東方事反録   作:静乱

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春雪異変
STAGE-1 来ない春、待ち構えるは災厄


 全治数ヵ月の精神崩壊を経て、僕の心は完全に復活を果たした(トラウマとして残っていたりはする)。

 本来は全治数日のはずだったのだけれど……、咲夜さんが看病してくれた『せい』でこれほどかかった。いや、まさかね。メンタルケアの最中にロリコンだとか特殊性癖の変態とか言ってくるとは思ってなかった。人選ミスだな確実に。

 

 そんなこんなで季節は春。早いもんである。さーて、花粉症に恐れながらも、お外で元気に遊ぼうかなぁー……。

 

 

 

「……雪だね。想也」

 

「……そう、だね。雪だよね、フラン」

 

 外を出た瞬間待ち構えていたのは、なんとびっくり、季節外れの雪でした。チルノちゃんが歓喜しそう……とか考えている場合じゃなくて。

 

「……あっれぇ? ねぇフラン、僕らは最近紅魔館から出ていなかったためか、生活リズム的なものが崩れてしまっていたのかな? 実は今、まだ冬だったり……」

 

「いや、それはないはずだよ想也……。だって、お姉さまはもうすっかり春の季節ねぇ……って言ってたもん」

 

「……だよね」

 

 能力で確認もしてみたけれど、今は確かに春だ。文句のつけようもないくらい完全に、春。冬なんてもう、とっくに終わってるはずなのに……。

 

「異変だよなぁ」

 

「そうですね。想也様の言う通り。これは異変です」

 

「……ロリコンって言われるのもやだけどさ、その呼び方もなんかやなんで、止めてくださいよ。咲夜さん」

 

「仕事なので。大切なお客様には、礼儀というものが必要なのです」

 

 なら僕をロリコンと呼ぶな、と言いたい。

 咲夜さんはいつものメイド服にマフラーを着用、少し暖かそうな服装をして外に出ていた。普通に見たら分からないけど、ナイフも大量に隠し持っている様子。

 

「……その、全てを見透かすような視線止めていただけますか?」

 

「……え? そんな目線してましたか?」

 

「はい。まるで舐めまわすように気持ち悪い視線でした」

 

「そこまで言います!?」

 

 そうなんだよ、この人、口が悪いんだよなぁ。メイドの仕事でストレスでも溜まっているのか? ただ僕は、咲夜さんの服装を確認しただけなのに。

 

「さて、妹様。外は寒いので、お身体に障ります。今日はお部屋で美鈴とお遊びください」

 

「えー! 折角だからお外で想也と遊びたいよ!」

 

 ぎゅ、と学生服の裾を握るフラン。可愛いなぁとか考えてるとまたロリコンって弄られそうだから、自重しておく。

 

「すみません妹様。想也は私と、この異変を解決しに行くのです」

 

「えー! ずーるーいー! 私も私も!」

 

「申し訳ありません。帰ってきたら、存分に扱き使って構いませんので」

 

「ほんと! ならいいや!」

 

 いいのか。というか、帰ってきて疲れてるときに扱き使われるのか。……覚悟だけしとこう。……て、え?

 

「え? 僕も行くんですか!?」

 

「行くに決まっているじゃないですか。貴方の力は正直言って、幻想郷トップクラスです。貴方がいれば効率がいいんです」

 

「効率って……。まぁ行きますけど……」

 

 咲夜さんから見た僕って、もしかして道具としか見られてないんじゃないだろうか。看病されたことにはされたけど、それはレミリアさんの命令だしなぁ……。

 

「じゃあ、行きましょう。妹様は中に」

 

「はーい!」

 

 元気に紅魔館の中へと入っていくフラン。さて、そろそろ行きますかね……。

 

「行きましょう、咲夜さん」

 

「えぇ、そうですね。行きましょう」

 

 そう言って、僕ら二人は飛び立つ。よし、頑張るぞー。

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 勢いよく飛び立ったものの、この異変の元凶が分からず、適当に彷徨うしかない。

 

「どうしましょうか、咲夜さん。元凶が分からないんじゃどうしようもないですよ」

 

「そうですね、このままでは埒があきません。何か情報でもあれば良いのですが……」

 

 それがないから困っているんだ。前回の異変は霧の発生源を探せたから楽だったんだけど、今回はそういうものじゃないからなぁ……。

 

「……探知するんで、ちょっと静かに」

 

「あ、了解しました」

 

 一言言ってから目を瞑り、精神を集中させる。ピキーン、ピキーン、とセンサーみたいな音が耳に響くが、反応は得られない。駄目か……?

 

 

 

 

 

 ピピピピピピッ。

 

「――ッ!?」

 

 突然、耳を劈くかの如く激しい機械音が僕を襲った。反応が得られたのは空の方――否、『冥界』と呼ばれる世界から。

 感じたのは、忘れもしない『アレ』の妖力。

 

「ど、どうしたんですかっ!?」

 

「……不味いです。咲夜さん、目指すは冥界。急ぎましょう。手遅れになる前に」

 

 僕の発言を聞いた咲夜さんは、いまいち意味を理解できていないようだった。当然だろうが、説明している暇はない。今は兎に角、急がなくちゃいけないんだ……!。

 僕は咲夜さんに「着いてきてください」と一言言ってから、全速力で飛翔し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

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