ベルがアークスなのは間違っているだろうか   作:さすらいの旅人

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内容の都合上、今回はラッキースケベだけです。


異常事態(イレギュラー)

 アイズさんとの手合わせを終え、僕達は野営地に戻った。手合わせ後は野営地に戻るようにとフィンさんから言われてるので、今は天幕で一休みしている。途中でレフィーヤさんと遭遇して、何故か物凄く睨まれたけど。

 

 さっきまで体や服が汗まみれだったけど、そこはアンティを使った事により元の状態に戻っている。勿論、一緒に手合わせをしたティオナさんとアイズさんも一緒だ。汗まみれの状態で戻るのは非常に良くないので。

 

 しかし、常に清潔な状態を保たせているとは言え、少しばかり体を洗いたい気分となっていた。遠征に参加して以降、僕は一度も身体を洗う為の水浴びをしていない。だからもう二週間近く身体を洗ってない事になる。

 

 本拠地(ホーム)に戻ったら真っ先にシャワーを浴びるつもりだ。しかし、余計な事を考えてしまった為、一度水浴びをしたいと身体が疼き始める。けど、ついさっきまで手合わせする為に出掛けたから、また出掛けるのは気が引ける。それに、僕が水浴びをしたいとティオナさんが知ったら絶対付いてきそうだし。

 

 …………よし。もう一度フィンさんに言ってみるか。もしダメと言われたら諦めよう。

 

 そう考えた僕は天幕から出て、そのまま本営に向かった。これ以上の我儘は通じないだろうなぁと思いながら頼んでみると――

 

「構わないよ。但し、なるべく早めに済ませておくように」

 

 と、簡単に許可が下りてしまった。

 

 我儘を言う事に申し訳ないと謝るも、フィンさんがそんな必要は無いと言われる。この程度は我儘の内に全然入らないからと。

 

 取り敢えず許可を貰ったので、僕は再び野営地から離れて、とある場所へ向かった。昨日、ティオナさんと食糧調達をしてる時に見付けた泉があったから、そこで水浴びをしようと。

 

 しかし、この時の僕は何も知らなかった。そして色々と後悔する事に。

 

 

 

 

 

「ねぇアイズ、水浴びに行かない? アルゴノゥト君に治療魔法かけてもらったけど、やっぱり水浴びしないと落ちつかなくてさぁ」

 

「うん、良いよ」

 

「あ~あ、ほんとだったらアルゴノゥト君も連れて行きたいんだけどなぁ~」

 

 

 

 

 

「あ~~気持ちいぃぃ~~~」

 

 全裸になっている僕は現在、泉の奥にある滝を利用して身体を洗っている。

 

 此処に来たのは二度目だけど、改めてみると本当に綺麗な場所だった。透き通るほどの澄んだ水に、それを映すように周囲の水晶が煌めいている。思わず入るのを躊躇ってしまいそうな程に。

 

 周囲に誰もいないのを確認した後、脱いだ服を電子アイテムボックスに収納し、恐る恐ると泉に入った。

 

 最初は少し冷たかったけど、慣れると段々涼しく感じて、思わず泳いでしまいそうだ。そんな事をしたら長居してしまうので、すぐに頭を切り替えて身体を洗う事を専念した。

 

 とは言ったものの、身体を洗っている最中に再び泳ぎたい気持ちになっていた。それに加えて、この泉に入ってると、色々と疲れが取れたような感じがする。まるでこの綺麗な泉が僕の身体を清めているように。

 

「このままもう少し……っ!」

 

 お風呂やシャワーとは違う気持ちよさを堪能している中、誰かが泉に近づいてくる気配を感じた。それに話し声もしてる。

 

 僕は咄嗟に気配を消すと同時に、ファントムスキルを使って姿を消した。今の僕は全裸なので、誰かに見られるわけにもいかない。

 

 こうしておけば誰も僕の姿を見る事無く――

 

 

「ひゃっほー!」

 

「だから、いきなり飛び込むな馬鹿ティオナ!?」

 

「やっぱり、気持ちいい」

 

 

 ――え?

 

 数(メドル)先で誰かが泉に入ってきた。知っている声だったので、姿を気配を消しながらも僕が振り向くと、そこには泉に飛び込んでるティオナさんや、彼女を窘めるティオネさんがいた。しかも二人とも全裸である。

 

 けれど、更に驚く事にアイズさんもいた。当然、彼女も全裸で泉に入っている。余りの美しいプロポーションに思わず見惚れてしまいそうだ。

 

 ……何で? 何で? どうしてここにティオナさん達が来てるの? 野営地で待機してたのを確認した筈なのに……!

 

 …………あ、そっか。彼女達も僕と同じく水浴びをしようと此処に来たのかもしれない。治療魔法(アンティ)で清潔にしてもらっても、やはり身体を洗いたいみたいな感じで。

 

 不味い! 非常に不味い! 姿と気配を消したのが却って仇になった! もしこのまま僕が姿を現わしたら、確実に覗きに来たと誤解される! そして殺される! とにかく、彼女達に見付からないように退散しないと!

 

 

「ん?」

 

「ティオナ、どうしたの? いきなり周りを見ながら犬みたいに嗅いでるけど」

 

「何か、アルゴノゥト君のニオイがするんだよね。もしかして水浴びに来たのかな?」

 

「はぁ?」

 

 

 ティオナさんの発言に、僕は思わずギクッと動きを止めてしまった。それを聞いたティオナさんやアイズさん、そして警護してるレフィーヤさん達が周囲を見渡している。

 

 に、ニオイって……。ティオナさんの嗅覚は獣人並みなのかな?

 

 因みにファントムスキルを使っている際、姿や気配だけでなく、身体から発するにおいも遮断される。普通に考えてにおいは一切しない筈だ。

 

 ……あ、もしかしたら身体を洗う時に使った泉から嗅ぎ取ったかもしれない。流石に身体から出たモノまでは消せないので。

 

 

「ベルが此処にいる訳ないでしょう。あの子は私達がここに来る事なんか知らない筈よ。それに態々水浴びなんかしなくても、治療魔法で常に清潔になれるんだから」

 

「あ、それもそっか。でも案外、姿を消したまま今もここにいたりして♪」

 

「も、もしそうだったら、私が魔法でベル・クラネルの身体ごと消滅させます! アイズさんの裸体を見た罪は万死に値します!」

 

「ちょっとレフィーヤ、あたしのアルゴノゥト君にそんな事したら許さないからね~?」

 

 

 

 ティオナさん、大正解です。僕は此処にいます。だけど僕が皆さんより先に来て水浴びをしてるんです。

 

 あと、ごめんなさい。誠に不謹慎なのは分かっていますが、ティオナさん、ティオネさん、そしてアイズさん。皆さんの裸を見てしまいました。

 

 本当ならこの場で現れて謝罪したいところだ。だけどレフィーヤさん物騒な台詞を言ってたから、姿を現わした途端に本気で魔法を撃つ感じがする。だから後で必ず謝罪しよう。本当にごめんなさい。

 

 あと少しで泉から出ようとすると――

 

「あっ……」

 

『……え?』

 

 最悪な事に、ファントムスキルが途中で切れてしまい、全裸の僕が現れてしまった。

 

 僕が突然出現した事で、この場にいる誰もが振り向き――

 

「いたぁ~~~!」

 

「おわっ!」

 

 途端にティオナさんが凄い勢いで接近して抱き付いてきた。

 

「やっぱりいたんだねアルゴノゥト君! なになにっ!? 君も裸になってるけど、水浴びしに来たの!?」

 

「驚いたわぁ。まさかティオナの言う通り、本当に姿を消していたのね。でも大人しい顔してやるじゃない、あんたも」

 

「あわわわわわっ!」

 

 抱き付いてるティオナさんを余所に、ティオネさんは予想外と言うように驚いていた。

 

 この二人、恥じらいと言うものがないのだろうか。僕と同じ裸の筈なのに、全然狼狽えてないんですけど!?

 

 あとティオナさん、お互いに裸なんですから、そんなに密着しないで下さい! ティオナさんの柔肌だけじゃなくて、柔らかい胸も当たって色々と不味いんですよぉ!

 

「…………ベル」

 

 その声を聞いた僕が思わず振り向くと、頬を赤らめ、恥じらうように両腕を抱き、胸を隠すアイズさんがいた。

 

 何故だろう。ついさっきまで裸を見た筈なのに、アイズさんがあんな仕草や表情をしてると更に艶めかしく感じる。

 

「あ―――あなたというひとはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

「ッ!」

 

「あっ! 待ってアルゴノゥト君!」

 

 顔を赤くしているレフィーヤさんの叫びにハッとして、僕は抱き着いてるティオナさんから速攻で離れ、この場から脱出しようとする。

 

 逃げる最中、彼女が59階層で戦った『精霊の分身(デミ・スピリット)』並みの高速詠唱をしているのが聞こえたので、咄嗟に再びファントムスキルを使って再び姿を消した。

 

「うあうあうあうあうあ~~~~~~~!!」

 

 レフィーヤさんの大咆哮が森全土に響くも、僕は逃げる事に集中していた。




すいませんが、とある人物との再会は次回になります。

原作と違って、ベルが先に水浴びをした事でラッキースケベな展開となりました。

よくよく考えたら、ベルのファントムスキルは覗きをしたい男からすれば羨ましい物でしたねぇ……。

姿を消せるファントムスキルが欲しい人は手を上げて下さい!
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