東方事反録   作:静乱

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第37話 崩れ去る日常、そして。

都の城。そこには、集まっていた。沢山の人間が、沢山の武器を持って。その頂点に君臨する帝が、言った。

 

「山にある命蓮寺。あの寺は妖怪の味方をしている!それはとても罪深いことだ!我々があの寺の住職を封印するぞ!」

 

その言葉に沸き上がる歓声。そして、帝を先頭に、奴らは動き出した。

 

 

~~~~~~~~~~~~

 

 

「……大分、できてきたね。」

「そうだねー!」

 

僕は小傘ちゃんと一緒に、頼んでいた家を見に来ていた。いいかんじにできてきている。もうすぐ住むことができそうだ。命蓮寺での生活も、もうすぐお別れである。少し名残惜しいかな。

 

「えへへー!此処がもうすぐ私とお兄さんの愛の巣になるんだねー♪」

「君はマジで見た目と中身が比例してないね。」

 

小傘ちゃんの爆弾発言につっこむ。この子はなんでこんな発言をするんだ。見た目は可愛い少女なのに。…まぁ、いいや。とりあえず暇だし、小傘ちゃんにお団子を奢ってあげよう。

 

「小傘ちゃん。団子、食べに行こうよ。」

「お団子!?行く行く!お兄さん大好き!」

 

この子は食べ物が好きだな。はしゃぎようが可愛い。にぱーと笑っている小傘ちゃんに微笑みかけながら、僕は都の団子屋さんに行くのだった。

 

 

~~~~~~~~~~~~

 

 

「…はぁ!?」

 

団子屋の席。僕の隣で小傘ちゃんが団子を頬張っている中、僕は驚くような声をあげた。店のお客さんが僕を見てくるが、気にせず店長さんに問う。

 

「じゃあ、帝と妖怪をよく思っていない陰陽師や一般人が、命蓮寺の住職や妖怪を封印しようとしてるってこと!?」

「あ、ああ。そういや、想也君は人間も妖怪も好きなんだよな。」

 

しまった。僕が妖怪と仲良くするのをよく思ってない帝がいることを忘れていた。僕をよく思わないってことは命蓮寺の皆だって同じようなものだ。好感など持たれている筈がない。迂闊だった、もっと注意を促すとかするべきだった。…間に合え!

 

「小傘ちゃん!行くよ!」

「おーけお兄さん!皆を助けるよ!」

「うん!店長さん、お金ここに置いとくから!」

 

そう言って、僕は小傘ちゃんと共に団子屋を飛び出して、命蓮寺の近くへ瞬間移動した。

 

 

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…転移完了。皆の霊力と妖力を探知すると、一ヶ所に集まっていることがわかった。いや、正確には星とナズがいない。何処へ…?

いや、今はとりあえず見つけた3人だ。走り出す僕。小傘ちゃんには傘になってもらって僕が本気で向かう。急げ、急げ、どんどんと後ろに追い詰められているようだ。急げ!

 

「…!見つけた…」

 

ここで僕が見たのは、

 

 

 

 

 

 

 

3人が、人間達に封印されたところだった。

 

 

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「聖!どうすれば!」

「………人間を傷つけてはいけません。潔く、封印されましょう。」

「………わかった。」

 

追い詰められた状況下で、私は結論を出した。2人も納得してくれたようだった。

 

「お前達!こいつらを封印するぞ!」

 

陰陽師達が封印の術を発動する。私は目を瞑った。……最後に、彼の声が聞こえた気がした。

 

 

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「聖さん!村紗!一輪!」

 

絶叫するように叫ぶ僕。皆が封印された、その事実が僕の頭の中を駆け巡る。………よくも…!

 

「ふざけるなぁぁああああ!!!」

「!?く、黒橋っ!?」

 

小傘ちゃんを置いて、叫びながら突進。前方にいた陰陽師を全力で殴りとばす。ドミノのように崩れてゆく陰陽師達。帝が僕に向かって叫ぶ。

 

「黒橋ぃ!何故邪魔をする!」

「皆が何をしたんだよ!ただ妖怪を助けていただけだろう!?なんで封印なんてするんだよ!可笑しいだろ!?」

「黙れ!妖怪に味方をする者は悪だ!それだけで封印する理由になる!」

「……!この屑野郎がぁああ!!」

 

殺しはしない。しかし、それ相応の罰を受けさせる!【奴らが封印される苦しみを味わあないという事実】を反対に。それが発動すると、奴らがこの場から消える。今頃、家の布団で苦しむ夢を見ているだろう。次に!

 

「小傘ちゃん!封印を解除するよ!」

「え、えぇ!?できるの!?」

 

封印解除をする。能力を使えば絶対にできる筈だ。【皆が封印された事実】を反対に。しかし。

 

 

 

それは、発動しなかった。

 

 

 

 

「………え?」

 

なんで?何故発動しない?たまたまか?ひたすら能力を発動させ続ける。しかし。

 

「くそっ!」

「お兄さん!?」

「なんで…なんで発動しないんだよ!なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで!!!」

「お兄さん……」

 

ただただ兎に角、能力を発動させようとする僕。だけど、僕の『事実を反対にする程度の能力』が発動されることは、無かった。

 

僕はしばらく、この場所で叫んでいた。

 

 

 

 

 

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