ナンダーク・ファンタジー   作:砂城

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やや長めです。


敗北必至

 シスがダナンを捕らえるために離脱した後のこと。

 

 一人減ったとはいえ全空の抑止力となり得る者達五人を相手に、黒騎士は戦闘を続けていた。

 

「ふっ!」

 

 シエテとウーノが前に出て攻防それぞれを担当している。離れた位置からソーンとエッセルが射撃によって援護する状態だった。

 

「姉さん。僕も出ます。援護してください」

 

 銃の使い手エッセルの実の弟である、短剣使いのカトルが丁寧な口調で言う。

 

「……わかった。気をつけて、カトル」

 

 エルーンの姉弟はそれぞれに視線を交わし、カトルが自前の短剣を構えて黒騎士へと向かっていく。

 

「スターダスト!」

 

 その背中を見送りながら、エッセルが両手の銃を乱射し全ての銃弾を黒騎士へと向かわせる。その軌道は銃でありながら直線でないモノも多い。

 

「援護するわ」

 

 ソーンは弓を構え一射放つ。すると放たれた光の矢が無数に分裂して飛来した。巻き込まれることを考えたシエテとウーノは下がるが、シエテがおまけとばかりに百本ほど剣拓を飛ばす。

 

「はぁ!」

 

 気合い一閃、黒騎士は渾身の一振りでその全てを相殺する。

 

「さぁ、楽しませてください」

 

 直後を狙ってカトルが接近した。両手の短剣が放たれる斬撃が黒騎士へと直撃するが、

 

「軽いな」

 

 鎧の性能故か無傷だった黒騎士は無造作に左手を伸ばしカトルの胸倉を掴む。

 

「なっ!」

「ふんっ!」

 

 驚くカトルをそのまま屋根の上に叩きつけた。カトルが息を詰まらせ呻いてから、黒騎士を睨み上げてその顔を歪めた。

 

「七曜の騎士だがなんだか知らねぇが、調子に乗ってんじゃねぇぞゴミ虫が!」

 

 先程と打って変わって口汚く罵るが、

 

「負け惜しみにしか聞こえんな」

 

 黒騎士には届かず掴んだ方の手から火、水、土、風の四属性を力任せに放ち屋根を貫いてカトルを家の一階まで叩きつける。

 

「まずは一人」

「カトル!」

 

 エッセルが弟を心配し悠然と佇む黒騎士へと弾丸を放つが、一振りで打ち払われてしまう。

 

「……これはちょっと、厳しいかな?」

 

 こちらの攻撃が全く通っていないことと、一人戦闘不能にさせられたこと。その二つを考慮しシエテは苦笑する。

 

「少し甘く見ていたようだね。せめてフュンフがいれば良かったんだが」

「フュンフはオクトーとどっか行っちゃって見つからなかったんだよ。もう街への被害とか気にしてられないかな」

 

 ウーノとシエテが言い合って、見積もりが甘かったことを悔いる。

 

「では私も参戦しよう」

 

 そこへ声がかけられた。秩序の騎空団のモニカである。

 

「元々我らで捕縛するところを手伝っている身だ。まだ仲間がいると踏んで待機していたが、彼の助けが来なかったことからいないと見ていいだろう」

「確かにね」

「実力なら心配無用だ。これでも私はかつて碧の騎士ヴァルフリートの右腕と呼ばれた身でな。足手纏いにはならないつもりだ」

「それは心強いね、頼めるかな?」

 

 シエテの了承が取れたことでモニカが腰の剣を抜き放つ。

 

「モニカさん、私も……」

「リーシャはその少女の確保を。それにもし万が一のことがあって、船団長が意識不明では格好がつかないだろう」

「わ、わかりました。武運を」

 

 一人でも多い方がいいと思ったリーシャだったがモニカに止められ引き下がる。傍にいる未だ不安そうな少女から離れるわけにはいかないと納得した。

 

 そこへ、

 

「大人しく寝てろ!」

 

 少し離れた位置から声が聞こえて鈍い音が鳴る。意識が自然とそちらへ向ける者が多かったが、彼らが見たのは腹を刺されながらもシスを気絶させたダナンの姿だった。

 

「嘘でしょ? シスなら問題ないと思ってたんだけど……彼やるねぇ。俺が会った時とは別人みたいだ」

「ふははっ。どうやらあいつの方が一枚上手だったようだな。――ダナンが一人倒して、私が五人倒せないなど示しがつかないか」

 

 苦笑するシエテとは裏腹に可笑しそうに笑った黒騎士は、思い切り剣を振るう。

 

「城郭の構え」

 

 ウーノがすかさず障壁を張るが、一撃で破壊されしまう。

 

「これで巻き込むことを考えず、心置きなく戦えるというわけだ」

 

 黒騎士の放つ覇気が一層強まり、警戒が走る。

 

「紫電一閃ッ!」

 

 そこへ素早く移動したモニカが真上からの振り下ろしと同時に紫電の斬撃を放った。剣で受けた黒騎士が僅かに下がる。続けて着地したモニカはそのまま真横に剣を振るう。

 

「紫電一閃ッ!」

 

 先程と同じ技。しかし受けた黒騎士が大きく下がった。

 

「それはこちらも同じだ、黒騎士」

 

 笑うモニカの小さな体躯に紫電が迸っていた。

 

「私は紫電により身体能力を向上させることができる。今二発打たせてもらったが、これでそれなりに戦えるだろう」

「……ふん。種明かしとはどういうつもりだ?」

「なに、大した意味はない。まだ三段階ほど上がるのでな。私を甘く見るなという、忠告と受け取ってくれ」

 

 そうして二人の打ち合いが始まる。

 

「やるね、彼女。じゃあ俺も――本気、出しちゃおっかな~」

 

 シエテは軽い口調だったが言葉通り本気で挑むために、エンブレーマを使用する。彼の身体を仄かに光が包み全ての能力を上昇させた。

 

「俺は剣光最大まで溜めるから、皆はそれまで彼女を援護。任せたよ!」

 

 シエテが力を溜める中、頼まれた他の三人が動き出す。強烈な一撃を受けるためにウーノが、僅かでも隙を生むためにソーンとエッセルが援護を始めた。

 

「ふんっ!」

 

 黒騎士が振るった刃を、モニカは間一髪で回避する。

 彼女の放つ紫電一閃はもちろん強力な技であり、彼女に帯電する紫電を高めるために必要な過程だ。しかしその真骨頂は、どんな体勢からでも即座に放てるというところ。

 

「紫電一閃!」

 

 回避直後に放たれる一撃は相手の隙を確実に突き直撃する。

 

「チッ……!」

 

 七曜の騎士が持つ鎧に加え自身の魔力で防御を高めているとはいえ、直撃を受ければダメージがある。

 しかも放つ度に紫電で強化されより避けられやすくなる。実に厄介な相手だった。

 

「はぁ!」

 

 例えモニカの回避が間に合わないタイミングで攻撃を仕かけたとしても鉄壁を誇るウーノによって防御されてしまう。

 それ以外にも矢と銃弾が絶え間なく襲ってくるせいで動きが阻害されて細かなダメージが蓄積する。

 

 その上。

 

「お待たせ、皆。全力で行くよ!」

 

 天星剣王と呼ばれた男がまだ残っていた。

 

「はぁ!」

「っ!」

 

 シエテの一振りを受け止めた黒騎士だったが、足が離れ大通りを跨いで向かいの屋根まで飛ばされる。彼女が着地した頃には輝かんばかりにオーラを纏うシエテと、紫電を纏うモニカが迫っていた。迎撃すべく振るった剣は軽やかに回避されてしまう。

 

「無駄だよ」

「紫電一閃ッ!」

 

 二人の強力な一撃をまともに受け、屋根の大半が吹き飛ぶと同時に黒騎士の身体が地面に激突、崩れた屋根の下敷きになる。

 

「……っ、くっ」

 

 埋もれた黒騎士は悔しさに歯噛みする。鎧に傷はなくとも中にダメージが通っていた。

 

 ――強い、それは認めよう。黒騎士は全力で戦っている。それを上回り追い詰めてきた十天衆とモニカは確かに強い。敗北もあり得るレベルの強さだ。

 そしてダナンが逃げた今、彼女は孤高の戦いを強いられている。味方はいない。帝国にも裏切られた今、彼女に戻る場所などなくなったも同然だ。

 

 だが――それがどうした。

 

 親友のオルキスを失ったあの日から、アポロニアに味方と呼べる者はいなかった。だから傭兵を雇うしかなかった。ずっと独りで戦ってきた。助けなどなくて当然。

 だから彼女は折れない。例え立ちはだかる相手が自分を倒すほどの力を持っていようが諦めることはない。

 

「……」

 

 ゆっくりと立ち上がりまだ身体が動くことを確認する。そして家の壁を蹴破り、外へ出た。

 

「やっぱりまだやれるよね。……ウーノ、効いてるよね?」

「ああ。確実にね」

 

 見た目は無傷での登場になる。シエテが少し自信なさげになるのも無理はなかった。

 

 ふと、黒騎士は敵から目を逸らしてリーシャの近くにいるオルキスへと視線を向ける。

 

「――待っていろ。すぐそこへ行く」

 

 静かだが確かな意志を込めた言葉だった。

 

 そして彼女の全身から闇のオーラを噴き上がる。

 

「マズい!」

 

 強力な一撃の発動を察知したウーノが前に飛び出し正面に立った。

 

「――我が歩み、止められると思うなッ!」

「城郭の構え!」

 

 障壁を張り防御に徹したウーノへと黒騎士が剣を叩きつける。空間に亀裂が走るが、それは障壁の範囲よりも大きく広がった。

 

「退避っ!」

 

 シエテの切迫詰まった声が響き全員亀裂の正面から逃げ出す。

 

「散れッ!!」

 

 黒騎士が剣を振り抜くとウーノの障壁はあっさりと砕け散り黒の奔流が街を襲った。一瞬で端まで倒壊する建物と、吹き飛ばされるウーノ。そして倒壊に巻き込まれたであろうカトル。

 

「……はぁ……っ!」

 

 黒騎士も呼吸を乱していたが直撃を受ければ跡形も残らないであろう一撃に、リーシャは戦慄していた。果たしてこれと同じことが、同じ七曜の騎士ヴァルフリートの娘である自分にできるのかと。

 

「……凄いね。これは手加減してられないかな。ウーノ、無事かい?」

「……ああ、なんとかね。戦いで血を流したのはいつ振りだろう」

 

 ウーノは怪我をしているようだったがまだ動ける状態だった。

 

「よし。じゃあ皆、全力で決めようか。あちらさんは強い。小技じゃ長引く可能性があるからね。俺とモニカちゃんで隙を作るから、そしたらお願いね」

 

 

 シエテは言って紫電を纏うモニカと並び立つ。

 

「勝手に決めちゃったけど、いける?」

「当然だ」

 

 そして二人は強化された状態のまま黒騎士へと突っ込んでいく。

 

 ほぼ同時に肉薄したところをまとめて黒騎士が薙ぎ払う。しかしそれは回避され、剣を振るった体勢でモニカの「紫電一閃」を受けてしまう。それでも怯まずシエテの剣を受け止め押し返した。そこを最大限に紫電が高まったモニカがほぼ同時と思えるほどの速度で二回剣を打ち据え吹き飛ばす。

 

「そろそろかな」

 

 シエテは言ってモニカに黒騎士の正面を任せて足を払うと大量の剣拓を放って上空へと打ち上げた。

 

「……これがあるから攻撃を受けるわけにはいかなかったんだよねぇ。モニカちゃんのおかげでたすかったよ。ーークオーレ・ディ・レオーネ」

 

 シエテは言って溜めた剣光と引き換えに味方全員の奥義威力を高める。加えて彼はその場にいるだけで、天星剣王としてのカリスマから味方の奥義を高めることができるのだ。

 

「まずは僕からいこう。――天逆鉾ッ!」

 

 打ち上げられた黒騎士をウーノが槍の一突きに強大な力を込めて放ち、吹き飛ばす。

 

「ぐっ……!」

 

 空中では身動きの取れない黒騎士だったが、なんとか剣を差し込んで威力を軽減させた。

 

「これでは大してダメージを与えられないね」

 

 ウーノが呟く中、エッセルは隙を窺い奥義の機会を待つ。しかし黒騎士が無事である以上直撃させるのは難しかった。もう打つしかないのかというところで、小さな斬撃が黒騎士へと当たる。

 

「? ……っっ!?」

 

 大して威力のない攻撃を不思議に思った黒騎士は、その攻撃の意味を知る。全身が痺れて動かなくなり、力が入らなくなったのだ。

 

「……やられっ放しは性に合わないんですよ」

 

 怪我を負っていたはいたが倒壊した建物の中に立つカトルだった。彼が黒騎士の隙を作るために麻痺をかけたのだ。全ては次に繋ぐために。

 

「……ありがとう、カトル。ラストオーダー! ダンス・マカブル!!」

 

 弟の援護に感謝をして、隙だらけの黒騎士に強烈な一撃を与えるため赤雷を纏い奥義を放つ。

 跳弾し、曲がり、縦横無尽に駆け巡る無数の銃弾は、しかし全て黒騎士へと直撃した。

 

「がっ!」

 

 麻痺で抵抗できない黒騎士が直撃を受けて更に吹き飛ぶ中、ソーンは魔力を足に集中させ空から矢を番えた。

 

「射抜いてみせる。アストラルハウザー!」

 

 ソーンが矢を放つと光の矢が弓から無数に連射されていく。容赦なく繰り出される奥義に黒騎士の意識が飛びかける。

 更に再び剣光を最大まで溜めたシエテが接近しており、

 

「天星剣……奥義ッ! ディエス・ミル・エスパーダッ!」

 

 彼の一振りと共に百や千では足りない、万にも及ぶ剣拓が一斉になって放たれる。それが全てが黒騎士を襲い吹き飛ばした。建物へと突っ込み倒壊することで姿が見えなくなる。

 

「……ふぅ。手強かったね。でもこれで――」

 

 確かな手応えがあった。全力の奥義を何回も叩き込んだ。しかし。

 

 轟音が響いて黒騎士が突っ込み倒壊した瓦礫が吹き飛ぶ。全員が驚いてそちらを見る中、ゆっくりと黒い甲冑が姿を現した。

 

「……どうした、この程度か?」

 

 声だけは余裕を持たせようとしているが、足元が覚束ない様子だ。見た目は兎も角確実にダメージは与えている。

 

「……いや、ホントに七曜の騎士は凄いね。空域一つを支配する人がいるっていうのもわかる気がするよ」

 

 シエテは苦笑する。手加減無用で叩き込んだ奥義を受けてまだ立ち上がれるのだ。星晶獣などならまだしも、人の身でそれほどの力を手にしている者がどれだけいるか。正確な数はわからなくとも、数少ないことは間違いないだろう。

 

「っ、はぁ……」

 

 相当ダメージは負っているようで、剣を杖のように使いながらも黒騎士は倒れない。

 

「……私は……諦めるわけにはいかんのだ!」

 

 正真正銘、最後の力。残った力全てを注ぎ込んで奥義を放とうとする黒騎士に、シエテは告げた。

 

「一人、減ってることに気づかない?」

「なに?」

 

 言われて即座に数え始める。

 シエテに、遠くで腰を下ろすウーノ。空を飛ぶソーン。屋根の上に立つエッセル。倒壊した建物の瓦礫を押し退けて大通りまで出てきたカトル。

 全員いる――十天衆は。

 

「――旋風紫電」

 

 それに気づいた時には、彼女が背後で剣を振り被っていた。

 

「しまっ……!」

 

 剣を掲げるのも間に合わず、全身に紫電を纏い発光したモニカの姿を捉えただけに終わる。

 

「――裂光斬ッ!!」

 

 渾身の一閃が特大の紫電と一緒に放たれ、遂に黒騎士の意識は闇に呑まれていった。

 剣を手放し力なく倒れ伏す黒騎士を見て、皆はようやく肩の力を抜く。

 

「……っ。久々の全力はキツいな。前線から退いたのが仇になったか」

 

 モニカは剣を鞘に納めて紫電を解除し、顔を顰めた。最大まで高めた紫電は強力だが、その分反動が返ってくる。以前は負担に感じなかったものだが、と考え苦笑した。

 

 ……私も歳を取ったということか。

 

「いやぁ、モニカちゃん助かったよ~。危うく負けちゃうかと思ったからねぇ」

「彼の天星剣王にそう言ってもらえるとは光栄だ。お疲れのところ悪いが黒騎士の拘束を手伝ってくれるか?」

「いいよ、ほらカトルも来て」

「なんで僕が手伝わなくちゃいけないんですか?」

「だってカトルってば一番最初に倒されて全然活躍してないでしょ?」

「うっ……。てめえいつか細切れに切り刻んでやるからな……」

「カトル。文句言ってないで手伝うよ」

「……姉さん」

 

 休んでいるウーノと気絶中のシスを除いた四人が集まり、黒騎士の装備品を外して拘束を施していく。

 

「……なんて言うか、ちょっと目に毒な恰好してるんだね」

「シエテ?」

「じ、冗談、冗談だよソーン」

 

 鎧を脱がせた黒騎士を見て軽口を叩いたシエテがソーンに弓を突きつけられ。

 

「カトル。見ちゃダメ」

「姉さん! 子供じゃないんだから!」

 

 エッセルはカトルに目隠ししようとして断られ。

 

「やれやれ。騒がしいものだね」

 

 ウーノは遠くからでも聞こえる騒ぎに苦笑した。結局、ほどんとモニカ一人で黒騎士を拘束する。

 

「……アポロ」

 

 戦いの始終を見守っていたリーシャは、黒騎士の名前を呼んで悲しそうにする少女を見て自分の行動に一抹の不安を覚える。

 聞いた話では、黒騎士が帝国の匿っていた少女を無理矢理連れ回しているとのことだったのだが。黒騎士の様子からも、少女の様子からも、一切そんな状況は見て取れなかった。

 

 ……いいえ。迷っている暇はありませんね。やるべきことをやらないと。

 

 リーシャは心内の迷いを振り払い、これからやるべきことを頭の中に並べていく。

 

「……聞こえますか。こちらリーシャ。応答してください」

 

 リーシャは通信機を使って街を包囲している団員へと連絡を取る。

 

『はい! 聞こえています。……轟音が止みましたが、終わったのですか?』

「はい。作戦は終了、黒騎士の捕縛と少女の確保は無事に終わりました。しかしまだ取り逃した者がいます。黒い服を着た少年です。部隊の一つは彼を探してください。残りは――」

 

 リーシャは団員へ指示をしながら、あるモノへと目を向ける。それは大通りから街の端まで一直線に横三軒の幅で倒壊した建物の成れの果て、である。

 

「……後片付け、ですかね」

『は、はあ。そちらへ向かわせますか?』

「はい、お願いします。私とモニカさんは一足先に戻りますので」

『わかりました。後のことはお任せください』

 

 通信を終えて、リーシャはため息を吐く。

 

「……これ、経費で落とせるのかなぁ」

 

 建物の再建費を自己負担しろ、とは流石に言いづらい。こちらが巻き込んでしまった身だ。できれば建て直してあげたいが、数が数なので費用して足りるかどうかというところが問題だった。

 若き船団長は後処理に頭を悩ませながら、モニカと合流してやるべきことを行う。

 

 こうして黒騎士一行は、バラバラとなってしまったのだった。


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