蛇王龍、海賊になる。   作:初音MkIII

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評価バー伸びるの早いな!?
皆ありがとう!・:*+.(( °ω° ))/.:+
あ、展開的に無理がありそうなので麦わらアンチタグは外しました。
※ヤマが空島のデブと名前被るので若干修正しました。

前回のあらすじ:なんか古龍いっぱい出てきた



アラバスタ王国②

 

 突如襲来した蛇王海賊団の脅威から逃れ、混乱に紛れてなんとか海に出た麦わらの一味。

 そんな彼らの船にやってきた、“火拳のエース”。

 話を聞けば、なんと世界最強の大海賊として知られる白ひげ一味の幹部である彼は、麦わらの一味の船長である“麦わらのルフィ”の兄だという。

 

 

 多大な迷惑をかけられつつもルフィを慕う船員たちは、ルフィの兄とは思えない程礼儀正しいエースを快く歓迎し、宴が始ま……りそうだったのだが──。

 

 

「──はっ!! そうだ、こんな事してる場合じゃねえ!」

「ん? なんだよエースゥ! ノリが悪くなったんじゃねえか?」

「それどころじゃねえんだよ!! いいかルフィ、仲間の皆さんも! すぐに遠くへ逃げろ!! できるだけ遠くへだ!」

「……? どういう事だ」

 

 

 蛇王海賊団の存在を思い出したエースが突然慌てだし、ルフィたちは呆気にとられる。

 そして、まるでそれを合図にしたかのように奴らが現れる。

 

 最初に気付いたのは、なんとなく双眼鏡で海を眺めていた非常食……もとい、最近加わったばかりの“船医”にして、悪魔の実を食べたトナカイ。トニートニー・チョッパーであった。

 

 

 

「ん……? へ?? な、なんだアレェ~~!?」

「な、なんだ? どうしたチョッパー!?」

「う、ウソップ!! ヤベー奴らが来たぞぉ!! やべーよぉ、おれたち食われちゃうのかなぁ!?」

「お、おう? ……んな、なんじゃありゃぁ~~!? おいビビ!! 砂漠には……ドラゴンの大群が住んでるのかァ!? 聞いてねえぞぉ!!」

「え?? 何のこと?」

「へ? いやだって、あれ……」

 

 

 この騒ぎにより、船に乗っていた全員の視線がチョッパーが指を差す方角に向き、そこにあった凄まじい光景に全員の目が飛び出る。

 

 

「「「な、なんじゃこりゃあ~~!?」」」

「やばい、本当に追ってきやがったのか……!!」

 

 

 彼らの視線の先。

 そこには──。

 

 

 巨大なタコのような何かに釣り上げられ、空を飛ぶガレオン船と、その周囲を守るように飛行する無数のドラゴンたちがいた。

 一部、ドラゴンというよりデカイ鳥っぽい奴もいるが。

 

 当然、麦わら一味は大パニックである。

 

 

「お、おいおいおいなんだよあれ!! この世の終わりかァ!? おれぁまだ死にたくねえよぉ!!」

「え~ッ!! おれたち死ぬのかあ!?」

「何よあの生き物……ガレオン船が空を飛ぶなんて、聞いた事ないわよぉ!!」

「すんげぇ~!! やっぱ海は広ェなァー! あんなのがいるなんて思わなかったぞ!!」

「……まさか、あれって……!!」

「タコだよな、どう見ても。なんで空飛んでんだ。何にせよ、揚げたら美味くなりそうだな」

「おいルフィの兄貴。お前、アレが何か知ってんのか?」

 

 

 冷静なのは、麦わらの一味の“三強”の二人、サンジとゾロのみ。

 他は泣き叫ぶばかりである。

 まあ、ルフィだけはベクトルが違う騒ぎ方をしているが。

 

 そして、ゾロに問われたエースは、こくりと頷いて真面目な顔で説明を始める。

 

「……いいか、よく聞けお前ら。アレは……一年前、突然現れた海賊、蛇王海賊団の船だ。何のつもりかは知らねえが、事もあろうに船長の“蛇王龍”マデュラまで来てやがるらしい。その懸賞金は──」

 

 

 神妙な顔で語るエースを前に、騒いでいたルフィたちも静かになり、ごくりと生唾を飲む。

 蛇王海賊団の名を聞いた航海士のナミはまた騒ぎそうになったが。

 

 

「──32億5000万。とてもお前らが敵う相手じゃねえし、おれだって蛇王龍相手じゃ何もできねえ。いいか、絶対に機嫌を損ねるような真似はするな!!」

「「「さ、32億ゥ!?」」」

「……えーと、おれの何倍だ??」

「わかったな、ルフィ!!」

「お、おう! わかった!!」

 

 

 まさに桁違いの懸賞金額を聞かされた麦わらの一味は、全員が驚きのあまり絶叫した。

 それもそのはず、彼らはまだ32億どころか1億に届くか届かないか、というラインで「懸賞金バカ高ェ!!」と騒ぐレベルなのだから。

 

 

 

 そんなこんなをしているうちに、ガレオン船が麦わらの一味の船……ゴーイングメリー号の上空に到達。

 あまりにも巨大な影にすっぽりと埋まり、まるで夜のように暗くなる。

 

 

 そして──。

 

 

「ヒャッホゥ!! 一番乗りだァ!!」

「んー。ファル君はせっかちなんだなぁ」

「まったくよ。こういう時だけはナズチを見習って欲しいわね」

「まぁまぁ、そう言うなよナナ。なあ、ダオラ」

「嫁に勝てねーからって俺に同意を求めんなよ」

「お前たち、もう少し落ち着きたまえよ。ただでさえ狭いこの船がより狭く感じるだろう」

「やかましいぞ貴様ら。さっさとマデュラ様をお出迎えする準備をしろ。先生、お願いします」

 

「「な、なんかいっぱい来たァーー!!」」

 

 

 蛇王海賊団のガレオン船を取り巻いていたドラゴンたちの一部が人型に変化し、空から降ってきた。

 中には船から直接飛び降りてきた者もいるが。

 

 

 ちなみに。

 ガレオン船を掴みながら浮かんでいる巨大なタコも、蛇王海賊団のモンスターズに所属する海賊である。

 

 

 “浮岳龍”ヤマツ、懸賞金5億3000万ベリー。

 

 

 呆気にとられる麦わらの一味+エースを余所に、何やら整列して王を迎える騎士のように跪くモンスターズ。

 

 直後、ドラゴンというよりでっかい鳥、と表現した方が似合うピンク色の……謎生物が、メリー号のド真ん中に舞い降りた。

 

 

 “大怪鳥”クック、懸賞金8000万ベリー。

 

 

 

「敬礼ッ!!」

「「はっ!!」」

 

「…………えっと、なんだこのノリ?」

「静かにしてろ、ルフィ。たぶん、こいつらにとっては大切な事なんだろ」

 

 

 お前ら本当に海賊か? と思わず聞きたくなる謎の展開に、思わずルフィが問いかけるも、何がなんでもトラブルを回避したいエースが咎める。

 もっとも、そんなエース本人も内心困惑しているが。

 

 

 ──しかし。

 直後、船中が……いや、この海域一帯が強烈な威圧感に包まれた事で、彼らは一様に身を固くした。

 

 

 

「──ご苦労様」

「はっ!! ご命令通り、麦わらの船に到着でございます! マデュラ船長!!」

「先生も、ありがとう」

「なんのなんの。いくらでも足に使ってくれ、マデュラちゃん」

 

 

 大怪鳥が先生と呼ばれている事に若干笑ってしまいそうになるルフィたちだが、ぐっと堪える。

 なんか、今笑ったら命がやべー気がする。

 

 

 ふわりと舞い降りた女性は、とても海賊とは思えぬ程に優雅な装いの美女で、一見すると虫も殺せないような淑女に思える。

 しかし、その身から放たれる威圧感はモンスターズの面々ですらも比べ物にならず、ルフィたちは一歩も動く事ができずにいた。

 

 

 そんな麦わらの一味を一旦捨ておき、エースが前に出る。

 船が沈められていないあたり、戦闘の意思は無いはずだ、と考えながら。

 

 

「あんたが、“蛇王龍”マデュラか。こうして直接会うのは初めてだな」

「ん。初めまして、“火拳のエース”。弟くんへの挨拶は済んだ?」

「……ああ。おれと話がしたいと聞いたが」

「うん」

 

 

 直接話してみると、意外なほどに平和的というか、どこぞのビッグマムのように丸っきり話が通じない怪物、というわけではないらしい。

 エースは内心胸をなで下ろした。

 

「何か面白い話はないかなーってこっちの海に来てみたら、君が偉大なる航路を逆走してるって聞いたから。それは何のために?」

「ああ、そんな事か。部外者に話すような事じゃないんだが、それじゃあんたは納得しねえよな」

「そりゃね」

 

 戦闘になる事だけは避けたいが、かといって媚びを売るような態度をとってしまっては“白ひげ”の名に傷が付く。

 細心の注意を払いつつも、あえてエースは対等な立場である、という事を態度と言葉で示す。

 

 

「……つまらねえ話さ。ウチの隊から、裏切り者が出た。“黒ひげ”つってな、決して犯しちゃならねえ鉄の掟……“仲間殺し”をして、あの野郎は船を降りた。だから、隊長であるおれが落とし前を付けなきゃならねえ。それだけの事だ」

「……ふーん。なんだ、思ったよりつまらない話。ガロア、その“黒ひげ”って奴は知ってる?」

「いえ。ですが、赤髪がそのような名前を口走っていたかと」

「あー、シャンクスが。そう言えば……」

 

「シャンクス!?」

「あ、おいルフィ!!」

 

 

 黙って話を聞いていたルフィだったが、彼の恩人たるシャンクスの名が出た事に深い興味を示し、制止するエースを無視してマデュラに食ってかかる。

 

「おいお前!! シャンクスの事を知ってるのか!?」

「なんだ貴様。雑魚海賊風情がマデュラ様に話しかけるな。身の程を知れ。貴様とマデュラ様では住む世界そのものが違うのだ」

「んだとこんにゃろー!! やんのかお前!」

 

 しかし、マデュラの隣に立っていたガロアに阻まれ、彼の言葉にキレたルフィはターゲットを移す。

 当然、エースや麦わらの仲間たちは大慌てである。

 

 

「馬鹿野郎、下がれルフィ!! 死ぬぞ!!」

「お、おいルフィ!! 何やってんだよぉ!!」

「うるせー離せお前ら!! ぶっ飛ばしてやる!」

 

 

 マデュラが全く自身を見ていない事も、ルフィのプライドを傷付けた。

 何せ、彼は海賊として旗揚げして以来、順調に勝利を重ねてきた。

 海軍本部のスモーカー大佐には完封されたが、それはそれ、これはこれ、である。

 

 

「……マデュラ様。この猿を黙らせる許可を」

「いいんじゃない、勝手にやれば。ただ、一応火拳の顔を立てて、命だけは勘弁してやって」

「承知しました」

「お、おい蛇王龍! ちょっと待ってくれ!! こいつに悪気はないんだ!!」

「知らない。そっちが勝手に喧嘩売ってきたんじゃない。ほら、適当なところに船を着けて。さっさとしないと船ごと潰して帰っちゃうよ」

「……くそっ!!」

 

 

 思わぬ展開に、ガン、と壁を殴りつけるエース。

 しかし逆に考えると、世界の広さを知らないルフィにはいい薬かもしれない。

 

 今回は命だけは取られないようだが、今後もこうなるとは限らない。

 大海賊に喧嘩を売ってしまい、ルフィが殺される可能性もあるのだから。

 

 

 何より、エース自身、かつて無謀にも白ひげに挑み、負けて彼の部下となった過去がある。

 この兄にしてこの弟あり、といったところか。

 

 

 

 こうして、蛇王海賊団モンスターズ総隊長ガロア対、麦わら海賊団船長モンキー・D・ルフィの、一対一の勝負が実現する事となった。

 

 

 まあ、残念ながら結果は見えている。

 事故でルフィが殺されてしまわない事だけを祈る、エースなのだった。

 

 




いつの間にかルフィがガロアと戦う事になってた。
でもこの時期のルフィはスモーカー戦を除けば無敗だから、挑発されたらすぐ乗りそうな気がするんですよね。
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