ナンダーク・ファンタジー   作:砂城

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六周年生放送は観ていました。情報盛りだくさんで期待したいところも多いのですが、とりあえず置いておきます。

色々ここで語るのもいいですが、まぁその時思いついたらにしましょう。

ともあれ、
ナルメアのEXポーズ追加ありがとうございます。


セフィラ島

 メネア皇国に連絡を取り、モニカが話をつけた後。

 

 俺は迎えに来たモニカと共にメネア皇国が占領しているセフィラ島を訪れた。

 

「セフィラ島調査の責任者、ビザンだ」

 

 俺達を迎えてくれたのはメネア皇国の緑の軍服に身を包んだおっさんだ。軍服の胸元に勲章をいくつかつけているので優秀な軍人なのだろう。

 

「秩序の騎空団第四騎空挺団船団長、モニカだ。こちらは“黒闇”の騎空団団長のダナン。今回話すことの重要参考人でもある」

「あの“黒闇”の……」

 

 モニカの紹介に応じて会釈する。ビザンはなぜか驚いた顔をしていた。……“どの”なのかは非常に気になるが、置いておこう。

 

「数ヶ月前、秩序の騎空団にエルステ帝国の研究所から押収した絵画が届いた。だがその絵画は星晶獣となって逃走してしまった。聞けば新世界を創造すると言う。新世界を創造すれば今ある世界は消えるらしい。そしてその新世界を創造すると宣った星晶獣が約束の地と呼んだのがここセフィラ島というわけだ」

 

 道中その話は彼女から聞いていた。“蒼穹”とワールドが戦った時の話だ。“蒼穹”としては見過ごせない話題だったのだが先にダイダロイドベルトに行かねばならず放置していたというわけだ。まぁその間に俺がワールドの契約者候補になって賢者を集めていたんだな。

 

「その星晶獣ならおそらくその直後にこの島に来た痕跡がある。だがしばらくしてどこかへ行ってしまい、ついこの間また舞い戻ってきたのだが」

「それは俺と約束を取りつけたからだな。この島に来てから行った場所ってのが俺の下で、戻ってきたのは俺にここへ来るように言ったからだろう」

「貴殿はあの星晶獣と関わりがあると?」

「ああ。なにせ俺は、あいつの契約者になるんだからな」

 

 俺は笑ってポケットからワールドのカードを取り出す。この世で唯一、おそらくだが俺だけが持っているワールドのカード。

 

「間違いない。アマルティアに現れたのはその星晶獣だ」

「セフィラ島に現れた星晶獣とも酷似している……しかし契約者というのはどういう了見だ?」

 

 ビザンは鋭い視線を俺に向けてくる。

 

「俺があいつに協力して新世界創造を手伝う――かどうかはわからねぇが。これから行って決めるところだ」

「なに?」

 

 怪訝な顔をする二人に、本当のことを話す。賢者以外に俺がワールドの契約者になろうとしているということを話すのは初めてだったな。

 

「俺が行って勝負に勝てば、大人しく俺の代での新世界創造は諦めてもらう。負けたら大人しく俺は新世界創造を手伝う。そういう約束なんだ」

「……“蒼穹”の団長もそうだが、貴殿もとんでもないな」

「ここで貴様を始末すれば新世界創造が成り立たないと?」

 

 モニカは呆れて苦笑したが、ビザンは険悪な雰囲気を発している。

 

「まさか。俺が死んだところであいつは次の契約者を探すだけだろうよ」

「それでも結局のところこのセフィラ島に来るのであれば、契約者を常に始末し続ければ空の世界の危機を先送りにできるというわけだな」

「流石に判断が早い。だが――モニカがいたところで俺に勝てるとは思うなよ?」

 

 俺は少しだけ威圧しつつ不敵に笑った。隣から「私を巻き込まないでくれ」という声が聞こえてきたが、しかしこいつはこいつで空の危機を助長する俺の存在を黙認すると言うのだろうか。

 

「……やめておこう。このセフィラ島はその星晶獣の出現によって魔物が凶暴化している。二人で突破できるとは思えない」

「いや、俺は一人で行く」

「「なにっ?」」

 

 そこでようやく二人の声が重なった。モニカはついてきてくれるつもりだったらしい。

 

「それもあいつとの約束でな。一人で行くことにしてるんだ」

「正気か? セフィラ島はこれまでただ一人の生還者も出していない危険な地だ。それを一人で行くなど……」

「死んだ方が都合がいいんだったら許可してくれ。勝手に行くから」

「……」

 

 ビザンに対して俺はにっこりと笑いかける。彼は黙り込んでしまった。

 

「星晶獣が魔物を凶暴化しているなら、その契約者となる貴殿を襲わないという可能性は?」

「ないだろうな。なにせ俺は面と向かってただでは従わないって言ってるし。途中で死ぬようなら契約者の資格なしと判断してもおかしくはない」

 

 死にかけたところに現れて「ではオレに従ってもらうぞ」とか言うんだきっと。

 

「私は容認できないな。貴殿の心配はしていないが、なにかあってはリーシャに顔向けできん」

「別に勝手に行ったって言えばいいことじゃねぇか」

「そうはいかない。仕方がない、私も同行しよう。もちろん道中の戦闘や星晶獣との勝負にも手は出さない」

「それじゃあ荷物持ちくらいしかできねぇじゃねぇかよ」

「そう、荷物持ちだ。貴殿にとってはそれも有り難いことだろう?」

 

 そう言ってモニカは笑う。……確かに武器をたくさん持ってきたから嵩張ってはいるが。

 

「……まぁ、それくらいならあいつも許してくれるだろ」

「任せておけ。これでも体力はある方だからな、存分に頼るといい」

「じゃあ頼むわ」

 

 俺は担いでいた大きなバッグを渡す。

 

「……いきなりか」

「荷物持ちなら頑張れよ。容赦なくアイテムとか持ってくからな」

「それを笑顔で言える辺り鬼畜だな」

 

 そんな会話をしていると、ビザンは深くため息を吐いた。

 

「……仕方がない。では行ってくるといい」

「ああ」

 

 止めても無駄だと判断したのだろう。

 

「最後に一つ、聞いていいか?」

「ん?」

 

 ビザンは真剣な眼差しを俺に向けてくる。

 

「なぜ危険な星晶獣との契約を求めている?」

 

 その問いに、俺は薄ら笑いを浮かべた。

 

「どんな手を使ってでも、俺は俺のやりたいようにやる。それだけだ」

 

 ビザンはぴくりと眉を寄せて、なにかを思い出すように苦笑した。

 

「……君はあの双子とは違って意味でまた異質だな」

「そりゃどうも」

 

 俺は言って、モニカに荷物を持たせたままセフィラ島の奥地へと向かうのだった。

 

 ◇◆◇◆◇◆

 

「おっ? 宝箱あんじゃん」

 

 ワールドと明確に敵対してから、俺はワールドの能力が使えなくなってしまった。まぁ当然だな。とはいえ凶暴化した魔物も一人で倒せる程度だったので良かった。

 そんな中で金色の宝箱が落ちているのを発見する。ぱかり、と蓋を開けると牙を生やして襲いかかってきたのでパラゾニウムを口の中に刺して倒す。俗に言うミミックというヤツだったらしい。だがミミックを倒すと本当の宝箱と化した。今度こそ、と蓋を持ち上げると中から武器が出てくる。

 

 赤い木の枝のような形をしている武器だ。一応刃になっているみたいだが……剣か? 手に取って軽く振ってみる。妙な形をしてはいるが振り心地はなかなかいい。まさか探索していた武器も見つかるとはな。

 

「よし、もうちょっと細かく探索して回るか」

「私を荷で押し潰す気か!?」

 

 俺の呟いた言葉に、荷物持ちをやっているモニカがツッコんだ。彼女の方を見れば、最初に担いだ大きなバッグがぱんぱんになっている。心なしか足元も覚束ないようだ。

 

「なに言ってるんだよ。まだまだ序盤、もっと回収しまくるに決まってるだろ?」

 

 俺は俺ができる最も爽やかな笑顔で言った。

 

「……くっ! やはりリーシャがなぜ惹かれたのかわからん!」

 

 モニカは本気で忌々しげに睨んでくるが、荷物を手放す気はないようだ。

 

「嫌ならどーぞ、荷物置いて帰っていいんだぞ」

「……チッ。ほら、早くしろ。魔物が集まってくる前に移動しなければならない」

 

 舌打ちはしたがついてくると言う辺り、彼女もあいつらと同じ人種だ。他人を見捨てることができない。俺なら必要とあらば見捨てることができるが。とはいえモニカが途中で倒れたとしたら俺は見捨てるわけにもいかなくなってしまう。流石にリーシャに申し訳ないしな。

 

「へいへい。荷物持ちを申し出たのはお前とはいえ倒れられたら荷物がお前分増えるんだから、ちゃんと休憩取りたいなら言えよ?」

「……わかっている。私から言い出したことだ、意地を張って迷惑をかけるつもりはない」

 

 釘を刺すが彼女もわかってはいるらしい。流石リーシャよりも年上なだけはある。どれくらい上かは知らんが。

 

「……で、もう休憩したいのだが」

「……おう」

 

 まぁ、黙って無理して倒れられるよりはマシか。

 なんだかんだもう数時間は経っている。いくらモニカが強者の一人とはいえ、身体より大きくなっているバッグを背負って数時間歩きっ放しなのはキツいだろう。仕方がない、これも俺のためだと思って疲労回復ドリンクでも作ってやるか。

 

「あ~、肩凝ったぁ」

 

 モニカは荷物をその場に下ろしてぐるぐると肩を回しながら俺をちらちらと見てきた。……揉めと?

 というかさっき魔物が集まってくる前に移動しなければとか言ってなかったか? まぁ、無理せずと思って撤回したのだろう。

 

「はぁ、仕方ねぇな」

 

 俺はため息を吐いてモニカの背後に移動し彼女の肩を揉んでやる。

 

「くぅ……なかなか上手いな」

 

 絶妙な力加減で肩揉みすると少し気持ち良さそうな声を上げた。

 

「ああ。まぁな」

 

 肩揉みくらいならそこまでの難易度でもない。とはいえ俺が肩揉みがそれなりに上手なのには理由がある。

 

 元々は某お世話好きな姉代わりへの日頃のお返しとして考えたモノだった。ただあの人のお世話は割りとガチが入っているため並み大抵のお返しでは釣り合わない。ということで俺もお返しするならガチで会得しなければ、と思い色々試行錯誤したのだ。

 その結果肩が凝りやすいらしいアポロにも頼まれることになった、と。

 

 因みにそれを見て肩凝りにくい同盟なるモノがオーキスとリーシャの間で交わされたとかなんとか。

 

 しかしこうして肩を揉んでいるとよくわかるのだが、とても背中が小さい。ナルメアとあまり身長差がないくらいだからな。

 

「悪かったな、小柄で」

「あ、すまん。声に出てたか」

 

 小さな背をまじまじと見ていると、モニカから少し刺々しく声をかけられた。

 

「……いや、いい。んっ、私はこれでもいい歳なのだが、はぁ、この見た目のせいで未だ嘗められることが、あっ、あるのでな」

 

 喋りながらだと声が出てしまうのはまぁ仕方がない。別に変な気持ちになることはないが、自覚はあるのだろうか? リーシャの無自覚さを傍目から呆れているような節はあるのだが、こいつもこいつで似たようなところがあるのかもしれない。

 

「まぁ、だろうな。リーシャも以前椅子と机の高さが合っていないのを気にしてたらしく、その時厚めのクッションを贈ったとか聞いた」

「……あれはやはりそういう意味だったか」

 

 モニカはがっくりと肩――は俺が掴んでいるので頭を(もた)げた。

 

「それで、最近リーシャの様子はどうだ?」

 

 休んでいる間は雑談をする気のようだ。……リーシャの様子か。

 

「ん~。まぁ、頑張ってるな」

「随分と大雑把だな」

「いや他に言いようがなくてな。団員をまとめたり、騎空挺に運び込む荷物を選んだり、なにかと助けられてる」

「そうか。いや私が聞きたいのはそういうことではなくてな」

「ん?」

「リーシャは、その、なんだ。お前と上手くやれているか?」

 

 ああ、そういう。

 

「まぁ、そういう意味でも頑張ってるみたいだな」

 

 少し他人事のようだが、そう言った。

 

「最近は外を回るより屋内で長時間くっついても気を失わない訓練をしてる、みたいだし」

「……」

 

 言うとモニカから呆れている気配が漂ってきた。おそらく「それで気を失ったことがあるのか……!」といった心情だろう。

 

「そういえばクリスマスで顔を真っ赤にして気を失ったリーシャを運び込んだらしいが、あの時はなにがあった?」

「あー……あれなぁ。リーシャが頑張って頰にキスしてきたからし返したんだよ」

「それでか……」

 

 モニカの小さな背中に哀愁が漂う。妹分の情けなさに苦悩を示しているようだ。

 

「ふっ……そういや最近、アリアと仲良くなっててな」

「アリア? ああ、黄金の騎士か」

「ああ」

 

 俺は言って少し笑いながら話してやる。

 

「意外とあの二人共通点が多くてなぁ」

 

 そうして一つずつ挙げていく。

 

「父親、劣等感、真面目。そして小さい姉」

「小さいは余計だ! しかしそうか、七曜の騎士とな」

「まぁ今じゃ七曜剥奪されてるかもしれないが、まぁそんなところだ」

 

 一通り雑談が終わったところで手を離す。

 

「それじゃそろそろ行くか。疲れも大分取れただろ」

「あ、ああ」

 

 モニカは頷きつつも戸惑っているようだった。

 

「私から振っておいてなんだが、休憩はいいのか?」

「ん? ああ。俺はまだへばってないしな。あの程度の戦闘で疲れることはねぇよ」

「そ、そうか」

 

 言って、またモニカに荷物持ちを頼んでセフィラ島の探索に移る。

 まだまだ序盤、休んでいる暇はあまりない。




セフィラ島を探索=モニカ。
という謎の図式を思ってしまった。ゲーム同様加入するのかしないのかはどうぞお楽しみに。

あとついでにビザンが“蒼穹”と関わりあること言ったので関連イベキャラを気が向いたら団員一覧に追加します。

……しかしあれだなぁ。周年スキンがクラリスだったから一個思いついてた短編書きたくなるなぁ。三月十日に間に合うかなぁ。
とりあえずワールドとの話が終わった次はそれにします。
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