蛇王龍、海賊になる。   作:初音MkIII

6 / 46
そろそろアラバスタ王国編を終わらせようかな。
広さがあるので一度マデュラを大暴れさせたいところですが、そうなるとアラバスタ王国が滅んでしまう……。


アラバスタ王国④

 

 

 秘密犯罪会社「バロックワークス」。

 アラバスタ王国の英雄にして“世界政府公認の海賊”、王下七武海の一人。

 サー・クロコダイルが密かに運営する裏組織だ。

 

 

 そんなバロックワークスのアジトは、“ギャンブルの町”レインベースでも最大級の超人気カジノ、レインディナーズの地下に存在する。

 

 そこで、現在──。

 

 

 

「……ふざけんな……!! 蛇王海賊団だと!? なんでここまで来てあの化け物軍団が新世界から来てやがるんだ!! しかも蛇王龍までだと!? まったくもってふざけてやがる!」

「踏んだり蹴ったりだけど、連絡を絶った“ビリオンズ”は最後に“龍の群れが近付いてくる”と残しているわ。十中八九蛇王海賊団に沈められたのでしょうね」

「クソが!! あの女、何考えてやがるかさっぱり読めねえ! 四皇に匹敵する大海賊サマが、今更こんな所まで来て何をしようってんだ!?」

 

 

 蛇王海賊団がこのアラバスタ王国に現れた事を知った社長、Mr.0こと、クロコダイルが荒れに荒れていた。

 Mr.3が仕留めたと報告してきた麦わらの一味に続き、またまた邪魔者が現れたのかと思えば、なんとその正体は今や世界最悪の大海賊と名高いあの蛇王龍だという。

 

 大将なんぞ知らんとばかりに天竜人を虐殺したり、海軍基地を潰して回ったり、世界政府の役人を踊り食いしたり……。

 イカれたエピソードに事欠かない蛇王龍だが、そういうイカれた奴らに目をつけられないように、偉大なる航路の前半で活動している自分には関係ないとタカをくくっていたらこのザマだ。

 

 一緒にいるパートナーのミス・オールサンデー……いや、ニコ・ロビンが妙に冷静なのも癪に障る。

 大方、万が一の時は一人だけ逃げようというのだろうが、そうはいかない。

 

 

「……それで? どうするの、ボス?」

「はー、はー……。あァ、クソッタレ……。不幸中の幸いというべきか、蛇王龍が王下七武海をぶっ倒したって話は聞いた事がねえ。実際欠員も出てねえしな。奴が何を求めてここに来たのかさえ分かれば、交渉の余地はあるはずだ」

「なるほど。そうなると、残った社員を一般人に紛れ込ませて探らせる?」

「いざとなりゃ金なんざいくらでもかけていい。とにかく、蛇王龍とだけは敵対しちゃいけねえ。アレは正真正銘のバケモノさ」

「随分と詳しいのね? 面識があるの?」

「馬鹿野郎。あっという間に四皇クラスにまで懸賞金を引き上げた怪物だぞ? 徹底的に調べあげるのが当然だろうが。それに、いつぞやの戦争で遠巻きにだが見た事もある」

「ふふ、そう」

(……ケッ。いけ好かねえ女だ)

 

 

 内心でそう吐き捨てつつ、今後の算段をつけるクロコダイル。

 年単位で周到に進めてきたアラバスタ王国乗っ取り計画だが、蛇王龍などという怪物中の怪物が現れてしまったからには、その計画をも捨てて逃げる事すら選択肢に入る。

 

 目的さえ達成できれば、蛇王龍にも対抗できるかもしれないが……。

 古代兵器などという眉唾物の存在が、そう簡単に見つかるとも思えない。目の前のニコ・ロビンも、約束を放り捨てて逃げる事を考えているはずなので当てにはならないというのも大きい。

 

 

「何にせよ、迅速に蛇王龍との交渉に入る。分かってるだろうが、てめーも道連れだ。ニコ・ロビン」

「その名は呼ばない約束では? とにかく、早急に手配するわ。私だってまだ死にたくないもの」

「ハッ、逃げようとしてるくせにほざきやがるぜ」

「あら、酷い人ね。あなたも同じでしょう?」

「……ケッ」

 

 

 蛇王龍は敵対者に一切容赦しない事でも有名である。

 その規格外の能力も相俟って、彼女と敵対して服従せずに生き残れた者は存在しないと言ってもいい。

 例外があるとすれば、かの“世界最後の日”でまともに戦わなかった海軍大将たちと、クロコダイルを含めた王下七武海の面々ぐらいだろうか。

 

 アレは酷い光景だった。

 今思い返しても、クロコダイルですら身震いしてしまう程だ。

 

 王下七武海で一人だけ不参加だった“鷹の目”さえいれば、と政府関係者は負け惜しみを言うが、果たして人間一人増えたところで何ができるのか。

 

 

 

 そんな時、クロコダイルの電伝虫に着信が。

 カジノ関係者からの連絡用として使っているものだ。

 

 

 こんな時にトラブルかよ、と溜め息を吐く。

 

 

「おれだ。どうした?」

『お、オーナー!! クロコダイルオーナー!! 大変です、あの蛇王海賊団がぞろぞろとカジノに現れて!』

「……は?」

 

 

 嘘やん。

 クロコダイルはしばし考えるのをやめた。

 まさかの展開に、地味に盗み聞きしていたロビンもびっくりである。

 

 

 何はともあれ、クロコダイルは逃げようとするロビンをがっしりと捕獲し、共にカジノへ。

 

 

 

 

 二人がそこで見たのは──。

 

 

 

「なはは。ガロア、よわいね」

「も、申し訳ございません……。情けないことに、もう手持ちの金が……」

「ちょっと総隊長。何してんの? それ、マデュラ様に献上するはずのお金よね」

「はー、使えねーなァ総隊長殿は。どれ! 俺が最速でばーっと元に戻してやらぁ!!」

「ファル君は絶対ギャンブルに向いてないんだなぁ」

「そりゃ言えてる。もう一回、もう一回だ! とか言ってどんどん負ける姿が目に浮かぶもんな」

「あの、ナナ? 俺もやりたいんだけど……」

「は? テオ、何か言った?」

「なんでもないです」

「……ふむ。このスロットというものはなかなか面白いな。どうだね、クック。君もやってみないか?」

「うーん、そうだね。やってみようかな」

 

 

 広いカジノの中を占拠し、盛大に遊んでいる蛇王海賊団の姿であった。

 何故か一般客が一人もいないが……。

 

 ああ、だから呼んだんだな、と察するクロコダイル。

 

 

「あ、クロコダイルオーナー!!」

「あー……こりゃどういう状況だ?」

「それが──」

 

 

 何でも、ドラゴンの群れがカジノの入口を破壊しながら現れたと思えばその正体は蛇王海賊団で、それを見た一般客が猛ダッシュで悲鳴と共に逃走してしまったらしい。

 このままでは商売あがったりだ、と喚きながら、何とかしてくれと頼まれるクロコダイル。

 

 

 ……無茶言うな。

 それが正直なところである。

 

 

 どうでもいいが、あの大海賊の一団を相手にしてなお、きちんとカジノが成り立っているあたり、給料を上げてやるか、と考えざるを得ない。

 まあ、逃げたらそれはそれで何をされるか分からないので無理もないのだが。

 

 

 だが、これはチャンスだ。

 うまく交渉すれば、敵対は避けられるかもしれない。

 

 意を決し、何やら青っぽい狼のような巨体を椅子にして座って楽しげにしている“蛇王龍”マデュラの元へと近付いていくクロコダイル。

 当然、ロビンは逃がさない。

 

 

 “雷狼竜”ジン、懸賞金1億3000万ベリー。

 地味にデカくて邪魔だ。

 

 

「あ、あー……すいませんがお客様……」

「あ。マデュラちゃん、それがクロコダイルだよ」

「ん?」

(この野郎、おれの顔を覚えていないだと!? しかも“それ”呼ばわり!!)

 

 

 驚愕の事実。

 微妙に離れたところで座ってスロットを楽しんでいた“大怪鳥”に教えられるまで、マデュラはクロコダイルの正体に気付いていなかったらしい。

 

 慣れない敬語を使って損した気分である。

 

 

「へー。話は、えーっと……」

「麦わらのルフィです、マデュラ船長」

「ああ、それそれ。麦わらのなんちゃらから話は聞いてるよ。なんか大掛かりな事やってるんだって?」

(何っ!? 麦わらはMr.3が仕留めたんじゃなかったのか!? あの野郎、ウソの報告をしやがったな!)

 

 

 更に驚愕の事実。

 散々邪魔をしてくれた挙句、厄介なビビ王女を連れていたという“麦わらの一味”はなんと生きているらしい。

 

 実際にはマデュラはルフィではなく、麦わらの一味から話を聞いたのだが、細かい事はどうでもいいのだ。

 ルフィが一応生きている事には変わりないし。

 

 

「……VIPルームに招待しよう。こんなところで話をするのもなんだろう?」

「ん、そうだね。じゃあ皆……誰がついてくるか、ジャンケンで決めて」

「「はっ!!」」

「絶対に負けられねえ……!!」

「マデュラ様のお供をするのはボクなんだなぁ!」

「いいから、さっさとやるわよ!!」

「そうだな、ナナ!! 今回ばかりは嫁にも負けん!」

「おー、やる気だなぁテオ。ま、俺もだけどォ!!」

「今回は若いのに譲ろうかな」

「ふむ。では私もクックに倣って見送ろうか」

(ジャンケンて。いいからはよ決めろ)

(変な海賊団ね……すごく楽しそう)

 

 

 蛇王海賊団の意味不明なノリに置いていかれるクロコダイルとロビン。

 しかし、当の本人たちは至って真剣である。

 

 

 そして──。

 

 

 

「「ジャンケン……ポン!!」」

 

 

 

 数分に及ぶ熱戦の末、一人のモンスターがマデュラのお供をする権利を勝ち取った。

 果たして、それは……。

 

 

 

 

 

「ふははは!! やったのである! ワガハイの硬い守りは誰にも突き崩せんぞ!」

「「クソァ!!!」」

「……おお、珍しいね」

「……チッ。よりによってガオレンの奴か」

「まあまあ、落ち着いてシャンロン」

「私は落ち着いている!!」

「落ち着いてないよ……」

 

 

 

 “砦蟹”ガオレン、懸賞金6億ベリー。

 

 

 昔、シャンロンと喧嘩になり、彼に頭突きをかまして昏倒させて以来犬猿の仲が続いている老人、ガオレンであった。

 

 

 

「じゃあ、行こうかクロコなんとか」

「クロコダイルだ!」

「ガオレン、行くよー」

「了解なのであるッ!!」

 

 

 

 こうして、クロコダイルはマデュラwithガオレンとの交渉のため、VIPルームと称して地下の秘密アジトへと戻っていった。

 

 最終手段として水攻めも考慮してはいるが、それをした瞬間部下たちに殺されそうなので恐らく使わないだろう。

 というか、アジトが水で埋まる前にマデュラが変身すれば普通に地上に顔を出せそうだし……。

 

 




というわけでシェンガオレン登場。
簡単に言うと、あのラオシャンロンの頭骨を背負う程の超巨大モンスター。しばらくモンハンシリーズに出ていないはずなので知らない人も多いかも?

ただし古龍でもなんでもなく、蟹。
イカだけど古龍なオストガロアとは異なり、古龍級の危険生物ではあるけど、正真正銘の甲殻種です。
足が赤くなって、とても美味しそう。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。