・メインターゲット:ラヴィエンテの撃退
・受注条件:なし
・失敗条件:ハンターが力尽きる
備考:ラヴィエンテのくせにめちゃくちゃ素早く動き回る特殊個体で固定&通常種よりもデカイ
モリアさんの現状をモンハン風にするとこんな感じ。
尚、万が一成功してしまうと黄金に輝く激昂したダラ・アマデュラ超強化個体が乱入してくる模様。
ゴーストプリンセスペローナの能力によってネガティブにされてしまい、醜態を晒してしまったゾロたち。
上空から飛来したファルクとヤマツによって文字通り叩き起された彼らは、今。
巨大化したモリアが、必死に抗う様子を観戦していた。
「なんだ……ありゃあ……!?」
「うん? どうしたのかね、ゾロくん」
「モリアって奴がデカくなったのはこの際置いておくとして、そのモリアより更にクソデケェあの化け物はなんなんだ!?」
「そうか、お主は初見であったな! 神々しさすら感じさせるあの巨体こそが、ラヴィ様がその能力によって変身したお姿である!!」
「……いつ見ても……圧倒される……」
「あの女が、変身……!」
おおおォ!! と叫びなから、痛烈なパンチを“大巌竜”の巨体に叩き込むモリア。
しかし巨竜はそれを全く意に介さず、ただじっと眺めるのみだ。
そんな怪獣大戦争を目の当たりにしたゾロは、思わず自分の目を疑わずにはいられなかった。
聞けばなんと、あの巨竜はラヴィが変身したものだというではないか。
決して自らは戦おうとせず、時折ビビってゾロの腕にしがみついたりしていた、あのラヴィが。
「しかし、ラヴィ様もなかなか困っているようだね。この船はマデュラ様に献上すると確定している以上、彼女は下手に暴れる事ができないから」
「……どういう事だ」
「単純な話であるぞ! 彼女が暴れると、特別な補強を施していないこの船では耐えられんのだ! 攻撃を叩きつけたが最後、木っ端微塵となって海を漂う粗大ゴミと化すであろうな!」
「なっ……この船がか!? そりゃいくらなんでも──」
「事実だ、新入り……。しかし、どうする? 我々も援護に行くべきか……?」
「ハザク。君はおかしな事を言うな。あの巨体に轢き潰されに行こうというのか?」
「むう……」
あまりにもスケールが違いすぎる。
自らの眼前で繰り広げられる戦いとも呼べぬ代物を前にして、ゾロはただ呆然と立ち尽くす事しかできない。
(これが、四龍王……これが、蛇王海賊団か……!!)
圧倒的強者であるシャンロンたちですらも、共闘が叶わない程の“デカさ”。
それこそが四龍王であり、蛇王龍はそれを更に上回る化け物だ。
こんなもの、とても人の手に負える相手ではない。
それが、ゾロの正直な感想である。
──そんなこんなを考えながら観戦を続けていると、戦いに動きがあった。
戦いというか、モリアが必死になって攻撃しているだけで、肝心のラヴィはアレを戦いとは思っていなそうだが。
「なんだ!?」
「「なるほど、そう来たか」」
シャンロンたちが頷く横で、一人だけ驚愕するゾロ。
それもそのはず、ただじっとモリアを眺めているだけだったラヴィの身体が、突然爆発したのである。
攻撃を続けていたモリアもそれに巻き込まれ、痛ましい悲鳴がスリラーバーク中に響き渡る。
「おい! 今、何が起こったんだ!?」
当然、展開についていけないゾロが誰ともなしに問うが、それに答えたのは予想外の人物であった。
「んーとねー。変身したラヴィはああやって自由に爆発を起こせるんだよねー。それで、船を巻き込まないようにモリアだけを攻撃したわけ」
「!? 蛇王龍!!」
「「マデュラ様ッ!?」」
慌てて跪くシャンロンたち。
何故ここに、と目を剥くゾロ。
「わらわもおるぞ」
「ぼくもね。全く、君たち遅いじゃないか。マデュラちゃんが起きてご飯を食べ終わるまでには片付いているだろう、と思っていたのに」
「クック……!! それに、ハンコックくんまで!」
「ぬ? あの骨っ子はおらんのか」
「ブルック、だったか? あやつならば、影が戻った事に感激して船で歌っておる」
「そうか……どのゾンビだったのかは分からんが……よかったな……」
新入りであるハンコックはともかく、クックまでもが来ている事に思わず「うげっ」と声を漏らすシャンロンたち。
幸いクックの機嫌は悪くないようなので、長々としたお説教は回避できるかもしれない。
しかし、問題はマデュラがどう出るかだ。
ラヴィの勇姿を拝めたからか機嫌は良いようだが、ふとした何かがきっかけでむくれるぐらいは有り得る。
まあ、それはさておき。
「あ、ラヴィがモリアの腹に頭突きした。あはは、余程対処に困ったんだねー。ブレスで消し飛ばせば手っ取り早いのに」
「さて、“悪魔”を乗り移らせるための果物はここに用意してあるが……上手くいくかの?」
「たぶん大丈夫じゃないかな。ほら、マデュラちゃん。そろそろ近付いた方がいいんじゃないかい?」
「ん、そだねー。モリアが影を吐き出し始めたし」
スリラーバークそのものを破壊してしまわないように物凄く手加減した、ラヴィの頭突きがモリアにヒットし、らっきょうボディがすぱこーんと吹き飛んだ。
余程ダメージが入ったらしく、何とか立ち上がった彼は息も絶え絶えで、唾液のように影を吐き出している。
それを必死に手で抑えるモリアだが、まぁそんな事しても無駄である。
空気砲のように吐き出されたラヴィの息を食らい、再びすぱこーんと勢いよく吹き飛んだ。
まるでボーリングのピンである。ちょっと形も似ている気がするし。
とにかく。
そろそろモリアが死にそうなので、予め用意してあった果物をハンコックから受け取り、人型のままマデュラが飛んでいく。
それを見て黙っていられないのがゾロである。
いくらなんでも、あの中に人間が割り込むのは無茶だろう、と判断したためだ。
「お、おい! 蛇王龍!! てめェ何してんだ!」
「何って、乱入? ほら、何かと便利そうなモリアの能力は奪っておきたいし」
「能力を奪うって、どうやって……ってそうじゃねェよ! あんな災害みたいな戦いのド真ん中に割り込むなんて無茶だろうが!」
「だいじょうぶだいじょうぶ」
「いや、大丈夫ってお前……!!」
が、蛇王龍は止まらない止められない。
せめてお前も変身しろよ、と最後に残すゾロだったが、華麗にスルーされた。
一方その頃、逃げ出したペローナは──。
「あ、ああ……ざっけんな……!! ……いったいなんなんだよ、今日は……!? 厄日にも程があんだろちくしょぉ……!」
「──旅行するなら、どこへ行きたい?」
なんと。
運がいいのか悪いのか、とある用事でスリラーバークにやって来ていた王下七武海の一人、バーソロミュー・くまと出会していた。
共に行動していた仲間、アブサロムとホグバックは既にくまの手で“消されて”おり、残るのは最早ペローナのみだ。
というか、さっきから何度も旅行旅行うるさいぞこのくま。
「旅行……!? こんな時に世間話とか、ふざけた野郎だ!! でも、そうだな……しばらく何もかも忘れて、怨念渦巻く古城のほとりで呪いの歌を口ずさみなが──」
ぱっ!!
「……さて。ひとまずはこれでいいか……」
思わず乗ってしまったペローナは、台詞の途中で無慈悲にも“消されて”しまった。
とはいえ、恐ろしい表現に反して、実は殺されたわけではなく、ただくまの能力によって遥か遠方に“弾き飛ばされた”だけである。
ニキュニキュの実を食べた肉球人間。
それが、バーソロミュー・くまなのだ。
「──任務、完了だ」
『すまん、助かる。そろそろおれも着きそうだ』
「了解した。どうする、おれはさっさと消えておいた方がいいか? 個人的には、あんたの警護役として残りたいところだが」
『どうせ蛇王龍にはおまえの存在もバレている。今更隠れたところで意味はなかろう』
「まぁ、それもそうだな。この霧の海ならば、政府の目も届くまい」
『ああ。こちらとしても都合がいい場所で、ありがたい限りだよ』
“王下七武海”改め、“革命軍幹部”。
実はそれが、バーソロミュー・くまの本当の姿である。
彼は政府に潜り込んだ革命軍のスパイだったりする。
となると、彼が懐の電伝虫を通して会話している相手は──。
スリラーバークが浮かぶ、“魔の三角地帯”に程近い海上を、嵐と共に一匹の巨大な龍が飛んでいく。
細長いスタイリッシュなその姿は、仮にモリアが見れば、あるいはカイドウと見間違えるかもしれない。
しかしてその正体は、革命軍の総司令官。
世界最悪の犯罪者こと、モンキー・D・ドラゴンその人である。
「海賊か……それもいい──」
『? 何か言ったか、ドラゴン』
「いや、なんでもない。それより、数分もすればそちらに着く。それまで上手く立ち回ってくれよ、くま。下手をすれば蛇王海賊団に追いかけ回されるぞ」
『サラッと恐ろしい事を言うな』
“革命軍総司令官”
“世界最悪の犯罪者”
モンキー・D・ドラゴン。
彼が口にした悪魔の実の名は──。
リュウリュウの実、幻獣種。
──モデル、“アマツマガツチ”。
龍を統べる者にして、海賊であるマデュラ。
嵐を統べる龍にして、革命家であるドラゴン。
二人の出会いは、世界に何をもたらすのか。
まだ、答えを知るものはいない。
……今は、まだ。
というわけで、独自設定ですね。
ドラゴンパパンには龍になっていただきました。
次回、恐らくスリラーバーク編完結。
と同時に驚愕の事実が……?