「皆・・・・・・って言ってもここにいるのは僕を含めて7人か。それでも十分。」
提督一人で納得しているみたいですね。
「御飯を食べたらやってもらおうと思ってた事があってね。人員が欲しいから昼御飯で釣ってみたけどうまくはいかなかったよ」
「私たちを御飯で釣ったんですか!・酷いじゃないですか」
「君たちは美味しい御飯が食べられる。僕はぞれで雑用を頼む。損をしている人間はいないよね。それにこれからやってもらう事は君たちにとって有益だと思うよ」
「しかし、騙す様なやり方はどうかと思います」
加賀さんが不機嫌そうです。
「まあまあいいじゃない。それで提督、やって欲しい事はなに?」
陸奥さんは切り替えが早いです。
「まずは掃除だな。午前中に色々と回ったけど汚すぎる。使われていない施設が多いといっても限度がある。今日はちょっとした掃除をしてもらいたい」
掃除ですか。
「駆逐艦たちには、食堂を綺麗にして欲しい。さっき途中まではやったんだけどね。時間と人手が無くて中途半端に終わったんだ」
座って食事が出来る程度には片付いているものの、小汚さは否めません。
「そして空母と戦艦組は船渠を掃除してもらいたい」
「すいません提督。船渠を掃除するのですか?今のままでも十分に使用できると思うのですが?」
「使用できると、使用したくないは別物だよ。とにかく黴が生えていたり、水が濁ったりしていてそれはもう汚くてしょうがない。今まで問題が無かったとしても精神衛生的によろしくないんだ」
私は一応、理解はしました。しかし、体に傷を負った時にしか船渠は使用しないため、傷が癒えるのであれば、それで十分だと思います。
「私はお風呂を掃除するのには賛成よ。だって綺麗なほうが気持ちがいいんですもの」
「陸奥はわかってるね。とりあえず赤城、綺麗に越したことは無い。出来る事をやっていこう」
提督はそう言うとそそくさと準備を始めました。
「赤城さん。今は提督の言われた事をやりましょう」
加賀さんの言う様に、今は黙って提督に従いましょう。
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「道具はこれね。皆で頑張って終わらせよう」
提督は今日搬入された物資に掃除用具一式と何故かとても田舎っぽいジャージを取り出してきた。
「これに着替えて。汚れちゃうでしょ。こんなこともあろうかとジャージを持ってきてたんだ」
妙に準備がいいです。
「赤城と加賀の分ね。陸奥のやつはこれ」
私と加賀さんに渡されたのは上下長袖の一航戦カラーのジャージだった。どうして赤と青のジャージが入っていたのか?気にしてはいけないようです。
「私はこれね」
陸奥さんは半袖のシャツに青色のハーフパンツ。
「赤城と加賀はなんとなくイメージカラーっぽいやつだね。陸奥のは僕の趣味だよ」
「あらあら」
イメージカラーはなんとなくわかります。しかし陸奥さんのは何ですか。それに提督の趣味だとか。
「綺麗なお姉さんがジャージを着てると、僕の存在しなかった青春を想起させるんだよ」
「聞いても無いのに答えないで下さい!!」
提督を少しだけ優しい人だと思っていましたがちょっとだけ評価が落ちました。
「ねえ提督、お姉さんと遊んじゃう?」
「陸奥さん!!。話を面倒な方向に持っていかないで下さい!!」
無かった思い出を作り出さないで下さい。
「それよりも早速掃除だ。てきぱきと動いて終わらせちゃおう」
提督はそう言って食堂を、出て行きます。あの人は人の気持ちが理解できるのかどうか怪しいです。
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「加賀、もっと腰を入れて磨くんだよ」
提督が加賀さんにデッキブラシの使い方を指導しています。
「ちょっとよくわかりません・・・・・・」
それは仕方が無いことです。今まで海域で戦闘人形のように任務のみをやっていた私たちがいきなりそう掃除をしているのです。慣れているはずがありません
「加賀って意外と不器用なんだな。赤城はそこそこ様になっているみたいだよ」
「ありがとうございます提督。しかし私もこのような掃除をするのは初めてなもで・・・・・・」
加賀さんがちょっと不貞腐れた顔をしています。あの人は感情が顔に出ないだけで、意外と感情は豊かです。
「加賀も頑張ってね。応援してるわよ」
陸奥さんは妙に慣れた手つきで床のタイルを磨いていきます。
「赤城と加賀はそれが終わったら脱衣所の掃除を頼む。陸奥は僕と一緒に黴落としをしよう」
「わかりました提督」
船渠は広いため、手分けをして掃除をします。今日中に終わるか心配です。
「司令官!食堂の掃除が終わりました。他に私たちに手伝える事ってありますか?」
吹雪さん達が食堂の掃除を終えこちらやってきました。
「そうだな、君たちは窓拭きでもしてもらおうかな?これだけ人がいればすぐに掃除は終わると思うし。
「わかりました指令官」
「それと脱衣所においてあるのが君たちのジャージ。汚れちゃうから着替えておいで」
「いいのでしょうか司令」
「いいよ。いいよ。ジャージくらい好きに着なさい。」
「ありがとうございます」
不知火さんが遠慮がちに聞いていますが、その後納得した顔で着替えに行きました。
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吹雪さん達の手伝いもあり、何とか一七〇〇には掃除が終わりました
「提督、どうして僕だけメイド服なのかな?」
先程から気になっては今したが誰も聞かなかった事です。
「これも僕の趣味。時雨ってメイド服に合いそうだからね、持ってきたんだよ。サイズも丁度だろう?」
「いい趣味してるよ提督」
時雨さんは特に気にしていなさそうです。
「本当は加賀にも着せたかったんだけど、後が怖いからまた今度ね」
「なっ・・・・・・!」
加賀さんが顔を赤くしています。これは私がメイド服を着るんですか?似合いませんよ。それに恥ずかしいです。と思っている顔だ。
「着たいときはいつでもいいからね?」
「恐らくその日は来ないと思います」
加賀さんは拒否していますが気になっていますね。アレ。
「きっと似合うと思いますよ」
「冷やかさないで下さい」
怒られてしまいました。
「風呂掃除も終わったことだし、次の仕事だ。赤城以外はまた執務室に適当に物資を運んでいてくれ。今回は全部よろしく。重たい荷物は加賀や陸奥に任せていいぞ」
「私、重いものを持ちたくないんだけど」
「頼むよ陸奥、君しかいないんだよ」
「あらあら。お姉さん頑張っちゃうわ」
陸奥さん。ちょっと簡単すぎやしませんか?
「あと、加賀。一九〇〇に食堂に集まるようにと伝令を頼む」
「わかりました提督」
また提督が指示を出し私たちが従います。それにしても、私だけここに残されるのはいったいどうしてでしょう?
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ひたすらにダンボールを運びます。力仕事はあまり得意ではありませんが駆逐艦の子たちが頑張っている手前、私が休むわけにはいきません。
「そろそろ時間じゃない?」
陸奥さんが私に言います。そろそろ提督の言っていた時刻です。
「こっちはそれなりに終わったことだし、食堂へ行きましょう」
そうですね。吹雪さん達が戻ってきたら一緒に食堂へ向かいましょう。
「私、楽しみだわ」
陸奥さんはなにやら楽しそうな顔をしています。
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「とてもいい匂いがします」
食堂に来た私たちはドアを開けると今まで嗅いだ事の無い、食欲をそそる香りに惑わされました。
「おー来たか。今日の晩御飯だよ。いちいち品数を増やすのは面倒だったからカレーにしたんだよ。海軍と言ったらカレーだし、丁度いいと思ってね」
「いいじゃないカレー。とってもおいしそうよ」
「肉じゃがとか定番っぽいやつを作ろうとして、ちょっと面倒になってな。まとめて作るならカレーが一番楽に作れたんだよ」
「私たちは何でもかまいません」
そうです。御飯が食べられるのであれば、私はこれ以上のことはありません。これ以上の無い事を提督はやってくれているので、さらに何かを求めるのは強欲が過ぎるといえます。
「指令官、また私たちも食べていいんですか」
「いのかい提督?」
「ああ、いいよ。お代わりもあるからたくさん食べてね」
「ありがとうございます!!!」
皆さん嬉しそうです。
「他の艦娘達にも晩御飯の事は伝えたんだけど、来ないね」
食堂に集合とはこのことでしたか。
「まあいいか。それじゃ、みんな食べようか」
「わかりました」
皆が手を合わせてカラーを頂きます。
「加賀さん?この人参とジャガイモ、私が切ったんですよ?」
赤城さんが残っていた理由は料理の手伝いでしたか。
「赤城、料理なんてできるの?」
陸奥さんが私たちの疑問を代弁してくれます。
「料理と言っても人参やジャガイモを切るだけですよ。技術なんていりません。難しいことではないですよ。誰でも出来ると思います」
なるほど。それなら私でも手伝えそうです
「意外と楽しかったので、またお手伝いする機会があればお願いします。提督」
「それいいわね。私にも教えて欲しいわ」
「私にもお願いします」
私たちは、少しでも提督の力になりたいのです。皆が料理できるようになれば、提督の負担を減らせるかもしれません。
「そのときが来たら手伝ってもらうよ、もちろん皆にね」
ありがとうございます。
今日の晩御飯は今まで食べた中で一番暖かいモノになりました。
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皆が御飯を食べ終え、皆で片づけをする。
「提督、食器は全部洗ったよ。次は何をすればいい?」
「そうだな。それなら皆を集めてくれよ時雨」
「わかったよ提督」
皆がって提督の下へ集まります。
「よし集まったな。今後の予定を言っておこう。当分艦娘らしい仕事はなし。休み。鎮守府の復興が先。そして今日は解散。明日は朝九時に食堂に集合。そんじゃ解散」
「仕事をしないってどういうことですか!?。もし深海棲艦が現れたらどうするのですか?」
加賀さんが言っていることは間違っていない。
「それなら大丈夫。ここに来ていない艦娘たちが自主的にやっているでしょ?哨戒任務。特に川内型?その他も色々手伝ってやっているじゃん?
「それはそうですが・・・・・・」
「それで今まで大丈夫だったんだから大丈夫。なんとかなるさ。自主的にやっているなならこれ以上文句は言わないよ。あくまで、彼女たちは僕に従わないみたいだから、何もいえないしね」
「それでも!」
「まって、まって」
「提督にも考えがあるんでしょ?」
陸奥さんが言います。
「なんでもいいさ。今日着任したばかりの提督に人望なんてあるわけない。ゆっくりと時間をかけて取り組む問題は山程ある」
「そこまで言うなら信じます。もし私たちが納得の出来る理由をお持ちでなかったら、その時は話を聞いてください。」
「そのときはそのときで」
提督は適当な返事をします。
「それでは、各自解散。また会おう」
僕たちの新しい提督は。鎮守府での一日を終えた。