ナンダーク・ファンタジー   作:砂城

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お待たせしました。更新再開します。
とりあえず『サウザンド・バウンド』番外編が終わったらまた構成を練り練りする時間になりますが。四話か五話で終わる予定です。

色々とご報告はありますが、とりあえずグランデフェスでは百二十連して最初の十連で出た水着ユエルの武器とキャラメドゥーサ以外にSSRは出てません。
ガチャピンモードに入ったらワンチャン天井あるかもしれぬ……。

※番外編注意事項
・時系列は気にしないでください。考えてみると“蒼穹”はナル・グランデ行ってるタイミングなので。大体は黄金の空編に入ったところですが。
・十二人という決勝トーナメントの枠は変えないようにしましたので、二人脱落者が出ています。
・書きたいバトルの都合上、一部トーナメントを変更しております。
・珍しくずっと三人称です。


EX:スカイグランデ・ファイト開幕

 城塞都市アルビオンは今、異様な熱気に包まれていた。

 

 全空から集った大勢の参加者達が己の肉体のみを駆使して戦うスカイグランデ・ファイト。

 

 その初開催となる日、大勢の応募があった腕自慢達を(ふるい)にかけるため、まずは予選が行われる。

 参加者を十二のグループに分けてそれぞれ勝ち残った一人だけを決勝トーナメントに出場させる。十二人が決勝トーナメントで戦い、優勝した者には主催者が叶えられる範囲でだが、なんでも望むモノが与えられる。

 

 そんな破格な優勝賞品と全空から名だたる格闘家が集まるということもあって大いに盛り上がっていた。

 

 予選のサバイバルでは有名選手の戦い振りや予想外に活躍した無名選手に目を見張ることとなった。

 

 その後日、十二人の選手達が決勝トーナメントに駒を進めた。いずれも強者、若しくは曲者。

 

「いよいよ第一回スカイグランデ・ファイト決勝トーナメントを開始しますッ!」

 

 リング上でショートボモブの髪型をしたサングラスに白と黒の縦模様をしたシャツを着込んだ審判の男性がマイクを持って声を張り上げる。

 

 いよいよ本番、と興奮冷めやらぬ観客席から雄叫びにも似た歓声が上がった。

 

「この熱狂っぷり、予選もあって随分と期待しているみたいだな。かく言う私も大いに期待している!」

 

 ノリ良く答えると本選を待ち遠しく思っている一部の観客から「早く始めろ!」などと声が飛んでくる。

 

「私も早く決勝トーナメントを始めたいが、大会である都合上ルールの説明を行わなければならない!」

 

 審判から改めてルールの説明が行われる。

 スカイグランデ・ファイトでは武器、魔法の使用を禁止している。己の肉体のみで戦う大会なのだ。この試みが成功したら今度は武器ありなども他で開催されるかもしれない。もちろん肉体で戦うからこその熱狂振りということもあるのだが。

 決勝トーナメントはリング上で行われる。リングの外に出てしまったらリングアウト、つまりは負けだ。その他にも倒れてからテンカウント取られる、若しくは自分から負けを宣言するなどで勝敗が決する。

 当然ながら相手を殺してはならない。

 

「さて、ルール説明を終わったことだしそろそろ始めましょうか!!」

 

 打って変わってテンションが上がる会場。

 

「記念すべきスカイグランデ・ファイト一回戦は、この二人ッ!」

 

 リングを挟んで正反対から、二人の男が入場してくる。一人は屈強な老人だ。白髪や皺が年齢を感じさせはするが、その岩のような肉体に衰えはない。

 

「ソリッズ!!」

 

 現在“蒼穹”の騎空団に所属する格闘家である。

 

 片や、その出で立ちは珍妙だ。白と黒の縦半分で色が分かれた覆面を被る、謎の男。黒いマントを羽織った下は股間を隠す一枚で、鍛え上げられた肉体を晒している。不敵な笑みを浮かべて堂々と入場した。

 

「エヴィルマスク!!」

 

 読み上げられた名は観客席にいたジータ、ルリア、ビィの三人が思い浮かべた名前とは異なる。だが、彼なのは間違いない。

 

「ソリッズはいくつもの武闘大会で優勝を勝ち取ってきた文句なしの格闘家だ! 対するエヴィルマスクは無名ながら予選で他の参加者を圧倒! 同じグループにいたヴァンツァ選手を制して決勝トーナメントに出場しております!」

「この勝負はあのソリッズに覆面がどこまで食いついていけるかだよな」

「ああ。グループを勝ち上がるだけの実力はあるみたいだが」

 

 審判の紹介に観客がそれぞれ考察を述べている。

 会場の予想では予選を勝ち上がったとはいえソリッズの勝ちが濃厚、といったところだったが。

 

「……ソリッズさんには悪いけど、この勝負は負けるね」

 

 対戦相手の強さをよく知るジータが難しい顔で呟いた。

 

「えっ? ジータはあの人のこと知ってるの?」

 

 決勝トーナメントに出場したが自分の試合がまだなので観客席に来ていたドラフ少女のアリーザがきょとんとして尋ねる。

 

「ああ、まぁ、うん。多分だけど……私達よりも強いんじゃないかなぁ」

「えっ? 団長達より?」

 

 団長二人の強さは知っているため、ジータは推測で自分より強いと評価するあの覆面は一体何者なのか。アリーザは驚きを隠せなかった。

 

「あれ? そういえばグランは? というか二人も出場すれば良かったのに」

「えっ? ……まぁ、そうだね。でも私達まで出ちゃうとその……決勝トーナメントほぼ独占とかになっちゃうから」

「ああ……今もそんなに変わらないけど」

「あはは……」

 

 決勝トーナメントに進出した十二人の内、わかっている範囲だけでも八人が“蒼穹”の騎空団である。内々で潰し合うならまだしも、他の選手達を押し退ける形となってしまったら問題だ。

 

 そう話している内に二人の選手がリング上に上がる。審判は巻き込まれることを恐れてか開始前にリングを降りた。

 

「さぁ、いよいよ一回戦の開始だ! ソリッズVSエヴィルマスク!! ファイトッ!!!」

 

 審判の開始合図があって早々、ソリッズが拳を構えて駆け出した。

 

「ソリッズが突っ込んだーっ!」

「速攻で決めてやるぜ!」

 

 本人としてはネェチャンとの試合以外じっくり楽しむ気があまりないという理由なのだが、それでもソリッズの拳は強烈だ。間合いに入った瞬間足を止めて拳を唸らせる。空気を裂く音すら聞こえる中で、エヴィルマスクは腕を掲げて防御した。それでも半歩分後退させられてしまうほどの威力――ではない。

 

(この野郎、衝撃を吸収しやがった)

 

 拳に伝わる手応えのなさに確信する。そして間違いなく強いとも。

 だがそれでも負けるとは思っていない。己の拳に力を込めて放つ、放ち続ける。エビルマスクはそれを防御姿勢で何発か受けた後、(おもむろ)に腕を解いた。

 

「おおっとこれはどういうことだ!? エヴィルマスクガードを解いて、そこにソリッズの拳が迫るーっ!!」

 

 がら空きの顔に向かって突き出されたソリッズの拳はしかし、エヴィルマスクに当たることはなかった。拳を突き出した姿勢でぴたりと静止すれば、エヴィルマスクが上体を逸らし鼻先ギリギリで回避していることがわかる。

 

「っの野郎!」

 

 避けられるから防御を解いたというのか、という驚きが会場とソリッズに広がる中、しかし一歩踏み込んで再び拳を放ち続けるが、それら全ては間一髪、紙一重のところで回避されてしまう。

 

「こ、これは! ソリッズの拳が当たらない! 全てかわされてしまっている! 先ほど防御を解いたのも、もうお前の拳は見切ったという意思表示なのか!?」

(冗談じゃねぇ!)

 

 審判の声に心の中で吐き捨てて、ソリッズは拳を見舞い続ける。パンチの種類を増やし、フェイントを入れ、身体が温まってきたことで速度が上がっても尚、届かない。

 

「……悪いな。もう充分、観察は終わったんだ」

 

 ソリッズにしか聞こえない大きさの声で告げられたかと思うと、次に放った拳に合わされた拳がソリッズの顔を捉えた。

 

「エヴィルマスクのカウンターが決まったぁ!!」

 

 勝利濃厚の予想を立てていた観客がどよめく。この試合初の直撃がソリッズではなくエヴィルマスクだったからだ。

 

「このっ!」

 

 だがソリッズも格闘家。一撃受けた程度で崩れていくことはない、はずだったのだが。

 拳を放てばカウンターを合わせられ、怯めば追撃される。完全に動きが見切られてしまっている状態なのか、一切歯が立たなくなっていく。

 

(クソッ! なら肉を断たせて骨を断つ!)

 

 動きが読まれていてもやりようはある。相打ち覚悟の一撃も、しかし容易くかわされてしまう。しかも常に不敵な笑みを湛えているのだから、格闘大会優勝者でもあるソリッズが圧倒されている、という事実が会場に突きつけられていった。

 

「あん?」

 

 やがて、後退し続けたソリッズはいつの間にか自分がリング際まで追い詰められていることに気づく。

 

「ソリッズ追い詰められたぁ! まさかの番狂わせなるかぁ!?」

 

 審判が観客の興奮を煽るが、ソリッズとしては冗談ではない。

 

(俺はこの大会に勝って、綺麗なネェチャンに囲まれた生活をするんだよぉ!!)

 

 ソリッズは自分の出場理由を思い返して闘志を燃やす。

 

 気力を滾らせて防御姿勢のまま自分の身体を膨れ上がらせる。

 

「こ、これは! ソリッズ反撃となるか!?」

「剛破天衝ッ!!」

 

 乱打を見舞う。気力によって強化された肉体で放つ拳は数段跳ね上がった威力と速度になっている。エヴィルマスクも避け切ることはできないのか防御をして後方に弾かれる。ソリッズは範囲から逃さないために一歩前へ出た。この技は気力を消耗するので持続時間が存在し、その後は疲労で隙を見せてしまう。だからこそ今決める必要があった。

 

(このまま押し出して……っ!?)

 

 この技なら通用するとソリッズが思った矢先、エヴィルマスクが腕を交差して前のめりに構えているのが見える。まさか、と思ったがエヴィルマスクはソリッズが予想した通り、乱打の中へと突っ込んでいった。

 

「エヴィルマスク! なんとソリッズのラッシュの嵐の中に飛び込んだぁ! 押し返していたソリッズを真っ向から捩じ伏せるつもりかぁ!?」

「野郎、くっ……!」

 

 ソリッズはエヴィルマスクの突進で拳が弾かれていることを理解する。まるで効いていないわけではないだろうが、ダメージ覚悟で突っ込んできたということだ。ラッシュの嵐を持続させるために動きが遅くなるので素早く退避して距離を取り時間を稼げばやり過ごすことができるはずだ。それができないと考えているわけではないだろうに、真っ向から挑んでくるとはソリッズとしても予想外だった。

 間近に迫ったエヴィルマスクの覆面の奥で光る黒い瞳と目が合う。そこには確かな格闘家としての矜持が宿っていた。

 

(へっ、漢気あるじゃねぇかよ)

 

 いけ好かない戦い方をするヤツだと思っていたが、最後に見せてくれた。懐に入り込まれては為す術もなく、ソリッズはエヴィルマスクのタックルをまともに受けてリング外へと吹き飛んでいく。宙に放り出されては抗うこともできず、背に土をつけた。

 

「ソリッズ、リングアウトーッ!! 一回戦の勝者はなんと、エヴィルマスクーッ!!」

 

 審判の宣言があって、歓声が巻き起こる。思わぬ番狂わせに、会場は大いに盛り上がっていた。

 

「まさかあのソリッズを圧倒しちまうとはな!」

「ああ、これは期待が持てるぜ!」

「けど、なぁ?」

「ああ、そうだな」

「「絶対性格悪い」」

 

 二人の男性が言い合っているのが、おおよそのエヴィルマスクに対する評価だった。

 そんな中エヴィルマスクはさっさとリングから降りて退場していく。ソリッズは気絶していなかったので自力で歩いて戻った。

 

「凄い、ソリッズさんを倒しちゃった」

 

 ジータの言葉を聞いていても尚、ソリッズが負けるとは到底思っていなかったアリーザは唖然として言った。

 

「うん。流石と言うか、なんと言うか。でもなんでこの大会に出たんだろう?」

 

 少し苦笑気味に言ってから首を傾げるジータ。

 

「腕試しじゃないの?」

「うーん……。普通に考えればそうなんだけどね」

「やっぱオイラ達と同じってことか?」

「どうなんでしょう」

「?」

 

 なにかを知っている様子の三人に、アリーザは首を傾げるしかなかった。

 

「一回戦も存分に熱く盛り上げてくれました! では続いて二回戦!」

 

 まだ一回戦の興奮冷めやらぬ状態で、二回戦に移る。

 

「ファスティバ!!」

 

 片側から一人の漢女(おとめ)が入場する。カジノ、デュエルリゾートで人気を誇る巨漢のドラフ。金髪を靡かせ愛を掲げるファイター。

 ファスティバの入場に観客席は一層湧き上がる。

 

「サイファーマスク!!」

 

 対するは青と赤の縦に色が分かれた覆面を被る男。オレンジのマントを羽織ったその下は股間を隠す一枚のみ――とそこで気づいた。

 

「あ、あれ? エヴィルマスクと恰好がそっくりじゃね?」

「あ、ああ。デザインの細かいところは違うけど」

 

 彼の入場で会場がざわついていく。

 

「会場も気になっているようだが、私も気になっている! だが二人の関係性は謎に包まれている! どちらも無名の格闘家であるという事前情報しか出てないぞーっ!!」

 

 審判はそんな疑問を汲み取って口にする。

 

 会場の期待は先ほどのエヴィルマスク同様ファスティバという有名選手を倒せるかどうか、というところに向いていた。ファスティバは珍しく負けを期待されている空気を感じ取りながらも全力でサイファーマスクとぶつかった。

 

 結果的にサイファーマスクがファスティバを打ち破り、今回の大会は名だたる格闘家が敗北するという様相を呈していた。

 

「やったぜ!」

「はい、やりました!」

 

 サイファーマスクの勝利にビィとルリアが喜びを露わにする。

 

「? あれ、二人はあのマスクの人と知り合いなの?」

 

 傍にいたアリーザが首を傾げたので二人は慌てて否定し、覆面がカッコいいからと理由をつけた。エヴィルマスクと違って色が気に入ったらしい。そんな言い訳にジータが嘆息していると、アリーザは三回戦に出場するからと慌てて観客席を立った。一息吐く中で三人はなぜグランが正体を隠してスカイグランデ・ファイトに出場することになったのかを思い返していた。

 

 大会開催の十日前。グランサイファーに単独でやってきたシェロカルテのオウム、ゴトルが「シェロ、イナイ」などと縋ってきたのだ。ゴトルが喋る断片的な情報からアルビオンで開催されるスカイグランデ・ファイトが怪しいと睨んだ一行は、正体を隠して出場することを決めたのだった。

 

 因みに二人共が出場しなかった理由は観客と参加者という両側から大会を見ることができるから、という理由もあるが。

 一番の理由は互いにサイファーマスクという名前を譲らなかったためである。

 

 ビィは「どっちかが別の名前でもいいんじゃねぇか?」と言ったのだが、二人は絶対に譲らないと言い張った。サイファーマスクじゃないなら出場しない方がマシとまで言い切る二人に、仕方なく役割分担という名目で片方が出場することになったのだ。なぜグランが出場することになったかは、二人の真剣勝負(じゃんけん)の結果である。

 

 ともあれ、もしかしたらだがゴトルが助けを求めたのが“蒼穹”だけとは限らない。

 

 特に勝ち上がってくると思っていたヴァンツァを倒した見覚えのあるエヴィルマスクと、そしてもう一人。

 “蒼穹”の団員でもあるアイルを一撃で倒した全く事前情報のない女性の存在が、一枚岩でないことを示しているようだった。

 

 ……因みに。瞬く間に予選を終わらせた結果一行に存在が認知されていない仮面の格闘家がいるのは、また別の話である。




風竜強すぎィ。
初日は二敗しました。今日は二回共勝てましたがキツかった……。
ランバージャックつおい。面子はタヴィーナ、アテナ、アニラと完全に攻撃回数重視ですねぇ。

攻略サイトを参考にしました。
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