈だ」
「せやな。場合によっては、どこぞの神が引き抜こうとするかもしれへん。仮にそないな展開になれば最悪……業腹やけど、ドチビのファミリアごとウチの傘下にしたるわ」
「ロキがそこまで考えているって事は、それだけ本気だって事だね。まぁ僕も同感だけど」
自分達のファミリアが敵が多いのをフィンは重々承知している。万が一にベルがもう一つの最大派閥フレイヤ・ファミリアに引き抜かれてしまえば、それだけで一気にパワーバランスが書き換えられてしまう恐れがある。ロキやフィンとしては到底見過ごす事は出来ない。
「あ、そう言えば、ベートはどないしとるんや? 最近、姿を見かけんが」
「今もダンジョンに籠っておる筈じゃ。雑魚だと侮っていた小僧に負けたのが相当ショックだったんじゃろうな」
「一応昨日戻って来たが、あの顔を見る限りでは、もう暫く荒れてるだろうな」
思い出したように呟くロキに、ガレスとリヴェリアはありのままを話した。
それを聞いたロキは難しそうな顔をするも、一先ずは放置しておこうと結論する。
会議が未だに続いている中、別の部屋で――
(……知りたい、あの子の力を。どうして、あれ程の強さを見に付いているのかを……! 今度、あの子がいるホームに行ってみようかな?)
アイズ・ヴァレンシュタインはベルの力が気になっていたのであった。
(あ、でもその前に……壊れた剣の代金を何とかしないと……)
けれど、食人花との戦闘で壊れてしまった代剣をすぐに思い出し、一旦後回しとなった。
今回の詠唱内容
「芽吹け、氷獄の
本当に中二病的の詠唱ネタを考えるだけで大変です。
一先ずこれで終了となります。
お付き合い頂きまして、ありがとうございました!