昨日はVSでしたが今日はリリンクでしたね。リリンクの方が楽しみだったりします、ゲームジャンル的にですが。ナルメアプレイアブル化、待ってます。
他にも色々気になる情報がありましたよねぇ。とりあえずこの作品に関係してきそうな新ClassⅣは楽しみなところ。キャラソン的ユイシス、ようやくのノア実装、『000』の時に出てきた白髪の方みたいな名前の褐色娘に、ねずみの干支キャラと色々ありました。
ですが。
私は今日来たクリスマスナルメアに全ぶっぱしました。そして爆死しました。フラム・グラスとか出ました。腹いせに砕きます。
俺はザンツの話に、すっかり聞き入ってしまった。酒が入っていたせいかうとうとしかけていた気もするが、ちゃんと全部聞いていたはずだ。途中嫁さんの惚気が入ったとこは寝てたかもしれん。
「……要は、俺に手伝って欲しいことってのはその騎空挺と関係あるわけか」
話を一通り聞いて、区切れたところを考えるとそこが本題になるはずだ。
「そういうこった。かつての俺の相棒があるのは、このファータ・グランデ空域の瘴流域に近い島。独特な気流の流れによって島に船やなんかの残骸が集まることから船の墓場と言われる島だ。船はナニカに襲われた後、偶然にも気流に乗ってそこへ辿り着いたんだと元団員から聞いたことがある」
「へぇ? 船の墓場ねぇ」
物騒な呼び名だ。しかし騎空艇を復活させてもう一度飛ばしたいと来たか。それは都合がいいな。しかもこの人は凄腕の操舵士みたいだし。
「そこに行って、騎空挺の修理を手伝って欲しいってのが俺の条件だ」
「わかった。んで、船直してどうすんだ?」
重要なのはその先だ。直して飾りたいわけではないとさっき聞いてはいたが具体的なビジョンがあるのかだけは確認しておきたい。
「う~ん。別に明確なこれってヤツがあるわけじゃねぇんだが。道半ばで倒れたあの船を大切に使ってくれるヤツに譲ってやろうかとは思ってる。また旅へとはいかなくても空を飛ばせてやれればな」
十年も旅を共にしてきたのだから、愛着は人一倍だろう。紛れもない仲間として認識しているはずだ。右腕のことも含めて十年も立ち直れていなかったくらいだからな。
「そうか」
それは丁度いい。
「じゃあその騎空挺ごと、俺の騎空団に入ってくれよ」
「は……?」
酒が入ると頭が回らなくなって、交渉など考えず思ったことを口に出してしまう。
「騎空団起ち上げようとは思ってたんだが、騎空挺を買う金がなくてな。腕のいい操舵士も欲しかったところだし、丁度いい」
「い、いやなに言ってんだよ。さっきも言ったが俺は船墜落させてんだぞ? そんな操舵士雇うヤツなんてあるかよ……」
「そっちこそなに言ってんだよ」
戸惑うザンツに半分呆れたように笑みを浮かべた。
「さっきの話聞いてりゃ、『次飛ぶ時も俺の手で』って思ってんの丸分かりだろうが」
「……」
呆気に取られたような顔をしてやがるが、話を聞いていれば誰だってわかる。
「大切な相棒なんだろ? 道半ばで倒れた相棒を空に戻してやりたいんだろ? ずっとてめえと一緒にいた相棒をてめえの手で、って思ってなにが悪い。あんたが一番悔しくて、あんたが一番望んでるはずだ。誰よりもその騎空挺を大切に想ってんのはあんただ。間違いなく、その騎空挺を操縦するならあんたしかいねぇよ。……あんたの相棒だって、そう思ってるだろうさ」
酔いの影響かすらすらと言葉が出てくる。ふとザンツを見れば、号泣していた。……大の大人がこんなことで泣くんじゃねぇよ。
「なに泣いてんだよ」
「……うっせぇ。歳取ると涙腺が緩むんだよ」
そうは言いつつも涙は一向に止まらない。仕方なく、おっさんが泣きやむまで待っていた。
「……あー、クソ。久々だな、人前で泣いたのなんて」
目を赤く腫らせたザンツは少し気恥ずかしそうに言う。
「五十過ぎのおっさんが泣くところなんて見たくもなかったけどな」
「うっせ」
「で、結局どうすんだ? 返答聞いてねぇぞ?」
俺としては騎空団を結成するのに必須な二つが一気に手に入るまたとないチャンスだ。
「……へっ。どうやらホントに燻ってる時間は終わりらしい。坊主の言う通り、俺はあいつを空に戻したい。そんでもって、今でもあいつの操舵士は俺しかいねぇと思ってる。だから、過去墜落寸前までいった俺達でいいっつうんなら、俺としちゃ有り難い。むしろこっちから頼みてぇくらいだ」
「なら決まりだな。言っとくが年寄り扱いはしねぇよ? 余生費やす気でついてこい」
「はっ。老体に鞭打たせやがって。いいぜ、もし騎空挺が復活したら坊主の騎空団の操舵士になってやる」
「おう。言っとくがとりあえずの目標は星の島イスタルシアだ。オイゲンがそこまで行く気なら、嫌とは言わせねぇよ?」
「ははっ! 面白ぇ坊主だ。そこまで言われちゃ操舵士として引き下がれねぇ。どこまでも連れて行ってやるよ!」
笑い合っているとザンツが左手を差し出してきた。
「俺は元『伊達と酔狂の騎空団』本船操舵士のザンツだ。騎空挺が直った暁には、坊主の騎空団で世話になる。改めてよろしくな、ダナン団長」
団長、か。今まで呼ばれたことのない呼称だ。なんかこう、騎空団を結成するんだな、って感じがする。
「おう。俺はただの一般人、ダナンだ。役不足にならねぇよう精々頑張るさ」
俺はそう名乗ってザンツと握手をした。
「ははっ! 冗談はよせよ。ただの一般人が好き好んでイスタルシアなんか目指すかよ。よぉし、今日はとことん飲むぞ!」
「俺はもういっぱいいっぱいだっての。話終わったんならもう寝るぞ」
「おう! ……って、あっ!?」
一層盛り上がって酒を煽るかに思えたが、ザンツはふと思い出したかのように声を上げた。
「……すっかり本題のこと忘れてたぜ」
「……」
そういや俺もすっかり話に聞き入っちまってたな。
「わざわざなんで酒飲んでまで語り合ったかっつうとだな。俺と坊主の『縁』をきちんと結ぶ必要があったからなんだよ。ダイダロイトベルトの星晶獣キクリってのは『縁』、つまりは人と人との繋がりを司る星晶獣だ。そいつを呼び出すには、簡単に言やぁ仲良くなる必要があったんだよ」
ザンツの話を聞いて、ほうと密かに感心する。どうやらそこまで考えて酒を飲んでいたらしい。
「ってことで出てこいよ、キクリ。お前さんは『縁』を司る。なら俺とダナンの『縁』からでも顕現できんだろ?」
彼が虚空に呼びかけると、光が溢れ狭い小型騎空挺の中に奇妙な存在が現れる。姿形で言えば俺が今まで会ってきた星晶獣の中だとミスラが一番近いだろうか。無生物の姿だ。糸が絡まり合ってなにかのオブジェクトのようになっている。糸という繋がりと結び目で『縁』っぽさを体現しているかのようだ。
「……マジかよ。とりあえず空図の欠片くれるか?」
まさか本当にザンツの言う通りに出現してくれるとは思わなかった。とはいえ出てきてもらったのでそのまま空図の欠片を要求する。素直に渡してくれた。確か七曜の騎士の激突で暴走したんだったか。もう面倒事はご免だと思ったのかもしれない。……なんかミスラとかキクリとか感情読めないヤツばっかこんなこと言ってんな。
「ありがとな」
一応礼を言うとキクリは早々に消えていった。
「ちゃんと出てきてくれて良かったぜ。キクリはダイダロイトベルトの星晶獣だが、祠やなんかはねぇんだ。『縁』から顕現してもらう以外に会う方法がねぇ。一日で上手く会えて良かったがな」
「ほーう? まぁそこは年の功ってヤツか助かった」
「いいんだよ、こっちは人生賭けた頼み事させてもらうんだからな」
流石『伊達と酔狂の騎空団』として空を飛び回った経験は違う。“蒼穹”で言うところのオイゲンやロゼッタみたいな経験豊富な仲間が欲しいところはあったのだ。その点ザンツなら問題ないどころか、これ以上ない人材だ。
まさかこんなところで縁が成り立つなんて思わなかったけどな。
「よし。んじゃもうダイダロイトベルトでやるべきことは終わったし、明日朝から船の墓場に向かっていいか?」
「ああ。できるだけ早い方がいいだろ。じゃあ俺はもう寝るぞ」
「おう」
ザンツに言ってから、酔いが多少落ち着いて眠気がやってきたことによりあっさりと睡魔に敗北する。ずるずると壁際で横になり丸くなるように寝転んで目を閉じる。確かベッドがあったはずだがそこに向かう余裕もなかった。
あっさりと眠って、目が覚めた頃にはベッドで寝かされていた。ザンツが運んだのだろう。
「……ん、あぁ?」
頭が重い。頭痛がする。昨日酒を飲んだ影響か。これが噂に聞く二日酔いというモノなのかもしれない。
「随分ぐっすりだったな」
声に気づいてそちらを向いてみれば、操縦室とを隔てる扉が空いていて、ザンツが操縦桿を握っていた。
「……ああ。頭が痛い」
「ははっ! どうやら坊主は酒に弱いらしいな。もう昼だぜ。今船の墓場に向かってるところだ」
「そうか。……もう少し横になってる」
「おう。大人しくしてな。最速の安全運転で、向かってやるからよ」
俺は頭痛に悩まされて身体を起こすのも億劫だが、逆にザンツは元気だ。もしかしたら昨日よりテンション高いかもしれない。俺に話してすっきりしたんだろうか。俺はとても気分が悪いけどな。
ため息を吐いてベッドに身を預けて天井を眺める。俺は酒に弱い。これは絶対に覚えておこう。あと次からはもうちょっと飲む量を減らそうか。俺、未成年なんだけど。
とりあえず大人しくしておこう。余裕があったら【ドクター】で二日酔いを治す薬でも作るか。うん、常備しておこう。俺は未成年なんだけど。
◇◆◇◆◇◆
ザンツの操縦によりかなり速かったとはいえ、それでも日を跨いだ頃。
「見えてきたぜ。あれがこれから向かう、船の墓場だ」
彼に言われて窓の外を確認する。
瘴流域という黒い嵐が壁のように立ちはだかっているそのすぐ手前に、その島はあった。大きさは小さめだったが遠くから見ても巨大な騎空挺が漂流しているのが見えた。また強い風が島を中心に吹いている。いやこれは、気流が島に向かって流れてるのか?
がくん、と小型騎空挺が揺れる。
「うおっ?」
ザンツが操縦している騎空挺はほとんど揺れがない。慌ててモノを掴み倒れないようにする。
「よし。気流に乗ったぞ。後はこのまま島に向かうだけだぞ」
「気流に乗った?」
「おう。船の墓場ってのは周囲全方位から気流が来ていて船の残骸やなんかが集まる島なんだ。島に向かっている気流に乗っちまえば後は気流が連れてってくれるってわけだ」
「へぇ」
雑学に感心していて、重大なことに気づいた。
「気流が全方位から、ってどうやって島を出ればいいんだよ」
出航時にとんでもない強風が吹き荒れるようなモノだ。とてもじゃないが離れられそうにない。
「そう。島に辿り着いたら一貫の終わり。出ることはできない」
「……おい」
「落ち着けよ。普通なら、って話だ。生憎と俺は普通の操舵士じゃない。一流の操舵士だ。ちゃんと出られるぜ」
「……まぁいい。そこはお手並み拝見といくか」
もう気流に乗ってしまったのだから逃げ場はない。当時ザンツ以外の団員が船を見捨てるしかなかったのだから、少なくとも自力では飛べないぐらいの損傷は受けていると思うべきだが。さてその修理にどれほどの時間がかかるんだか。
一日やそこらで終わるようなモノではないだろうし、長期滞在を覚悟しておいた方がいいかもしれない。なるべく早く終わらせるに越したことはないが。
段々と島に近づいていく。すると、俺のフードのポケットに入れているワールドのカードが熱を持って光り始めた。……マジかよ。
完全に予想外ではあったが、あの建物もないような島に賢者がいるらしい。移動中不時着したのか、それともずっと前から住んでいるのかはわからないが。ともあれ好都合だ。小さい島ということもあるし、調査だと断りを入れて会ってみよう。
「……今度は、ヤバいヤツじゃなきゃいいんだけどな」
俺は口の中だけでボヤくのだった。
さぁて、次の賢者は、っと。
短い期間で遭遇できるダナン君もなんだかんだ運がいい?