機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 別再   作:グランクラン

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ドルト編最終話となります。次回からは地球降下編になります。では本編です。


クーデリアの決意

 クーデリアは真っ赤に染まっている自らのドレスの裾を抑えながら、先ほどの惨状を思い出しながら彼女自身自分に何が出来るのかを考えていた。

 ドルト3の港口では多くの人が足止めを喰らっており、その中に鉄華団のメンバーも同じように足止めにあっていた。

 

「なあ!オルガなんかできる事ねぇのか?俺達に………」

 

 シノの言葉にオルガは「駄目だ」とだけしか返さない。タービンズとの約束通り今回の一件で下手に動き回れば鉄華団は目を付けられてしまうだろう。

 

「あのおっさん達の仲間なんだよな?おっさん達言ってたじゃねぇか、俺達の事騎士団ってさ。英雄で希望の星なんだぜ!?」

「駄目だ!俺達の仕事は依頼主を無事に地球に送り届ける事だ」

「私は………私はこのまま地球へはいけません。私が地球を目指したのは火星の人々が幸せに暮らせる世界を作る為。でも火星だけではなかった。ここの人達も同じように虐げられ踏みつけられ命さえも……それを守れないなら…立ち上がれないならそんな私の言葉など誰も聞くはずがない。私は戦いますたとえ一人でも、もう逃げない………二度と」

「お嬢様………」

 

 クーデリアの決意、その意思を伝えるためにもオルガ達も動くことになった。

 

「おいもういい!撤収だ。治安の悪さを伝える報道はこれ以上いらんとよ。誰もが平和に楽しく暮らせるコロニーのイメージが傷が付くんだそうだ」

「今更……」

「真実の報道が聞いてあきれるぜ」

 

 テレビ局の連中の前に一人の少年がやって来た。

 

「すいません。真実の報道をする気があります?」

「誰だ?お前………」

「ある組織のモノです。そのつもりがあるならこっちの作戦に乗りませんか?安全の保障は出来ませんが。あなた達の勇気があればこの状況を打開し、あなた達の安全も保証できるかもしれませんよ」

「むぅ………」

「あなた達はたかが一傭兵企業がこんな事態を引き起こす事を良しにしていて良いんですか?」

「………そうだよな。真実の報道ってやつはそういう事だよな!よし!坊主俺達はどうすればいい?」

「これをこの写真の女性と一緒にいる前髪の男性に渡してください。渡した際に『ビスケット・グリフォンより』と伝えてください。それだけでこの記録媒体が何を示しているのか分かるはずです」

 

 大きな記録媒体を報道陣に渡すサブレ、その後ろからその様子を見ているビスケットとアトラ。

 

「大丈夫かな?これでクーデリアさんの助けになると良いけど………」

「大丈夫だよ。サブレが言っていたけど、今回の状況を鉄華団が打開するためにはテレビ局を利用するのが妥当だと思うよ。彼等なら独自のランチも持っているはずだし……イサリビまで移動して、その間にサブレ達の船から昭弘と三日月がバルバトスとグシオンを貰って戦場に向かう。後はイサリビから世界に向けて今回の惨状を伝える。深追いが出来ないギャラルホルンは撤退するしかないはずだし」

 

 サブレがテレビ局員から離れて戻ってくる。

 

「これで後は鉄華団次第だな。彼らがこの地でどうするのか………父さんの望むもう一つの旗頭になれるかどうか………少し見極めさせてもらおう」

 

 テレビ局からの接触を受けたオルガ達鉄華団は専用ランチでイサリビまで合流する。

 

 同じとき、三日月と昭弘は既に戦場まで降り立っており、バルバトスはメイスを使って三機のギャラルホルン製のモビルスーツを撃墜するが、そんな三日月の前にガンダム・キマリスが現れた。

 

 大きなランスを装備して、素早い突進力を生かした戦法を前に三日月は多少翻弄されそうになっていた。

 しかし、サブレから教わった戦法の前に三日月は下手な反撃はせず、キマリスの動作をきちんと見極めていた。

 

「この出力、この性能、予想以上だ。まっそれでなくては骨董品を我が家の蔵から引っ張り出した甲斐がない!」

「早い………でも、よく見ると突っ込んだ後に大きく旋回してる。早すぎるんだ。なら………!」

 

 旋回し、突っ込んでくる最中三日月の意識は目の前からやってくるキマリスのランスに集中し、その攻撃をギリギリで回避し側面を確実に抑えた。

 

「何!?」

 

 側面からランスを叩きつけようとするのだが、そんなバルバトスにライフルの連射で邪魔をするのはアインの乗るシュヴァルベだった。

 

 三日月と共に目の前に昭弘の乗るグシオンが姿を現した。

 

「三日月!こっちは俺がやる!お前はそっちをやれ」

「分かった………昭弘も気を付けて」

 

 二人がギリギリの戦いをしている最中に、ランチはイサリビに回収されていた。

 シノはピンク色にカラーリングされたグレイズに乗り込む。

 

「へっ!氷の花咲かせんのは当分先だぜ!ノルバ・シノ!流星号行くぜおらぁ!」

「流星号?」

 

 流星号と言う名前に整備班が呆れ顔を作っていた。

 

 アインの機体にグレイズの固有周波数が認識された。

 

「この識別コードはクランクさんのグレイズ!」

「こいつはそんなだせぇ名前じゃねぇ!このシノ様の流星号だ!」

「あんな厳格だったクランクさんの機体をこんな下品な色に………許せん!」

 

 至近距離で斧の攻撃をシールドで受け止めるアイン、ライフルで牽制しようとするがシノの流星号はそれを下に潜り込む形で回避。

 

「こいつは俺が抑えるぜ!昭弘は周囲の敵を頼む!」

 

 昭弘はイサリビに群がろうとする敵に向かって突っ込んで行き、バルバトスは正面から突っ込んでくるランス攻撃を受け止め、とどめにとメイスを振り下ろそうとする。

 

「ふざけるな!」

 

 キマリスの肩からディスク型の武器『スラッシュディスク』が牽制用にと射出される。

 

「くっ!こんなんじゃダメだ」

 

 ランスでバルバトスを吹き飛ばすが、バルバトスに搭載されたシステムが緊急サポートシステムを起動させ全スラスターが体勢を整え、反撃を仕掛けてくるキマリスに向かって容赦なくメイスを振り下ろす。

 

「なんだと!?」

 

 全てのシステムが前回の戦いから更新されており、バルバトスはキマリスの頭部めがけてメイスを振り下ろそうとするが、その間にイサリビがアインとシノの戦いに割って入った。

 

 アインはシノを振り切ってキマリスの援護に入るのだが、キマリスに突っ込んでくるランス攻撃をアインのシュヴァルベが防御に入った。

 キマリスはアインを回収してその場から離脱していく。

 

「アイン!」

「申し訳ありません余計な真似を………!」

「何を……」

「アリアンロッドの本隊がそちらに向かっています。これ以上の作戦への介入はいくらセブンスターズといえど問題になります!」

「ぐっ………ここまでか」

 

 キマリスとシュヴァルベが撤退するが、イサリビは目の前で散開しているアリアンロッド艦隊の真ん前まで突っ込んでいこうとしていた。

 

「すげぇ数だな」

「逃げてぇ~」

「逃がしてもらえるもんならね」

 

 クーデリアのまっすぐな瞳、そしてその反対側で彼女を見守るフミタン。クーデリアの決意を見届けるフミタンは黙って頷く。

 

「私はクーデリア・藍那・バーンスタイン。今テレビの画面を通じて世界の皆さんに呼びかけています。私の声が届いていますか?。皆さんにお伝えします。宇宙の片隅………ドルト・コロニーで起きている事を………。そこに生きる人々の真実を……」

 

 混乱するアリアンロッド艦隊。

 それもそうだろう。

 情報の規制を行っているギャラルホルンの統制局の裏をかいて情報が世界中に発信されている。

 

 それはフォートレスの本拠地に帰ってきていたマハラジャの命令で起こしていることだった。

 

「見せてもらおうか………クーデリア・藍那・バーンスタイン。君が旗頭になれるかどうか……その器を」

 

 

「私はドルトコロニーで自分達の現状に立ち向かおうとする人々に出会いました。彼らはデモという手段をとりました。しかしそれはあくまで経営陣……」

 

 アリアンロッド艦隊の元にアフリカンユニオンからの戦闘中止要請が届いていた。

 

 サブレは腕時計の確認をしながら密かに隠し港口に訪れていた。

 

「クーデリアさん………大丈夫だよね?」

「信じよう。オルガや三日月を」

 

 アトラとビスケットはドルトからみんなを信じ、サブレは全員を引き連れながら船まで戻る道中にギャラルホルンの制服を着ているフォートレスのメンバーを見付けていた。

 

「サブレ!あれって……」

「大丈夫だ。あれは俺達のスパイだ。久しぶりですね。港口はそちらで?」

「ああ、我々で押さえている。今の隙に逃げる事だ。カゲロウがこのポイントで待機しているらしいぞ」

「了解………!?なんでジュリエッタがいるんだ?」

 

 サブレは小声でスパイとして乗り込んでいるギャラルホルンの士官服の男性に耳打ちをする。

 するとジュリエッタと呼ばれた金髪の釣り目の女性が近づいて来た。

 

「私も好きであなたの近くにいるわけじゃありません!ここの配属になっているからです!」

「だったら俺の前にいる必要もないだろ!?」

「あなたがさっさと船に戻ればいいだけの話です!」

「お前の配属先を変えればいいだけだろ!」

「お前達………本当に仲が良いな!さすが幼馴染だな!」

「「腐れ縁だ!!あと仲良くない!」」

 

 サブレとジュリエッタがギャアギャアと言い争いをしている横を明楽とジョシュアが通り過ぎる。

 

「二人も早く乗った方が良いっすよ!あの二人のイチャイチャに付き合っていたら時間かかるんで」

「「明楽!!」」

 

 アトラとビスケットも横を通り過ぎながら静かに船の中に入り込む。

 そんな状況でもクーデリアの演説は確かに彼女達の耳に確かに届いていた。

 

「しかし、彼らが行動を起こした際、まるで示し合わせたかのように付近で謎の爆発が起きたのです。それを口実にギャラルホルンは労働者達に攻撃を開始しました。そしてその戦闘……いえ、虐殺は今も続いているのです!今私の船はギャラルホルンの艦隊に包囲されています。ギャラルホルンに私は問いたい。あなた方は正義を守る存在ではないのですか?これがあなた方の言う正義なのですか?ならば私はそんな正義は認められない。私の発言が間違っているというのならば………構いません。今すぐ私の船を撃ち落としなさい!」

 

「良いだろう!ならば望み通り……全艦」

「統制局より緊急指令です」

 

 ギャラルホルン統制局は作戦の中止を指令として訴えだし、アリアンロッド艦隊は完全な沈黙を守っていた。

 

「おいおいどういうこった?奴ら動かねぇぞ」

「すごいなあいつ。俺達が必死になって一匹一匹プチプチ潰してきた奴等を声だけで………止めた」

 

 マハラジャ・ダースリンは密やかな微笑みを浮かべ、膝を付きながら今回の一件で獲得したギャラルホルンの証拠映像をファイルに落としていた。

 

「アガレスと旗頭であるグリフォン家は抑えた。もう一つの旗頭もこれで候補を付けた………か。そろそろ俺自身が動く頃合いかな?」

 

 サブレ達を乗せた船はカゲロウ目指して出発し始めた。

 




地球へ降下するためには地球の裏社会を完全に支配しているフォートレスの力が必要だと悟ったビスケット。マハラジャ・ダースリンも又地球に降下する準備を始める最中、ガエリオ達はセブンスターズのカルタ・イシューの下を訪れようとしていた。ビスケットはマハラジャからサブレの事を聞かされる中、彼の苦悩を知る。
次回機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 別再大二十一話『父親と息子』
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