ナンダーク・ファンタジー   作:砂城

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古戦場からは逃げられない……!


国を引っ繰り返せる三人

「え~。僕ってばスツルム殿と休暇を楽しんでたんだけど~?」

「……まだ休んでいたかった」

 

 というわけで“黒闇”の騎空団において情報収集に長けた二人を呼んで戻ってきた。他のヤツらには長くかかりそうだということを告げてきたので、とりあえずは放置しておく。戦闘能力が高い連中ではあるのでいざとなったら力を借りるかもしれないが、今のところは大丈夫だ。むしろ人数を増やしてボロを出す可能性を高めてしまう。

 どこから情報を仕入れてくるんだかわからないが情報網の広いドランク。

 影に潜み気配を遮断した上分身も使えるレラクル。

 

 そして秩序の騎空団にも潜入したことがあり、『ジョブ』持ちなおかげでなんでもできる俺。

 

 この三人でガルゲニア皇国殲滅し隊を結成したというわけだ。……名前はダサいが。本当に名づけているわけではないので見逃して欲しい。

 

「団長命令だ」

 

 の一言で大人しくついてくる辺り、二人も言ってみただけなのだろうとは思う。

 

 兎も角大人しくカッツェとハーゼのいる家に来てくれた。

 

「というわけで情報収集が得意なうちの団員だ。俺が聞いた情報については共有してあるが、他に聞きたいことがあったら尋ねる」

「わかった。ダナンから話は聞いている。ダナンが率いる“黒闇”の騎空団の団員だそうだな。この度は我が祖国ガルゲニア皇国のために、一つ頼みたい」

「私からもお願いいたしますわ」

「もっちろん~。ダナンの頼みならあんまり断る気はないよ~」

 

 ちょっとはあるんじゃねぇかよ。

 

「僕は仕事ならやり遂げる。それだけだ」

 

 レラクルはもう少し燃えた方がいい。まぁ、仕事はテキパキこなすから最低限はいいっちゃいいんだが。

 

「まずは連絡手段だが、当初の予定ではいくつもの郵便を経由して事前に決めた暗号で記載した手紙を送るという風にしようと思っていたのだが」

「あ、それなら僕の魔法で遠くからでも連絡できるようになるよ~。特殊な魔法で使い手も全然いないから、傍受される心配もなし」

 

 ドランクが持っている宝珠のいくつかを取り出しころころとテーブルに並べる。二人は興味深げにそれを眺めていた。

 

「流石に空域越えると難しいんだけどね~。ガルゲニア皇国ってこの空域内にあるし、僕の宝珠でも会話ができるってわけ。まぁでも会話してるところを聞かれたら意味ないから、そこは注意が必要かな~」

「それはそちらで注意することだな。充分に気をつけてくれ」

「その点俺なら周辺一帯の全てを把握できるから、問題なく会話可能だ」

 

 ワールドの能力だけどな。そこは信用してもらう他ない。

 その他、ドランクとレラクルが思った点を二人に尋ねて事前情報をいくつか集めた。

 

「もう聞くことないなら、早速ガルゲニアに潜入するがいいか?」

 

 俺は四人に尋ねる。四人共こくりと頷いてくれた。

 

「よし。じゃあ早速行って情報収集開始だ。目的は現皇帝を取り巻く叔父とやらを含めた裏社交界の人間全てを暴き、悪事の証拠を押さえること。民衆の反感が煽れれば最高だ。細かい手順は移動しながら打ち合わせするとして、あまり長い時間はかけられない。早々に国を引っ繰り返すぞ」

「おっけ~」

「うん」

 

 俺の号令に、二人が普段の調子で言った。もう用はないので、さっさと家を出ていく。二人が出た後に続いて俺も出ようと思ったのだが、

 

「ダナン」

 

 カッツェに静かな声で呼び止められた。足を止めると先に出ていたドランクがひょっこり顔を覗かせたが、「先行ってていい」と告げて俺だけが残る。

 

「……なんだ、カッツェ。俺だけに話があるなら前の時でも良かったんじゃないか?」

 

 俺は振り返り、彼に尋ねた。

 

「なに、急に思いついたのでな。呼び止めてすまない。君が宮殿に潜入するつもりなら、一つ確認して欲しいことがある」

 

 カッツェはタイミングを見計らっていたわけではないと言い、用件を告げてくる。

 

「第二皇子殺害の疑いで投獄された第四皇子、私達の姉が生きているかどうかを確認して欲しい」

 

 真剣な表情だった。投獄された後どうなっているかは二人も知らないのだろう。生きている望みは低いが、生死の確認はしておきたいのか。

 

「わかった。もし機会があってわかったら、連絡の時に報告する」

「ああ、頼む。彼女は信頼の置ける人物だ。それに、殺害の疑惑は(なす)りつけられただけだと思っている。その辺りの事実関係の確認が取れたら救ってやって欲しい」

「了解。だけどいいのか? 皇位継承権の順位は第四皇子の方が上なんだろ? 同じく裏社交界にしてやられたってんなら、自分が舵取りをしたいと思う可能性もあるんじゃないのか?」

「……その時はその時だ。元々皇帝に興味などなかったが、私が王らしく振る舞うのは民に幸あれと願ってのことだ。私が皇帝にならずとも民が幸せになるのなら、それでも良い」

「流石ですわお兄様」

 

 彼は自分が皇帝になりたいのではなく、他人のためにいい皇帝であろうとしているだけだという。ハーゼに褒められて気分良さそうなのはちょっと不安だが。ハーゼの操り人形にされそうで怖いな、こいつが皇帝だったら。むしろその姉とやらが生きていたらやる気を出してもらった方がいいかもしれん。

 

「ま、第四皇子については気にしとくわ。じゃあ、また連絡の時にな」

「ああ、期待している」

「ご武運を」

 

 俺は武運が必要にならない方に祈って欲しいんだがな。と思いつつ外の二人と合流して、足取りを追わせないために遠回りをしながらガルゲニア皇国の地に足を踏み入れたのだった。

 

 ◇◆◇◆◇◆

 

 ガルゲニア皇国の首都に降り立った俺達は、街の現状に眉を寄せる。

 

「……皆の顔が暗いねぇ」

「嫌な空気だな」

 

 ドランクとレラクルが率直な感想を口にした。俺もそう思っている。

 

 広がっている街の光景は、ここだけ淀んだ空気が蔓延しているかのように見えたくらいだ。街を歩く人の顔色は悪い方で活気がない。げんなりしている。……こんなんで国が成り立つのかとすら思うくらいだ。

 

「……これは察しが悪くてもなにかあるよなぁ。じゃあ各自分かれて調査開始な。一週間後、定期連絡を行うために落ち合おう。場所は街の中央にあるっていう広場だ。なにかあれば宝珠で連絡を。じゃあ、始めようか」

 

 国を引っ繰り返す準備をな。

 

 俺はドランクとレラクルと別れて街をしばらく歩き回ってみることにした。

 ハーヴィンの皇族がいる国ではあるが、特段種族の差別はなさそうだ。やつれて歩く人々の種族にはハーヴィンもエルーンもドラフも、関係なくいた。

 

「……さてと、どこから情報を得るべきかね」

 

 一応料理で宮廷に取り入ろうとは思っているが、いきなり言っても皇族や貴族に料理を出す、信用に値する料理人かどうかを判断できなければ採用されない可能性もある。なにかしらの足がかりは作っておくべきか。こういう時ドランクならささっと伝手を作り上げるんだろうが、俺にはそこまでの能力がない。

 手っ取り早く人目について、こいつは優秀だと皇族に知らしめるいい方法はないだろうか。

 

「そこのあんた! 他所から来たんだろう!? なんでもいいから、うちのモノを買い取ってくれ!」

 

 俺が考えをまとめようとぶらぶらしていると、必死に呼び止めてくる者があった。痩せこけたエルーンの男性だ。野菜を売っている店のようだが。

 

「んー……。けどなぁ、ちょっと高くないか?」

 

 俺は言って並べられた野菜の一つを手に取ってみる。悪い品ではないが、特別いい品というわけでもない。だが値段がとても高い。おそらく相場の二倍くらいはするだろう。

 

「そ、それはそうかもしれないが……」

 

 素直に意見を述べると店主は項垂れてしまった。……必死な様子だったし、話を聞いてみるか。

 

「でもなんだってこんなに高いんだ? まだこの国に来たばかりで事情には明るくないんだが、他の国ならその半分くらいの値段だろ?」

「ああ、相場だとそれくらいだな。けど……ここだけの話、ガルゲニア皇国は度重なる重税によって値段を上げざるを得ない状況なんだ」

 

 店主はあまり聞かれるのは良くないと考えたのか、声を潜めて理由を口にした。

 

「重税かぁ」

「そうなんだ。それで生活が苦しくなって売り物の値段を上げて、でも他の皆も生活が苦しいから買う人がいなくなって、そうして今に至るってわけさ」

 

 悪循環だな。しかし二人の話を聞く限りでは元々はそういった国ではなかったという。

 

「……その重税を主導してるのは、皇帝陛下か?」

「ああ、そうだ。あの皇帝は身勝手な振る舞いで政治を思うままに動かしている……! 前皇帝陛下がご存命ならこんなことにはならなかったのに!」

「あんまり取り乱さないようにな。大きな声も、危険なんだろ?」

「あ、ああ。すまない、ありがとう」

 

 溜め込んできた不満を吐き出すためか声が大きくなってきていたので注意しておく。俺にとっては貴重な情報源だ、聞かれていて始末されては困る。あとここで見つかったら俺の潜入計画がおじゃんだ。

 

「皇帝の暴走を、他のヤツらは止めないのか?」

「ああ。放置しているのか、それとも加担しているのかはわからないが。皇帝の政策に異を唱えた者は皆処刑されていった。なんの罪で、とか言ってるがあれは絶対でっち上げだ」

 

 口調が荒くなっている。相当キているようだ。

 

「なるほどねぇ。ところで現皇帝の叔父はどうしたんだ? 彼は確かボランティアなんかの慈善活動に収支する、皇族の変わり者と聞いていたんだが」

「それが少し前からあまり姿を現さなくってね。あの方が無事ならいいんだが、もしかしたらもう皇帝に……」

 

 行方不明になった皇子と皇子を殺害したらしい皇子しかいない今、ハーゼに次ぐ皇位継承権を持つ叔父とやらに期待するのは民衆の心として頷ける。確かカッツェの話では全皇子を除外して自分が皇帝になろうとしている、という話だったか。

 利用しやすい第一皇子だった現皇帝を唆して他の皇子を次々に始末していき、今こうして民衆に登場が期待される立場となったわけだ。散々利用した後は暴君として切り捨て自分の支持のために利用する。ヤツが思い描いたシナリオはこんなところだろうか。

 

「そうか。大体事情はわかった、ありがとな。じゃあ買い物といこう。全部くれ」

「えっ、はっ!?」

 

 俺の告げた言葉に理解が追いついていないのか、店主はぎょっとしていた。

 

「……ぜ、全部って、ここにある全部か?」

「ああ。金ならある。まぁ多少は割引してくれると有り難いんだが。あと肉屋と魚屋と果物屋とかその辺りの店の場所を教えてくれないか?」

「あ、ああ。買ってくれるって言うなら売る。店の位置も教える」

 

 戸惑ってはいたが頷いてくれた。よし、これで俺が思いついた方法を実行できそうだな。ルピをいっぱい持ってきていて良かった。空域を越えて“蒼穹”の生存を確認する依頼料が思っていたより高かったからな。助かっている。

 

「だがこんな高いモノを全部買うなんて、あんた若いのに何者だ?」

 

 まぁ当然、店主はそう尋ねてくる。俺はニヤリと笑って懐から雲の形をしたバッジを取り出して見せた。

 

「そ、それは……!」

「しがない料理人だよ、今年最高のな」

 

 言って、店主は納得したのか尊敬の眼差しと共に全面的な協力を約束してくれた。

 

 俺はその後必要と思われる食材を買い集め、調味料も買い漁り、大鍋のような器具も買い込んで。

 

 山ほどの食材を街の広場に運んでもらった。即席の調理場を設置して、作業していることからなんだか野次馬が集まってしまったが。

 街にどれだけの人がいて、どれだけの人が飢えているかはわからない。だから思う存分に料理を振る舞おう。美味しい匂いが広がって、口利きとでできるだけ大勢の人に知られるのがいい。

 

 俺は鼻歌を歌いながら迅速に料理を進めていく。見ているだけで楽しめる“シェフ”のパフォーマンスを意識して野次馬を集めつつ、美味しそうな匂いが沸き立つ料理を作っていく。その気になればもっと早くに完成させることができるのだが、焦らすようにじっくりと作っていく。

 

 やがて渾身の品々が出来上がり、顔を上げれば待ち切れないといった表情の民衆がいる。

 

「さて、と。腹が減っているなら並べ! これは全て俺の奢りだ。たくさんあるから、押し合うんじゃねぇぞ!」

 

 余程生活が苦しかったのだろう。俺のその一言を聞いた野次馬達は、一斉に整列し始める。押し合いになりかけていたが、「押し合うならやらんぞ」と注意したら大人しく並んでくれた。ここまで追い詰められていると逆に扱いやすくていい。裏社交界がどう動いているかの情報は他二人を待つとして――って、てめえらまで来るんじゃねぇよお前らは情報収集してろ。

 途中列にドランクとレラクルを見つけてしまったが、まぁ腹ごしらえは必要だよなと思っておく。後で仕置きな。

 

 ともあれ口コミもあって食べに来る人は続々と増えていった。ちゃんと他の人の分のために二周目はダメだぞと言っておいているんだが、どうやら街中の人達が来ているらしい。一応ある程度人の顔を覚えておいてはいるんだが、別の人ばかりが来ている。

 美味い飯を食えば人の表情も明るくなる。俺の料理で多少は街の活気がマシになったかなと思っていると、長い間料理をして人に配っていたためかなり大きな騒ぎになっていたせいだろう。

 

 兵士達がやってきた。

 

「……お、おい。あれって……」

「……ああ、城仕えの兵士様だ」

 

 ヒソヒソと言い合う声が聞こえたので、鎧が綺麗に磨かれた兵士達がそれなりの立場であることがわかった。

 

「貴様か、ここで料理を振る舞っているというのは

 

 隊長らしき兵士が俺に尋ねてくる。料理を食べていた人達は少し離れていった。

 

「ええ、そうですよ」

 

 俺はにっこりと笑う。

 

「ここの方々は随分と暗い顔をされていたので、それなら私の料理で笑顔にしようかと思った次第です。法律上、公の場で調理をすることは禁じられてないとお聞きしましたが?」

「確かに法律では禁止されていない。だがそんなに美味しい料理だというなら、民衆に振る舞われるべきではなく、皇族や貴族の方々に振る舞われるべきだ」

 

 うわ、典型的。それが本心からの言葉なのか、それとも叔父にそう振る舞うよう言われているかでこいつの立場が決まってくるんだが。

 

「それは残念です。どうやらあなた方と私は考え方が合わないようです」

 

 俺は眉尻を下げてわざとらしく告げる。

 

「料理を振る舞い、人々を笑顔にする。それが私含む――“シェフ”の称号を持つ者の役目ですので」

 

 俺はこれみよがしにバッジを見せびらかす。店主以外には内緒にしていたのでどよめきが広がった。

 

「“シェフ”だと……?」

「はい。私の料理は、私の料理を喜んでくれる方のために振る舞われます」

「……どうやら今代の“シェフ”は腕がイマイチのようだな」

「と思うのでしたら、食べてみますか?」

 

 というわけで兵士達一人一人にスープを一杯手渡していく。

 

「こ、これは……!」

「ふ、ふん。こんなモノ匂いだけだ」

 

 隊長は気丈に振る舞おうとしているが、他の兵士達は匂いに釣られて食べたそうにしている。

 

「さぁ、どうぞ」

 

 俺は手で差し示す。直後、隊長とその他で反応が分かれた。

 

「こんなモノいらん!」

「「「美味っ!」」」

 

 地面に投げ捨てた隊長と、兜を持ち上げスープを啜った兵士。

 

「「「えっ?」」」

 

 互いに反応の違いにきょとんとして顔を合わせている。

 

「……おい貴様らなぜ施しを受けた」

「だって美味しそうでしたし。なぁ?」

「ああ。超美味いっすよ隊長」

「なんで食べなかったんすか? 勿体ない」

「貴様らぁ……!」

 

 拳を握ってぷるぷると震える隊長。……あれ、なんかこいつ悪人になり切れてない感が出てきたぞ。

 

「あ、因みに大人数に配るため一人一杯までですので」

「え」

 

 くっ、俺も食べておけば良かったか、という表情をしている隊長に告げると、硬直してしまった。

 

「……そこまで言うなら食べてやろう、と言ってもか?」

「はい、お代わり禁止です」

「…………」

 

 隊長は俺の返しに黙り込むと、なにを思ったのか一番近かった街の人に近づいていく。そして剣を抜き放つと喉元に切っ先を突きつけた。いきなりの凶行に小さく悲鳴が上がる。

 

「……こいつを殺し、その分を貰う。そうされたくなければ大人しく渡せ」

 

 たった一杯にそこまでするかよ。

 

「……あんまり、料理人の前でお客さんに手を出さない方がいいですよ? 兵士さん達見てましたよね、そっちの方が先に手を出したんです」

「はい、見てましたよ」

「貴様ら!」

 

 俺が尋ねると兵士達は頷いた。人望がないのか弄られるタイプなのか、隊長はあまり尊敬されていないようだ。

 

「じゃあ、反撃されても文句は言えませんよね」

「っ!」

 

 俺は言いながら本気で迫り包丁で剣を弾き飛ばす。

 

「なんだと……」

「料理人だって鍛えているってことですよ。これ以上やるなら、怪我じゃ済みませんけどね」

 

 逆に包丁を突きつけて言ってやれば、隊長はがっくりと肩を落とした。

 

「あ、食べます?」

 

 そこに新たに用意した一杯を渡す。

 

「……っ!」

 

 隊長は嬉しそうにスープを口にした。今度はちゃんと完食する。

 

「ほら隊長、言うべきことがあるんじゃないですか?」

「住人脅したんすから、当然ありますよね?」

 

 と部下にせっつかれる隊長。隊長は頭が冷えたのか我に返ったのか、「すまなかった」と脅した住人に頭を下げた。どうやらこの人は根本的に悪人というわけではないらしい。信用できるかはわからないけどな。

 

「……ところで“シェフ”の少年。実は君の捕縛命令が出ている」

 

 真剣な表情で隊長が言ってきた。どうやらこちらが素のようだ。

 

「宮殿に来て是非腕を振るってくれ。場合によっては宮廷料理人として雇うことも検討するそうだ。……皇帝陛下直々の勅令である」

「はい、わかりました。では行きましょうか」

 

 俺はざわめく民衆を置いて即答した。願ってもない機会だ。当初の目的の通り、宮廷料理人になるとしようか。

 

 こうして俺は着いた初日に宮殿へと招かれることになったのだった。


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