蛇王龍、海賊になる。   作:初音MkIII

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睡眠時間を生贄に、執筆時間を召喚ッ!!
……興味本位でドラゴンブーストっていうエナドリ飲んだら、寝れなくなりました。
効き目スゲェ!! 社畜の皆さんにオススメ。


シャボンディ諸島①

 

 

 偉大なる航路の後半、“新世界”へと挑まんとする大型ルーキーたちが集まる場所、シャボンディ諸島。

 

 その13番GR(グローブ)に、“シャッキー'sぼったくりバー”という小さな酒場がある。

 その怪しすぎる名前はともかく、一見してなんの変哲もないこの建物は、その実、この大海賊時代を築き上げた生ける伝説の一人が拠点としている場所でもある。

 

 

 海賊王ゴール・D・ロジャーの右腕、“冥王”シルバーズ・レイリー。

 

 

 住民たちから気軽に“レイさん”と呼ばれ、親しまれている彼は、珍しくその放浪癖を発揮する事無く、真剣な表情を浮かべて酒を飲んでいた。

 

 

「どうしたの、レイさん。随分と浮かない顔をしているじゃない?」

「……ん、そうか? いかんいかん、気付かん内に顔に出ていたか」

「ええ。厄介事が起きた、と顔に書いてあるわ」

「ハハ、そうか。やはり君には敵わんな、シャッキー」

「ふふ。長い付き合いだもの」

 

 

 酒場の店主であり、レイリーのパートナーでもある妙齢の女性、シャッキーことシャクヤクがレイリーに問う。

 尤も、彼女以外ならば気付かない程度の変化ではあったのだが。

 

 

「……実はな、マデュラが帰ってくるらしい」

「……この時期に?」

「ああ、この時期に。どうだ、私の気持ちが分かっただろう?」

「ええ……よく、分かったわ……」

 

 

 そして、レイリーから返ってきた言葉を聞き、そんなシャクヤクもまた同様に真剣な表情へと変わった。

 しかし、無理もない話だ。

 

 

 

 何せ、二人が独自に築き上げている情報網に引っかかったピースをはめていくと、ちょうどマデュラが到着するだろう時期に、よりにもよって我が強い億超えの超大型ルーキーたち……“超新星”がこのシャボンディ諸島に勢揃いする事になるからだ。

 

 

 下手をしなくても諸島ごと消滅しかねない。

 あえて何がとは言わないが。

 

 

「不味いことになったわね……」

「ああ。あの子の事だ、この店がある13番GRだけは残してくれるだろうが、他は全て消し飛ばしてもおかしくはない」

「さすがにそれは困るわ。仕入れるのが大変になっちゃうもの」

「……いや、そこではないのだが……まぁいいか」

 

 

 どうか超新星が龍の尾を踏まないように、と祈りながら、もっと頭を悩ませている問題に思考を移す。

 

 

 レイリーはため息を吐きながら手元の新聞を見た。

 そこには、“火拳のエースを処刑する”という衝撃の記事が書かれている。

 何でも、黒ひげと名乗る海賊があの火拳のエースを捕らえ、海軍に引き渡したらしい。

 

 

 白ひげは仲間の死を許さない。

 間違いなく、処刑を阻止するために海軍本部へ襲撃をかけるだろう。

 そうなれば当然海軍も黙っている筈がなく、センゴク元帥をはじめとする上層部の面々も白ひげと戦争するつもりなのだという事が分かる。

 

 

 レイリーは思った。

 

 

(とうとうボケたか、センゴク。こんなニュースを知れば、マデュラがどう動くかなど分かりきっているだろうに)

 

 

 そう。

 “世界最強の海賊”白ひげと、海軍による頂上戦争などというものが起こると知って、あのマデュラが何もしないわけがないのだ。

 

 

 断言出来る。

 必ず乱入すると。

 

 

「ああ、それね。間違いなく嬉々として乱入するわよね、あの子なら」

「やはりそう思うか? 私も同意見だよ。まったく、智将が聞いて呆れる。センゴクは何を考えているんだ? 良くて海軍が消滅……最悪の場合は世界が終わるぞ」

「それだけ、海賊王の血は政府にとって無視できないという事じゃない?」

「……まぁ、そうだな。そういう事なんだろう」

 

 

 

 未だ公にはなっていないが、実は火拳のエースは海賊王ゴール・D・ロジャーの実子であり、政府にとっては必ず絶やさねばならない鬼の子である。

 

 まさかこんな愚行を犯す程とは、と。

 レイリーは再び深いため息を吐いた。

 

 

「私たちで諌めるしかないんじゃない?」

「いい人生だった」

「悟った顔で言うことじゃないわね」

「……マデュラが聞くと思うのか? 何かを“強制”されるのが死ぬほど嫌いなんだぞ、あいつは」

「知ってる」

「機嫌が悪ければ、たとえ私であっても殺されかねん」

「それも知ってる。まあ、私も付き合うから。元気出しなさいな」

「…………はぁ…………とんだ貧乏くじだ……」

 

 

 

 深く、深ぁ~く。

 レイリーは、ため息を吐いた。

 

 

 

 とはいえ、「頂上戦争に参戦するのはいいが、あまり暴れすぎないようにしろ」としっかりマデュラに忠告しておかないと、最悪の場合そのまま世界が滅びる恐れがある。

 

 白ひげがマデュラに仲間を殺され、激怒などしようものなら間違いなく世界滅亡一直線である。

 なお、万が一そうなると真っ先に消し飛ぶのは海軍本部という事になるわけだが、それはセンゴク元帥の自業自得なので気にしない。

 

 

 

 

 と、そんな時。

 

 

 

 

 

 バタァン!! と、凄まじい勢いで酒場の扉が開いた。

 何事だ、と目を見開くレイリーとシャクヤク。

 

 

 

「た、たたた大変だレイさんにシャッキー!! じゃ、じゃじゃ……蛇王海賊団が来たぞぉぉ!! 早く逃げるんだ!! 奴ら、まずはご挨拶とばかりにマングローブを一本消し飛ばしやがった!!」

 

 

 

 あっ、もう来たのね。

 レイリーはちょっと逃げたくなった。

 

 

「消えたのはどこだね?」

「えっ? 67番GRだが……って、のんきに話してる場合じゃねえんだって!! 早く避難しろよ、いいな!?」

「……あー……」

 

 

 

 何やってんだ海軍!!

 ドタドタと去っていく住民の男を見送るため外に出ながら、思わず内心で絶叫するレイリー。

 さりげなくシャクヤクも店から出てきた。

 

 大方、普段通りルーキーが来たと勘違いしたアホな海兵が蛇王海賊団の船に攻撃したのだろう。

 たまにだが、蛇王海賊団の艦隊は買い出しなどの雑用で一隻だけ先行してくる事があるのだ。

 ……まさか、艦隊に向かってぶっぱなしたわけではない、と思いたい。

 

 

 触らぬ神……いや、触らぬマデュラに祟りなしだというのに。

 間違って蛇王海賊団の海賊船に攻撃してしまった海兵は、正体に気付いた後で顔を青くしたに違いない。

 

 

 マデュラにとって、蛇王海賊団に所属する全ての船が己の財産であり、財宝なのである。

 そして、彼女は己の財宝に手を出す愚か者を決して許さない。

 ある意味では白ひげに似ているところがあるのだ。

 

 

 

「なあシャッキー。あいつ、話聞くと思うか?」

「……無理そうね」

「ハハハ……はぁ」

 

 

 

 そこそこの付き合いとなっているレイリーには分かる。

 マデュラ、今頃絶対怒ってる。

 賭けてもいい。

 

 

 ほら、その証拠に天気が荒れてきた。

 酷い雷雨だ。

 

 

 

「あ、レイさん。今あっちのマングローブが燃えたわよ」

「やめろ。実況するな。分かってる、徐々に近付いてきていると、分かっているさ」

 

 

 

 見聞色の覇気を使うまでもない。

 このシャボンディ諸島に駐留していた海軍はあっという間に全滅した事だろう。

 

 

 

 蛇王龍は敵対者に容赦しない。

 子供でも知っているこの世の真理である。

 

 

 

 そして──。

 

 

 

 

 《千剣ッ!!》

 

 

 

 非常に聞き覚えのある声が諸島中に響いた直後。

 

 

「おお、今のは揺れたな……」

「あの子ったら、営業妨害も甚だしいわ」

「この光景を見てそんな事を宣う余裕がある君に感心するよ、シャッキー」

 

 

 

 

 

 

 

 ──シャボンディ諸島が、真っ二つに割れた。

 

 ……レイリーとシャクヤクはそっと店の中に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして数分後……。

 

 

 

 

「あー! イライラするッ!! レイリー、シャッキー、ただいまッ!!」

「……おかえり、マデュラ。随分と暴れたようだが?」

「おかえりなさい。何か飲む?」

「いつもの!! 聞いてレイリー! 実はね──」

 

 

 

 レイリーの頭を悩ませる問題児、マデュラがご来店した。

 案の定ものすごく怒っており、酒場の扉を吹っ飛ばしながら現れた彼女。

 

 珍しくお供がいないが、彼女の部下たちはどうやら諸島中で未だに暴れ回っているらしい。

 オーバーキルにも程があるだろやめて差し上げろ。

 

 

 

 

 はてさて、何があったのか……?

 

 





 最初に結末を持ってくるという新たな手法に挑戦してみました。
 フラッシュフォワードという奴ですね。
 こういうやり方で合ってるのかな?
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