機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 別再   作:グランクラン

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遅くなりましたが最新話更新です。
日常生活が忙しく中々書けなかったのですが、書けて良かったです。
いよいよ分岐点ですね。


開戦の刻

 クーデリアと共に話し合って決めた火星を独立させる方法、それは当初よりクーデリア自身が強く望んできたことだったが、それを望むのには鉄華団には選択肢などあまり存在しなかった。

 テイワズにそんな事が出来るわけが無いし、かと言ってノブリスなどに任せておけるわけが無い現状、結局でマハラジャと共に行くしかクーデリアにも鉄華団にも存在はしない。

 そして、その選択肢だけにしたのもまたマハラジャでもあったのだ。

 彼は初めて鉄華団を見たとき、彼等の行動力は鍛え上げれば必ず役に立つと考えていた。

 多少金を払ってでも鉄華団へと技術面でも協力態勢を作りだし、その後彼等を表に連れて行くことで水面下で進んでいた対ギャラルホルン勢力を確実にさせたのだが、そんな彼が火星の独立で避けられない道、それはテイワズからの独立である。

 オルガが決めた事、それは木星の独立自治権をテイワズに渡す代わりに、それをテイワズ傘下としての最後の大仕事と捉え、マクマードもそれが結果的にテイワズにとって最大の利益をもたらし、同時に名瀬の弔いとしては最も有効的な方法であると捉え、オルガの望み通り独立を認めた。

 その際にマクマードが出した条件が『大戦後に昭弘をテイワズの幹部候補として迎え入れたい』と言うことと『大戦中までラフタを提供する』であった。

 オルガはそんな中で「昭弘が望むなら」と本人が了承する事が前提条件で条件を受け、全ては昭弘の判断に任せられることになる。

 

 

 ラスタルが地球に存在している刑務所に服役している間、世界は大した動きを見せては居なかった。

 実際セブンスターズはラスタル家が刑務所に服役することになった事に、今更誤魔化しなど出来るわけが無かったのだ。

 ニュースでは何処もかしこもラスタルの逮捕話で騒がれ、同時にイオク・クジャンはセブンスターズの手によって「セブンスターズからの排除」と「指名手配」という罰を受ける形になる。

 それとほぼ同時にイオクが姿を消した。

 マハラジャ達はその間に地球圏へと足並みを向け、イオク達が動くのを待って居るとマハラジャの元に「ラスタルが脱走した」と「アリアンロッド艦隊が刑務所を襲撃した」という話を聞きつける。

 マハラジャはオルガに「三日月を地球に送れ」と命令し、サブレに「ビスケットと共に地球に行け」と命令。

 バルバトスとアガレスは降下装備をしたまま地球へと降りていった。

 

 

 

 ギャラルホルン本部はマクギリス率いる革命派が占拠していたと言うニュースはあっという間に世界中へと発信された。

 そんなニュースは火星でも木星でも金星でも見られた誰もが知る最新情報だったが、そんな最中で動いたアリアンロッド艦隊の「ラスタル脱獄」というニュースは影に隠れることになる。

 

「現在地上部隊が本部施設の七割を制圧。セブンスターズは何者かが連れて逃走したと報告がありました。予定通りライザ・エンザによる声明を全世界に向けて放送中です」

 

 石動はマクギリスに簡単に報告する。

 

「モビルスーツとセブンスターズはどうした?」

「本部所属のモビルスーツ隊は既に無力化が完了。セブンスターズが港周辺で目撃されていますが、今のところは捕獲したという報告は上がっていません」

「さすがだな。鉄華団はどうしている?」

「鉄華団は現在ライザ・エンザの対アリアンロッド艦隊への防衛網の反対で目撃されています」

「今のところは静観というところか……。ここは任せる石動」

 

 マクギリスはその場から移動していく。

 

 

「こちらです」

 マハラジャの部下がセブンスターズを連れて撤退の準備に入っていた。

 

「まさかここから逃げなければならん時がくるとは……」

「しかたない……」

「マハラジャは今どこにいる? 本当に生きているのか!?」

 

 ガルスがファントムエイジのメンバーに尋ねると、彼らは周囲の警戒を解かずに答える。

 

「ファミリアと接触しようとしているはずです。すでにクーデリア・藍那・バーンスタインをつれて地球をめざしていると報告が上がっています」

 

 ガルスはふと足を止め、外を眺める。

 彼等はいつかはとは思って居た事だ。

 

「もう……とまらんか」

 

 

 マクギリスはガンダムバエルの元に辿り着く。

 

「やっと会えたなバエル。いや……新しい時代の夜明けだ。目を覚ませアグニカ・カイエル」

 

 しかし、そんなマクギリスの前にヴィダールが天井をぶち破って姿を現す。

コックピットからヴィダールが姿を現すと、ついに仮面を取った。

 

「やはりここに来たか。ガエリオ・ボードウィン」

 

 仮面の奥の素顔はマクギリスが殺したはずのガエリオ・ボードウィンだった。

 

「お前がラスタル・エリオンに飼われているとはな」

「彼とは利害が一致している。あくまで対等な立場だ」

「すぐに人を信用するのはお前の悪い癖だな」

「そうかもしれないな。なんせ親友だったはずの男に殺されたのだから。親友……いやその言葉は違う。俺は結局お前を理解できなかった」

 

(俺にとってお前は遠い存在だった。だからこそ憧れた。認められ、隣に立ちたいと願った。そのうちお前は仮面を着け本来の自分を隠すようになった。しかし……隣に立つことがかなったと思った。お前は俺の前では仮面を外してくれているとそう感じた。なのに……)

 

 ガエリオは幼い頃を思い出す、そして裏切られた時の事を思い出した。

 

「俺は確かめたかった。カルタや俺まで寄り添おうとしている人間を裏切ってまでお前が手に入れようとしているものの正体を。この場所にお前がいるということそれこそが答え。おかげで決心がついたよ。愛情や信頼、この世の全ての尊い感情はお前の瞳には何も映らない。お前が理解できるのは権力・威力・暴力。全て力に変換できるもののみ。ここにいるということは乗れるのだろう? バエルに乗れ」

「俺がこれを手に入れることの意味を分かっているんだろう?」

 

 バエルに乗れとガエリオはマクギリスに向けてそういうと、マクギリスは疑問に思いながら尋ねた。

 

「それとも一度死んだ身何も失うものは持たないと?」

「いや。逆だ。今の俺は多くのものを背負っている。しかし、全てお前の目には永遠に映らない物達だ。お前がどんなに投げかけられても、受け入れようともせず否定するもの。それら全てを背負いこの場で仮面を外したお前を否定してみせる」

「詭弁だな……あんたは復讐の為に戦っているんじゃないのか?」

 

 そんな言葉と共にアガレスとバルバトスが天井をぶち壊して姿を現した。

マクギリスはその隙に上半身を脱ぎ捨てバエルに乗り込む。

 

「バルバトスにアガレスまで来たか……どうやら運は私に向いているようだ」

 

 マクギリスは勝利を確信したが、ビスケットは予想もしていない答えを出す。

 

「勘違いしないでください。俺たちはあなたの答えを聞きに来たんです。あなたの真意を……一つだけ聞かせてください。そこにいる人の言っていることは正しいんですか?」

 

 マクギリスは目をつむり、少しの間だけ考えるとはっきり答える。

 

「……ああ。その通りだ」

「そうですか。なら俺たちはあなたの革命に参加しません。もちろんアリアンロッドに味方するわけでもない。俺達は俺達の道を行く!」

 

 ガエリオはコックピットに入ると、四機のガンダムフレームがそれぞれの武器を構える。

 

「アイン!さあ好きなだけ使え。俺の体をお前に明け渡す」

 

 ガンダムヴィダールのツインアイが赤く光ると、アガレスは青く光らせる。ヴィダールがバーストサーベルでバエルを攻撃しようとするのをアガレスがレンチソードで捌く。

しかし、バルバトスはバエルに攻撃を仕掛けるが、バエルはそれを紙一重で回避する。

 

(これが疑似阿頼耶識というやつか? アイン・ダルトンの脳を利用することで脳神経への負担を克服し、機体性能を限界まで引き出すことができるという。俺たちのアガレスのシステムに酷似しているというより、このシステムを元に開発されたのか)

 

「今からでもこちらに来ないか? 三日月・オーガス」

「興味ないな……俺の道はみんなと一緒にある」

 

 決定的なところで道を違えてしまった両者はぶつかり合う。

ヴィダールの攻撃を捌き切り、ヴィダールはそのまま足に仕込んだナイフで切り裂こうとするが、それすらもアガレスは回避する。

そのままヴィダールの機体を蹴り飛ばす。

 

「なるほど……あの親父の言った通りだったか。強いけど……軽い!」

 

 バルバトスのメイスの一振りを難なく回避したバエルは剣をバルバトスに振り下ろそうとするが、バルバトスはテールブレードでそれを受け止める。

 

「残念だよ……三日月・オーガス」

 

 ヴィダールの銃での攻撃をレンチソードで受け止め、そのままヴィダールと武器と武器がぶつかり合う。

 

「背負うと言いながら……それがあんたのやり方か。人の脳を利用しているだけじゃないか……」

「それでも……俺には成し遂げなければならないことがある!」

「それを詭弁だと言っているんだ!! 人の死を冒涜してまで成し遂げたいことが復讐なのか!? だから軽いんだ! あんたの攻撃は!!」

 

 アガレスの攻撃で天井に穴が開くとヴィダールはそのまま外に出ていく。

続いてアガレス、バエル、バルバトスが順番に出ていった。

 地上に移行した戦闘の最中にマハラジャから通信が入る。

 

「マクギリスとガエリオの事は放っておけ。セブンスターズが退却を始めている。お前達はそちらの援護に向かってくれ」

「……分かりました。三日月! サブレ!」

 

 バルバトスとアガレスが背中を向ける中、ガエリオが三日月たちに謝罪する。

 

「いつかのことを謝罪しよう。阿頼耶識手術を受けた君達を唾棄すべき存在としたことを」

 

 その謝罪に答えることなくバルバトスとアガレスは援護の為にその場を後にする。

二人っきりになったマクギリスの後方から援軍が姿を現す。

しかし、その瞬間にマクギリスの脳裏にノイズが走った。

 

「准将!」

「さすがにこれ以上の戦闘は無理か……」

 

 その場から移動していく、ガエリオはその場から撤退していった。

 

「准将……先ほどセブンスターズが退却していると情報がありました」

「……放っておけ。作戦は成功した。聞け! ギャラルホルンの諸君! 今300年の眠りからマクギリス・ファリドの元にバエルは蘇った! ギャラルホルンを名乗る身ならばこのモビルスーツがどのような意味を持つかは理解できるだろう。ギャラルホルンにおいてバエルを操る者こそが唯一絶対の力を持ちその頂点に立つ!席次も思想も関係なく従わなければならないのだ!」

 

 マクギリスの演説が世界中に放送される中、ガエリオはラスタルの元に戻って来た。

 脱獄したばかりの彼は何処か真剣味を持ちながらも諦めているような顔をしていたが、ガエリオが目の前に現れると同時に「どうだ?」とだけ訪ねた。

 

「ああ。これからはあなたに従おう。今こそ戻ろうあるべき姿に」

 

 ガエリオも世界中にマクギリスのように演説する。

 

「私の名前はガエリオ・ボードウィン!ガエリオ・ボードウィンはここに宣言する。逆賊マクギリス・ファリドを討つと!」

 

 それと同時にラスタルも宣言をだす。

 

「アリアンロッド艦隊司令ラスタル・エリオンより告げる……」

 

 しかし、ラスタルの宣言を邪魔するように画面の中にクーデリアと蒔苗が姿を現した。

 

「その者の言葉に従ってはいけません。私はクーデリア・藍那・バーンスタインです」

 

 ラスタルをはじめ、ガエリオも驚きを隠せない。

 

「アリアンロッドはタービンズの非戦闘員に対してダインスレイヴを使った虐殺行為を行い、コロニー圏にはファントムエイジから強奪した各コロニー圏の調査権を行使して虐殺行為を行いました。そして、ラスタル・エリオン……あなたはかつてファントムエイジが持っていたコロニー間や経済圏に対する調査権と紛争仲裁の権利を手に入れるために彼らを罠に嵌め殺そうとした。あなたこそ逆賊ではないのですか?」

 

 クーデリアの問いにあくまでも冷静に答えるラスタル。

 

「なんのことか分からないが……証拠がないと思いますが?」

「証拠ならここにあります」

 

 ラスタルの目の前に現れた人物はラスタルにとって致命的な人間だった。世界中にマハラジャの姿が映っていた。

蒔苗がマハラジャの存在を認めた。

 

「皆の者よ……彼の名はファントムエイジ司令官であるマハラジャ・ダースリンじゃ。そして、かつて厄祭戦を終わらせた鉄血のオルフェンズの後続組織のリーダーでもある」

「ギャラルホルンの全士官よ。そして世界中の人々よ……私はかつてラスタル・エリオンによって殺されかけた。しかし、こうして全員の前に姿を現せたことを嬉しく思う。ラスタル……お前は我々を殺そうとしただけではなく、各コロニーに内通者を送り込み、コロニーに独立運動を引き起こして、それを理由に虐殺を行った。ラスタルお前をギャラルホルンの人間として認めるわけには行かない。無論ギャラルホルン全てに言える事」

 

 そんな言葉と共にアガレスが目の前に現われ世界中にギャラルホルンの不正や、かつての厄祭戦の真実が映像として映し出された。

 その映像は人々が思い描くギャラルホルンを裏切るには十分な証拠であり、人々の心の中から信じるという言葉は消え失せた。

 

「我々フォートレスは真の鉄血のオルフェンズを受け継ぐ者。私達の願いは一つ真の意味での厄祭戦を終わらせ、火星、木星、金星の独立自治権を認め、人々に平等な権利を与える事にある! それこそあの日を生きた子供達が願った事だ! 偽善者を打ち倒せ! 今此所に我々フォートレスはギャラルホルンに対し宣戦を布告する!」

 

 時代の歴史が変わろうとしていた。

 




遂に開かれた戦火は世界中に広がり続け、同時にギャラルホルンの崩壊を誰もが疑わなかった時、静かに第二の厄祭戦が幕を開けようとしていた。復活した厄祭の手によって静かに鉄血のオルフェンズの戦いが始る。

機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 別再第二部第二十三話『掃討戦』
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