蛇王龍、海賊になる。   作:初音MkIII

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なんか久しぶりにランキング入ってますね。
昨日は別に更新してないんだけど、何故だろう。
何にせよ、ありがとうございます。

※ふと見たらランキングから消えてましたw


インペルダウン③

 

 所変わり、海軍本部。

 白ひげの襲来に備え、着々と精鋭たちが集まるこの地に、頭と胃が痛くなる報告が。

 

 

「インペルダウンに……蛇王龍が現れただと!?」

「は、はい!! 火拳のエース護送のため、布陣していた軍艦も全て撃沈されたとの報告が! なんでも、既に地表部分は壊滅状態とのことで……」

「お、おのれ……おのれェェェ……!! あんの小娘ェ!! 自由人すぎるだろう! どれだけ私の胃を痛めつければ気が済むんだアイツは!?」

「センゴク元帥、お気を確かに!!」

「やかましいっ!!」

 

 

 よりによってこのタイミングでの、蛇王海賊団によるインペルダウン襲撃。

 さすがの問題児軍団も、白ひげと海軍本部を同時に敵に回しかねない真似は……控えてくれるといいなぁ……と希望的観測をしていたが、ダメだったらしい。

 

 

 ガリガリと頭を毟り狂乱するセンゴク元帥。

 はらはらと落ちる髪の毛。

 

 蛇王海賊団が活動を開始してからというもの、髪の毛が減少する一方だ。

 このままでは“仏のセンゴク”から“おハゲのセンゴク”に二つ名が変わってしまう。

 

 

 

 さすがに哀れみを覚えたのか、うがぁぁぁあ!! と奇声を上げるセンゴク元帥に対し、海軍本部が誇る問題児にして英雄であるガープ中将が声をかける。

 

「大丈夫か、センゴク?」

「大丈夫に見えるか!? 見えるのなら貴様はその役立たずな目玉をほじくり出した方がいいぞ!!」

「こりゃ重症じゃァ……」

「大体、このクソ忙しい時期にインペルダウンくんだりまで出向いた馬鹿はどこのどいつだ!? いっそ蛇王海賊団と出くわしてしまえばよかったものを!! 運良くすれ違いで帰ってきおって!」

「お、おう。すまん」

 

 

 仏から阿修羅に変貌しそうなセンゴク元帥に本気でビビるガープ。

 彼とは長年の付き合いであるガープも、ここまでイラついているセンゴク元帥を見るのは久しぶりだ。

 

 あるいは、かの海賊王が暴れ回っていた時期よりも酷いかもしれない。

 

 

 そのまま、猛烈な勢いで罵倒され続けるガープ。

 さすがにへこんでくるが、これで親友が少しでも落ち着いてくれるのなら、じっと耐える事も苦ではない。

 

 

 

「あァクソ……すまんガープ。多少は気分が楽になった……」

「そ、それは何よりじゃ。そろそろ本気で引退した方がいいんじゃないのか?」

「……そうだな、私もそう思う」

 

 

 

 やがて、溜め込んでいたストレスを罵倒という形で吐き出したセンゴク元帥は、落ち着きを取り戻し阿修羅から仏へと戻った。

 

 めでたしめでたし、である。

 

 

 

「はぁ……。軍艦も全て撃沈されたとあらば、護送するための船を新しく手配せねばな……」

「次のおもちゃを提供しても、蛇王龍に潰されるだけじゃろ。戦力の無駄遣いじゃ」

「分かっている。作戦を大幅に変更せざるを得なくなるが、貴様が艦隊を率い、大将も全員連れてインペルダウンへ行け。そして死んでも火拳のエースをここまで護送してこい」

「………………マジで言うとる?」

「ああ」

「わしに死ねと?」

「大丈夫だ、いけるいける」

「何が大丈夫じゃアホンダラァ!! 相手はあのマデュラじゃぞ!? 嬉々として叩き潰される未来しか見えんわァ!!」

「大丈夫だ、いけるいける」

「遂に頭がイカレおったか!? え、マジで行くの? わしが、クザンたちを連れて?」

「マジもマジ。大マジだ。それ以外に手がない。大丈夫だ、いけるいける」

「それしか言えんのか貴様ァ!!」

 

 

 

 悲報。センゴク元帥、壊れる──。

 

 

 

 

 そして舞台は再びインペルダウンへ。

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 大監獄インペルダウン、LEVEL4。

 署長室をはじめとする主要施設がいくつも存在する、いわば大監獄の心臓部。

 

 ここでも、当然のように大パニックが起きていた。

 

 

 

 

「ハンニャバル副署長!! 侵入者がとうとうLEVEL3に到達しました!」

「副署長ぉぉ!! LEVEL5で蛇王龍が軍隊ウルフを手なずけてますゥ!? めちゃくちゃだよあの子ぉ!!」

「副署長!!」

「副署長!!」

「副署長!!」

 

 

 

「ああああぁぁぁぁあ!! やかましいっ!! 貴様ら、報告は一度でまとめんかいっ!! 耳が騒音で破裂しマッシュ!!」

 

 

 

 故あって“閉ざされた場所”に引き篭っているマゼラン署長に代わり、指揮を執るは大監獄インペルダウンの副署長、ハンニャバル。

 野心家で、「署長になりたい」が口癖の彼は今。

 

 

 突然起きた前代未聞の大事件を前に、職員たちと一緒に右往左往していた。

 

 

「署長は何をしている!?」

「ゲリです!!」

「クソァ!! あのゲリ野郎、肝心な時に役に立たねえ!! あとどれぐらいで出てきマッシュ!?」

「も、もうそろそろ出てこられるのではないかとドミノ副看守長が仰っていました!」

「さっさと出てこいゲリ野郎!! えーい、総員“監獄弾”を装填の上、戦闘準備!! トラップもありったけ使え!!」

「「了解ッ!」」

 

 

 いざと言う時は頼れる男、地獄の支配者マゼラン。

 こういう時にこそ活躍してもらいたいのだが、残念なことに今はゲリでトイレに篭っているらしい。

 

 まあ、あの蛇王海賊団をマゼラン一人でどうにかできるとは、到底思えないわけだが。

 副署長であるハンニャバルもそこそこ戦えはするが、それでも億クラスの賞金首を相手にするのは厳しい程度でしかない。

 

 その程度の戦力で止められるのなら、センゴク元帥はハゲかける程ダメージを負ってはいないのだ。

 

 

 

「だ、ダメです! LEVEL3で囚人たちが解放されました!! 四龍王、止まりません!!」

「蛇王龍は!?」

「LEVEL5の看守室で軍隊ウルフをモフっています!!」

「ピクニックかッ!! 何やっとんじゃ、あの小娘はァ! って、鍵を取られたのか!?」

「あ、鍵は砕かれました」

「……は?」

 

 

 

 時が止まった。

 大穴をあけてLEVEL5に侵入するという意味がわからないショートカットをかまし、凶暴な軍隊ウルフを手なずけ、看守室に到達した。

 

 そこまではいい。いや、全く良くないけど。

 特に、軍隊ウルフを手なずけたというのは本当に意味がわからない。

 人に懐くような可愛げがあるのなら、アレらはわざわざLEVEL5に隔離されているはずがない。

 

 敵味方関係なく、目につくもの全てに噛み付く危険生物。

 それが軍隊ウルフ……の、はずなのだ。

 

 

 まあ百歩譲ってそれを置いておくとして。

 

 

 

 

 鍵は砕かれました?

 は??

 

 

 

「蛇王龍、何しに来たんでマッシュ?」

「あ、牢屋は素手でぶち壊してましたよ」

「牢屋の意味ッ!!」

 

 

 

 さらっと告げられた驚愕の事実に叫ぶハンニャバル。

 LEVEL5における牢屋の鉄格子は、当然海楼石で作られている。

 当たり前だ。

 LEVEL5は億クラスの賞金首がゴロゴロ収容されているフロアなのだから。

 

 

 一応、能力者である以上蛇王龍にも通用するはずなのだが……。

 

 

 

 もう、帰っておかきでも食わないか?

 ハンニャバルは皆にそう提案した。

 

 

 

「副署長、お気を確かに! インペルダウンを守るのです!!」

「……もう、無理でマッシュ……終わりでマッシュ……いや、署長になれない私の暗い人生が、今始まりマッシュ……」

 

 

 

 蛇王龍は噂以上の化け物だった。

 インペルダウンの堅固な牢屋をも素手でぶち壊すような化け物を、どうやって止めればいいと言うのか。

 

 

 

 両手と両膝を床について絶望するハンニャバル。

 頭の被り物も心做しか萎れている。

 

 

 

 

「──ラージャンを解放しろ。責任はおれがとる」

「「え??」」

 

 

 

 ハンニャバルに釣られ、一緒に絶望していた職員たちが思わず弾かれたように顔を上げる。

 とんでもない言葉が聞こえたので、ハンニャバルも顔を上げた。

 

 

 

 果たして、そこにいたのは。

 

 

 

 

「待たせたな。今日も長い戦いだった」

「「署長~~~ッ!!」」

 

 

 

 ゲリとの戦いを終え、本業に復帰した頼れる署長。

 地獄の支配者、マゼランその人であった。

 

 

 

 

 そこまではいい。

 問題は、現れるなりゲリ野郎が言い放った言葉だ。

 

 

 

「で、署長。ラージャンを解放するって本気で言ってマッシュ?」

「ハンニャバルか。ああ、本気も本気だ。むしろ、こういう時に使わんでどうする?」

「こ、このインペルダウンそのものがぶっ壊れちゃいマッシュ!!」

「先程も言っただろう。おれが責任をとると」

「しょ、署長……しかし!!」

「文句は後で聞く。さあ、急げお前たち!!」

「「はっ!!」」

「ああ、“火拳のエース”と“海侠のジンベエ”は海軍本部までおれたちが護送する事になった。緊急脱出用の潜水艦を、いつでも出せるように整備しておけ!」

「了解しました!!」

「他の囚人たちはどうしマッシュ?」

「……放置する他あるまい。いざとなればおれがラージャンを再び眠らせる。このインペルダウンは絶対に崩壊させやしない」

「…………了解」

 

 

 

 ──ラージャン。

 

 かつて一人の大海賊がインペルダウンを脱獄したのだが、世界政府はそれを問題視し、とある対策を実行した。

 

 有事に備えインペルダウンの戦力を強化するため、とある島で暴れ回っていた超ド級の危険生物を眠らせて無力化し、捕獲。たったそれだけの事を済ませるために、数えるのも嫌になるほど、凄まじい数の役人が犠牲になったという。

 

 そしてそれを眠らせたままインペルダウンに引き渡し、毎日エサやり(眠っていても近くにエサがあれば勝手に食う)と睡眠薬の投与を義務付けた上で、LEVEL6に新しく増設された特別房へと幽閉したのだ。

 ちなみに、主なエサはバナナだとか。

 

 

 その“超ド級の危険生物”こそが、ラージャン。

 一度暴れ始めると全てを破壊するまで止まらず、島の一つや二つはあっという間に消し去ってしまうとまで言われた、まさに「伝説の怪物」である──。

 

 

 

 そんな事など露知らず。

 四龍王はMr.2を名乗るオカマと出会い、“イワさん”を助けるためにと半ば強引に同行され。

 

 蛇王龍とハンコックは軍隊ウルフをモフり。

 クックは一人、“祭りの準備”を済ませるためLEVEL6へと消えていく。

 

 

 尚、マデュラが軍隊ウルフをモフって時間を潰すように誘導したのは、ハンコックである。

 イワンコフが準備を終えて登場するまで、どうにかここで足止めしておこうというわけだ。





おや、ラージャンの様子が……!?


・遂に壊れたセンゴク元帥
大丈夫だ、いけるいける
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