二人の魔法使いが交戦している。片方は紫もやしの異名(誉め言葉でないことは誰もが解る)を持つ、パチュリー・ノーレッジ。
もう片方は普通の魔法使い(全然普通ではない)、霧雨魔理沙。
形勢としては、少々魔理沙の方が不利だろうか?
まぁそれは、当然だろう。パチュリーは魔理沙の倍以上の魔力をその身に秘めている。
彼女の持病、喘息のせいでその膨大な魔力を使えないことの方が多いが、それでもかなりの実力者だということに変わりはない。着実に魔理沙を追い詰めてゆく。
その状況を不味いと思いつつも、魔理沙はパチュリーの凄まじい魔法を受け防戦一方でいた。
彼女のポリシーは『弾幕はパワー』。そのポリシー通り、彼女の魔法は威力こそ高いものの、避けられやすい。
それが対パチュリー戦では仇となっている。
パチュリーは見た目こそ少女だが、実際は百年以上の時を生きている。長い時を経て得た彼女の知識は、ほぼ全ての魔法を熟知していると言っても過言ではなかった。
そんな彼女に、ただパワーが高いだけの単調な魔法が、当たる筈ない(勿論、喘息が起こらなければ……だが)。
それに合わせて、今日のパチュリーはすこぶる調子が良かった。
発作が起きず、普通に詠唱ができる。その状態も、魔理沙を追い詰めている原因となる。
「くそっ、魔符『スターダストレヴァリエ』!」
焦る魔理沙はスペルを宣言する。
チョイスは間違ってはいない、寧ろ一番良い選択だっただろう。
『スターダストレヴァリエ』は、カラフルな星型の弾幕を四方八方に発射する、密度も高くパワーもあるスペル。
中々の複雑さ故、対パチュリー戦においての、主力スペルと言っても過言はなかった。
「……甘いわね」
__パチュリーの体調が、いつも通りだったら。
先述した通り、今日の彼女はすこぶる調子がいい。
身体能力に変わりはないが、喘息の発作がないだけで、パチュリーはこれだけ強い。流石は、百年以上生きた魔女……と言ったところか。
喘息もなく、魔法を熟知した彼女に、まだ魔法使いになって十年程しかない魔理沙の魔法は、簡単……とまではいかないにしても、するすると避けられた。
「……!」
魔理沙の顔が驚愕に染まる。
魔理沙は頭が切れる方だ。この厳しい戦いの中でも、素早く頭の中で計算し、『スターダストレヴァリエ』ならば少しは当たると、導き出した。
勿論、自意識過剰などではない。彼女の考えは全て的を射ている。
普段のパチュリーになら『スターダストレヴァリエ』は当たる。そこから、形勢逆転できた。
しかし、その計算は一つの誤算により全て崩れ去る。全ては、『今日パチュリーの体調が良い』という事実に、狂わされる。
「運が悪かったわね。日符『ロイヤルフレア』!」
パチュリーは隙を見いだし、スペルを宣言する。『ロイヤルフレア』は魔理沙に全弾命中……とまではいかないものの、かなりの数が命中。
魔理沙はすごいスピードで吹き飛ばされた。
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現在、僕は大図書館と呼べる場所にいた。何かの力がぶつかりあうのが感じられたから。
しかし、僕は知的好奇心という奴に負けた。大量の書物を目の前にして読みたい読みたい読みたいという思考に、僕の頭は埋め尽くされたのである。
お陰様で、僕は本来の目的も忘れて、絶賛読書中だ。……まぁ、その5秒後に目的を思い出すわけだが。
「う、わぁぁぁあ!?」
白黒の服を着ている少女が、突如として飛来。僕の後ろを左から右へ、吹き飛ばされていった。
直後に僕は目的を思い出し、少女が吹き飛ばされてきた方向、左側を向いて臨戦態勢。
しばらくすれば、紫色の服を着た、少女が飛んできた。
「……あら。あの魔法使い以外にも、侵入者がいたのね」
「……反論できないや」
言葉が口から出かかったが、正直侵入者だということに間違いはない。悲しいけれど、反論はできなかった。
「えっと……勿論、僕を追い返しますよね?」
「解っているのね。その通りよ」
交戦、開始。
先程飛んでいった白黒少女も気になるけれど、残念ながらまずはこの少女をどうにかしなければならない。
というか、この子の魔力多すぎないか?僕の霊力と大差ないんだけれど。……まぁ僕はあまり霊力に頼ってないけど。
兎に角、長期戦になりそうだ。僕は剣を構え、彼女は自分の周りに本を展開させた。