蛇王龍、海賊になる。   作:初音MkIII

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ワンピース全く関係ないんですけど。
最近ウマ娘の勢いがすごいですねぇ……。
アレが流行る前からウイニングポストで競馬に興味を持った私としては普通に嬉しいですけどね。




インペルダウン⑤

 

 

 大監獄インペルダウン、LEVEL4にて。

 

 既にこのフロア全体の掃討と囚人の解放を終えたラヴィたち四龍王とおまけのMr.2たちは、集団の指揮を執る蛇王海賊団副船長フィロアの指示により、LEVEL5に下りる事も無く待機していた。

 

 

 焦熱地獄? 何それおいしいの? とばかりに気温が下がり快適なフロアとなったLEVEL4。

 それもそのはず、猛烈な暑さの原因となっていた“地獄の釜”はとうにフィロアが冷ましており、今は少々ひんやりとした黒い土と化しているのだ。

 

 

 まるで地獄とは名ばかりのリゾートとなったインペルダウン。

 しかし、この場にいる極悪人たちは皆、揃って青い顔をして地面を見つめている。

 あの四龍王ですら顔を顰めているのだから驚きである。

 

 

「あ、アネゴォ……い、いいい、生きてる心地がしねェよォ……!!」

「ねえMr.3。あちしたちここで死ぬのかしら……?」

「わ、私に聞くな!! あ、あわわわわ、また揺れたァ!?」

 

 

 震えるバギーと悟った表情を浮かべるMr.2。

 せめて高いところに避難を……とキョロキョロ辺りを見回すMr.3。

 

 

 

 こいつらが何をそんなに怖がっているのかというと。

 

 

 

 

「ちょ……これマジでやばいんじゃないの!? 壁がぶっ壊れたらさすがにアタシたちも死ぬわよ!」

「んー、参ったなァ。まさかこんな所に船長がハッスルしちまうぐれェ強ェ奴が居るとは」

「こんな所で立ち往生しているより、我々もマデュラ様の元へ参じた方が良いのではないか?」

「……マデュラの奴、周りが海だと忘れているんじゃないだろうな……。ちっ、仕方ない。LEVEL5とLEVEL6の囚人どもは放っておくか。帰るぞ。マデュラは自分でどうにかするだろう」

「さ、賛成!! あの子についてるはずの先生は何をしてるのよ、まったく……!」

 

 

 下の階……即ちLEVEL5でマデュラが何やら大暴れしており、そのせいでさっきからインペルダウン全体がグイングイン揺れているのだ。

 

 衝撃でいつインペルダウンそのものが「折れて」しまうとも限らず、能力者がうじゃうじゃいる彼らにとってはまるで断頭台に立ったかのような心持ちになっている、というわけである。

 

 

 尚、あっさりとマデュラを放置して帰る事を決定した四龍王(拒否しようとしたガロアはラヴィに睨まれて縮こまった)だが、バカでかい獣形態に変身できるマデュラならば、インペルダウンが完全に海に沈む前に変身さえしてしまえば海上に顔を出して呼吸ができるため、死ぬ危険は無いのである。

 

 尤も、それならばゾラとラヴィにも同じ事が言える訳だが。

 

 

 

 更に言うと、さらりと存在をスルーされたハンコックとクックは非常にまずい。

 あの二人の能力では使っても脱出ができず、溺れ死ぬしか道は無い故に。

 

 

 

 奇妙なこの集団の絶対的な支配者である四龍王が脱出を決定した事により、彼らの手により解放された囚人たちはダッシュで上のフロアへの階段を目指していく。

 

 

 

 

 そして、奇遇なことに──。

 

 

 

「おいおい、こりゃァマジで崩壊するぞ。蛇王龍はいったい何を考えてやがる」

「ヒーハー! 待ちなさいクロコボーイ!! 向こうに誰か居るわ! それも大量に……」

「ちっ、このおれが団体行動とはな……。誰かもクソも、もう職員はほとんど残っちゃいねェだろうが」

 

 

 マデュラとラージャンの激闘により大荒れ中のLEVEL5にて、バレットやクロコダイルたちLEVEL6の囚人たちとイワンコフ率いるキャンディーズ+LEVEL5の囚人たちがちゃっかり合流を果たし、LEVEL4を爆進。

 

 LEVEL3への階段が見えてきたところで、四龍王withバギーと愉快な仲間たちを発見した。

 

 

 

「うげっ!? クロコダイルに……ダ、ダグラス・バレットォォォ!? あのバケモノ、やっぱり生きてやがったのか!!」

「うげっ、ボスゥゥ!? 他にも他にも、とんでもないビッグネームばかりが集団で動いとるガネー!?」

「あ、あ、あれはまさか……!! イワさん!? よかっだ、いぎでだのねェェェ!!」

 

 

 ヤベェ奴しかいねェんすけどーーー!? と目が飛び出る程驚くバギーたち。

 そして、一際異様な格好をしているイワンコフを視認し、一発で正体を看破し号泣するMr.2。

 

 

 

 一方、四龍王は。

 

 

「あ、先生。ついでにハンコックも。生きてたのね」

「死ぬかと思ったぞ畜生ッ!! 世界政府の連中、とんでもねェモンをLEVEL6にぶち込んでやがった!」

「ついでとは失礼じゃな、ラヴィ!?」

「無事で何よりだ、先生。マデュラはどうした?」

「あァン!? ラージャンっつーおれらともある程度やり合えるだけの強さを持つゴリラの怪物を見つけて、遊んでるよ!! LEVEL6から上ってみれば、いきなり血塗れのデケェゴリラが吹っ飛んできたんだぞ!? 危うく巻き込まれる所だったわ!!」

「あー……船長って、一度ハッスルしちまうと見境無くなるからなァ。ひょっこり現れた先生を敵だと勘違いしてそのラージャンっつーゴリラ? をぶん投げちまったんだろう」

「んな事ァ言われんでも分かってらァ!! あークソ、この形態になってるせいか気持ちが昂って仕方ねェ」

 

 

 何故かガルルガ形態になっている荒ぶるクック先生と合流し、ついでにハンコックも回収したのでいよいよもってインペルダウンを脱出する方向で合意した。

 

 

 

 

 そして、LEVEL5に独り残ったマデュラは──。

 

 

 

「んー? なんか先生らしき影が見えた気が……。まあ生きてるみたいだしいっか」

 

 

 

 なっはっはっ、と笑うマデュラ。

 

 危うくラージャンと一緒に吹っ飛ばされる所だったクック先生からしてみれば全然笑えないのだが、可愛いのでよし、と先生本人は後で言うだろう。

 今はガルルガに変身しているせいか荒ぶっているわけなのだが。

 

 

 

 

 これ以上壊れたらマジで外の海と繋がってしまう、という程に荒れ果てたLEVEL5。

 この光景こそが何よりここで行われた激闘を物語るというものだが、血塗れで吹き飛んで行ったラージャンとは反対に、マデュラの身体には傷らしい傷すら無い。

 

 

 

 

「ん」

 

 

 

 ──瞬間。

 雷のブレスが遠方より飛来し、マデュラを襲う。

 

 

 

 

「なはははは……なっはっはっはっはっ!! 嬉しいな、嬉しいなっ!! ずいぶんとしぶといね!」

 

 

 

 しかし彼女は笑いながらそれを「ペチン」と叩き、何事も無かったかのように消し去る。

 

 

 

 雷のブレスを放った主、血塗れのラージャンは激怒した。

 己こそが最強であり、己以外の全ては己の糧となるべき獲物であるはずなのに。

 

 あの毛無しの小人の、何と理不尽な事か。

 

 

 

 それ以上に。

 

 

 

 

 最強であると信じていた己の、何と弱い事か。

 

 

 

 

「ウゴォォォオオォォ!!」

 

 

 

 

 傷だらけの獅子はその身体を黄金に染め、両腕を赤く輝かせて戦場に舞い戻った。

 これこそが正真正銘、全力のラージャンであり、とある世界では「金獅子」とも呼ばれる彼の真の姿だ。

 

 

 

「おー! 面白いね、身体の色が変わるんだ?」

「──ウゴォ!!」

 

 

 

 

 相変わらず「なはは」と笑うマデュラに向かって、赤く硬化した右腕を振り下ろすラージャン。

 

 

 

 その威力はまさに、巨大隕石の衝突が如し。

 

 

 

 しかし──。

 

 

 

「ふんッ!!」

「ウゴッ!?」

 

 

 

 華奢なマデュラの細い右腕がラージャンの豪腕と激突し、まるで鋼鉄同士が超速でぶつかり合ったかのような異音が響き渡る。

 

 

 

「んー、それなりに強いけど、覇気を使うほどでもないかなー? 惜しいな。今のレイリーぐらいならたぶん殺せたぞ、お前」

「……ウ、ウギィ……」

 

 

 

 ぶつかった右腕をニギニギして感触を確かめながら、そんな事を呟くマデュラ。さすがに彼女も言葉が通じるとは思っていない。あくまで独り言のようなものだ。

 

 対するラージャンは、先程までとは異なるモノでその腕を赤く染めていた。

 

 

 

 

 “闘気硬化”した事による発光現象ではないそれ。

 即ち、武装色の覇気を未使用であるにも関わらず尋常ならざる硬さを誇るマデュラの拳と激突した事によってラージャンの鉄拳が割れ、流血しているのだ。

 

 

 

 

 ──こいつ、化け物か。

 

 

 

 

 ラージャンが人の言葉を話せていたなら、今頃そんな事を口に出していただろう。

 

 

 

 

 世界最大の頭脳を持つ天才、Dr.ベガパンクの解析によれば、“闘気硬化”と彼に名付けられた赤い発光現象を起こしたラージャンの両腕は、極秘裏に開発された人造人間「パシフィスタ」の身体とすら比較にならない程の硬度を誇るという。

 

 

 ──それに興味を示したベガパンク率いる開発チームが、ラージャンの“闘気硬化”を応用した新型のパシフィスタを開発しているとかなんとか。

 

 

 

 まあとにかく、だ。

 赤く輝いた状態のラージャンの両腕は、すっごい硬いはずなのだ。

 

 

 

 それを、笑いながら砕いてみせたマデュラという少女の肉体は、いったいどうなっているのか。

 

 

 

「う、ウホォ……」

「ん? ん? どうしたの? 逃げるの? 今更? 私に喧嘩を売っておいて、今更? なはははっ!!」

 

 

 

 

 こいつは、化け物だ。

 

 

 

 そう感じたラージャンは、知らず知らずの内にじりじりと後退していた。

 

 

 

 

「なはははははっ!!」

 

 

 

 

 笑う蛇王龍。

 怯えるラージャン。

 

 

 

 

 

 その様はまさしく。

 

 

 

 世界を制する捕食者と、哀れな餌の構図であった。

 

 

 

 

 

「じゃあねえ、次は鬼ごっこする? あ、分からないか。ゴリラだもんね。ま、いいや」

 

 

 

 

 シッシッ、と言わんがばかりに手を動かすマデュラ。

 

 

 

 それを見て何となく意図を悟ったラージャンは、生まれて初めて「完敗」を喫した事に腹を立て、必ずやリベンジを果たす事を誓う。

 

 

 

 

 

 

「もーいーかーい? よし、行くよー! 死ぬ気で逃げろよ、ゴリラくん。じゃなきゃ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「食べちゃうぞ」

 

 

「ウホォ!? ウキ、ウキィィィ!!」

 

 

 

 

 

 ──尤も。

 蛇の眼になってラージャンを「喰らう」ために追跡を開始したマデュラから、生きて逃げられればの話だが。

 

 




ラージャン「クソ負けた!!でも絶対いつか倒しちゃるからな!」

マデュラ「食べちゃうぞ♡」


ラージャン「えェーーー!?」



だいたいそんな感じ。
ラージャンって何味なんだろう?
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