あ、ラージャンなんですが、インペルダウンで出します。
ラギアクルスとナバルデウスも、たぶん魚人島あたりで出てくると思いますよー。
そういえば、オーズが約40メートルと意外に小さいのに対して、黒ひげ海賊団のでかいヤツ……サンファン・ウルフが“最大で”180メートルらしいですね。
……ゾラ・マグダラオスの方が余裕でデカいんだよなぁ……。
他人の力で海賊王になる男、ゲッコー・モリア。
スリラーバークを支配する彼は、起きて早々に知らせを受けた「蛇王海賊団の襲撃」という大事件に対処するため、必死に頭を働かせていた。
それにしても、その能力がカイドウを彷彿とさせる上に、戦闘力ならば四皇すら上回るとも言われる蛇王“龍”が襲ってくるとは、何たる因果だろうか。
もしかして自分は龍に呪われているのでは、と若干現実逃避もしつつ。
「……オーズを……畜生、ダメか。影がねェ。それに、いくら伝説の大悪党とは言っても、変身した蛇王龍と比べりゃオーズなんてチビもいいところだ。相手になるとは思えねえ……クソッタレ!!」
幹部格である三人……ホグバックとアブサロム、そしてペローナは既にこの場にはいない。
とりあえず先行して侵入した蛇王海賊団のクルーたちをどうにか足止めするように指示を出したからだ。
まあそれはともかく。
やはり、どう考えても勝てない。
いずれカイドウにリベンジマッチを仕掛けるつもりだったモリアではあるが、それは今よりも遥かに強力な影を手に入れてからするつもりだったのだ。
現時点で保有する戦力では、蛇王龍はおろか四龍王ですらも倒せる見込みがない。
しかし、だからと言って尻尾を巻いて逃げるというのはモリアのプライドが許さない。
全てを失って命からがら逃げ延びるなんてのは、あの日……カイドウのクソ野郎に負けた、あの一回だけで十分だ。
ふと、肥太った自らの肉体を眺める。
かつてはもっとスリムな体型であり、戦闘力も高かった。
少なくとも、モリア自身はそう思っている。
「……おれは他人の力で海賊王になる男……それが間違ってたってのか……? いや! そんなはずはねェ! 仲間を失って、自分で導き出したこの結論が、間違っているはずがねェんだ!!」
思わず弱気になってしまった自分をぶん殴り、気持ちを入れ替える。
そう、手段がどんなに情けなくとも……モリアは必ず海賊王になる男なのだ。
この程度の苦境を、潜り抜けられないはずがない!
──でなければ、この海に散っていった、かけがえのないかつての仲間たちに申し訳が立たない。
しかし、現実は非情である。
モリアがいるメインマスト。
その屋根が突如として吹き飛び、“あるモノ”とばっちり目が合ってしまう。
「──見~つけた♡」
「……!?」
この世の物とは思えない程の巨体。
恐ろしいという言葉では全く足りない、巨大な眼。
「……“大巌竜”……!! てめェ、おれのかわいい部下たちはどうしたァ!!」
「さあ。今頃アタシの仲間が片付けているんじゃないかしら?」
蛇王海賊団、最高幹部……“四龍王”が一人。
ラヴィその人が、巨大な蛇のような怪物に変身して建物そのものに巻き付き、屋根を破壊して空からモリアを捕捉したのである。
脳内に走る、かつての記憶。
一人、また一人と倒れていく仲間たち。
船長である自分だけが生き残ってしまい、情けなく逃亡したあの日。
龍。
またか……。
また、おれは!!
「ふざけんじゃねェ!! なんだ、なんなんだ!? てめェら“龍”に、二度も仲間を奪われてたまるかァ!!」
「何を一人で怒ってんのか知らないけど。この船にいる全ての人間は皆殺しよ。当然、アンタもね」
「バカ言ってんじゃねェよ……! 小娘が、もうこのおれに勝ったつもりでいやがる!! おれさまを誰だと思ってんだ!?」
「知らないわよ。アタシたちにとっては、アンタもそこらの雑魚と変わらないもの。ちゃっちゃと死んでちょうだい。マデュラから命令が来ちゃったから」
「……野郎ォ……!!」
完全に舐められている。
そう感じ、怒りのあまりプルプルと震え、青筋を立てるモリア。
しかし、彼の部下はかなり特殊な能力を持っており、そう簡単に殺されるとは思っていない。
引き際も心得ているし、いざとなればモリアを見捨ててでも逃げ延びるだろう。
命さえあれば、たとえ何年かかろうと必ずまた合流し、再起できる。
だから、モリアは仮に既に自分が見捨てられていたとしても、怒るつもりは無い。
自ら戦うのは少し癪だが……。
せめて、仲間たちが逃げ延びる時間ぐらいは稼ぐ!
「くらいやがれェ!!
モリアの影がひとりでに動き、槍のようにラヴィの巨体へと伸びていく。
しかし彼女はそれを見ても何のアクションも起こさず、ただじっとするのみだ。
そして……。
「……な……!?」
先端にトカゲを象った影は、何もしていないはずのラヴィに、ガキンと呆気なく弾き返された。
「ば……バカな……!!」
「バカはアンタよ。変身したアタシの身体に、その程度の攻撃が通じるわけないでしょ」
「ぐ……!! “
ならばこれならどうだ。
その傲慢、必ず突き崩してみせる。
モリアの影が先程よりも巨大な槍となり、再びラヴィを貫こうと空へ走る。
「無駄だって言ってんでしょ。学習しないお猿ね」
「…………!?」
が、駄目ッ……!!
圧倒的、圧倒的硬さ……!!
まるで、ボロボロのピッケルで無理やり鉱物を採掘しているかのようだ。
「ありえねえ……! “魔人”だろうと容赦なく突き貫く槍だぞ!? たかが鱗ごときに……!」
「魔人? そんなものを貫けたかといってどうだと言うの? アタシは最強クラスの龍よ。らっきょうみたいなその身体で、どうやって龍に勝とうと言うのかしら」
「らっきょうだとォ!?」
「ま、いいわ。残念だけど、アンタと遊んであげる時間はないの。あの子が来る前に終わらせなくちゃ、怒られちゃうわ」
どこまでも傲慢な龍の言葉に、完全にキレた。
もうゾンビがどうだの、細かい事はどうでもいい。
何より。
仲間たちのために、負けられないのだ。
「後悔しやがれ……
「フッ」
「ごあっ!?」
切り札を切ろうとしたモリアだが、ラヴィがサラッと吐き出した息がまるで巨大な台風のように襲いかかり、それに耐えられず吹き飛ばされ、壁に激突した。
すぐに体勢を立て直し、ぶるぶると頭を振る。
「ふ、ざけんな……!! てめェ、戦う気はあんのか!? あァ!?」
「無駄に元気ねえ……。仕方ないでしょうが。アタシが暴れるとこの船ごと壊しちゃうんだもの。ココはマデュラの物になるんだから、慎重に扱わないといけないの」
「んだとォ!? ここは……スリラーバークはおれのもんだ! おれたちのもんだ!! てめェらなんざにゃ絶対に渡さねェ!!」
「でしょうね。だからアンタを殺しに来たの。いいからそのまま適当にしていてちょうだい。今、どうやってこの船を壊さずにアンタを殺すか考えてるのよ」
「どこまでも舐めやがってェ……!!」
ふぅ、とため息を吐くラヴィ。
ただのため息が、暴風となってモリアを襲う。
今度はしっかりと踏ん張り、ギリギリ耐えた。
──正直に言うと、力の次元が桁違いすぎる。
モリアはかつてカイドウと対峙した時に匹敵する程真剣に戦っているというのに、あちらはまるで子供と戯れているかのようだ。
それでいて、一切突破口が見えてこない。
……ペローナたちは、なんとか脱出できただろうか?
ふと気になり、ラヴィに細心の注意を払いながらもちらりと外を見回す。
マリモのような頭をした剣士に、ワノ国から掘り起こしてきたとっておきの将軍ゾンビ……“剣豪リューマ”が斬られている姿が目に入った。
まあ、それはいい。どうせ死んでいる駒だ。
かわいい部下たちは、無事だろうか。
モリアが、そんな事を考えていた、まさにその時。
「ホロホロホロホロ……!」
「ん? ナニコレ」
(ゴースト!! ペローナか! 馬鹿野郎、とっとと逃げやがれってんだ!!)
モリアが娘のように可愛がってきた“ゴーストプリンセス”、ペローナ。
彼女の能力である“ホロホロの実”によって生み出されたネガティブゴーストが、乱入してきた。
そして、巨大な眼をくりっと丸くしている大巌竜に飛び込み……スゥーと身体を通り抜けていく。
ちなみに、ペローナ本体の姿は見当たらないので、どこかに隠れながらゴーストを飛ばしてきたのだと思われる。
「…………」
「モリア様、早く逃げて!!」
「やったのか……? ペローナの能力が効かない奴なんざ、いるわけがねェ!!」
ネガティブゴーストに身体を潜り抜けられた者は、たとえ誰であろうとネガティブになる。
直接的な殺傷力こそ低いが、それでも極めて強力な能力である。
思わず内心でガッツポーズを決めるが──。
「……今の何?」
「へ??」
「馬鹿な!? ネガティブゴーストが……!!」
──無敵の能力が、効いていない。
まさかの結果に、驚愕するモリア。
しかし、ペローナが操っているゴーストが、原因をすぐに解明した。
「そ、そうか!! 獣型に変身した大巌竜は巨人が可愛く見えるレベルの巨体……! ただのネガティブゴーストじゃ、小さすぎて何の効果も出せないんだ……!! うぇーん、モリア様ー!! 役立たずでごべんなざいーー!!」
「クソッタレ……そういう事かよ……!! もういい、ペローナ! ホグバックとアブサロムを連れてこの船から逃げろ!!
「そ、そんな!? モリア様を置いて逃げるなんて!」
「なんだかよく分からないけど……無駄よ。この海域はアタシたち蛇王海賊団が目を光らせてる。逃げたところですぐに見つけて沈めるわ」
「ぐっ……!!」
万事休すか……!?
徐々に諦めがモリアの心を支配する。
各所にいるゾンビたちが、次々と無理やり浄化されている事もまた、モリアの焦りを加速させる。
恐らく、侵入した蛇王海賊団のメンバーがゾンビを海に放り捨てているのだろう。
カゲカゲの実という悪魔の実に由来する存在なだけに、ゾンビは海が弱点なのだ。
消えていく“影”の中には、貴重な戦力である将軍ゾンビたちですらも含まれている。
このままでは、全てが水の泡だ。
──今度こそ、邪魔はさせねェ!!
また吹き飛ばされないように踏ん張り、気合を入れるモリア。
「いいからとっとと逃げやがれ、ペローナァ!!
「モリア様……!! くっ……ちくしょおォォ!! 蛇王海賊団!! てめェら、絶対に許さねェからなァァァ……!!!」
浄化されてしまった影は……100や200ではきかないが……。
それでも、この島に残っている700体分の影が、モリアの身体に入る事になる。
普通ならば、これで勝てる!! と確信するところなのだが……。
恐らく、これでも負けてしまうだろう。
薄らとだが、殺されると分かってはいる。
しかし、モリアがやらねばならないのだ。
(アブサロム……ホグバック……そして……ペローナ。悪ィな……おれ、死んだ。キッシッシッシ……!! 仲間を逃がすために死ぬなんざ、似合わねェと思っていたんだがなァ……)
──カイドウに、リベンジしたかったなぁ……。
みるみるうちに巨大化していき、大巌竜が巻き付いていたメインマストを破壊するモリア。
しかし、それでも尚。
大巌竜の方が大きい。
まったく、規格外にも程がある。
(もう少しだけ待ってろ、あの世のお前ら。もうすぐおれもそっちに逝く)
「キシシ……おれが奪った影は、体内に取り入れる事でおれ自身の戦闘力を飛躍的に強化できる……!! これがカゲカゲの奥義だ!!」
「…………そう。悪いけど、奪わせてもらうわよ。アンタの全てを、アタシのマデュラに捧げなさい!!」
──スリラーバークの影、700体分を取り込んだモリア対大巌竜ラヴィの決闘が、始まった……。
ちなみに。
ペローナはその能力をいかんなく発揮し、モリアの元に辿り着くまでにラヴィ以外のメンツを全員ネガティブ状態にさせていたりする。
結局、彼らは上空から戦況を見張っていたファルクとヤマツによって叩き起こされたので無事だったが。
ハザク「カビになりたい……最低だ、死のう……」
シャンロン「ガオレン……いつも済まない……」
ガオレン「カニですみません……」
ゾロ「ルフィのとこにいるよりこっちの方が合ってるんじゃないかとか思ってごめんなさい……」
見聞色の覇気で聞いていたマデュラたん、爆笑──。
地味に書いてますが、ブルックの影が入っているゾンビ、リューマは原作通りゾロに倒されています。
秋水はマデュラへの献上品として回収されたようです。
あと、変身さえしていなければ、ラヴィにもネガティブゴーストはしっかり効きます。まず当たりませんけど。
マデュラにも当たる確率ゼロですが、当たりさえすれば効く……のかなあ?
あの子がネガティブになっている姿はちょっと想像できませんね。