IS世界の逢魔時 作:腹筋崩壊太郎
白騎士事件と世間から呼ばれた事件から1週間が経った。
未だにテレビでは事件の1か月前に発表があったISと呼ばれる既存の兵器をはるかに凌駕するパワードスーツがただの子供の絵空事ではなく、現実のものであったことに対する驚きとこれからどうなっていくのかという不安からか、ISについて議論で持ちきりだ。
ここは時計屋クジゴジ堂、そこに居候中で今はあらかじめ用意された食事をとりながら、テレビ番組を視聴中なのがこの俺、王馬ソウゴである。
「ソウゴくんそんなに熱心にテレビ見てどうしたの?君そういう議論が白熱してるやつって気が滅入るから苦手って言ってなかったっけ?」
そんな俺に話しかけてきたのがこのクジゴジ堂の店主兼、現在の俺の保護者の常磐順一郎である。
「あぁ、おじさん。いや流石にこんな物騒な話題だからね流石に苦手がどうのこうのって言えないかなと思ってつい。あと、おはよう。ご飯いつもありがとう」
「うん、おはよう。まぁ気持ちは分からなくはないけどねインフィニティ・ストラウスだっけ?おじさんにはぶっ飛んだSF過ぎてよくわからないや。やっぱり時計をいじってる方が性に合ってるよ」
「まぁおじさんはそれでいいんだろうけど、俺にとってはこの先の人生に影響があるかもしれないからね。そりゃ気にもなるよ。あとインフィニティ・ストラリウスじゃなくてインフィニット・ストラトスね。ネットじゃ縮めてISって呼んでるしテレビも今じゃそうよんでるよ。」
「あれ?間違えてた?ごめんごめん。でもテレビに夢中で時間忘れてない?もう遅刻ギリギリだと思うけど」
言われてきづいた。もうこんな時間か、どうやら思ってた以上に夢中になっていたらしい。
「ほんとだ、ごちそうさまでした。行ってきます」
そう言って椅子にかけていたバッグを肩に掛けクジゴジ堂を出る。
「行ってらっしゃい気をつけてね」
***
「さて…ここまで読んでくれた方ならわかると思いますが、この世界においてオーマジオウとは彼、王馬ソウゴのことを指しています。そもそも何故こんなことになっているのか。疑問に思う人もいることでしょう。それにはまず彼に起きたことについて、最初から話す必要があります。私が誰かですって?私はただの傍観者、それ以上でも以下でもありません。どうかお気になさらず、それではどうぞ」
***
さっきまで普通に日常生活を送っていたはずなのに気が付くと暗い空間にいた。
手元は明るかったためとりあえず手を見ると中学生くらいの子供のような手が見えた。どうやら俺は縮んだか若返ったらしい。
こんな意味不明な事態になって冷静になれるはずがなく、わけが分からなくなって声を出そうとした次の瞬間、声が聞こえた。
「慌てることはない、若き日の私よ」
その声を聴いた瞬間、不思議と体に響き体が重くなってしまったような感覚に陥った。
そんな感覚を押さえながら、声がした方向に振り返ると小さな社のようなものがあり
その中には、やけに仰々しい玉座と言っても差支えがなさそうな椅子とそこに座っている声の主らしき人物が見えた。
残念ながら顔は簾と逆光で見えない。しかしどこか親近感を覚えてしまう。
わかったのは声の主は男で普通の人間が身に着けないような服装をしているらしいことだけ。
というか最近テレビでこれと似たような場面を見た覚えがある。
「不審がることはない…とは言っても無理なのだろうな。若き日の私よ」
怪しい男がこちらの心を読んだかのように話しかけてきたが、ってちょっと待て…若き日の私?どういうことだ?まるで意味が分からない。
「あんたはいったい誰なんだ。まるで自分が未来の俺みたいな口ぶりだけどジオウにでも影響されたのか?」
「残念ながら私は正気だ。そしてお前に渡すものがあったからこそ、ここに呼んだのだ」
意味が分からない現状にイライラしてたのかふざけるのもいい加減にしろと声を荒げようとした瞬間、
頭の中に戦い方やオーマジオウの変身アイテム『オーマジオウドライバー』の使い方についての知識が流れ込んできた。それと同時にこの男は未来の自分ということに対し、なぜだか疑いを持てなくなった。
「お前には知識と力をやった。それを使い王となれ」
「ちょっと待ってくれ。意味が分からない。なんで俺が王になんてならなきゃいけないんだ」
「始まりは私にもわからない。ただ私では無理だったということだけしか今は言えない」
「いや待てよ無理だったって、百歩譲ってあんたが未来の俺だっていうことを除いてもオーマジオウの力を持ってんだろ?なんでそんな奴が無理だったことが、戦ったこともない普通の俺にできると思うんだよ」そうだ、未来の俺なら小学校のころ、空手ですら相手を殴るのが嫌で昇段しなかったくらい暴力をふるうのが苦手なのを知ってるはず
「暴力を振るうことをあまり好まないそんな頃だからこそ私はお前を選んだのだ。」
もはや拒否すら許さんとばかりに威圧感を増しながら発した声を聴いて正直もうこいつの言うことを聞くしかないのだとあきらめるしかなかった。
「もういいよ。わかったから、俺はいったい何をしたらいいの?」
なんで俺がオーマジオウの力を使えるようになったのかとか色々疑問は湧いてくるが、聞いても多分無理だろうなと思いとりあえず聞いた
「端的に言うとこれからお前を未来においてインフィニット・ストラトスが作られる世界に送る。そこでお前は最低最悪の魔王ではなく最高最善の王となるのだ」
「それって異世界転生みたいなものなのか?というかISの世界って…原作なら少し知ってるけどオーマジオウの力ならそんな世界どうとでもできるだろ?なんでお前じゃなく俺をわざわざ送るんだよ。そもそも何をすればいいんだよ」
「全ては行けばわかる。お前が私とは違う未来を創ることを期待しているぞ。若き日の私よ」
そういうと未来の俺がこちらに掌を向け…そこから先はどうなったのかわからない。
起きた時にはソファーに横になっていた。
「あぁ、よかった目が覚めたんだね。いやーここから病院までは遠いし熱とか怪我とかなかったし、とりあえずうちで横して様子を見てたんだけど大丈夫?君道路でうちの前で倒れてたんだよ?」
そう言いながらとよかったよかった起きなかったらどうしようかと思ったなどと話しているおじさんをしばらく見ていると助けてくれたことをようやく理解できたのでお礼を言う。
「助けてくれてありがとうございます。俺の名前は…えっと王馬ソウゴ?」
?おかしい俺は王馬ソウゴなんて名前ではなかったはずだ。まさかあいつが何かやったのか?ほかにも記憶に変化がないか確認ししてると、
「大丈夫?なんか唸ってるけどもしかして頭打った?なら待ってて今病院に行く用意するから念のため検査もしないとね。ところでソウゴくんお父さんかお母さんの電話番号わかるかい?とりあえず親御さんにも連絡しておいたほうが何かとスムーズになるからね」
そう言われて気づいた。俺に親はいた…はずなのにそのことに関する記憶がない。それどころか親が分からなくても大して悲しくないのが自分でもとても奇妙に思えた。
困ったおじさんはとりあえず俺をおぶって病院に行き、そこで受けた検査結果によればどうやら俺の脳は記憶する部分がおかしくなっているようで自分の名前以外は幼い日のちょっとしたエピソードや植え付けられたことに関する記憶、ここはISが世間に広まる前の世界ということしかわからなくなってしまっていた。
警察が俺の親に関して調べたりしたのだが俺には戸籍すらなく、少なくても県内には王馬という姓で子供がいる家庭は存在しないとのことだ。
そこでおじさんは見ず知らずの俺のためにいろいろ動いてくれたらしく戸籍も作られ、親が名乗り出ない限りは成人するまで面倒を見るということで話は決まったようだ。
正直おじさんの行動力に驚いた。ちなみに戸籍がなかったため誕生日はおじさんが俺を助けた日で大体この年齢だということで申請されたらしい。
おじさんに引き取られてから一か月がたったころ、
「ソウゴ君、中学校行ってみない?」
そう言われ近くにある寂れた神社で変身を試すのにも慣れ若干の飽きが出始めた時期だったため快諾、晴れて俺はおそらく2度目の中学生生活を送ることになった。
***
「以上が、彼が第2の人生を送り始めることになった経緯である。なぜ彼が選ばれたのか、未来の自分が語った行けばわかるの意味とは、未だ謎が残りますが、それはまだ未来のお話」