ベルがアークスなのは間違っているだろうか 作:さすらいの旅人
【アポロン・ファミリア】との
勝者である【ヘスティア・ファミリア】は新しい
「いや~、ここの魚料理は美味しいね~。オラリオでは輸入物しか食べれなかったけど、メレン本場で食べる魚料理がオラリオ以上に美味しいだなんて思いもしなかったよ~」
「ええ、そうですね。活きが良くて、食べ応えも最高です」
現在、僕と神様はオラリオの
最初は迎えにきたのかと思いきや――
『ベル君、今すぐ港町メレンに行くよ! 色々と言いたい事はあるだろうけど、今は何も聞かずにボクの言う通りにしてくれ! あと助っ人として参加してくれたエルフ君、ベル君を手伝ってくれてありがとう! 君はこのままオラリオへ戻っても大丈夫だから!』
と、神様が有無を言わずに急遽、進行方向をオラリオから港町メレンへ向かう事になってしまった。
因みに一緒にいたリューさんとは既に別れている。僕と同様に事情を呑み込めないまま、呆然と見送る事になってしまっていた。
そしてメレンに着いて早々、神様は目的地と思われる宿泊施設へと向かい、少し広い二人部屋用の個室に泊まる事となった。あと、宿泊料に関しては問題無いと神様が言っている。それがどうしてかは今も分からないけど。
取り敢えず僕は神様に言われた通り、メレンにある宿泊施設で過ごす事にした。翌日となった今は、朝食として魚料理を堪能している。
「あのぅ、神様。出来ればそろそろ教えてくれませんか? どうして僕達がオラリオに戻らず、ここにいるのかを」
「ん?」
残っていた魚の切り身を食べ終えた神様は僕の問いを聞いた途端、コップに入っている水を飲み干そうとする。
「んぐんぐ……ぷはぁ~~。そうだね、取り敢えず一段落ついたところだし、そろそろ説明しないといけないね」
「一段落?」
水を飲み切って気になる単語を言う神様に、僕は思わず鸚鵡返しをしながら首を傾げる。
「話せばちょっと長くなるんだけど、
説明が長くなると分かった僕は、料理を食べるのを止めて神様の話を聞く事に集中する。
先ずは【アポロン・ファミリア】についてだった。僕たち【ヘスティア・ファミリア】が勝利した事によって、何でも要求する権利を得た。それを神様がアポロン様に全財産没収にファミリア解散、そしてオラリオ追放の要求をした。
神様の要求を絶対に受け入れなければいけない立場となったアポロン様は、号泣しながらも全て承諾。それにより【アポロン・ファミリア】が解散となり、眷族達との別れと退団の儀式が決定となった。アポロン様は今頃、儀式を終えて都市を発っている頃だろうとの事だ。それと、儀式によって
アポロン様たちの今後を聞いた僕は、ほんの少しだけど罪悪感を感じてしまった。向こうが仕掛けた
「ベル君がアポロン達の事で気に病む必要なんか一切ないよ。軽い気持ちでボク達に
僕の考えを見抜いていたのか、神様は気にしないようにと言い切った。本当に、神様は何でもお見通しなんだなぁ。アポロン様達の話を終え、次は僕たち【ヘスティア・ファミリア】の話題となる。
神様はすぐに結論を言った。今回の
更には神々以外にも、多くの冒険者や商人達からも同様のアプローチもあったと言う。冒険者側は僕をパーティに加えたい為の専属契約をしたいとか、商人側は自分の顧客になって欲しいと。他にも魔法関連を扱う人達から、僕が使っている未知の魔法について詳しく教えて欲しいと懇願されたらしい。更には弟子にして欲しいと言う人もいたそうだ。
神様の話を聞きながらも、確かに僕はやり過ぎてしまったようだ。向こうからすれば、僕のファントムクラスとしての力は未知なる物だ。それを多くのテクニックやスキル等を湯水の如く使ったから、見ていた彼等がそんな行動を取るのは無理もない。
今思えば、ダンジョン中層で遭遇したフィンさん達が妙な反応をしていたのは、そう言う事だったんだろう。僕が教えた内容は、彼等にとって自分達の予想を遥かに超えたものだったと言う事を。そしてリューさんや、【アポロン・ファミリア】があんなに驚いていたのも含めて。
様々なアプローチを仕掛けられている事にウンザリした神様は、暫くはオラリオから離れて身を隠そうと決心した。
その為に神様はギルドにいる僕の担当アドバイザーであるエイナさんに事情を話したところ、すぐに承諾してくれた。どうやらギルド上層部が、僕達にお詫びをしたいと自ら申し出て、こうしてメレンの宿泊施設を手配してくれたと。
理由としては、【アポロン・ファミリア】に
ギルドの手厚い対応内容を聞いた僕はすぐに察した。
因みに神様もギルド上層部の態度に物凄く呆れてたみたいだけど、願ってもない事だったので受け入れる事にした。エイナさんや神様と同様に、上層部の変わり身な対応に呆れた視線を送り続けていたらしい。
「とまあ、こう言う訳だよ。これで分かったかい、ベル君?」
「ええ、納得しました。僕達がメレンに滞在するまでの間、宿泊施設の費用は全てギルドが出すと言ってましたが、それ以外はどうなんですか? 例えば観光費用とかは」
「それは僕達で支払えだってさ。向こうはあくまで衣食住の提供のみで、娯楽用品の購入までは認められないらしい。全く、ギルドは妙なところでケチ臭いったらありゃしないよ」
「あはは……」
確かにギルドとしては、いくら後ろめたいからと言って、そこまでの面倒は見切れないだろう。多分だけど、ギルド上層部は神様がメレンで色々な物を買いまくるのを予想して、宿泊施設の費用のみにしたんだと思う。
「ま、この施設が無料で使えるんなら、思う存分利用させてもらうよ。ここは前の
神様も神様で、この施設を最大限に寛ぐようだ。前向きと言うか何というか、色々な意味で逞しいお方だね。
「とは言ったけど、折角メレンに来たんだ。観光も楽しまないとね。よ~しベル君、朝食を終えたら早速出掛けようじゃないか」
「そうですね。あ、その前に此処にあるギルドに寄っても良いですか? この前のダンジョン中層で得た大量の魔石やドロップアイテムを換金したいんで。それを観光費で使おうと思ってますけど、どうでしょうか? ついでに、進出したダンジョンの報告と昨日の【ステイタス】更新でランクアップした件も含めて」
「おっと、そうだったね。じゃあベル君。観光の前に、ギルドで換金と報告しに行くぜ!」
「はい、神様!」
僕と神様はオラリオに戻るまでの間、観光をしようとメレンで一通り楽しむ事にした。
☆
数時間後、オラリオにあるギルド本部では騒然としていた。メレンにあるギルド支部からの報告によって。
ギルドの案内掲示板にある張り紙には、とある人物の似顔絵と一緒に説明文が書かれている。
『ヘスティア・ファミリア――ベル・クラネル。
「ですから、掲示板に書かれている内容は事実ですので!」
「ダンジョン中層進出やゴライアス撃破については、ロキ・ファミリアにご確認ください!」
注目の的となっているベル・クラネルがとんでもない偉業を成し遂げていた事に、多くの神々や冒険者達がギルド職員達に問い詰めていた。この情報は確かなのかと。
ベルが強い事は
メレンのギルド支部から通信を聞いた職員も、思わず耳を疑ったほどだ。何故そんな情報が今になって入って来たのかと混乱する程に。
現在メレンで身を隠しているベル・クラネル本人からの報告だと言っている。更にはロキ・ファミリアのフィン・ディムナと複数の幹部が目撃していると。いきなり都市最高派閥と【
一応確認しようと、一人のギルド職員――エイナ・チュールがロキ・ファミリアの
対応したフィンは即座にハッキリと答えた。その報告に一切の偽りはなく、自分や幹部数名が間違いなく目撃したと。それを聞いた直後、エイナは気絶してしまいそうになるも、すぐに踏みとどまる事に成功する。そして彼女は誓った。ベルが戻って来たら、じっ~~~くりとOHANASHIをする固い決意をして。
☆
場所はオラリオから遠く離れた場所。そこには仮面を付けた幼い女神が愉快な笑みを浮かべている。
「ほんの気まぐれで『鏡』を見たが、中々に面白いものを見せてくれた」
女神の名はカーリー。【カーリー・ファミリア】の主神でありテルスキュラの長。
偶々外の世界から入手した情報の中に、オラリオで久々に
レベルの低いファミリア同士の闘争に興味が無いカーリーだったが、特にやる事がなくて暇だった為、手慰みとして見物する事にした。弱者共の闘争だと思いながら。
そんな時、彼女は目を見開いた。
「あれが『Lv.1』だと? はっ! オラリオにおる連中の目が腐っておるのではないか? あの雄は明らかに『Lv.5』に匹敵しておる。雄でありながら、あれ程の実力……実に興味深い!」
カーリーは雄――ベル・クラネルに物凄い興味を抱き始めて笑みを浮かべる。あれ程の雄なら、さぞかし優秀な
「よし、久しぶりに観光として外の世界へ赴くとしよう。そして運良くあの雄を見付けたら――すぐに捕獲だ!」
今までお付き合い頂き、ありがとうございました。
これ以上書くと、他の作品が滞ってしまうので本当に終了です。