ワンピースに限らず、モンハンクロスオーバーSSがもっと増えたら嬉しいな。
ヒロアカも割といけそうですよね。私はよく知らないので書けませんけど。
蛇王海賊団によるエニエス・ロビー襲撃。
その様子を映像電伝虫で放映するという酷い悪夢に見舞われた海軍本部のセンゴク元帥は、遂に心労のあまり倒れてしまった。
これにはさすがの三大将も合掌。
特に、スパンダムにバスターコールの発動権限を貸し与えた青キジは、尋常ではない居心地の悪さを覚えた。
何せ、センゴク元帥が倒れる決定打となったのが、エニエス・ロビーで発動してしまったバスターコールなのだ。
傍若無人に暴れ回る蛇王海賊団。
そこに中将五人を含めた軍艦十隻などを突っ込めばどうなるか。
答えは簡単。
どう足掻いても無駄死にである。
蛇王海賊団は軍艦をちょろっと派遣した程度でどうにかできるような相手ではないのだ。
しかし、バスターコールが発動してしまった事は間違いなく、これを無視するというのはまずい。
エニエス・ロビーがあくまで世界政府に所属する機関だという事も問題だ。
かの地を見捨てたとなると、海軍と世界政府の間で軋轢が生じ、今後の活動に多大な影響が出る恐れがある。
うなされるセンゴク元帥と、頭を抱える海軍上層部。
彼らの選択は──。
ここで、視点をエニエス・ロビーへ戻そう。
先行した閣螳螂により破壊し尽くされたこの地は、生き残った役人や衛兵たちが必死に蛇王海賊団の怪物たちから逃げ続ける地獄と化し、司法の塔に立て籠っていたCP9司令長官スパンダムもまた、ゴールデン電伝虫を連打しているうちにフランキーに捕まった。
世界政府の旗もとっくに燃やされており、エニエス・ロビーはもはや完全にその機能を失ったと言っていいだろう。
「そういうわけで、私たちの勝ちでーす。いえーい」
「たかだか諜報機関と役人ごときに、ぼくたちが負けるはずもない。それでも、ここまで呆気ないといささかつまらないね」
「だねえ、先生。もっと悪あがきしてくれるかと期待してたのに」
映像電伝虫を構えつつ、そんな事を宣うマデュラ。
しかし、世界政府の玄関とも言われるこの地に、まさか攻め入る海賊がいる、などとは誰も思わない。
完全に弱いものいじめをしておいて、よく言いよるわこやつ……と、ちょっと呆れるハンコックなのだった。
そして、いつまでも船の上から映像を流していたのではつまらない、と判断したマデュラがテクテクと歩いて船を出ていき、燃え盛るエニエス・ロビーの各所を回り始めた。
クックとハンコックもそれに帯同し、マデュラが飽きてしまわないように話を繋げる。
シャボンディ諸島でそれを見せられた人々は一様に絶望し、一つの時代の終焉を予感していたりするのだが、今は関係の無い話だ。
そんなマデュラたちの前に、何やら気を失っている二人の巨人を運ぶ蛇王海賊団の下っ端たちが現れた。
一応言っておくが、彼らは皆、非能力者である。
いくら蛇王海賊団でも、全員が能力者というわけではないのだ。
しかし、主にモンスターズから提供される「龍の素材」から作られる武具で武装しており、そんじょそこらの賞金首が相手ならば普通に戦えてしまうぐらいには強かったりする。
「船長。この巨人ども、どうやら元海賊らしく。ドリーとブロギーという船長二人を牢獄から助けるために世界政府と取引した、との事で。五十年も前からここで戦っているそうです」
「へえ、そうなんだ」
「……ん? ドリーとブロギー? 五十年前……?」
「む? どうしたのじゃクック。知っておるのか?」
オイモとカーシー。
世界政府と取引をし、尊敬する二人の船長を助けるために戦ってきたのだが、実は騙されているという哀れな戦士コンビである。
マデュラはそんな二人に対し興味無さげだが、どうやらクックはそうでもないらしく。
ドリーとブロギーという名に覚えがあるのか、しきりに首を傾げている。
「……いや。たしか、リトルガーデンという島に二人の屈強な巨人が居てね。彼らの名前が、ドリーとブロギー……だったはずなのだけど」
「ふむ。ならば、こやつらは騙されておるのではないか? 卑劣な世界政府の事じゃ、それぐらいは平気でするであろう」
「その可能性はあるね。どうだろう、マデュラちゃん。この二人は殺さずに解放してやってくれないか」
「ん。先生が言うならそれでいいよ。とりあえずウォーターセブンに連れていこうか。お前ら、そいつらを船に乗せておいて」
「「了解、船長!」」
クック先生、見事なファインプレー。
危うく島と一緒に消し飛ぶところだったオイモとカーシーは、なんとか命拾いした。
それからもマデュラはクックとハンコックを連れて島を回っていき、時に逃げる役人を六式で仕留めて遊んだり、瓦礫の山を積み木のように組み立てて遊んでみたりした。
ミニチュア蛇王龍の完成である。ただしミニチュアと言いつつ普通にデカい。
尚、マデュラが六式を使える理由は、彼女がまだ賞金稼ぎをしていた頃にノリで「本部海兵百人組手」というものをやり、その時に当たった本部中将が使っていたものを“見て盗んだ”からである。
あの頃はまだセンゴク元帥も元気だったのだが……。
マデュラ曰く、空中を自在に移動出来る“月歩”や、刃物が不要となる“嵐脚”、拳銃の代わりになる“飛ぶ指銃・撥”は特に便利だとの事で、なかなかのお気に入りらしい。
そんなこんなでのんびりと進む彼女らも、とうとう司法の塔に到着。
エニエス・ロビー本島と司法の塔を結ぶ跳ね橋は下ろされていないが、“閣螳螂”アトラが瓦礫を集めて橋を作っていたので、特に問題は無かった。
フィロアがやったのか、塔の周囲を流れる滝は凍っており、足場としては十分だ。
「おう、マデュラさん。遅かったな」
「や、フランキー。それが長官さん?」
「その通りだ。まったく、この野郎……ずっと泣きわめいてばかりで話がまるで通じやしねえ。しかも、厄介な事に軍艦を呼び寄せやがったらしい」
「ふむ。ゴールデン電伝虫じゃな。理由はわからんが、大将からバスターコールの発動権限を与えられておったのか」
「お? 軍艦来るの? どれぐらい? たくさん来る? 楽しめる?」
「……すげェワクワクしてんな、マデュラさん。そこは普通、焦るところだろうに」
最上階では、涙なのか鼻水なのかよくわからない液体で顔をぐしゃぐしゃに汚したスパンダムが面白い体勢でノビており、気が晴れたのかフランキーが自室のように寛いでいた。
しかし、何やら軍艦が大量に来るらしい。
普通ならばそれを聞けば急いで引き返すところなのだが、逃げるどころか迎え撃つ気満々なのがマデュラという人物である。
そんな彼女を見て、フランキーもまた、仕方ねえなとため息を吐くばかりで、特に焦った様子はない。
「よーし、なら軍艦が来る前に“正義の門”って奴をぶっ壊そうかー」
「は? あの馬鹿でけえ門をか!?」
「そうらしいぞ。フランキー、避難しておいた方が良いかもしれん」
「お、おう!」
「ぼくも逃げておかなくちゃね。マデュラちゃんに潰されてしまう。映像電伝虫も持っていくよ?」
「うんー」
しかし、アホみたいに巨大な“正義の門”を壊すという発言には、さすがのフランキーもびっくり。
とても人間が壊せるような物には見えないが、あのマデュラが言うからには壊せてしまうのだろう。
フランキーは慌ててハンコックを連れて退散し、気絶しているスパンダムをクックが持ち去る。
クルーたちが巻き込まれないようにしばらく時間を置いてから──。
「うぅ……シャアァァ!!」
マデュラが変身した。
当然のように崩落する塔。
ちょっと狭いので島を囲むように身体を動かしてとぐろを巻き、凍った滝をも大地として活用する。
こうでもしないと蛇王龍の身体は収まりきらないのだ。
映像電伝虫の向こうで「世界の終わりだ……」と絶望する人々。
バスターコールが発動したエニエス・ロビーへと向かう道中で、ターゲットの正体が蛇王龍だと聞かされ、撤退を具申する中将ズ。無理もない。
そんな混乱が起こっている事など露知らず、蛇王龍は無慈悲に深呼吸。
そして──。
「ガァッ!!」
青白い閃光が放たれ、“正義の門”に着弾、大爆発。
あまりにも巨大な門は、しかしブレスの一撃で大穴が開き、バランスを失った事でガラガラと崩れ落ちた。
ブレスの余波である衝撃がエニエス・ロビーを襲い、巨大な台風に見舞われているかのような暴風が吹き荒れた。
フランキーの大事な海パンと、対マデュラ用に穿いているズボンがどこかに飛んでしまわない事を祈るのみである。
「よっし。さあ、海軍どもー。来るならこーい!」
バスターコールによりそこそこの規模の喧嘩ができそうと聞いて、ワクワクが止まらないマデュラ。
果たして、どう足掻いても絶望しかないこの地に、中将ズ率いる十隻の軍艦は、来るのだろうか……。
シャボンディ諸島の人々
「もうダメだぁ……おしまいだぁ……!」
シャボンディ諸島の記者たち
「特報、特報です!! エニエス・ロビーが……いや、正義の門が! 蛇王海賊団に破壊されました!」
元気だなお前ら。