ORB-DARK-CHRONICLE   作:とりっぷ

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というわけでオーブダークツヴァイ、初戦闘となります。


似て非なる力

 ザイトの変身するオーブダークと円盤生物ロベルガーが対峙する。先に動いたのはロベルガーだった。オーブダークへ向けて手のひらから投げるように連続で光弾を放つ。オーブダークはそれをかわしながら距離を詰めていく。数は多いが決して捌けない数ではなかった。

 しかし近づかれていることを認識したロベルガーは光弾を放つ速度をさらに上げてきた。

 徐々に対応しきれなくなったオーブダークはやがて格闘戦の入る前に光弾の直撃を受けてしまった。

 

「ザイト!」

 

 トルテが声を張り上げるが、後は芋ずる式だった。一撃を受け体制を崩したところにもう一発、さらにもう一発と次々に光弾が直撃していく。そして地面へと着弾したものあり、やがてオーブダークの姿は土煙の中へと消えていく。

 呼吸を置かず真上へ巨大な影が飛び上がった。オーブダークだ。空中で静止した彼を追撃するようにロベルガーがさらに光弾を放つ。空得あがったことで逃げる範囲が増えた彼は自在に飛び回りながら光弾をかわしていく。

 しかしこれでは距離を詰めることはできない。こうしてずっと避け続けるのも限度がある。それまでに打開策が必要だろう。

 合間をみてはオーブダークからも紫色の鋭利な光弾を放ち牽制をする。しかしどうも効果はあまりない様で事態の打開には至っていない。かわす、弾く、かわす、弾く。何度が繰り返しているうちに、ついにロベルガーの光弾がオーブダークを捉えた。

 苦しそうな声を上げ、オーブダークは墜落していく。

 

「もう!」

 

 そこで少し距離をとった場所でペンドラゴンから戦況を眺めていたトルテが動いた。戦闘補助用のAIを起動し、レーダーを照射する。もともとスペースペンドラゴンとは複数人で操縦するのが前提の大型輸送船だ。そのうえ対怪獣戦闘も想定されているために複数人でのコントロールが必須なのである。それを補助AIで補っているのが今の状態である。

 

「ワイバーンミサイル!行くよ!!」

 

 ロックオンしたロベルガーに対してペンドラゴンから無数のミサイルが放たれる。放たれたミサイルはそのまま複数の軌道を描きながら完全に不意を突いた状態のロベルガーへと着弾する。

 

「やった!」

 

 しかし爆炎の中からお返しと言わんばかりに光弾が飛んでくる。ダメージはあったかもしれないが、どうやらこちらを認識させてしまったらしい。しかしそれは流石に分かっていたことだ。

 

「わっと」

 

 すぐさま回避行動をとる。幸いにも光弾が当たることはなかった。そして少しでもこちらに気を向けてくれたならそれだけで御の字だ。なぜならその隙に、

 

『ダークオリジウムソーサー!』

 

 その刹那の隙に体制を立て直したオーブダークから放たれた光輪は見事にロベルガーの片腕を切断して見せた。光輪の後を追うようにロベルガーの懐に潜り込んだオーブダークはそのまま強烈なボディブローを放つ。

 あれは円盤生物だ。痛覚ぐらいはあるだろう。殴られた場所を残った右腕で押さえながら後ろへ数歩下がる。さらに続けてオーブダークの回し蹴りが炸裂した。その勢いのまま後方に吹き飛ばされるロベルガーは地面を転がる。

 ロベルガーは片腕にもかかわらずすぐに体制を立て直すとお返しと言わんばかりに光弾が飛んでくる。しかし片手を失った分脅威であった連射性能は大幅に劣化している。油断さえしなければヘマをすることもないだろう。避け、腕で弾く。その中の一発を反射するようにはじき返し、ロベルガーに命中させる。

 ロベルガーが怯んだ瞬間勝負が決まった。

 間髪入れずに胸の前で腕を十字に組む。

 それはウルトラマンにおける必殺の一撃への構えである。そしてその技の名は、

 

『ダークオリジウム光線!』

 

 放たれたそれが直撃し、瞬間ロベルガーの動きは止まり爆発した。

 敵を倒したのだ。そのことを確かに確認したオーブダークゆっくりと構えを解きその場に佇みながら再び光の粒子となりペンドラゴンへと帰還していく。

 

「お疲れさまー!かっこよかったよ!」

 

 ペンドラゴンの中で元の姿に戻ったザイトにトルテはいつもと変わらぬ調子で声を投げかける。

 

「お世辞はいい」

「えー。ホントのことなのに」

「それよりもさっさと離脱するぞ。こんなところにいつまでもいるわけにはいかない」

「はいはーい。そういうならさっさと座ってね」

 

 軽口を叩きあいながら二人はテキパキと準備を進める。この辺妙に息の合っている二人なのであった。

 準備を終えたペンドラゴンは追手が来る前に間に空域を離脱し、無事に危機を脱した。

 

「ふう、とりあえず一件落着かな」

 

 そう言ってトルテは席を立つ。もう大丈夫だ。後は勝手に設定した目的地まで行ってくれる。

 

「で、傷は大丈夫なの?」

「問題ない」

 

 そう言いながら近づいてくるトルテにザイトはそっけなく答える。傷というのは言うまでもなく先ほどの戦闘で受けたものだ。あれだけ攻撃を受けたのだ無傷ということはあり得ない。

 

「まあ、そうならいいけどターミナルにつくまでには傷薬くらい塗っといてねー」

 

 そう言ってトルテはそのままコックピットを後にする。自分の部屋に戻ったのだろう。気を抜くのは早い気もしなくないが、実際に追手は振り切ったようなので小言は言わないでおく。

 トルテが言っていたターミナルというのは惑星間航行における駅である。高速道路のサービスエリアなどを考えるとわかりやすいかもしれない。それは普通の惑星にある施設であったり、または人工的に作られた小惑星であったり様々だ。彼らはその無数にあるターミナルのうちの一つに向かっているということになる。

 そんなトルテを見送ったザイトは懐からオーブリングNEOを取り出し眺める。この力は、望んだわけでも狙った訳でもなく偶然この手に収まった代物だ。模倣であり贋作。どこまで行っても真の意味でのウルトラマンにはなれない。

 

「………」

 

 この力で自分は何をするのか。それすら見えないまま力を振るい続けている。今現在自分がこの力を持っていることを知っている人間はほとんどいない。それは彼がむやみやたらに力を行使してないことに起伏する。そもそもウルトラマンの力が必要になるような場面はあまりなく、そういった場面には大抵ウルトラマンがやってくるものだ。

 考えても仕方がない。彼は途中で考えることをやめるとそのまま目を閉じ仮眠をとることにした。

 

「ザイト―、もうすぐ着くよー!」

 

 どれほど時がっただろうか、彼はいつの間にやら戻ってきていたトルテに体をゆすられ起こされる。どうやら本格的に寝入ってしまっていたようだどうやら変身しての戦闘が思いのほか堪えたらしい。

 

「ん、あぁ」

 

 気を抜けた返事をしながら彼は意識を覚醒させる。確かに目的地であるターミナルまであと5分ほどの距離だった。

 そしてそれからは何事もなくターミナルの入口へとたどり着き、さっと手続きを船を所定の場所へと止めた。

 

「やったー! 久しぶりにのんびり買い物ができるぞー!!」

 

 などとはしゃぐトルテを横目にザイトは買うものの整理を頭の中で始める。燃料や生活必需品である。

 とはいえ買い物は武骨なザイトと行動を共にしているトルテにとっては数少ない娯楽の一つだろう。嬉しそうにターミナルの繁華街へと消えていった。

 まあ事前に買うものの分担はしてあるので特に問題はない。必要なことをこなしたなら後は好きにしていいだろう。

 しばらくして買い物を終えたらしいトルテがペンドラゴンに荷物を置きに戻ってくる。

 

「ただいまー」

 

 先にささっと買い物を終えているらしいザイトに向けて声を上げる。

 

「早かったな」

「うん、ちょっと面白いもの見つけてさ」

「面白いもの?」

「これだ!」

 

 じゃーん、と袋の中から取り出したのは、クッションほどの大きさのぬいぐるみ。そのぬいぐるみはあるものを模し、デフォルメされたものだった。

 

「これは―――」

「そう!これ、ウルトラマンオーブのやつ!2個も買っちゃった!」

 

 嬉々としてそんなことを語るトルテにザイトは小さくため息をつく。確かに彼女の持つ金を彼女がどう使おうが自由だが、何もそんなことに使わなくともと思う。1つならまだいいが、なぜ2つも買ったのか。

 

「ふっふっふー。なぜ2つ買ったか気になるかね?」

「まったく」

「それは、片方を塗るためだよ!!」

 

 ザイトの返答は見事にスルーされる。この自由さというかいつも以上にテンションが高いのはそのぬいぐるみを買ったが故だろか。

 

「そそ、ウルトラマンオーブってザイトが変身してる力の本当の持ち主の姿でしょ?それでこの赤い部分を黒く塗ればザイトの変身したカッコに早変わりってこと!ボク頭いい!」

「………」

 

 ツッコむのは早々に諦めたザイトであった。代わりに買ってきた荷物の整理を始める。次の補給がいつになるかわからない以上備蓄は相当大事なことだ。

 えへんとひとしきり威張ったトルテはぬいぐるみを壁際に置き、ザイトの手伝いを始める。

 

 彼らの旅はまだまだ序章だ。




やだ、ザイトさんもしかしてそんなに強くない……?
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