ベルがアークスなのは間違っているだろうか 作:さすらいの旅人
あと今回はフライング投稿+内容が短いですのでご容赦を。
~時間は昨日に遡る~
ティオナさん達との予想外な遭遇によって、僕と神様は彼女達を連れて【ゴブニュ・ファミリア】へ行く事となった。と言うより、ティオナさんがずっと僕から離れようとしないので。神様が何度も離れろと言っても、ティオナさんは聞く耳持たずで僕の腕に引っ付いていた。
それに加えて、アイズさんも僕に用があるのか、何かある度に話しかけようとしてくる。同行しているレフィーヤさんから何故か睨まれているけど。一緒に同行しているティオネさんは、彼女達の行動に終始呆れたような目で見ている始末だった。
【ゴブニュ・ファミリア】の
「おい【
「違うよ! もう何であたしを見た途端にそんな事言うのかな~?」
「前科があるから言ってんだろうが!」
怒鳴ってくる鍛冶師さん達に心外だと言い返してくるティオナさん。どうやら此処はロキ・ファミリアが利用しているようだ。
聞くところによると、ティオナさんとティオネさん、そしてアイズさんは【ゴブニュ・ファミリア】に愛用の武器を任せているらしい。けれど、ティオナさんとアイズさんは相当な鍛冶師泣かせで、その中で特にティオナさんが酷いようだ。以前に愛用の武器――
鍛冶師達がティオナさんを見た途端に煙たがる理由が良くわかった。まるでオラクル船団にいる、六芒均衡マリアさんと刀匠ジグさんみたいな感じだと。マリアさんがメイン武器を壊した事を笑顔で謝りながら修理依頼する事に、それを見たジグさんが肩を落としながら嘆息していたのを何度も見た事がある。正にそんな感じだった。因みにアイズさんはティオナさんほどではないけど、ゴブニュ様から苦言を呈されているらしい。武器を大切にしろと。
僕が彼女達の意外な一面を知って内心驚いている中、神様は新
神様と話し終えたゴブニュ様は、急に僕の方へと視線を向ける。
「ベル・クラネルだな。先日の
「あ、ありがとうございます」
何かこのやり取り、昨日の【ディアンケヒト・ファミリア】にいるアミッドさんと同じだ。
まさかとは思うけど、ゴブニュ様も僕を勧誘する気なのだろうか?
僕の疑問を余所に、神様だけでなくティオナさん達が、少し笑みを浮かべているゴブニュ様を意外そうに見ている。他の鍛冶師さん達も含めて。
「見た事のない多様な武器を使っているようだが、大事に扱うのだぞ。そこの【剣姫】や【
「あはは……き、気を付けます」
ゴブニュ様からのアドバイスに僕は苦笑しながらも頷く。因みに二つ名を呼ばれたアイズさんとティオナさんは、視線を逸らして明後日の方を向いていた。如何にも身に覚えがあると言った反応だ。
「余計なお世話だと思うが、整備や新しい武器を求めるのであれば、此処へ来るといい。尤も、対応出来るのは剣ぐらいしかないがな」
では、と言ったゴブニュ様は奥の部屋へと入っていった。
アミッドさんと違って勧誘をしなかった事に僕がキョトンとしてると、神様達は少しばかり驚いていた。
疑問に思った僕が尋ねてみると、ゴブニュ様が笑みを浮かべる顔をするのは滅多にないみたいだ。しかも会ったばかりの人に対して、あそこまで褒めるのは更に意外だと。
ここで武器の世話をしてもらっているティオナさん達も初めて見たと言っていた。それだけ貴重なシーンだったんだろう。
☆
【ゴブニュ・ファミリア】での建築依頼を終えた他にも、色々な店で生活用品の買出しをした。ティオナさんとアイズさんも付き合うと言ったので、レフィーヤさんとティオネさんも同行したのは言うまでもない。
僕たち【ヘスティア・ファミリア】の買出しが漸く終えた夕方頃、ティオナさんが少し遅めの祝勝会をしようと言ってきた。けれど、すぐにティオネさんが却下した。どうやら【ロキ・ファミリア】が遠征を控えているらしく、それが終わるまでの間はやらないよう言われているらしい。
「とにかくもう帰るわよ!」
「いいじゃん、祝勝会くらい! ヘスティア様も良いよね!?」
「ちょ、アマゾネス君!? ボクを巻き込まないでくれ!」
「お、お二人とも、こんなところで騒いだら目立ちますから……」
アマゾネス姉妹の言い争いに神様が巻き込まれ、レフィーヤさんは何とか宥めようとしている。
僕は僕で口を挟む事が出来ないので、敢えて静観させてもらっている。女性陣の中に、男の僕が口を出すのはとても無理なので。
「…ちょっと良いかな?」
「え? ヴァレンシュタインさん?」
すると、アイズさんが僕に話しかけてきた。さっきまで僕と話しかけようとしていたけど、神様やレフィーヤさん達によって遮られてた事もあって、これまでまともに話す事が出来なかった。
その神様達は向こうで言い争いをしているので、アイズさんはこれを機に話しかけたんだろう。
「アイズで良いよ。私も君の事をベルって呼んでいい?」
「それは構いませんが……ところで、僕に何か?」
ま、まさか彼女から名前で呼んでも良いって許可をもらえるとは……。これは思いがけない幸運だった。僕の心がハイテンションになりつつも、何とか押し殺しつつ尋ねる。
「本当は色々と訊きたい事があるんだけど、その前に………明日の早朝は空いてる?」
「へ? あ、明日の早朝ですか?」
もしかしてこれはデートのお誘い……な筈がない。アイズさんが真剣な顔をして、僕を見つめる目から闘志を感じる。とても浮ついたお誘いじゃないのは確かだ。
僕が鸚鵡返しをしながら問うと、アイズさんはコクンと頷く。
「まぁ、空いてはいますけど……。まさかとは思いますが、僕と手合わせしたいから……ですか?」
「……よく分かったね」
大当たりだ! やっぱりそうだろうと思った! 残念です! もしこれが一目惚れしたアイズさんからのデートとかだったら、僕は色々な意味ではっちゃけていたよ!
………まぁ、それはそれとして。まさか本当にアイズさんが僕と手合わせしたいなんて完全に予想外だった。
メレンにいた時、ギルド支部でアイズさんが『Lv.6』にランクアップしたのを聞いた。それを聞いた僕は思わず震えた。『Lv.5』でも充分に凄いのに、更なる高みへと昇っていく彼女の強さを知って。
『Lv.2』にランクアップしたばかりの僕では、『Lv.6』へランクアップしたアイズさんとの実力差は天地の差があるだろう。
だというのに、どうしてアイズさんは僕と手合わせをしたがるんだろうか。もしかして、前の
「それで手合わせだけど……良いかな?」
「え、ええ、僕は構いません」
「…ありがとう」
僕が了承すると、アイズさんは無表情でお礼を言いながらも喜んでいる感じがした。
「場所は――」
「くおらぁ、ヴァレン何某! ベル君と何を話してるんだぁ!?」
「アイズさん、いくらなんでも近過ぎですから!」
場所を言おうとするアイズさんに、こちらに気付いた神様とレフィーヤさんが急に接近してきた。神様は僕を、レフィーヤさんがアイズさんを引き離しながら。
でも、僕は聞こえた。明日の早朝に『都市北西の市壁上部】へと。
「アイズ~、アルゴノゥト君と何を話してたの~?」
「ってかアマゾネス君! 何で君は当然みたくベル君に引っ付くんだぁ!?」
ティオナさんが再び僕の腕に引っ付くと、それを見た神様が噛み付くように抗議する。因みに僕は引っ付いてくるティオナさんの行動に何も言わない事にしている。と言うより諦めた。
「……後で団長に報告ね」
何かティオネさんが呟いていたけど、僕には聞こえなかった。