ベルがアークスなのは間違っているだろうか 作:さすらいの旅人
必要な部分だと思って書いた筈が、予想外に長くなってしまいました………(涙)
なので僕はギルドから
オラリオから出る前、途中でシルさんと遭遇した。彼女は息を切らしながらも必死に走って僕が乗っている馬車に来た。僕に
その後に彼女はこうも言った。またお店に来て下さい、お弁当を作って待ってますと。その言葉を聞いた僕は嬉しい気持ちになった。何だかシルさんが、僕の勝ちを心から望んでいる勝利の女神のように見えたから。
勝とう。今回の
そしてオラリオから出て指定の町――アグリスの町に降りた。僕は臨時ギルド支部の職員からの指示によって、指定の宿へと向かう。そこには今回の
「お久しぶりです、クラネルさん」
「驚きました。神様から聞いた助っ人が貴女だったなんて……」
今回の助っ人が余りにも意外な人物だった。僕の目の前にはシルさんがいる『豊穣の女主人』のエルフのウェイトレス――リュー・リオンさんだ。今はウェイトレス姿じゃない。戦闘服らしき衣装と緑の
シルさんを除く、店主のミアさんやウェイトレスの人達は強そうな気はしてた。とても只のウェイトレスとは思えない実力者揃いだと。
参加してくれたのは、どうやらヘルメス様と言う神様に頼まれたらしい。更には親友のシルさんからにも。
シルさんに感謝すると同時に、リューさんには申し訳ない気持ちとなってしまった。僕らの勝手な都合で助っ人として参加させてしまったから。
「すみません。今回の
「気にしないで下さい。シルの頼みとなれば、断る訳にもいきません。それに、貴方が今回の
「っ! ありがとうございます!」
リューさんはシルさんの事を大切に思ってるんだなぁ。大して知り合ってもない僕の為に、助っ人として参加してくれるし。
これは負けられない理由が更に増えた。リューさんが止む無く参加してくれたんだから、僕としても彼女に無様な戦いを見せるわけにはいかない。
「では、時間がありませんので、すぐに打ち合わせを始めましょう」
そう言ってリューさんは明日の
「クラネルさんは前に第一級冒険者の『
「まぁ、そうですね……」
リューさんの言う通り、僕が『Lv.5』のベートさんに勝てたのはマグレも同然だった。あの人が一切油断する事無く全力を出していたら、僕は負けていたかもしれない。それはロキ・ファミリアの人達も口に出さずとも思っていた筈だ。
「更には
「ええ、まぁ……。と言っても、隙を狙って倒しただけに過ぎませんが」
「やはりそうでしたか」
あの時に遭遇した食人花みたいなモンスターは、ロキ・ファミリアのレフィーヤさんを食べようと口を大きく開けていた。僕はそうさせないと咄嗟にイル・バータの七回連続使用で氷漬けにさせ、速攻で止めをさした。向こうが僕に意識を向けていなければ、あそこまで氷漬けにされてはいなかったと思う。
「クラネルさん、更に敢えて大変失礼な事を言わせて頂きます。貴方は確かに強いかもしれませんが、これまでの戦いは運良く勝てただけに過ぎません」
「……………」
リューさんの言ってる事は事実である為に、何も言い返せない。それは僕もそう思っていたから。
確かに格上の冒険者やモンスターを倒せたのは、何から何まで運良く倒せただけだ。決して僕の実力で倒した訳じゃない。
だけど、今度の
誰がどう見ても、新人冒険者の僕がアポロン・ファミリアに勝つのは無理だと思うだろう。けど、いくら不利だからと言っても、僕とてそんな簡単に負けるつもりなんか微塵もない。勝つ為にダンジョンで訓練をした。思い上がっていた自分を改める為に。
「相手はクラネルさんより多少実力の劣る『Lv.1』の冒険者は何人かいるかもしれません。ですが、それでも貴方より実戦経験は上です。ダンジョン上層で戦うモンスターよりも遥かに厄介でしょう。そしてそれ以上に『Lv.2』の上級冒険者達も同時に襲い掛かって来ます」
「はい。その為に僕は此処へ来るまで訓練をしました」
ファントムが複数の集団相手に真価を発揮出来るクラスとは言え、訓練前の僕は腕が錆びかけている他に勘が鈍っていた。とても
「なのでダンジョン中層に三日以上籠り、休む間もなく襲い掛かってくるモンスター達を倒し続けました」
「そうですか。それは何より……ん?」
僕の訓練内容を聞いたリューさんは感心そうに頷いていたけど、途中で何か聞き捨てならないような感じで眉をひそめる。
「ちょっと待って下さい、クラネルさん。私の聞き違いだったかもしれないのですが……先程とんでもない事をさらりと言いませんでしたか?」
「え? とんでもない事って何がです?」
「ですから、ダンジョン中層に三日以上も籠ったと……。私の記憶が確かならば、貴方は実力があろうと未だ一月も満たしていない新人冒険者の筈です。お一人だけで中層に行くのは、とても無理だと思うのですが……?」
「ああ、そう言われればそうでしたね」
確かに今の僕じゃ中層に行くのは許されないし、ギルド職員エイナさんからの許可も当然貰っていない。エイナさんに頼んでも絶対ダメだと言われるのが分かっていたから、今回はギルドの許可を求めずに無断でダンジョン中層へ行った。
本来ダンジョンから帰還した冒険者は、ギルドに報告しなければいけない事になっている。だけど僕はそれをしていない。今回の
「出来れば、僕がオラリオへ戻るまでの間は内緒にしてもらえますか? ここにいるギルド職員の耳に入られたら流石に不味いので」
「いえ、そう言う事ではなく……どうしてお一人で中層へ行ったのかを聞いているのです」
「えっと……決して己惚れている訳じゃないんですが、ダンジョン上層のモンスター相手じゃ僕の訓練にならなかったんです。だからワンランク上のモンスター達と戦おうと中層へ行ったんですよ。実を言うと、中層のモンスターも大して強くなかったんですが、それでも結構な数がいたので相手としては充分でした。
「………………………」
あれ? 何かリューさんが急に無言になった気が……。
「その後は17階層にいる
あっ、フィンさんで思い出したけど、あの後は何か様子が変だったよなぁ。僕が一人でゴライアスを倒したお礼として、ロキ・ファミリアと一緒にダンジョン帰還した時の事だ。フィンさんが色々と質問したから、僕が答えられる内容を一通り話すと、物凄く困ったような顔をしていた。僕は別におかしな事を言ったつもりはないんだけどね。まぁ僕としては一番大変だったのが、ずっと引っ付いてたティオナさんだけど。
すると、さっきまで無言だったリューさんが両手でガシッと強く僕の両肩を掴んでくる。
「え? え? どうしました、リューさん?」
「………クラネルさん。私から少し言いたい事があるので、そこの椅子に座って頂けますか?」
「へ?」
す、座るも何も、今の僕はリューさんに両肩を掴まれてて動けないんですが……。
それに僕の気のせいだろうか、何だかリューさんの顔がどんどん怖くなってきたような気がする……! 何で? どうして?
「だがその前に、これだけは先に言わせて頂きたい。クラネルさん、貴方って人は……一体何を考えてるんですかぁぁぁぁぁああああああ!!!!!!??????」
「ひぃぃぃぃぃ! ご、ごめんなさあぁぁぁぁぁぁぁい!!!!!!!」
何で怒鳴られてるのかは分からないけど、一先ず謝る事にした。その後からはリューさんからのお説教が始まったのは言うまでもない。
それとリューさん、打ち合わせは!? 今そんな事をしてる暇は無いんですけど!? と言うか、何で僕は怒られてるんですか!? 確かに許可してない中層へ行ったのは問題ですけど、どうしてギルド職員じゃないリューさんがエイナさんみたいなお説教をするんですかぁぁ!?
☆
以前の騒動を知っている当事者はいるだろうが、オラリオにいる住民達にそんな不安は微塵も見せていない。何しろ今回の
更には今回は大イベントでもあるのか、朝早くから全ての酒場が開店しており、多くの出店が路上に展開されている。酒場の中には当然『豊穣の女主人』も含まれている。
『皆さん、おはようございます! いよいよ
どこも盛り上がっている中、ギルド本部の前には一際目立ったステージが設置されていた。そこには褐色肌の青年が実況するように
『今回の実況を務めるのは私、【ガネーシャ・ファミリア】所属のイブリ・アチャーでございます。二つ名は【
『俺が、ガネーシャだ!』
『はい、ありがとうございましたー!』
実況者イブリは自分の主神の一言が分かっていたのか、すぐに終わらせようとして次の説明に移ろうとする。
「おー、盛り上がっとる盛り上がっとる。この前の
場所は変わって白亜の巨塔『バベル』三十階で、ロキが賑わっている地上を見下ろしている。
ロキ以外にも多くの神々もいるが、全ての神々がいるわけではない。中には冒険者と同じく酒場にいったり、
「
ロキと同じくバベルに来ている一人の女神――ヘファイストスが盛り上がっている理由と、眷族側の不満を表すように言う。
多くのお金や人が動く
「まぁ、それは言わんお約束や」
ロキもヘファイストスと同様に知ってはいるが、敢えて口に出さなかった。娯楽だとは分かってても、楽しい事に変わりないものだと思っているので。
「それにしても、アポロンは随分とヘスティアの
アポロンが入場してきたのに気付いたヘファイストスは、彼を不愉快そうに見ている。嘗て居候していた神友が一人の眷族をやっと得たと言うのに、それを平然と奪おうとする行為が気に食わない。
もう既にヘスティアの眷族は自分の物だと思っているのか、アポロンは今も余裕の笑みを浮かべている。臨時の
今のヘファイストスはアポロンに対する評価が既にガタ落ちだった。尤も、彼に対する評価は元々高く無いが、一人しか眷族のいない
「ファイたんも知っとるやろ? ドチビの
「……確かにそうね。でも、ロキにしては随分と冷静じゃない。『
「まぁ、思うところは確かにあるで。せやけど、アレは元々酒で酔ったベートが原因を作ってしもうたんや。ホンマならドチビに色々言いたい事はあるが、仕掛けたのはこっち側やからなぁ。手ぇ出したくても出せん立場っちゅう訳や」
これで何の理由も無くベートが負けたとなれば、ロキは苛烈な報復措置をしているだろう。だが、先に侮辱したのは眷族のベートだから、主神であるロキとしては一切文句が言えない立場になっている。いくら自分が嫌いなヘスティア相手でも。
加えて、今のロキはそれ以上に気になる事もあった。言うまでもなく『Lv.1』のベルだ。いくらベートが油断していたとは言え、ベルが『Lv.5』のベートを倒すのは普通に考えてあり得ない。見た事もない魔法や剣技も含めて。
そして数日前にフィンからの報告で、ベルを最大限に警戒しなければならない相手だという事も理解した。もしも敵対したら必ず厄介な相手になると。
「そうだったの。でも、それを抜きにしても、貴女の性格を考えれば、必ず何かしらの事をやると思っていたんだけど……」
(それが普通の冒険者相手やったらなぁ……。ファイたんは知らんからそんな事を言えるんやで……)
ヘファイストスの言葉にロキは内心そう呟く。ベルの実力と最近の実績も含めて。
「ヘスティア、ベル・クラネルとの別れは済ませてきたかい?」
そんな中、席に座っているヘスティアにアポロンが声を掛けていた。
「この
「ふんっ!」
自分の勝利を一切疑ってないのか、アポロンはヘスティアが負けた後の内容を告げる。当のヘスティアは無視するようにそっぽを向いているが。
許可が下された瞬間、バベル以外にも地上の酒場や街角から、虚空に浮かぶ『鏡』が出現する。映し出されたソレには、
『鏡』が出現した事により、どこもかしこも更に盛り上がっていた。
街の多くにある酒場では、それ以前に盛り上がっている。何故なら今、商人と結託した冒険者主導で賭博を行われているから。
「アポロン・ファミリアに三万!」
「俺はアポロン・ファミリアに五万だ!」
「おいおい、アポロンしかいないんじゃ賭けになんねぇぞ!?」
とある酒場では、客の全員がアポロン・ファミリアの勝利に賭けていた。
しかし、それはある意味当然とも言える。たった一人しか団員のいないヘスティア・ファミリアが、百名以上いる団員のアポロン・ファミリアに勝てるなど微塵も思っていない。
他の酒場でも似たような感じだが、それでもヘスティア・ファミリアに賭けているのもいた。と言っても、大穴狙いの神が殆どだが。
因みにヘスティア・ファミリアの
神と違って、人間側は誰一人としてヘスティア・ファミリアに賭けようとするのはいないかと思いきや――
「へ、ヘスティア・ファミリアに十万っす!」
『ぶっ!!』
何と一人の冒険者がいた。しかもとんでもない大金を出して賭けようとしている無謀な冒険者が。
その冒険者の名はラウル・ノールド。ロキ・ファミリア所属で『Lv.4』の男性
「おいおい『
「いくら凡夫から卒業したいからって、カモになるのとは全く別物だぜ!」
「ほっといて欲しいっす! 自分だって好きで賭けてる訳じゃないんすから!」
客達からの言われようにラウルは言い返すも、内心全く同意していた。同時に何故こんな事をしなければならないのかと。
(うう~……ロキ~、今回ばかりはマジで恨むっすよ~。って言うか、何で
そもそもラウルは
この指令は他の団員達にも指令が下されていた。彼と同様に今頃は他の団員達も疑問を抱きながらも、各酒場でヘスティア・ファミリアに賭けているだろう。客達からの嘲笑付きで。
「はぁっ……本気で
そう言いながらラウルは近くにある席に座って、『鏡』を観ようとする。この時のラウルは自分の今後を考えていたが、後になってからロキに感謝するなど微塵も予想していなかった。
場所は変わり、ロキ・ファミリアの
そんな中――
「ううう~~~! あたしがアルゴノゥト君の助っ人として参加したかったのにぃ~~!!」
「何度も言ってるでしょうが。アンタは助っ人の参加条件に入らないって」
ベルに絶賛ゾッコン中のティオナが椅子に座りながら地団太を踏んでいた。隣で座っているティオネが呆れ顔で何度も同じ事を言っている。
ヘスティア・ファミリアが
助っ人は『オラリオの外』からと言う条件なので、当然オラリオ内にいるティオナが除外されるのは言うまでもない。尤も、ヘスティアに手助けをするなど、不仲であるロキとしては絶対に断固お断りだった。それが分かりきった勝負だとしても。
参加出来ない事で未だ地団太を踏むティオナとは別に、ロキ・ファミリアには他にも手を焼いている者達がいた。
(この
先ず一人目はアイズ・ヴァレンシュタイン。一昨日にダンジョンから帰還し、37階層の階層主――ウダイオスを単独撃破した事によって『Lv.6』へとランクアップした。
アイズのランクアップに【ステイタス】更新をしたロキは当然歓喜している。だが、今回は妙に大人しい喜び方だった。前に『Lv.5』にランクアップしたときは
強さを求めている自分も大して喜んでいないのは自覚していたが、ロキが余りにも不審だったので思わず聞いてみた。いつもと様子が違う、と。
そして、それが漸く分かった。ロキの様子がいつもと違う原因を作ったのが、ベル・クラネルであった事に。
ベル・クラネルが以前に『Lv.5』のベートに勝ち、剣でシルバーバックを瞬殺し、更には新種の食人花をも倒した。それらでもアイズがベルに興味を抱くには充分過ぎるのだが、フィンからの報告を聞いた時は目を見開く内容ばかりだった。
一ヵ月も満たしていないのに一人でダンジョン中層へ進出し、そこで三日以上も籠ってモンスターと戦い続けた。更には17階層にいる
数日前まで『Lv.5』だったアイズでも、ウダイオスより弱いゴライアスなら単独で挑んでも勝てるだろう。多少梃子摺ったところで勝てる相手だと誰もが思う筈だ。だが、それは『Lv.5』と言う恩恵があっての話だった。
それに対してベルは『Lv.1』の新人冒険者だ。もしも自分がベルと同じ立場だったら、絶対に勝てないどころか殺されている。モンスターを殺す為に強くなろうと必死だった昔の自分なら、果敢に挑んでいるだろうが。
ベルが『Lv.1』だった頃の自分と違い、かなりの実力者である事は認めている。他の冒険者とは違う未知の力や魔法があるのを知っている。だがそれでも、一人でゴライアスに勝つのは無理だと思っていた。いくらベルが強くても、階層主は他のモンスターとは違う別格の存在だから。
なのにベルは見事に達成した。自分では絶対出来なかった事を達成させた事に、思わず嫉妬してしまう程だった。当時の自分にもそれだけの力があれば、と悔やむほどに。
フィンが未だに報告をしている中、アイズは居ても立ってもいられなかった。どうしてそんなに強いのか、どうやってそこまでの強さを得る事が出来たのかを知りたいとの衝動に強く駆られていた。
報告を聞いたら真っ先にベルのいる
納得出来ないと言わんばかりにアイズが怒った顔をするも、フィンは素知らぬ顔をしていた。今のアイズにベルと会わせたら、絶対に
報告を聞いていたアイズの他に、フィンを困らせた人物がもう一人いた。
「見せてもらうぞ、ベル・クラネル。お前が一体どんな魔法を使うのかを……!」
「り、リヴェリア様、目が凄く恐いですよぅ」
レフィーヤの隣に座っているハイエルフでありロキ・ファミリアの主要幹部――リヴェリア・リヨス・アールヴが『鏡』を凝視している。彼女がフィンを困らせたもう一人だ。
彼女もアイズと同様にフィンからの報告を聞いていた時、これでもかと言わんばかりに驚愕していた。ベルの中層進出やゴライアス単独撃破は勿論だが、それとは別の事でリヴェリアを驚かせていた。
ベルが三種類以上の魔法を使えるのが判明した事と、更には攻撃・補助・回復を含めて四十以上の魔法も使えるのも含めて。それらを聞いたリヴェリアはフラリとしながら倒れた。弟子のレフィーヤに支えられている中、同時に頭の中で魔法に関しての常識を粉々に打ち砕かれながら。
オラリオ最強の魔導士は誰かと訊かれたら、誰しもリヴェリアだと答えるだろう。当然それはリヴェリア本人も自負している。自分以外に強力な魔法を使ったり、攻撃・防御・回復を含めた計九つの魔法を使える魔導士は存在しないと。
だが、リヴェリアの頭の中ではソレは既に捨て去った。もう自分はオラリオ最強の魔導士ではない。それはもうベル・クラネルに譲渡していると。尤も、ベル自身はリヴェリアの心情なんて全く知らないが。
考えてみて欲しい。魔導士は元来、魔法スロットが限られているので、どんなに頑張っても三つまでしか習得する事しか出来ない。リヴェリアの場合は攻撃・防御・回復の三種類の魔法を習得し、それぞれ三段階の階位を含めた魔法を詠唱連結によって計九つの魔法を使いこなす。それ故にリヴェリアが『
三種類の魔法しか使えない通常の魔導士と違い、その三倍の魔法を使う事が出来るリヴェリアが最強の魔導士だと謳われるのは必然と言えよう。
だがしかし、だがしかしだ。誰もが現段階でリヴェリア以上の魔法を使う事は出来ないだろうと思っている中、突然現れた。あろう事か、九つの魔法を使えるリヴェリアを超える存在が。軽く四倍以上の魔法を扱う事が出来るベル・クラネルが現れたのだ。
九つの魔法を習得するのに弛まぬ努力と研鑽を積んだリヴェリアを嘲笑うように、『四十以上の魔法を使えます』とベル・クラネルがあっさり答えたとフィンから聞いた瞬間、これまでの自分は一体何だったのかと思わず挫折してしまう程に。因みにリヴェリアはベルに嫉妬していない。それどころか、魔法に関する視野が余りにも狭かった己を酷く恥じていた。
故に彼女は決断した。自分がロキ・ファミリアの主要幹部だろうが、エルフとしての誇りや面子だろうが、相手が他所のファミリアだろうが、もうそんなの如何でも良い。ベル・クラネルが四十以上扱う未知の魔法を知りたいと。あわよくば教えてもらいたいと。
そんなリヴェリアの考えは既にお見通しだったのか、主神ロキや主要幹部のフィンとガレスが速攻で引き止めた。アイズ以上に厄介な相手だと分かりながらも、ロキ達は必死に思い止まらせた。エルフの誰もが神聖視し、冷静で頼れるロキ・ファミリア副団長のリヴェリアにそんな事は絶対させまいと。
二人の反応とは別に、ベルの報告を聞いた幹部はもう一人いる。
(兎野郎、てめえを侮っていたとは言え、曲がりなりにも俺に勝ったんだ。これでアポロンのとこにいる雑魚共に負けてみやがれ。その時は……俺がぶっ殺してやる!)
その幹部は『
ベルに負けた翌日、ベートは憎悪を燃やすかのように物凄く荒れていた。それは自分に勝ったベルにではなく、ベルを雑魚だと決めつけ侮っていた自分の不甲斐無さを恥じる程に。
それからのベートはダンジョンへ行っていた。まるで鬱憤を晴らすようにダンジョンにいるモンスターを片っ端から片付けていた。しかし、どんなにモンスターを倒してもベートの心は晴れなかった。それどころか、こんな事を続けても意味が無いと思い始める程に。
ダンジョンに行く日々を送っている中、一報が届いた。ベル・クラネルのいるファミリアがアポロン・ファミリアと
どんな理由で
しかし、フィンからの報告を聞いた時、ベートはまたしても己を恥じた。調子に乗っていた筈のベル・クラネルが、
いくら自分に勝ったとは言え、『Lv.1』のアイツがゴライアスを倒せる訳がないと最初は疑った。しかし、フィンの言ってる事は嘘ではない。フィンは前以て、これは全て事実だと前以て言っていたから。
身の程知らずの『
故にベートは決めた。この敗北を雪ぐ為に、先ずは今の自分を超える必要があると。アイズと同じく『Lv.6』にならなければいけないと。
ロキ・ファミリア幹部達の誰もがベルを注目している中、
ダラダラと無駄話を書いている不甲斐無い私をどうかお許しください。
m(_ _)m