騎空士の皆様は周年キャンペーンを如何お過ごしでしょうか。
私は絶賛カトル限界超越のためにヘイロー走ってます。めんどくさいです。
ただアナサンのために天井したり無料期間中にウリエル、メタトロン、キャラシヴァなどが出て今のところ満足しています。
スクラッチは……ルシフェルとリボンが当たったんですけど、当たりの中での外れ感強くてびっくりです。
皆様のスクラッチに幸運があらんことを。
いつぞやの、サンダルフォンが起こした厄災と天司達の騒動。
その影響は小さくなかったが、幸いなことに死者は出なかったらしい。起きた現象から考えて、死者が出なかったことが不思議なくらいだ。
それだけ空の人々が頑張ったという印でもあるのだが、他の要因もあると目された。
天司達の庇護である。
もちろん実際にそうしているのを見たわけではないが、超常の力が人々を守ったのだと思うのが自然な厄災だった。
一方、厄災に見舞われた人々は逞しく祭を開催しようという動きを見せる。
祭も厄災の損壊を復興したことを記念して、『復興記念祭』と題されていた。
復興には“蒼穹”も総力を尽くしており、団員は各地に散らばって手伝いをしていた。各国の要人もいる騎空団なので基本散らばっているのだが。
厄災の時は賞金首にされていた彼らだったが、彼らの奮闘により厄災が収まったことは周知の事実。復興に尽力したことも相俟って信用が回復していった。
騒動の中心にいることが多いので偶に深読みされることもあるのだが、彼らは単純に“持っている”だけである。基本的には裏表のない善人なので、実際に会ってみれば根も葉もない噂に振り回されなくなるのだった。
厄災の傷跡はそうそう消えないが、それでも復興に近づき祭を行うまでに回復した空の人々は、賑やかに時を過ごしていた。
◇◆◇◆◇◆
空の世界で島が浮いているのは、四大元素のおかげである。それ故に前回サンダルフォンが暴れた時は四大元素のバランスが崩れてしまい、小さい島の欠片から徐々に落ちていくという現象が発生していた。
つまり四大元素とは、空の世界の人々が暮らす上でなくてはならない要素である。
四大元素という重大な要素を管理、司るのが四大天司。他の天司と一線を画す能力を備えていてもなんら不思議ではない。
では。
四大天司が崇め仕える天司長ルシフェルは、なにを司るのか。
それは『進化』という概念である。
他の天司が「今そこに在るモノ」を司るのに対し、ルシフェルは「過去から未来に渡り続いていくモノ」を司る。それがどれだけの違いであるかは想像に難くない。
加えて、彼を創造した星の民をして最高傑作と言わしめたほどの能力。
そんな彼は今、とある名もなき神殿にいた。
神秘的な静寂に包まれた、なにもない空間。神々しい繭と思しき物体と、背に純白の六枚羽を携えた男が佇んでいる。
天司長ルシフェルである。端正な顔立ちが、他人からはわからないほど細やかに歪んでいた。
瞑目した彼が思い浮かべるのは、反旗を翻したサンダルフォンのことである。
「サンダルフォン……」
彼の生(と呼んでいいかはわからないが)において、サンダルフォンの存在は他の天司と同じモノではなかった。
『ルシフェル様! いらしていたんですね』
反逆する前、かつて中庭にいてルシフェルが訪れると笑顔で迎えてくれた。
『なぁ、ルシフェル。君の司る『進化』に意味はあったか?』
封印から抜け出して独り呟くように言った言葉。
『ルシフェル……!』
厄災を起こし特異点達に敗れた後、再会した時。こちらを睨みつけ怒りや憎しみをぶつけてきた。
「…………」
思い返すのは容易い。彼と中庭で過ごした日々は二千年以上も前のことだが、鮮明に思い出すことができた。
「私の役割は……終わりつつあるのかもしれない」
ルシフェルは繭に掌を当てて、語りかけるように言葉を重ねる。
「君の心の変遷は、空の世界を破壊するほどの激情は、私には予想できないモノだった。だが……その君を阻止したのもまた、特異点を中心とする空の民の心だった。誰かを想い、誰かに想われる……その力は私達天司の思惑を超えるのだ」
繭に指を滑らせながら、目を細める。やがて決意したように口を開いた。
「私は空の進化のために差配してきたが、時として親の保護は子の成長を妨げる。……あるいは、歪める」
つけ加えた言葉が誰のことを言っているのかは、ルシフェル自身もよくわかっている。しばしの沈黙を経てまた口を開いた。
「私は『最後の務め』を終えた後……空を自然な成り行きに委ねようと思う。元素の均衡も進化の促進も、あるいは滅亡の道を辿るとしても、空の民に全てを還元するつもりだ。天司の役割も無用となり、私も君と一緒の立場になるな……。君はなんと言うだろうか。やがて君が再び目を醒ました時に――……!」
それは一瞬の出来事だった。ルシフェルが感知するより僅か先に、凶刃が彼の胴を抉っていた。
凶刃を振るった主は、ルシフェルの背後の空間、そこに開いた虚空より足を踏み出す。本来であれば多少傷をつけられた程度問題にならない。だがルシフェルは苦し気に顔を歪め、汗を掻いていた。常に冷静な表情をしている彼にしては珍しいことだ。
そのことが、この異常事態を際立たせている。
「つまらぬ。余りにつまらぬ結論だ」
凶刃を振るった主は、体格のいい男だった。フードを被り全貌は見えないが、金髪に浅黒い肌をしているのはわかる。
ルシフェルは受けた傷を修復しようとするが、治らない。
「無駄だ、修復はできぬ」
男の言葉に、ルシフェルは彼が自分を確実に殺す手段を持って訪れたのだと察した。
「……生きていたのか、久しいな」
そしてルシフェルはこの男を知っている。
「苦労したぞ。途方もないほど永い時を放浪させられた。現世では何年になる? 貴様に空の底に落とされてから……まぁ、構わぬ。おかげで不滅を滅する力を得た」
星晶獣は倒されはしても滅びることはない。例外は“蒼穹”の双子の父親、そして双子自身、“世界”と契約した少年のみが復活させないようにできる。この男も、それら全てとは違う手段で滅することができるようになった。
故に、ルシフェルすら殺すことができる。
「なにが目的だ? 己の復讐か、彼の仇か?」
ルシフェルの問いを、しかし男は鼻で笑った。
「些末なことを。無論『ルシファーの遺産』だ。ここに封印していることはわかっている。貴様自身が鍵ということも」
「……」
答えないルシフェルの羽を、男の凶刃が切断する。
「時代は変わる。貴様が望もうと、望むまいと。フフフ……」
男の嗤い声だけは、神秘的な静寂の中に響き渡った。
こうして空の世界に再び、新たな災厄が襲いかからんとしていた。
そして天司達の因縁もまた、再び――。
次回がいつになるかは不明ですが、できるだけ早くに更新したいですね。
番外編完結の目標はいつ始まるかわからない『こくう、しんしん』が終わるまでになりますが。
ではまた次回、例のあいつが出てくる第一話『闇』でお会いしましょう。