ナンダーク・ファンタジー   作:砂城

162 / 245
前回全員集合したのでベスティエ島の決着となります。

VSはリアタイでコロッサス倒したところですね。まったりいきます。


ここに全ては整った

 準備は全て整った。

 このナル・グランデ空域にいる仲間は全員ここにいるし、島にいた強力な星晶獣達も復活させた。“蒼穹”の合流なんて待たずに解決してやる、と考えていたことを考えると充分な戦力が集結している。

 フォリアとハクタクも戻ってこれたし、おまけでロベリアも来ていたし。……ってかあいつホントどうやって空域越えてきたんだか。いや、あいつのことはどうでもいい。

 

 兎も角、後は全力で挑むだけだ。

 

「幽世の存在に対処しつつエキドナを倒す。エキドナを倒して動きを止めてくれれば俺がエキドナから幽世の力を引き剥がす」

 

 俺は合流したフォリアや作戦内容を知らない星晶獣に向けて、改めて流れを説明する。

 

「付き合いが浅いヤツも多いから連携なんて言わねぇ。全員好きにやれ、勝つぞ」

 

 “蒼穹”のように全員で協力して、なんて上等な真似ができるとは思っていない。なにより団長である俺自身が、好きにやる方がやりやすいってのもある。連携はスツルムとドランクのようにできるヤツ同士でやればいい。

 

「ならこの軍神が一番槍を貰うとしよう。暴風よ、荒れ狂え!!」

 

 なぜか顔を手で覆ったポージングをしながら復活した星晶獣の一体が大袈裟な所作で特大の竜巻を形成し幽世の群れを細切れにしていった。

 流石に同じ星晶獣だけあって先程タワーが粉砕した数と同等を巻き込んでいた。

 

 ふっ、と髪を搔き上げてちらちらとこっちを見てくるのはなんだろうか。

 

「むにゃむにゃ……ワシも負けておれんのぅ。テンペランスよ、力を貸すのじゃ」

「応じる」

 

 エスタリオラは言ってテンペランスを出現させ、同時に風を放つことで巨大化させて攻撃した。星晶獣がやったのと同等の範囲攻撃だった。

 

「……ぐっ、まさか僕に匹敵するなんて」

「ふぉっふぉっふぉ。この大魔導師エスタリオラ、星晶獣とはいえ小童の姿をした者には負けんのぅ」

 

 星晶獣は多分覇空戦争時代から生きてるから大分年上だろうけどな。まぁ人間味ありそうだしいいか。

 

「万象悉くを焼き尽くそう」

 

 紫の肌を持つ男が左の上の手を掲げて掌に雷と炎を集めて一つの槍を形成する。無造作に放ると通り道の軍勢を焼却するのはもちろん、一定距離飛んでから白光を撒き散らして爆発した。爆発に呑まれた幽世の存在は塵も残さず滅された。

 

「悲嘆に暮れよ」

 

 金髪の美女が澄んだ声で呟くと、彼女の周辺から淡い緑色の閃光が放たれる。閃光は幽世の存在を貫き、終いには爆発して広範囲を滅していた。

 

「刃鏡、展開!」

 

 赤髪の美女の声に呼応して周囲を浮遊していたガラスの破片が俺達の周囲に飛び散る。なにが起こるのかと思えば、幽世の攻撃に対して赤い障壁を展開し防御してくれるようだ。

 

 ……四体とも強すぎるだろ。それに匹敵してる賢者も化け物だが。

 

「これは頼もしい。新しい仲間もたくさん増えているようですね」

「そこの星晶獣四体は利害の一致だけどな」

 

 バラゴナへ正直に返す。

 仲間入りしてくれたわけじゃない。まぁ無理を言う気はないし、今助けてくれるだけでも有り難いモノだ。

 というかこいつらを率いてる団長として、俺って格みたいなのを見せた方がいいんじゃないだろうか? 団長が急遽現れた援軍より戦果上げないとか情けないかもしれん。

 

 そう思ってワールドの能力で島周辺にいる全ての軍勢を把握する。

 

「――消えろ」

 

 そして、漏れなく金の粒子へと変換した。おかげで遠くにエキドナの姿を確認できた。

 

「……流石にこれは真似できないね」

 

 カイムが口にした言葉を聞きちょっと得意気になりそうになってしまう。俺の力じゃないのが残念なところだ。

 

「この隙に近づくぞ。穴からいっぱい出てきてるしな」

 

 とはいえ穴を塞がない限り無限に湧き続けるんじゃないかとさえ思う。全滅も一瞬だけで、すぐ湧いてきた。

 だが格段に進みやすくなったのは間違いない。加勢によって迎撃の手が増加し倒しながら進む速度が上がっている。

 

「ダナン君。さっきみたいに一掃すれば戦力を掻き集めなくても大丈夫だったんじゃないの?」

 

 進みながら、飛んできた幽世の存在を斬り伏せながらレオナが尋ねてくる。

 

「いや、無理だな」

 

 俺は駆けながらきっぱりと否定する。

 

「あれは段階的に力を増すから当時だとできなかった可能性が高い。それにあれと同時にエキドナから幽世の力を引き剥がすのは並行しづらい。できないとは言わないが、成功確率が低くなる」

「そっか」

 

 もっと早くに解決できれば、空域内の被害も減ったかもと考えているのだろうか。

 

「そういえばアリア嬢」

「なんですか、バラゴナ」

 

 呼び方のせいか、アリアの言葉には険がある。

 

「あなたはいつまでその薄着姿なんですか? 鎧くらい買えばいいでしょう」

「……私は元々イスタバイオンの騎士です」

「知っていますが?」

「……言わなければわかりませんか? 私は今、無一文の身です」

「ああ、なるほど。それで鎧を新調できなかったと」

「わかったなら言わなくていいでしょう」

「はは、すみません。お嬢様にしては随分と軽装でしたので」

 

 アリアがずっと薄着なのはそういった理由があるらしい。……それなら言ってくれれば買ってやったのに。まぁそういう妙なところで真面目さを発揮したんだろう。それに、もしかしたら自分で稼いだ金でモノを購入すれば自分で動くことの意義を実感できるかもしれないしな。

 

「むぅ、妹が貧乏じゃ。姉として将来が不安じゃ……ハクタク、右から来ておるぞ」

「わかっています」

 

 アリアを不憫に思ってかフォリアが嘆息している。

 

 ……こいつら雑談しながらなのに無双しすぎだろ。強者がいすぎてどれだけの軍勢が来ようと即座に倒していってやがる。

 

「しかしこれだけの猛者が集うとは、あなたも曲がりなりにもカリスマがあるのですね」

 

 余裕があるのか、バラゴナが楽しげに話しかけてくる。もしかしたら今まで誰も信用せず生きてきたせいで会話に飢えているのかもしれない。

 

「カリスマってほどじゃねぇだろ。利害の一致やらだ。カリスマが理由でついてくるのは、あの双子の方だろ」

「そうですか? どう思います、アリア嬢」

「……なぜ私に聞くのですか」

「私はほとんどの方を知りませんから。あなたの見解なら見ず知らずの他人よりは信用できる」

 

 バラゴナは終始穏やかな口調だ。それでいて剣は強く幽世の存在を一撃で葬っているのだが。

 

「……カリスマは、あると思いますよ。でなければ少数でも人が集まることはないでしょう。“蒼穹”の二人よりは弱いというだけで」

「ほう」

「懐も広く、団長として動こうとしているのか周囲に気を遣っているようにも思えます。ある程度上に立つ才能はあるようですね」

 

 うわ、なんか凄くハズい。そんな風に思われてたのか俺。……何方向からか生温かい視線が向けられてる気がする。

 

「意外と高評価ですね。あなたもそれを実感しましたか?」

「……それは個人的な内容では?」

「ええ、個人的な興味です」

「では答える義理はありませんね」

 

 ツンと返すアリア。……俺、アリアに対して懐が広いようなところ見せたっけか? いや、見せてない気もするな。まぁちょっと買い被られてるところはあるのかもしれん。オーキスやらドランクやらを仲間に引き入れるくらいだからと。

 

「雑談はそこまでにしとけよ。……着いたぜ」

 

 俺から言って空気を引き締めてさせる。これもまた団長としての役割みたいなモノだろうか。

 

 やがて辿り着いた先には姿の変わり果てたエキドナがいた。とはいえ俺は苦しめられている様子しか通常状態を見ていないので、険しい表情になったのは四体の星晶獣だろうか。

 白髪に黒い目隠しをしたような姿で、全体的に禍々しさを湛えている。幽世の存在が纏っている霧のようなモノを発しており、完全に取り込まれてしまった形だ。

 

「幽世の軍勢を蹴散らしながらエキドナを倒す。動きを封じてさえくれれば俺の方でエキドナを解放する。頼んだぞ」

 

 俺は言って腰のパラゾニウムを手に取り【ウォーロック】へと変化する。

 

「労しい姿ですね、エキドナ。私は普段のあなた様を取り戻すために、この力を振るいましょう」

 

 金髪の美女が言って手を掲げる。

 

「プレアデス」

 

 そこから水の奔流が放たれて幽世の存在を巻き込みながらエキドナを撃った。だが直前でエキドナが障壁かなにかを展開して防いでみせる。母として子を守る星晶獣なんだとしたら、防御力が高い可能性はあるか。

 

「踊り狂え、終焉の風よ!」

「ひょい〜ん!」

「僕だってぇ!」

「じゃあ僕も同じことしようかな」

 

 星晶獣、エスタリオラ、カイムの竜巻がエキドナを襲う。トキリもなにかの技なのか高速で回転し斬撃の竜巻を巻き起こすのだが、射程の問題か周囲の幽世のヤツらを斬り刻むだけに終わった。だがそれもまた戦闘で役に立つことだ。最強である必要なんてないんだがな。

 三人の竜巻によって水の奔流を防いだ障壁が砕け散る。

 

「一切合切灰燼に来さん」

 

 火の星晶獣が三叉槍に業火を纏わせて振るう。辺り一帯の軍勢を蹴散らしながら進んだ炎の斬撃が障壁の壊れたエキドナに直撃するが、多少ダメージを与えた程度だった。

 

「これはこれは、頼もしい限りですね」

 

 バラゴナは穏やかに微笑みながら悠々と敵を斬り伏せていく。

 

「貴方も本気で戦ったらどうですか?」

 

 剣速が速いこともありバラゴナより多くの敵を斬っては捨てていくアリアが咎めるように告げた。

 

「これでも加減をしているつもりはありませんよ」

 

 バラゴナは言いつつ「ですが」と加える。

 

「戦力になっていないと思われるのも癪ですね。――五月雨斬り」

 

 彼は幾度も剣を振るい斬撃を複数見舞って軍勢をまとめてバラバラに切り刻む。

 

「……真面目に戦う気があるなら構いません」

 

 アリアは言うと剣に光を灯して一閃する。虚空に黄金の軌跡が浮かび、やがて光を強めて周囲の敵を一掃した。

 

「皆、強いね」

 

 とは言うがアネンサも幽世の存在を瞬く間に斬り捨てていっている。

 

「妾達も負けておれぬの、レオナよ」

「はい」

 

 各自の奮闘を見て燃えたらしいフォリアとレオナも奮闘している。いや、誰もが奮闘してくれていた。見えないがガイゼンボーガとロベリアも楽しく戦っているはずだ。

 一部好き勝手やっているだけのヤツらもいるが、一丸となって事態の終息に動いている。

 

 連携なんてなく、ただ自分の目の前の敵を倒し続けているだけにも思えるが、全員が担当を被らず目の前の敵を倒せば全方向がカバーできるということだ。意思疎通がきっちりできるわけではないため、それが俺達にできる最大の連携だ。

 だがそのおかげで先頭だった俺はエキドナ目前まで到達することができた。

 

「――――!」

 

 目前まで迫ったエキドナは敵愾心を露わにして咆哮する。あろうことか周辺に幽世の軍勢が出現する穴が出来ていき、わらわらと湧いてくる。

 

「面倒だな、ったく」

 

 奥義でまとめて攻撃するかと思いパラゾニウムを構えると、

 

「あなたの力にならせて」

 

 ニーアからなんらかの効果を付与される。強化効果の類いだろうと思い、奥義を発動。闇の斬撃を無数に放ち眼前の敵ごとエキドナを斬りつけた。直後は反動で動けないはずなのだが、もう一発奥義を発動できた。エキドナ周辺の敵を一発目で蹴散らし、二発目はエキドナのみに全て向かった。残念ながら障壁によって防がれてしまったが、反動なしに奥義を二連発できるとは予想外だった。……正直なところ、自分のためだけの能力が多いのかと思ったのだが。味方をサポートするような能力も持っているらしい。

 

「援護ありがとな、ニーア」

「……うんっ」

 

 自信のない娘なので、ちゃんと礼は言っておく。デスの戦闘力も星晶獣故に高いモノだし、なかなかニーアとデスのコンビは強いのかもしれない。

 

「やるね。私も負けてられないかな。クリムゾンナイトメア!」

 

 フラウは笑って劫火を脚に纏わせ敵の群れに叩き込む。範囲内の敵は焼き払われていった。

 

「我が神剣の威力を見よ! ラーグルフ!」

 

 赤髪の星晶獣が巨大な剣を振り下ろし大地を割る斬撃で敵を蹴散らす。強力な一撃がエキドナの障壁を破砕した。

 そこに突如真横から突っ込んできた人影がエキドナの巨体へと殴りかかる。

 

「吾輩の行く手を阻めると思うなぁ!」

 

 ……あのおっさん、好きに戦っていいとは言ったが。

 

 ガイゼンボーガは殴り飛ばしたエキドナを無視して幽世の軍勢を殴りまくりながら群れの中に消えていった。……なんだあいつ。

 

「……まぁ、無視でいいかな」

 

 その様を見ていた数人が困惑しているのか固まったので、そう言って気にしないことにした。

 

「しかしエキドナは硬いですね。今のところ直接的な攻撃はありませんが」

 

 アリアが空気を取り持つためか考察を口にする。

 

「確かに厄介な守りですが、ここにいる方々なら貫けないということもないでしょう」

 

 バラゴナは同意しつつも確信を持って告げた。

 

「じゃあ何人かで幽世の軍勢を相手にして、他のメンバーでエキドナを攻撃したらどう?」

 

 カイムが思いついた案を俺に向けて聞いてくる。……まぁ、それが妥当か。

 広範囲殲滅向きのヤツらを雑魚掃討に回したいところもあるが、総じてそういう連中は総合火力が高い。となると人員を割くのを悩むところはあるな。

 エキドナも脅威を感じ取れば何枚もの障壁を張って防御に徹する可能性がある。障壁を貫いて敵にダメージを与えられるヤツを選別すれば、自ずと分担もできてくるか。

 俺はエキドナから少し距離を取って『ジョブ』を解除する。

 

「……トキリ、レラクル、カイム、クモルクメル。雑魚担当で頼んだ」

「少ないけどいいの? 僕の想定だともう少し増やすと思ったんだけど」

「俺は温存しときたいんだよ。俺が加勢しなくてもエキドナを倒せるだけの戦力を向かわせた方が確実だ」

「確かに、成功確率が高い方がいいね」

 

 カイムの賛同が得られれば、作戦の成功はほぼ間違いなしだ。俺に見えていないところまで考慮した上での結論だろうからな。

 

「貴方の力を消耗せずに攻撃する方法なら、私に案があります。最後は任せます」

 

 アリアはそう言って前に踏み出し剣を構える。そこにバラゴナも並んだ。

 

「……また貴方と共闘することになるとは思っていませんでした」

「私もですよ。……ここには随分と強い方が多いようなので、ここらで七曜の騎士たる所以をお見せするべきだと思いませんか?」

「構いませんよ。元よりそのつもりです」

 

 並び立つ七曜の騎士が二人。確かこの二人はギルベルトについてベスティエ島に攻め入ったんじゃなかったっけか。その二人が今度はエキドナを助けるためにとは、因果なモノだ。

 

「ならば人の子よ、我も力を貸そう。――ブラフマン・ルドラ」

「私もお手伝いします。――テュロス・アジリス」

「守護を与える。存分に攻めるがいい。――ニーベルン・シルト」

「汝らに軍神の加護を与えよう……ラストストーム・テンペスト」

 

 それに応じて四体の星晶獣がやたらと強化効果をつけてくれた。それぞれができる最大の強化なのだろう。明らかに感じ取れる力が違う。

 

「じゃあ全力全開で叩き込め。後先は考えなくていいぞ、これで終わらせる」

 

 俺は一応団長の立場なので指示を出し、各自に任せる。

 

「ええ。ではやりましょうか」

 

 アリアが言って、三度振るった剣の軌跡でトライアングルを描いた。

 

「星閉刃・黄昏ッ!!」

 

 そこから黄金の奔流が放たれる。

 

「私も本気で参りましょう。――朱連刃・朱華」

 

 バラゴナは剣を横薙ぎに振るって朱色の蓮華を咲かせるとそこから赤色の奔流を放った。四体の星晶獣が強化した七曜の騎士の全力の一撃。エキドナを守ろうとしたらしい幽世の群れも、エキドナが張った障壁も難なく粉砕する。エキドナは幽世の力を借りたらしい禍々しい奔流で対抗しようとするが、あっさりと押し返されて二つの奔流に呑まれていく。

 

「一気に畳みかけてください!」

「後のことは、お任せしましょう」

 

 二人の一撃によってエキドナまでの幽世の存在が全滅し、エキドナも体勢をすぐには立て直せていない。

 

「……謳え」

 

 追撃しようとする中で真っ先に動いたのはナルメアだった。紫の蝶の群れが飛び立ち、こちらに向かいエキドナまでの道のりを塞ごうとする軍勢を細切れにする。本人は突如エキドナの眼前まで現れていた。

 

「胡蝶刃・神楽舞」

 

 刃の形状を変えて一閃、エキドナにダメージを与える。

 

「一刀華流」

 

 ナルメアと同じように冷たく響く声音で唱えると、アネンサは持っていた大太刀を大上段から渾身の力で振り下ろした。特大の斬撃が放たれて、集まろうとした軍勢ごと両断する。

 そこで二つの影が飛び出す。レオナと、フォリアとハクタクだ。

 

「レオナ、先に行かせてもらうぞ。ハクタク、合わせるのじゃ」

「承知しています、我が王よ」

「「風雅煌玉ッ!!」」

 

 フォリアとハクタクが息の合った連携でエキドナを追撃する。終わった後のハクタクの咆哮がよく響いた。

 

 ハクタクの脚には敵わないので遅れて、レオナもエキドナに迫る。先の二人がエキドナにしか攻撃していなかったため軍勢もレオナを狙ってきていた。だが彼女は駆けながら薙刀を振るい幽世の存在を確実に仕留めていくと、高々と跳躍する。空中でも自在に操る薙刀で敵を薙ぎ払い、頂点から一気に飛んできた幽世の存在を蹴り飛ばしてエキドナへと武器を振り下ろした。

 

「獅子烈爪斬ッ!!」

 

 気迫充分に振り下ろされた渾身の一撃がエキドナを追い討ちする。

 

「人の子よ、避けるがいい」

 

 整った顔立ちの額にもう一つの目を描き、そこから煌々と輝く光を放つ。レオナが慌てて横に逸れた直後、彼の額から超高熱の熱線がエキドナへと放たれた。近くにいた俺の肌が焼けそうになるほどの熱線はエキドナを穿ち島の反対側まで抜けていく。

 貫通力はあるが広範囲を殲滅するような攻撃ではなかったため、エキドナの周辺に軍勢がまた集まってきてしまう。

 

「我が奥義、受けるがいい! ――刃鏡螺旋ッ!!」

 

 そこにもう一人の星晶獣が巨大な赤白の剣を引き、刃の周辺にガラス片を集めていく。そして剣を突き出すと同時にガラス片の混じった奔流を発生させて軍勢を細切れにしつつエキドナまで攻撃を届かせた。

 

「今が好機ですね。トーラス・ブライト」

「万象を穿つ必滅の一撃! 今此処に顕現せん!」

 

 エキドナまでの道に星の軌跡が描かれ、そこから放たれる波動が一帯を綺麗に掃除する。

 掲げた槍に風を纏わせ、エキドナに向かって真っ直ぐ投擲した。吹き荒れる暴風が槍の勢いを後押しして突き進んだ結果、雑魚を吹き飛ばし障壁を貫いてエキドナの脇腹を穿った。しかも投げた槍が消えて手元に戻ってくる。凄く便利そうだ。

 

「じゃあ思いっきりいこうかな。パワーコンフラグレーションッ!!」

「……ダナン君の敵は皆、皆消えればいい。クラーゲン・トーテンタンツッ!!」

 

 賢者が二人、奥義を炸裂させる。同じアーカルムシリーズの星晶獣と契約した者同士でありながら、その在り方は別物だ。

 フラウは鮮烈に、炎に照らされて美しく、派手な爆裂音を響かせて蹴りを放つ。

 ニーアは暗く沈んだ瞳でエキドナを捉え、地面から怨霊の群れのようなモノを発生させる。亡者の雄叫びのような音がして幽世の軍勢を呑み込み、範囲内にいた全ての敵がぱったりと動かなくなり、落下していった。……幽世って死後の世界とも言われてるから死の攻撃は効かない可能性も考えたんだが、問答無用で死んでいったな。まぁ倒せるんだからただの死者ってわけでもないのか。

 

「すー……すー……。エテルネル・レーヴ」

 

 穏やかな寝息とは裏腹に、エスタリオラとテンペランスが風を吹き荒らして軍勢を一掃させた。彼は最後に俺が攻撃することを考えてか、周囲の軍勢を排除することを優先的にしたらしい。流石は大魔導師。

 

「くっははは! 素晴らしい破壊のアルモニーじゃないか! オレも混ぜてくれよ。ラ・ドゥルール・オーヴァーチュアッ!!」

 

 テンションが上がっているらしいロベリアが参入してきて、タワーと共に破壊の嵐を撒き散らす。エスタリオラの攻撃の後だったために、エキドナを守る全てのモノが排除された状態と化した。……連携するようなタイプじゃないことはわかってるんだが、タイミングだけはいいな。

 

「ダナン、こちらを」

 

 そこで最後の一撃を加えるための案があるというアリアから、彼女の持っていた剣を手渡される。思わず受け取ってしまうが、どういうつもりなのだろうか。

 

「それは七曜の騎士として真王から授かった剣です。その剣なら、星晶獣の力を吸収して力を振るえるでしょう」

 

 その言葉に、彼女の提案というのがようやくわかった。

 アリアは俺に、この剣を使ってこの場にいる星晶獣の力を掻き集め、その力を使って攻撃しろと言っているのだ。

 

「けどいいのか? これ、七曜の騎士しか使っちゃいけない大事な武器なんだろ?」

「構いません。私も追放されかけの身でしょうし、使えるモノは使ってしまいましょう」

 

 おぉ、アリアの発想が柔軟になっている。

 

「じゃあなんで俺なんだ?」

「得意とする属性の問題です。貴方なら、どの属性であっても扱えるのでしょう? なら色々な属性の星晶獣がいるこの場では、貴方が適任です」

「なるほどな。じゃあ有志だけでいいが、この剣に力を分けてくれるか?」

 

 こんな力があったなら、ベスティエ島では無敵に近いだろう。そこを“蒼穹”は星晶獣の力ありきで退けたということは、教えの最奥に至った場合この剣で奪えなくなるのだろうと思う。おそらくだが、賢者達と契約している星晶獣達も奪えない可能性が高い。

 つまり自主的に分けてもらう必要があるわけだ。

 

 四体の星晶獣は躊躇なく、エキドナを助けるためだと割り切っているのか力を分けてくれる。

 

「デス、お願い」

 

 それから真っ先にニーアがデスに頼み、その後もデビル、ハングドマン、テンペランスの順で力を与えてくれる。……ワールドは、まぁ無理か。

 

「助かる。さぁ、これで終わりだ」

 

 俺はエキドナを見据えて剣を上段に振り被る。煌々と輝く刀身を渾身の力で真っ直ぐに振り下ろした。当然幽世の存在もいたが、直撃していなくても蒸発させていく。

 振り下ろしと同時に刀身の輝きが強まり天まで届く巨大な刃と化した。輝きのみのはずだが幽世の軍勢は片っ端から蒸発し、難なくエキドナまで振り切れる。エキドナの障壁をモノともしない一撃がベスティエを両断するかのように放たれた。

 

「星天撃ッ!!!」

 

 なんとなくで名前を考え、それっぽく叫ぶ。

 星晶獣の力を集めた天まで届く剣撃、というそのままだがネーミングセンスについてはとやかく言われたくない。

 

 しかしその威力は絶大で、大半の軍勢を消滅させた上でエキドナは倒れて動かなくなっていた。……星晶獣だから死にはしないとはいえ、やりすぎたかもしれん。

 

「ありがとな、アリア」

「いえ」

 

 彼女に剣を返し倒れて動かないエキドナへと歩み寄る。意識はないようだが油断は禁物だ。幽世の力を得て復活する可能性はある。そうなる前に俺が解放してやろう。

 屈んで倒れた巨体の頭に触れる。エキドナの身体をじっくりと分析する。万が一にも幽世の力を残さないために。やがて全体の把握を終え、少しずつ慎重にエキドナから幽世の力を引き剥がしていく。

 

 その間も俺を仕留めようと穴から這い出てくる軍勢は、エキドナを倒すのに力を使い切ったであろう連中が倒していってくれた。おかげで俺は作業に集中できる。

 

 八割方引き剥がすと幽世へ繋がる穴も減っていく。とそこで、ゼオ達が幽世から戻ってきていないことに気づいた。エキドナの分析も行ったことで穴の開き方がわかったので、適当に穴を抉じ開ける。覗き込むと幽世の軍勢がうじゃうじゃといやがった。だが何度か閉じたり開いたりしている内に当たりを引けたらしく、ゼオの姿が確認できた。

 巻き込まれたというルリア、カタリナ、ラカム、そして金髪の幼女の四人も無事だ。丁度なにかが起こったのかカタリナが騎士の姿をしたなにかを呼び出し、現世への道を形成する。……あれは教えの最奥か? まぁよくわからんが無事帰ってこれそうだ。ワールドの能力的に幽世が少しでも分析できたのはいいことだろう。あいつが喜ぶかどうかは知らないが。

 

 いなくなるまで様子を窺っていたがゼオも一緒に帰ってこれるようだ。なら俺の手助けはいらないかと思い、穴を閉じる。

 島の状態を把握して五人がこっちに戻ってきていることを確認してからエキドナの幽世の力を完全に引き剥がす。

 

「……ふぅ。これで問題ないだろう」

 

 俺が一息つくと四体の星晶獣達が近寄ってきた。

 

「人の子よ。感謝する」

「私からも、心からの感謝を」

「礼を言おう」

「人にしてはやるようだな。褒めてつかわす」

 

 他三体は殊勝な態度で、一体だけ偉そうに礼を述べる。しかし他の三体から白んだ目を向けられてバツが悪くなったのか、頰を掻いた。

 

「……エキドナを助けてくれてありがとな」

 

 おそらく素の口調でそう口にした。カッコはつかないが、親しみやすい星晶獣なのかもしれない。

 

「……んぅ、あれ、私……」

 

 そこでエキドナは目を覚ます。とはいえ糸目なのか瞼は持ち上がっていない。

 

「エキドナ、無事ですか?」

「え、あ、うん。ごめんね、あんまりなにが起こったかわかってなくて……」

 

 金髪の美女が心配そうに屈み込みエキドナに回復を施していく。

 

「あんたは星晶獣を狙う野郎に、幽世に落とされてたんだよ」

「そうなんだ、お母さんを助けてくれたんだね、ありがとう」

 

 俺の言葉にエキドナは柔らかな笑みを浮かべる。……お母さん、か。俺にはわからない感覚だな。

 

「とりあえず戻ったなら良かった。用は済んだし、もうここにいる必要はないな。あんたは空図の欠片を持ってるのか?」

「うん。持ってるわ。はい、どうぞ」

 

 エキドナは頷くとどこからか出現させた空図の欠片を渡してくる。すんなりといったな。さて、これでもうここに用はないな。ルリアとカタリナに見つかる前にとんずらするとしよう。幽世の軍勢が湧き出てこなくなったことに気づいた“蒼穹”の連中も戻ってくるだろうしな。

 

「助かる。じゃあ行くわ、縁があったらまたな」

「うん、いってらっしゃい。今度はゆっくりできる時に」

 

 引き止めようとはしないらしい。子供の旅立ちを見守るのも母親の役目ということだろうか。

 

「お前らも、協力してくれて助かった」

 

 俺は四体の星晶獣達に礼を述べる。

 

「礼をするのはこちらの方だ、人の子よ。我が名はシヴァ。この度の協力、感謝する」

 

 シヴァと名乗った四本腕の男が頭を下げる。

 

「いいって。俺もこの時のために戦力が欲しくてあんたらを復活させたんだからな。互いにこれでチャラだ」

「ちゃら?」

 

 彼は首を傾げていた。どうやら言葉の意味がわからないらしい。

 

「チャラってのは、あれだ。貸し借りなしってことだな」

「ふむ、なるほど。ではちゃらにしよう」

 

 凄く渋カッコいい声なのにチャラとか言ってるのが凄いギャップなんだが。

 

「……人の子よ。我の力を求むるか?」

「うん?」

 

 シヴァに尋ねられ、一瞬意味が入ってこず首を傾げてしまう。

 

「力? まぁ、くれるって言うなら欲しいところだが」

 

 強くなれるに越したことはない。

 

「我は人の子の強さに興味がある。……それとは別に思うところもあるが、それはまたの機会にわかるだろう」

 

 シヴァの言っていることがなに一つ理解できない。だがこの間に興味を持たれたことは確かなようだ。

 

「私も同じ思いです。あの方の気配を感じます」

「我もだ」

 

 二人の美女まで同意している。……なんの話なんだろうか。まぁいずれわかるなら待てばいいか。

 

「故に、人の子よ。我は問おう。このシヴァの力、己が旅路に役立ててみぬか?」

「っ!?」

 

 シヴァからの申し出に思わず顔に出して驚いてしまう。

 

「……そりゃ有り難いが、うちでいいのか?」

「周囲には悪に通ずる者もいるようだが、それすら抱える器量もまた興味深い。道を過つようなら、我が劫火にて救いを齎そう」

 

 シヴァの慈悲すら見える宣言に、むしろ面白いと笑ってしまう。……いや、ホントにこれじゃあワールドに協力できねぇな。

 

「面白そうだ。よろしく頼むぜ、シヴァ」

 

 俺は彼に右手を差し出す。

 

「うむ。これは人の文化、握手というのだろう? 我は知っている」

 

 右の下の手で俺の手を握り、少し得意気に見えなくもない表情で頷いている。

 

「これは我の力を込めた逸品だ。人の子には余る力、使いこなしてみるが良い」

 

 手渡されたのは紅蓮の弓だった。途轍もない力を感じる。星晶獣の力が込められた、と言うとバアルを思い出すな。あんまり槍使ってなくて悪い。

 

「私も同行してもよろしいですか? あの方はおっしゃいました。人の営みを知るようにと。貴方様との旅路でそれに触れられればと思います」

「営みが知れるかはわからないが、協力はする。仲間なんだったらな」

「はい、お願いいたします。私はエウロペと申します」

「よろしくな」

 

 エウロペとも握手を交わす。姫というような風貌の彼女にうちの騎空団はちょっと合わないかもしれないので、気をつけよう。どこかに姫の立場のヤツはいないもんかね。オーキス……はちょっと違うしな。アリアは一応そうだよな?

 彼女も続いて武器を出現させ、渡してくれる。水色の槍だった。それこそバアルを思い出す。使う機会があるといいんだがな。いや、星晶獣の力が込められていればかなり強いのは間違いないんだが。

 

「我が名はゴッドガード・ブローディア。ブローディアと呼んでもらって構わない。我も共に行こう。我が刃鏡にて汝らを守り抜くと誓おう」

「頼りにしてる」

 

 彼女とも握手を交わす。真面目そうなヤツだ。多分リーシャとかとなら気が合いそうかもしれない。あとはちょっと騎士っぽいところもあるし、気が合うヤツがいるだろうか。

 ブローディアからは彼女の周囲に漂っていたガラス片のような色合いをした短剣? と貰った。短剣はよく使うので有り難い。

 

 さて、三人は俺達と来てくれるようだが。

 

「……ふっ。この軍神の力を、汝は欲するか」

 

 気取ったように顔を掌で覆っている。短い付き合いだがこいつについてはなんとなくわかっている。

 

「いや、悪いしいい。三体も仲間になってくれたら上々だろ」

「えっ!?」

 

 にっこりと笑って断ってやれば驚いて狼狽する。……こいつ、あれだな。

 

「まぁ無理に来てもらってもあれだしなー」

「……俺も、ついていきたいんだけど」

 

 案外折れるのは早かった。

 

「来たいっていうなら歓迎するぜ」

「っ……!」

 

 途端に彼は顔をぱぁと輝かせた。が、すぐに表情を取り繕う。

 

「この軍神グルリィィィ……」

「グリームニルだろ。最初に聞いた」

「ちょっ、最後まで言わせてよぉ!」

 

 やけに長く伸ばす名乗りを中断してやれば、素の調子が出てきた。

 

 やっぱりこいつ、弄られタイプだ。リーシャに通じる部分がある。

 がっくりと肩を落とした様子ながら、彼も他の三体と同じく武器を渡してくれる。今度は槍だった。珍しく本人が持っている武器と一緒だ。

 

「ならオレもキミの旅に加わろう!」

「お前はいらん」

 

 他方向から来た声には即答した。

 

「酷いな、言っただろう? オレの魔術はキミのモノだ、って」

「だからいらねぇっつってんだろ。お前だけは、絶対いらん」

「なんでだい? キミがオレの趣味のことを言っているなら、その心配はいらない。なにせ、今もタワーの行いは続いているからね」

 

 近づいてきていた茶髪の青年、ロベリアはめげずに言葉を続ける。……タワーの行いって、あれか。今まで殺してきたヤツの殺し方が返ってくるっていう。

 

「じゃあなんでてめえはここにいるんだよ」

「音の分身を置いてきた。だから今もオレの頭にはオレの分身が壊される音がずっと響いている……! ああ、今凄く幸福なんだ! もう無理に人を壊す必要はないくらいに!」

「信じられると思うか?」

「信じられないならオレを手元に置いて監視してみたらどうだい?」

 

 ロベリアはニヤケ面を変えずに告げてくる。……ふざけてんな。そういうのは“蒼穹”に任せてしまいたいんだが。

 

「ふむ。人の子よ、滅するか? 我が劫火は悪を焼き払い、救いを齎す」

 

 早速シヴァが役に立ちそうである。

 

「残念ながらそれは難しいな。なにせ、オレはタワーと契約しているから不死身だ。そして、タワーごと焼き払ってはそこの少年が困る。タワーの契約者がいなくなれば賢者を一人集められなくなるからね」

「……む」

 

 ロベリアの論調にシヴァが圧されている。なるほど、他に手はないって言いたいわけか。

 

「……カイム、穴は?」

「ないと思うよ。なにより、タワーの契約者がその性質上現れにくい。そして現れるのは大抵、多分だけどこういう人間になる」

 

 やっぱり、星晶獣が契約者を選ぶというなら破壊を好き勝手やるようなヤツが選ばれるってことなのかね。

 

「……チッ。気に食わねぇが引き入れるしかなさそうだな」

「くはっ。感謝するよ、少年」

「ただし、条件がある。俺の許可なしに人を殺さないこと。仲間に手出ししないこと。趣味は一人部屋で寂しく堪能すること。もし破ったなら、そうだな。タワーを止めさせた上で魔術と手足を封じた上で生きるのに最低限な状態で監禁し、なにもさせない。それか、自分の身体が壊れる音でもいいって言うんなら……股間の潰れる音でも堪能させてやるよ。嬉しいだろ?」

「……え、いや、遠慮するよ」

 

 わざとらしく邪悪な笑みを浮かべてやったらロベリアが若干引いていた。……いやお前だけには引かれたくねぇよ。

 

「……戻ったぞ、団長殿」

「おう、ガイゼンボーガか。お疲れさん。凱旋とはいかないが、俺の料理で宴会ぐらいはしような」

「ふん。……まぁいいか。貴様の料理は格別だ。空腹がないとはいえ、おそらくもう身体が限界に近い頃だろう」

「ああ、割りと顔色悪いな。薬やるから騎空挺で寝ておけ。本人が宴で無惨な姿だったら盛り下がるヤツもいるかもしれねぇぞ」

「ふん。まぁ、今回は存分に戦えたから良しとしてやろう」

 

 どうやらガイゼンボーガは戦い漬けの生活を送れて多少なり満足できたらしい。

 

「おーい、大将ー!」

 

 そこにゼオが一人で駆けてくる。戦い続けでボロボロだったが、その手には見覚えのあるようなモノが握られていた。

 

「おう、ゼオ。ってかそれは、空図か?」

「おうよ! 幽世にいてカタリナの姐さんと教えの最奥っつうヤツに至ったアレスって星晶獣が持ってたヤツだ。幽世で力貸した礼に貰ったンだぜ」

「おぉ、お手柄だな。じゃあさっさとここを離れるぞ、“蒼穹”に見つかったらおじゃんだ。休憩とかはその後でじっくりな」

「おう」

 

 まさかの大手柄により、空図の欠片が三つ集まった。とりあえずは全員揃ってここを離れるとしよう。

 というわけで何人か思わぬ加入と招かれざる加入もありつつ、俺達“黒闇”の騎空団はナル・グランデ空域の危機を救い、ベスティエ島を発つのだった。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。