ベルがアークスなのは間違っているだろうか   作:さすらいの旅人

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今回は短いです。


ロキ・ファミリアの遠征⑱.5

 53階層で色々な騒動が起きた後、僕達は再び58階層へ向かおうと進攻を再開する。

 

 階層無視の狙撃がなく、芋虫型モンスターの群れによる襲撃がない為に、問題無く進む事が出来た。前衛を務める剣メインのアイズさん、抜剣(カタナ)長銃(アサルトライフル)を交互に使う僕が援護する事で、あっと言う間に57階層へ到達する事が出来た。

 

 しかし、連絡路を突き進んでる際、またしても芋虫型モンスターの大群と遭遇する事となった。アイズさんの風魔法と僕の長銃(アサルトライフル)で一掃しながらも、リヴェリアさんが再び氷結魔法――【ウィン・フィンブルヴェトル】で奥の広間(ルーム)にいるモンスターの大群を凍らせた。

 

 漸く58階層に辿り着くと、目の前には巨大なドラゴンの氷像があった。リヴェリアさんの魔法で氷漬けとなったんだろうと思いながら、呪斬ガエンに切り替えながら疾走し、ドラゴンの氷像を打ち砕く。

 

 僕の斬撃と同時に武器の潜在能力による追撃の同時攻撃により、竜の頭部を断ち切り、そのまま粉々となった氷の塊が轟音を立てて地面に落下していった。

 

「アルゴノゥト君!!」

 

 真っ先に現れた僕を見たティオナさんの歓呼が飛んだ。

 

 その後にアイズさん達が現れると、今度はレフィーヤさん達からの喜びの声が上がっている。特にティオネさんはフィンさんの姿を見た途端に、凄く元気が出たような大声を出して彼を呼んでいる。

 

「喜ぶのは後だ! 残存するモンスターを掃討する!」

 

 フィンさんの力強い声に、58階層で戦っていたティオナさん達は僕達と協力して残った敵の処理に当たる。

 

「ベル、行くよ!」

 

「はい!」

 

 アイズさんと僕が再び前に出て一緒に戦っている際――

 

「あ! アイズずるい! 何でアルゴノゥト君と一緒に戦ってるのさ!?」

 

「って言うか、何でベル・クラネルがアイズさんとあんなに息ピッタリな戦いをしてるんですか!?」

 

 ティオナさんとレフィーヤさんが何故か物凄く不服そうな声を出していたけど、敢えて気にせず処理を続ける事にした。

 

 そしてモンスターを一通り片付け終えると、周囲にはモンスターの死骸だった灰の山がいくつか散見される事となる。

 

「って言うか、何でアルゴノゥト君が前衛(まえ)に出て戦ってたの!?」

 

「まぁ、色々と理由がありまして。それよりティオナさん、いきなり抱き着くのは流石にちょっと……」

 

 モンスター達を掃討後、58階層に沈黙が訪れた事により誰もが安堵してる中、ティオナさんが早速と言うべきか僕に抱き着いてきた。

 

 前衛に出た理由を話すと、ティオナさんは納得しながらも頬を膨らませていた。どうせなら自分と一緒に戦いたかったと。

 

 彼女の言い分に苦笑しながらも、サポーターのラウルさん達がバックパックを下ろして補給アイテムを配ってる中、僕もすぐに治療師(ヒーラー)としての活動を始めようとする。

 

 しかし、流石は【ロキ・ファミリア】と言うべきか、58階層に辿り着いても全員殆ど無傷だった。椿さんは椿さんで、灰の中にある数多のドロップアイテムを見て大はしゃぎしていて、それを見たフィンさんが後にしてくれと対応している。

 

 僕の出番は殆どないかと思われたが――

 

「あれ? ティオナさん、身体の所々に火傷がありますね。大丈夫ですか?」

 

「平気だよ。リヴェリアの防御魔法のお陰で大した事ないから。と言っても、でっかい炎を防ぐのは痛かったけどね」

 

 今も腕に引っ付いてるティオナさんを見て気付いた僕が問うけど、当の本人は問題無いと言い返してきた。

 

 だけど、流石に見過ごせなかった僕は、すぐに治療しようとアンティをかける。

 

「はい、これで火傷が消えた筈です」

 

「別にこれくらい大した事ないよ?」

 

「火傷を甘く見てはいけません。放っておいたら痕になってしまいます。ティオナさんは可愛い女の子なんですから、そういうところは少し気にした方が良いですよ」

 

「……え、えっと。あたしって、可愛いの?」

 

 何故か頬を赤らめながら訊いてくるティオナさんに――

 

「はい。僕から見て、ティオナさんは凄く可愛くて魅力的な女性だと思ってますよ。けど、流石にいきなり抱き着くのは勘弁して欲しいですが」

 

「………そ、そっか。あたしって可愛いんだ。えへへ~」

 

 僕が思った事をそのまま答えると、何故か今度は猫みたいに甘えるような感じで引っ付き始めた。

 

「ティ、ティオナさんがあんな表情してるなんて初めて見たっす……!」

 

 端から見ていたラウルさん達が驚きの声を出してる中――

 

「何て事……! このままじゃティオナに先を越されてしまいそうだわ! 団長、私達もあの二人に負けないように――」

 

「あ~、ベルとティオナ。今は休憩(レスト)中だからって、そう言う事は人のいないところでしてくれないかな? あとティオナ、そろそろベルから離れておくように」

 

 ティオネさんの発言にフィンさんが危険を感じたのか、すぐに僕達に注意してきた。

 

 団長のフィンさんからの注意に、ティオナさんが凄く不満そうな顔をしながらも、取り敢えずと言った感じで引っ付いてる僕から離れる。

 

 そうだ。折角だから、さっきまで使っていた武器のメンテをしておこう。ティオナさん達と合流して再び治療師(ヒーラー)に戻るからって、また戦闘になる可能性はある。

 

 万一の事を考えながらメイン武器の軽いメンテをする為に、先ずは長銃(アサルトライフル)のセレイヴァトス・ザラを出した。

 

「うわっ、何か凄そうなのが出た……!」

 

 近くにいるティオナさんが驚くように言うと、休憩中のベートさん達が怪訝そうに見てくる。

 

「ねぇアルゴノゥト君、何なのそれ?」

 

「そう言えばティオナさんは知らないんでしたね。これはついさっきまで使っていた遠距離用武器です」

 

 遠くにいる相手を狙撃する武器である事を簡単にしながら、これで飛竜(ワイヴァーン)を倒していた事も教えた。

 

 そんな中、セレイヴァトス・ザラのメンテ中に突然、僕の身体が光り出した。

 

「って、どうしたの!? 何か急に光ったよ!?」

 

「大丈夫ですよ。単にこの武器の特殊能力が発動しただけですから」

 

「その特殊能力とは一体何なのだ?」

 

 ティオナさんを安心させるように言ってると、いつの間にか椿さんが僕の所へ来ていた。

 

「あの、椿さん。いつからそこに? さっきまで武器の整備をしていた筈では?」

 

「細かい事は気にするでない。それでベル・クラネル、その魔剣の特殊能力とは?」

 

 僕の問いを無視する椿さんは答えを催促してくる。フィンさん達も気になってるのか、休憩をしながらも此方に聞き耳を立てている感じだ。

 

 う~ん……。ティオナさんだけには教えても良いけど、椿さんに教えるのはちょっとなぁ……。

 

 このセレイヴァトス・ザラには潜在能力の他に、S級特殊能力を三つ備える事が出来る。

 

 因みにS級特殊能力には様々な効果があって、傷を自動的に回復、体内フォトンの自然回復を早める、攻撃力や防御力アップなどと沢山ある。

 

 僕が付けている一つ目は時流活与で、一定時間ごとに体力と傷を四割ほど回復。二つ目は時流の護で、一定間隔で自身にデバンドを自動的に発動。そして三つ目は時流の勇で、一定間隔で自身にシフタを自動的に発動。

 

 簡単に言えば、僕がセレイヴァトス・ザラを展開しているだけで、時間経過の度に回復と補助が同時発動すると言う事だ。武器を切り替えてしまえば発動しなくなってしまうけど、長銃(アサルトライフル)メインで戦うには凄く便利で頼もしい。

 

 そんな能力を椿さんに教えたら……凄く嫌な予感がする。

 

 ただでさえ、この武器が制限無しに撃ち続ける事が出来る武器だと答えた時に凄い反応をしていた。これ以上教えてしまうと、大金出してでも欲しがるんじゃないかと危惧してしまう。

 

「すいませんが、そこは黙秘します」

 

「おいおい、それはないだろう。別に良いではないか、減るもんでもあるまいし。この通りだから、どうか教えてくれないかのう?」

 

 教えないと言った途端、再び催促してくる椿さんがメンテしてる僕に近付こうとするも――

 

「ちょっと椿! これ以上アルゴノゥト君に近付くのはダメだからね!」

 

「むぅ……」

 

 ティオナさんがさせないと阻止してくれた。

 

 前に牽制された事もあってか、椿さんは僕に対する追求の勢いが弱まる。

 

 58階層で休憩してる最中、59階層へ繋がる連絡路を見つめてるフィンさんがある事を言いだした。それによって一気に緊張を灯す事となり、僕も急いで武器のメンテを終えようと手の動きを早める。




ティオナメインで、ベルのS級特殊能力の説明でした。

特殊能力については、活動報告でコメントしてくれた睦月透火さんの案で行く事にしました。
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