ベルがアークスなのは間違っているだろうか   作:さすらいの旅人

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今回は凄く短いです。


異常事態(イレギュラー) 幕間

「全く、君には本当に驚かされるばかりだよ」

 

「あ、あはは……。この度は、御迷惑をお掛けして誠に申し訳ありませんでした」

 

 場所は急に変わって本営。呆れた顔をしながら言うフィンさんに僕は謝っていた。

 

 全裸のティオナさんに押し倒されて力強く抱き付かれた後、ティオネさんのお陰でどうにか引き剥がしてくれた。そして嫌がるティオナさんを、一旦人のいない所へ無理矢理連れて。

 

 僕はその隙を突くように、呆然としていたアイズさんに再び案内して貰うよう声を掛け、負傷者達がいる場所へと向かい、再び治療を再開する。僕が予想していた以上に人数は多かったけど、一人残らず全員の治療を終わらせた。各場所で看護していた人達は、僕が来た事に呆然としていたけど。

 

 しかし、解毒出来ても負傷者達はすぐに起き上がる事が出来ない状態だった。一日以上も毒に侵され続けた事で、体力がかなり奪われていたようだ。一応レスタも使ってみたが、思っていた以上に衰弱してたので、もう僕ではどうしようもない。と言っても、時間さえ経てば元に戻る筈だから、安静にしてれば問題無い筈だ。

 

 治療を一通り終えると、ラウルさんが現れた。フィンさん達がいる本営に来て欲しいと指示されて、今に至るという訳である。

 

「いや、別にそこまで謝る必要はないよ」

 

「そうじゃぞ、ベル。お主には色々と助けられたんじゃ。誰も迷惑とは思っておらん」

 

 気にしてないように言うフィンさんと同じく、ガレスさんも同様に返してきた。リヴェリアさんも同感だと言って頷いている。

 

「しかし、ラウルから聞いた時は自分の耳を疑ったぞ。お前もあの毒妖蛆(ポイズン・ウェルミス)の毒を受けた筈なのに、それが今はこうして元気な姿を見せるとは」

 

「えっと……まぁ、何とか……」

 

 驚くように言っているリヴェリアさんに、僕は誤魔化すように言った。

 

 僕の体内にあるフォトンのおかげで中和する事が出来たから、とは流石に言えない。もし教えれば、絶対に問い詰められるのが目に見えている。

 

 三人はそれに気付いたか分からないけど、敢えて何も触れようとしなかった。恐らくだけど、他所の【ファミリア】の僕に余計な詮索はしないでおこうと気を遣ったかもしれない。

 

「ところで、毒を浴びた負傷者達の治療をしてるとラウルが言ってたけど」

 

「ああ、それでしたら――」

 

 話題を変えるフィンさんに、僕はすぐに報告をした。治療は完了済みだが、衰弱した身体が元に戻るまで時間が掛かると。

 

 それらを一通り聞いた三人は、何故か凄く複雑そうな表情をしていた。特にフィンさんが、何かまるでこの後の対応が面倒そうな感じで。

 

「あのぅ、フィンさん? もしかして、僕が治療したのは不味かったですか?」

 

「いや、そんな事は無いよ。うちの団員達の治療を専念してくれたのは、こちらとしては非常に助かってるからね」

 

 アハハハハと笑いながら言い返すフィンさん。

 

 何か誤魔化されてる感じがするけど、僕も人の事は言えないので流しておくことにしよう。ここはお互い様という事で。

 

 取り敢えず指示が出るまで自由にしてて良いと言われたので、フィンさん達に一礼して本営を後にした。

 

 

 

 

 

 

「リヴェリア、ガレス。二日後に戻って来るベートに僕はどうすればいいかな?」

 

地上(オラリオ)で特効薬の調達以外に、遠征中で得た『情報』をロキに渡しにいったのだ。だから決して無駄ではないとだけ言っておく」

 

「じゃが、知れば確実に憤慨するじゃろうな。同時にベルに食って掛かる光景が目に浮かぶわい。もしそうなれば、ワシが抑えておこう」

 

 ベルがいなくなった後、三人はベートが戻って来た後の事について悩んでいた。

 

 ついでに――

 

「それと別に、ベルは一体何者なのかと問い詰めたい気分だよ」

 

「全くじゃ。毒妖蛆(ポイズン・ウェルミス)の毒を受けたと言うのに、特効薬も使わずに自力で立ち上がり、他の負傷者達をあっと言う間に治療したんじゃからな」

 

「もしもアミッドが知れば確実に問い詰めるだろうな。【ディアンケヒト・ファミリア】に改宗(コンバージョン)すべきだと」

 

 ベルが余りにも優秀どころか、それを通り越して異常過ぎる事により更に頭を悩ませるのであった。

 

 そして三人は再度思った。もしもあの時、門番達がベルを追い出していなければと沸々と殺意を抱く程に。もう過ぎた事だと頭では分かっても、逃がした魚は余りにも巨大過ぎたと改めて認識したので。

 

 冒険者としての常識を(ことごと)く壊すばかりだけでなく、非常に頭を悩ませる存在ではあるが、それでも今回の遠征で色々と助けられたのは事実だった。

 

 これによりフィン達は、今後もベルがいる【ヘスティア・ファミリア】との繋がりを大事にしようと決意する。他の【ファミリア】に目を付けられたら、絶対に狙われてしまうと確信したので。更には【フレイヤ・ファミリア】の動向にも警戒しておく必要があると。

 

 

 

 一方、本営から出た後のベルは――

 

「ごめんなさい、本当にごめんなさい! 私の所為で、君を酷い目に遭わせちゃって……!」

 

「そこまで謝らなくても良いですよ。リーネさんみたいな可愛い女性が、あんな目に遭って欲しくなかったですし」

 

「か、かわっ……! 私なんか可愛い訳が……!」

 

「そんな事ありませんよ? もしリーネさんが僕の彼女だったら、周りの人に自慢したくなりますね」

 

「~~~~~っ!!」

 

 謝ってくるリーネに、自覚のないナンパ(?)行為をしていた。

 

 因みにこの後、服を着たティオナがやってきて、ちょっとした波乱が……と言う展開になったとだけ記しておく。

 

 

 

 ここで更に、非常にどうでも良い事を補足しておく。

 

「? ねぇラウル、いつのまに水浴びして着替えたの? 何か妙に清潔な感じがするんだけど」

 

「ああ、これはっすね。ベル君が治療魔法を使った時、自分も範囲内にいたんすよ。水浴びや着替えの手間が省けて良かったっす。本当にベル君の治療魔法は万能で助かるっすよ。アハハハ――」

 

「ちょっとちょっとちょっと~! 何で男のアンタが女性団員(わたしたち)達より先に抜け駆けしてるのよ~~~~!?」

 

「わっ! ちょ、アキ!?」

 

 食糧調達に行ってたアキや他の女性団員達が戻った時、ラウルが余計な事を言った為に憤慨していたのであった。

 

 その後に彼女達が揃ってベルがいる所へ全速力で向かい、治療魔法で清潔にして貰うよう頼んだのは言うまでもない。いきなりの事にベルは非常に戸惑っていたが、それでも快く引き受けてアンティを使っていた。

 

 また、多くの女性団員達が一斉にベルに迫った事で一種のハーレム状態な光景だったのか、男性団員達が嫉妬の炎を燃やしていた。『クラネルの野郎、調子に乗りやがってぇぇ!』と言う感じで。




後半のリーネやアキ達の事を書くと長くなるので、敢えて短くする事にしました。
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