東方事反録   作:静乱

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 ※キャラ崩壊。


Extra-1 『復讐』

 先程のことは、考えたくなかった。

 『人に嫌われた』素直にそれを受け止めることなんて、僕には無理だ。

 

 だから、嫌なことは全て心の奥底に仕舞い込んで、何もなかったかのように振る舞う。最低だと思う。最悪だと思う。……それでも、それでも僕は、この現実を受け止めたくないんだ。

 

 

 

 すっかり忘れたように振る舞って、僕は『ボク』が教えてくれた場所に到着する。『竹林』だ。

 ここに着くまでに何度も爆音が響き渡った。恐らく皆だろうが、今は構っている暇も、余裕もない。無視した。

 

 そして。

 

 目の前に立っているのは、白髪の少女。

 

「……やぁ。久しぶりだね、『妹紅』」

 

「……想也」

 

 生気の無い目で僕を見つめる妹紅。

 ……ちょっとびっくりかな。あの時は、あんなに元気で、ハキハキと話していたのに。

 僕がじっと妹紅を見つめていると、妹紅は、ゆっくりと語り出した。

 

「私はさぁ……。あの時想也が明かしてくれたことを、ただの嘘だって思ってた。想也は優しいから、輝夜を庇う為に、嘘をついてるんだって思ってた。……だから、ずっと想也を信じて、輝夜に復讐するんだって、それだけを糧にして、ずぅっと生きてきたんだ。孤独で」

 

「……うん」

 

 僕には、相槌を打つことしかできない。下手に何か言って、彼女を傷つけるのが怖いから。

 

『傷つける? お前は既に、何人もの人を傷つけているのに?』

 

 ……うるさい。

 

「だからね? 輝夜に会って、想也が残って月からの使者を相手にしたって聞いた時は、……裏切れらた気分になったよ。信じていたのに」

 

「……ごめん」

 

「謝罪なんていらない」

 

 さっきから、誤ってばかりだ。アハハ、上手い。『謝って』と『誤って』をかけたんだ。アハハハハハ刃頗は怕騁歯。

 もう嫌だ。

 

「ねぇ、どうしてお父さんを守ってくれなかったの? 想也の力があれば、そんなこと簡単だったよね? だって想也、陰陽師やってたもん。とっても強い陰陽師で、お金も取らない。すごい陰陽師だったんでしょ? ……その『力』を、どうしてお父さんを守ることに使ってくれなかったの?」

 

 ……確かに、そうだ。僕は守れたはずなんだ。あの人達を。

 

「……知って、いたんだ。僕が陰陽師をやってたこと」

 

 出てきた言葉は、的外れな言葉。

 

「知ってたよ? だって、家族の繋がりが無くなっちゃったあの時、私が持ってた繋がりは、想也だけだもん。想也にすがることしかできないもん。復讐を遂げたら、想也に会いたいってずっと思ってたんだよ。……私を、ちゃんと受け止めてくれるって思ってたから」

 

 思って『た』から。

 一つの文字が入るだけで、意味が全く違ってくるんだ。この場合は……過去系だっけかな? 皆も気を付けて使おうね。

 

「だけど、違ったよ。私に繋がりなんて、最初から無かったんだ。復讐の相手は皮肉にも、繋がってると思ってた想也だったんだよ」

 

 な、なんだってー。

 

「絶望したね、私は。ほんと、人って信じられないよねぇ。人って、最低だよねぇ。……皆、大嫌いだよ」

 

 僕は皆大好きなんだけどなぁ。夏休みの間しか会えないんだったら、八月三十二日を作っちゃうくらい好きだ。

 みんなみんな、大好きだよ。

 

「そういう訳だから、想也。私は、今日、復讐を遂げることにするよ」

 

 妹紅が腰を深く落とし、拳を腰元に当てる。その拳に炎を宿し、……右足をすっと、あげたかと思えば。

 

「……ごほっ……!」

 

「あれ? 避けないんだ。それとも、まさか避けれないの?」

 

 身体は宙に浮き、腹部は焼かれ、臓器を吐きそうになり。様々な痛みを感じていると、次は背中に痛みを感じた。竹に当たったようだ。竹は折れるから、折れたところが身体中に突き刺さって、痛みを加速させる。

 動かない身体。やばいやばい、ロードしなくちゃ。

 

 なうろーでぃんぐ……。

 

「うげぁっ!」

 

「……情けない声」

 

 この世界はゲームでもなんでもない訳で、ロードなんていう物は存在していない。その為、僕のゲージ溜め必殺『なうろーでぃんぐ』はそもそも存在すらしていないようであった。残念。

 情けない僕は、そのまま地面を跳ねていく。木にぶち当たってようやく止まったかと思ったら、今度は首を締め付けられた。首の凹みにしっかりと親指を押し込んでいて、これが人を殺す為の最終試験だったら、迷わず合格を出していたことだろう。

 おーい、合格だぞー? 離していーよー? ……おーい? このままじゃ僕死んじゃうぞー?

 

 あ、僕を殺すのが目的だっけ。

 

「……抵抗しないの?」

 

「もうそんな力も無いよ。この姿見れば、大体予想付くでしょう?」

 

「……はぁ。なんだか殺しがいが無いなぁ。……だからって、私は止めないけど。少しずつ苦しめてあげるよ、私の味わった苦しみを、想也にも味わってもらうんだ」

 

 そう言って、妹紅は首の締め付けを緩める。あれ、許してくれたんじゃ? と一瞬思ったけどそんなはずもなく、あろうことか妹紅は、僕の首を掴んで振り回したのである。もげるもげる、もげるって。

 

 もげそうになった僕の首を心配してくれたのか、妹紅は振り回すことを止めてくれた。やっぱりこの子はいい子だった。

 僕は感動してパァッと表情を明るくしてみせるが、……まぁそんなはずもなく。少し間をおいた後、また振り回し始めた。

 

「今嬉しそうな顔したよね? いいよ、その顔、もっと見せてよ。私は、想也が一気に絶望のドン底へ叩き落とされるところをもっと見たいの。私と同じ目に合わせてやるんだよ。……それが私の、『復讐』だから」

 

「(……随分と悪趣味な子になっちゃったなぁ、妹紅)」

 

 呑気にそんなことを考えてみせる余裕が、果たして本当に合ったのか。後から考えれば無かったのだろうが、こうして考えられていることから、きっと余裕があったのだと判断できる。

 えっ、何この矛盾。

 

 閑話休題。

 

 ところで、実は僕、この状況から脱出可能だってことを、皆さんは解っているだろうか? うん、そうそう、能力で簡単なんだ。それをしない理由はまぁ簡単で、僕は彼女の復讐を、全て受け止めるつもりだからである。『裏切れられた』って辺りはなんだか筋違いな気もするけれど、それ以外は僕に原因があることに間違いはない(はず)のだから。

 どうせ死なないし、彼女の気が済むまで、何年でも何十年でも何百年でも何千年でも何万年でも、復讐を受け止めるんだ。

 

「っあぐ、ぅげほっ。……」

 

「痛い? 苦しい? それとも、そんなことも解らないくらいに傷付いてる?」

 

「…………」

 

「……ちぇ、だんまりか。だんだん、私、つまらなくなってきたんだけど。まぁやめないけどね」

 

「……うぁっ」

 

 幾ら不老不死といえど痛みは感じる訳で、今にも死にそうだ。ていうか、ほんの少しだけ意識飛んだから、多分一回死んだんだと思う。ごめん四季さん、約束破っちった。

 

「……あ、そうだ。鉄板を熱した奴に乗せよう。昔、炎のコントロール失敗して焼死したことあるし、それ以上にじわじわくる苦しみといったらこれだよね~」

 

 そういって、ズルズルと僕を引きずる妹紅。竹がー、竹がー、刺さるー。

 

 暫く痛みに悶えようにも悶えられずこれもこれで狙っていたんじゃないかと思えるくらいの苦しみを味わった後、ようやく鉄板があるところに辿り着いたらしい。下準備を始めている。

 

「じわじわ熱するのは面倒だし、一瞬鉄が溶けないぎりぎりの温度で熱して、後は復讐を楽しむかな」

 

 S発言っぽい狂気発言を聞きながら、宣告された未来を想像して身体を震わせる。嫌だ嫌だ嫌だ嫌だー、と駄々を捏ねたかったけれど、まず身体が動かないっていう残念っぷり。……まぁ、僕は復讐を受け止めるって決めたんだから、どの道逃げるだとかそういう選択肢は無い(というより目を逸らしている)んだけれど。

 

「ほっと」

 

 ボウ、というより、ゴワァッ、ってかんじの漫画みたいな擬音を立てて、炎の柱が上がった。火力調整を間違っているとしか思えない。案の定、鉄板はドロドロになっていた。

 

「あぁ、やっちゃった」

 

 軽いなぁ、と思いつつ、真っ赤なドロドロ(ス○イムベスでも苺ゼリーでもない)の熱気で汗を垂らす。早く固まってくれないだろうか。

 しかし、その前に妹紅は、とんでもない奇行にでた。

 

「あ、そうだ。これに想也の腕を突っ込めばいいんだ。私も、この白い髪のせいで熱湯かけられたし。痛かったなぁ」

 

 これに突っ込むってことは、つまりこのドロドロに突っ込むってことだろうか。信じられない。

 あ、でも、妹紅も体験したことがあるんだったら、これは復讐に含まれるか……ってレベルが違いますよソレ。

 

「という訳で、想也。準備はいい?」

 

「……よ、く、ない、です。や、めて?」

 

 ボロボロの身体に全力の力を込めて、なんとかか細い声を出すことができた。妹紅は優しい子だから、これで止めてくれるはずだ。本当によかった。

 ……と、盛大にフラグを建てておいて(恋愛系のフラグじゃなくて)。

 

「解った、じゃあ止めるよ……なんて甘いことは言わないよ。聞いてみただけ」

 

 手始めに、とガシっと僕の腕を掴む妹紅。自分は熱くないように、炎で腕をコーティングし、そのまま勢いでドロドロに突っ込んだ。

 

 ここからも過剰な拷問が続き、R-15からR-18にグレードアップしてしまいそうなので、残念ながらここからは見せられないよ。あ、卑猥な想像した人、いっぺん冷静になりましょうね。

 では、最後に、ドロドロに突っ込まれた時の悲鳴だけ、聞かせましょうか。

 

 

 

 

 

 

「あああああああ”あ”あ”あ"あ”あ”ああああああアア”ア”ア”あああ”ア”あ”ア”あ”ア”アアアアアアあああ”あ”あ”あ”あ”あああああああ!! ぁあ”、あぁあ”、ぁあああ”あ”あ”あ”あ”あああああああああああああああぁあぁあぁぁぁ”ぁ”あああ!!」

 

「アハハ、すごい悲鳴。これで、私が経験した苦しみ、苦痛の、100万分の1は体験できたんじゃないかな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 Q.おい、俺のもこたんがどうしてこうなったんだ。
 A.ごめんなさい。
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