朝六時。そろそろ起床の時間です。
提督は朝が大変弱いので、私達が当番制で起こしています。今日の当番は私です。
それでは早速執務室へ行きましょう。提督は執務室で寝ています。何もない鎮守府なので、提督が寝る場所も執務室です。執務室に自分で持ってきた畳の上に布団を敷き、寝ています。
「おはようございます、提督」
返事はありません。わかっています。掛け布団を剥ぎ取り無理やり起こします。
「提督起きてください!!」
掛け布団を取ると川内さんと提督がいました。提督が寝ているはわかるのですが、どうして川内さんと一緒に寝ているのでしょう。
提督ならば、艦娘相手に不埒な真似をしないと思っていましたがどうやら見込み違いでした。
とりあえず加賀さんを呼んできましょう。
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「赤城さん、これはどういうこと?」
凄い表情で加賀さんが提督と川内さんを見ています。
「わかりません。提督を起こしに来たらこのようになっていました」
それに提督は包帯を巻いています。
「赤城さん、もしかすると提督は川内さんと人には言えない事をしていたのかも知れません。包帯はそのときの傷を隠すためです。
「人に言えない事とは何なんでしょうか?」
「・・・・・・っ。私の口からはとても言えません」
加賀さんは顔を赤くして下を向きました。何を考えているのでしょう?
「どちらでもいいです。とりあえずは提督と川内さんを起こしましょう」
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「そう言うわけで提督と一緒に寝ていたと?」
「そうだね」
「なるほどって、納得できますか!」
加賀さんが感情を出して話します。最近感情を出すようになりました。
「仕方ないじゃないか。提督をそのまま放置してたらもっとひどい事になっていたと思うよ」
それもそうですね。
「それに妖精さんの力を借りて傷のほうは殆ど塞がってると思うから、ある程度は大丈夫だと思うし・・・・・・」
「だからと言って提督とい一緒に寝ていいわけではないでしょう」
加賀さんの言い分もわかりますが、川内さんの介護が有ったからこそ、重症ではないと考える事も出来ます。
「赤城さんからも言ってやってください」
私はどちらかというと川内さんに感謝しているんですけど・・・・・・。
「加賀さん、とりあえずは川内さんに感謝しましょう。提督の手当てをしていなかったらもっと酷い事になっていました。それに今は争っている場合ではありません」
こんな些細な事で争っていては意味がありません。今、身内同士での揉め事はなるべく避けたい所です。
「それよりも提督、昨日の事でお話があります」
「簡単に説明するとだな・・・・・・」
私は提督に昨日の夜の事を聞きました。長門さんと何をしたのかと・・・・・。
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まったく持って提督は滅茶苦茶です。
生身の人間が戦艦に殴られるなんて訳がわからない事をやります。もし川内さんがいなければ、あの場で提督は死んでいました。
生きているだけいいですけど一歩間違えれば無残な姿で発見されていた事でしょう。
「加賀さん。いい加減期限を直したらどうです?」
赤城さんはそんな事を言いますが私は納得いきません。
「それよりも提督は無事だったんですから。今からの事を考えましょう。まずは御飯を食べるんです」
この人は最近食欲で動いている節がありますね。
赤城さんの言っている事もわかるので、とりあえずは御飯を食べましょう。
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「提督大丈夫ですか!」
提督の傷を見て駆逐艦の子達が心配そうに提督を見ています。
「まったく提督は信じがたい事をするよね?」
「戦艦に生身で挑むとは・・・・・・。感服いたします、指令」
一人だけちょっと違った考えをしていますね。
「まったく何をしてるのよ。長門に喧嘩売って無事に帰ってきただけでも立派だわ」
陸奥さんも感心するのは違うと思いますが・・・・・・。
「まあまあ、僕お無事だったしいいじゃん?それよりも妖精さんって凄いな。人間でもここまで治療できるんだから」
「一応人間相手にも治療行為は出来ますが、今回限りにしてください。艦娘と違い、人間を治療する事は何度も出来ません。今回限りの奇跡と思ってください」
一応妖精を用いた治療は人間相手にも出来るが、そもそも妖精は人間相手に出来るようには出来ていない。
人間を治療する場合は、艦娘の力を用いても普段以上の力を使う。
恐らく川内さんは、今もっている力の殆どを提督の治療に使ったのでしょう。食堂に誘いましたが、まだ眠いらしく、寝ています。彼女の場合、この時間は何時も寝ていますが、普段ほどの元気はありませんでした。当分出撃は出来ないでしょう。
「みんな心配させてすまないな。僕はもう大丈夫だから気にしないでね」
提督は言いますが・・・・・・。
「それじゃあ今日もみんなで仕事をしていこう!」
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提督は私達に本日の業務を指示していきます。
「加賀は僕と一緒に来てくれ。それ以外は解散」
提督と私だけが食堂に残ります。
「提督、私の仕事はなにかしら?」
「今日は町に出て買出しをしようかと思うんだよね」
町に出る?買出し?
「そろそろ食材がなくなってきてね。思ったよりも君達が食べるから、予想よりも早くなくなったよ」
仕方ないです。提督の料理は大変美味しいのですから。しかし少し恥ずかしいですね。
「それならば仕方ありません」
「準備ができしだい正門に集合。久しぶりに外だね」
準備と言っても私は大丈夫なのですが・・・・・・。
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「加賀、その格好は目立つ気がするんだけど・・・・・・」
なにが目立つのでしょうか?
「その弓道着みたいな格好は目立っちゃうから、スカート短いし」
「どこを見ているのですか?」
「・・・・・・。一応艦娘は軍事機密になるんだよね。僕はばれてもいいけど、偉い人たちがどうしてくれるかわからないからね。身元はなるべくばれないようにしないと」
なるほど。提督の言い分もわかりますが。
「しかし私達は、これ以外の服服装など持っていません。あとは提督からいただいたジャージくらいのものです」
「今回はそれでお願いするよ。今度服も買いに行かないとね」
「わかりました。少々お待ちください」
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「これでいいでしょうか」
「結構結構。それじゃあいこうか」
「しかしここからどうやっていくのでしょうか?公共機関などは通っていませんが・・・・・・」
心配ないよ。僕の車で行こう。
「わかりました」
少し歩いたところに車はありました、鎮守府の近くの空き地にひっそりと隠れるように置いてあります。
「僕が脱走しないようにって考えてたのかもしれないけど、何とか持ってこれたんだよね」
提督が脱走しないようにって提督は大本営からどのように思われているのでしょうか?
「久しぶりに、かっ飛ばすか」
青く光り輝き、リアウィングがいかにもスポーツカーらしさを演出します。私は好きです。
「この車は速そうですね、提督。気分が高揚します」
「わかってくれたか。この車は昔天山のエンジンも作ってた会社なんだぞ。海軍に縁があるんだ」
そう言うことですか。なんと読むのでしょう?STi?
「車の事は今はいいか。行くぞ加賀。
この後私は地獄を見ました。時速200キロで町までの山道を駆け抜けていくとは思いませんでした。公道で出す速さではありませんと注意しましたが、意味はありませんでした。
警察も軍の管轄の山でも見回りぐらいはして欲しいものです。
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「大丈夫?」
「これを見て大丈夫だと思いますか・・・・・・?」
提督の車は恐ろしいくらい速かったです。何度死を覚悟したかはわかりません。
「帰りは私が運転しますので提督は助手席に乗っていてください!!」
「加賀運転できるのか?MTだぞ?」
艦娘に成り立ての頃、希望所には免許講習があります。希望と言っても、軍にいる限り、ある程度、乗り物は運転できないといけないのでほぼ全員取りますが。重巡洋艦以上の艦娘は殆ど持っていると思います。
「それなら加賀に頼むよ。」
「じゃあ買い物に出発だ」
提督は予め予定があるのかメモを見ながら歩き出します。
「まずは・・・・・・」
提督の後を追います。
提督の車に乗っていたので忘れていましたが、私は町に来たのは初めてです。色々と面白いものが見れそうです。
柄にもなく楽しんでいますね。任務ですので引き締めていきましょう。
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午前中に食材以外の買い物を終えました。車に入りきらないものは、後日、配達してもらうそうです。
しかし、鎮守府にいらない物が多かった気がします。
「これ美味しいですね」
私達は、定食屋に来ています。
「加賀もいるし、いいところにいきたかったけど、財布事情がね。経費で落ちるかどうかわからないしね」
経費で落ちない物ばかり買っていた気もしますけれど。
「今度は美味しい物を食べよう。そのときはみんなも一緒だ」
「わかいました」
赤城さん達と町へ来る事もあるかもしれません。楽しみです。
「この後、食材を買って終わりかな。その前にちょっと知り合いに挨拶していくか」
わかりました。
「それを食べたらいこうか」
わかりました。
「提督、この白玉餡蜜も頼んでいいでしょうか?」
「お前なあ」
来るときのお返しです。これくらいはいいと思います。食べてみたかったのです。食い意地が張っているわけではありません。
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提督は同じくらいの男性とお話しています。
どうやら昔馴染みみたいです。
「それじゃあ頼んでた通りによろしく」
話し合いも終わったみたいです。どうやらある程度、話は纏まっていたみたいです。
「明日から加賀を頼む」
「よろしくお願いします」
私を頼むとはどういうことでしょうか?
「聞いてなかった?明日から加賀は鎮守府勤務じゃなくてここに勤務するの。」
聞いてませんし、私は艦娘ですよ!?
「色々やってると金が尽きたから加賀が食費くらいは稼いでもらわないと。一応日当で渡してくれるから大丈夫だよ。
「大丈夫では有りません!私のいないと所で話を進めないで下さい」
それにに私が労働ですか?今まで働いた事なんてありません。
「いいから、いいから」
提督は、軽く挨拶をして、店を後にします。
「待ってください提督!まだ話の途中です!!」
提督は私の事など気にもせず、歩きます。
「何とかなるよ。大丈夫だよ。加賀ならできるよ」
そういわれましても・・・・・・。
「次は食材だの買出しだね」
提督は人の話を利く気がないようです。
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「提督お帰りなさい」
提督と加賀さんが帰ってきました。
「どこへ行っていたのですか?」
「ちょっと町まで。色々買い物をね」
「いいですね。私は町まで行った事がないので加賀さんが羨ましいです」
しかし加賀さんは何故かげっそりしています。
「それにしてもどうして加賀さんはそんなにやつれているのですか?」
「車を運転したの。アクセルを踏んで十秒もしないうちに可笑しな方向にメーターが向くの・・・・・・ふふっ」
これは壊れていますね。
「それに私、明日から労働者になるわ。艦娘が労働って・・・・・・」
「提督色々と聞きたい事はありますが、加賀さんが壊れた理由って提督にありますか?」
「そんなことはないと思うよ」
「・・・・・・」
間違いなく提督に問題があるみたいです。
「明日から毎日通勤・・・・・・。錬度を上げなければ、間違いなく死ぬ。どうにかしないと」
さっきから加賀さんが何かを言っていますが、気にしてはいけないと思います。
「赤城、今日の業務はどんな感じ?」
提督が加賀さんを放置して私に聞いてきます。
「順調みたいです。川内さんが先ほど起きて何処かへ行ってしまいましたが問題はないと思います」
「なら良かったよ。それと赤城、加賀をどうにかしてくれ。さっきから五月蝿いんだ」
はぁ。
「直線は大丈夫、問題はカーブ。それさえクリアしてしまえばあの車を乗りこなせる」
「加賀さんは提督の車が気に入ったみたいですよ。色も青色でかっこいいですし。私は好きですよ」
「うれしいね、そう言ってくれるのは」
「今度は私も町へ連れて行ってくだささい」
「そうするよ」
後に町までの峠を爆走する、青い一航戦が産まれた瞬間でした。最速で山道を駆け抜ける話はまた次の機会に。