ナンダーク・ファンタジー   作:砂城

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サブタイがモニカさんが死んでしまったみたいになってしまった(笑)
ただタイトルをつけるとしたらこんな感じになるんじゃないかと思います。


モニカの遺した言葉

 グラン達はガンダルヴァとの戦闘後、秩序の騎空団団員に連れられてある建物へと案内された。

 そこでゆっくり傷を負った仲間達を癒し、全員が目を覚ましたところで団員は説明を始める。

 

「リーシャ船団長が島を出て行った後、モニカ船団長補佐の指示で警備の強化など事後処理に追われていたのですが。そこへ現れたのが、帝国の戦艦三隻を引き連れたあの中将ガンダルヴァだったんです」

「ヤツは……以前この第四騎空艇団の船団長を務めた男です。ただ戦闘狂で粗暴だった上に力を至上主義としたことからヴァルフリート団長が一騎打ちの末追放したという経緯があります。ただそれ故にこの島については知り尽くしており……」

「瞬く間に攻め入られたところでモニカ船団長補佐は俺達にガンダルヴァが去ってから建てられた建物で待機するように、と命じてヤツに一騎打ちを挑みました」

「その結果モニカ船団長補佐は敗れ、今は監獄塔に幽閉されています。ヤツらは監獄塔と庁舎を根城にしていて、助けに行こうにも戦力が上でして……」

 

 団員達の説明に、リーシャは顎に手を当てて考え込んだ。

 

「わかっている範囲で構いません。相手の戦力とこちらの残存戦力は?」

「向こうは二百ほど。こちらは……残念ながら二十くらいでしょう」

「……そうですか」

「あ、ただ全員が殺されてしまったわけではありません。物資の確保をするために三十人ほど庁舎で働かされています。他に生き残っている団員はモニカ船団長補佐と同じく監獄塔に幽閉されていると思われますが」

「わかりました」

 

 二十対二百。絶望的な数字だった。一人で十人を倒さなくてはならない。リーシャや囚われているモニカなら兎も角、一般団員はそこまでの戦力ではなかった。 

 

「とんでもねぇピンチじゃねぇかよ……」

「しかもあのガンダルヴァ、とんでもねぇヤツだったしな」

 

 ビィとラカムが勝ち目のなさを口にする。

 

「ここにいる全員でかかっても無理だと思うけどねぇ、彼は」

「ああ。あたし達の本気よりも断然強い。束になってかかっても勝てるかわからないぞ。対七曜の騎士くらいじゃないと」

 

 珍しく本気を出した二人も分析する。

 

「……えぇと、皆さん。さっきはすみません。一人で突っ走ってしまって」

 

 そこでリーシャが頭を下げる。

 

「そうだな。自己を省みない力に未来などないよ」

「はい……」

「……あの時の顔、怖かった」

「うっ……ご、ごめんなさい」

 

 オルキスに言われてしゅんとするリーシャを見て、リーシャ成分不足だった団員が感極まっていた。誰も気づいていなかったのは幸いか。

 

「あ、そういえばあのクズ男はいないみたいですね」

 

 しかしその団員は一行の顔触れを見てそう口に出した。

 

「えっ?」

「もしかして死んだんですか? いやぁ、残念ですねー」

 

 その団員は欠片も残念だと思っていないような晴れやかな笑顔をしていた。その言葉にオルキスがきゅっとぬいぐるみを強く抱き締める。グラン達もいい気はせず嫌な空気が漂いかけたその時、傍にいた団員がそいつの頭を掴んで地面に叩きつける。無理矢理に頭を下げさせたような体勢だ。

 

「す、すみません皆様! こいつはあの……リーシャ船団長を心から慕ってまして、ちょっと感情的になってるんです! お、おい! こいつをちょっと連れ出してくれ!」

「ちょ、やめ……!」

 

 不謹慎な発言をした団員は連れ去られていった。

 

「すみません……。ただそのぉ、団員達の中にはこうなったのはあいつのせいだという声を上げる者もいまして……」

「なんで、そんなことを……?」

「えーっと、『リーシャ船団長がここにいれば、あいつについていかなければこうならなったのに』みたいな声ですね。責任転嫁ですが、仲間もたくさん殺されたのでなにかに怒りをぶつけたい気持ちはわかる気がします。ただそれを彼に向けるのは間違ってますよね。不快な想いをさせてしまってすみません。心中はその、お察しします……」

 

 ドラフの団員は申し訳なさそうに説明し頭を下げる。

 

「……勝手にダナンを殺さないで。なにも知らない癖に」

 

 それをオルキスがやや冷たい声で告げた。その様子に驚きつつも、リーシャも追随した。

 

「そうですよ。ここにいないからと言って死んだと決めつけるのは失礼です。大体、私は自分の意思で彼らについていくと決めた身です。こうなったのが私がここにいなかったせいなのだとすれば、私を糾弾すればいいでしょう」

「それは……そうですね。ですがその、非常に申し上げにくいのですが……」

「はい」

「彼らがあそこまで怒りを向けているのは、リーシャ船団長を彼が惚れさせたという点がですね……」

「ふぇっ!?」

 

 予想外の申し出だったのか、リーシャは間の抜けた声を上げて顔を真っ赤にした。

 

「ち、ちょっと待ってください! なんでそんなことになってるんですか!? 私はちゃんと、黒騎士と黒騎士を脱獄させようとした彼らを監視するためと言ったじゃないですか!」

「はい。ですがそれは職務上の建前ではないかという結論が出回りまして。モニカ船団長補佐も『あれは惚れてるな』とにやにやしていらしたので」

「モニカさんまで!? ああもう、違いますから! ダナンとはそういうのではありません!」

「ですが呼び捨てですし、あそこまでリーシャ船団長と親しくしていた男は初めてですし。なによりあの前日、夜の中庭でリーシャ船団長と彼がその……キスしていたという情報が……」

「っ!?」

 

 ぼっと火が点くように顔が真っ赤に染まった。庁舎の中庭での出来事だ、誰かに見られていてもおかしくはない。確かにあの時はそうしているような体勢、距離だと思われても仕方がない状態だったような気がする。……リーシャとしては突然のことに頭がついていかず半分ぐらい朧気になってはいるのだが。

 だが否定しなければ更なる誤解を生んでしまう。

 

「……そ、そのような事実はありません! 確かにその……そういう風に思われても仕方がない状態ではありましたが、あれは彼が私をからかうためにやったことで、実際には特に、そういったことは……」

 

 羞恥に耐えながらもなんとかきっぱりと否定してみせた。その言葉の中で特に「彼がからかって」というフレーズが効果的だった。ダナンが散々リーシャをからかう様は見ていたので、「あ、それやりそう」という認識が芽生えたのだ。

 

「……本当に、嘘偽りなく……?」

「は、はい。当然です」

「……嘘吐いたらダメ」

「う、嘘は吐いていません」

 

 団員とオルキスから確認を取られたがきちんと目を真っ直ぐに見て返すことができた。二人はほっとしたように胸を撫で下ろしている。

 

「そ、そんな話よりも今はこの状況をどうやって打開するかを話し合いませんと……」

「いいえ、とても重要です。我々団員達の士気に関わります」

「そ、そうなんですか……?」

「はい。間違いなく。ところでリーシャ船団長。本当の本当に、彼に惚れているという事実はないと考えていいでしょうか?」

 

 団員の真摯な目がリーシャを射抜く。真剣に尋ねられたので真剣に答えを返さなければならないという真面目思考の下、改めて考えてみたが。

 

 ……確かに今までにないくらい翻弄されてはいますが、異性として好きかどうかと言われると微妙な気が……。もうちょっとこう、落ち着いた雰囲気の方が一緒にいて過ごしやすいとは思いますし……。

 

 一緒にいて楽しいという部分はあれど多分違うと考える。

 

「……はい。ありません」

 

 考え込んでから真剣な表情できっぱりと否定した。これで誤解は解けるだろう。

 

「……なるほど。わかりました、物悲しいですが、リーシャ船団長の巣立ちを見守ることにしましょう」

「えっ? いえ、あの……この流れでなんでそうなるんですか」

 

 ところが予想外の発言を受けてしまう。

 

「申し訳ないのですが、リーシャ船団長にこれを尋ねる時、団員達の満場一致で否定されるという予想が立ちました。真面目な方ですから、おそらくどちらであろうと否定されると」

「……」

「ではどこで真実を判断するかという話になるのですが、それはリーシャ船団長が考えるか考えないか、という話になりました。特に意識していないのであればすぐに答えが返ってくるだろうと睨んだわけですね。結果、充分な時間考えた後に答えを出されました。つまり彼に対して否定する材料を探してからの答えだと思うのです。そして考える時間が長ければ長いほど、否定する材料を見つけるのに時間がかかっているということになりますね」

「……」

「ですので今のを見るとリーシャ船団長は憎からず想っていることになります。惜しいですが、我々はリーシャ船団長が選んだなら背中を押すしかありませんので」

「……」

 

 彼女のことをよく見てきた団員からの言葉に、リーシャは押し黙ってしまう。本人に自覚はないので言い当てられたとか図星だったとかそういう気持ちはないが、妙にすとんと胸に落ちてきたような感覚だった。

 

「……ダメ。リーシャは秩序の人だから仕事しないといけない」

「えぇと、そうですね」

「……だから、ダメ」

「は、はい」

 

 オルキスの妙な有無を言わせぬ迫力に頷くしかできないリーシャ。オルキスは満足そうに頷いた。

 

「……では本題に入りましょうか。我々無事な秩序の騎空団団員はこれよりリーシャ船団長の指揮下に入り、アマルティア奪還の任務を遂行したいと思います」

 

 ようやくだが、団員は真剣な話題へと転換させる。その様子にリーシャも一旦彼について考えることをやめて、気を引き締めた。

 

「今は各地で不意打ちのゲリラ戦によってなんとか数少ない拠点を守りながら戦っていますが……敵の数が多く戦況を覆すほどの結果は得られていません。それどころか兵の消耗が激しくこのままでは一週間と持たないでしょう」

「……そうですか。すみませんが、皆さんにも協力していただいていいですか?」

 

 団員の報告を聞き、リーシャはグラン達を振り返る。

 

「はい。元からそのつもりですよ」

「微力ながらご助力します」

「へへっ。こいつらがいれば帝国兵なんて楽勝だぜ!」

 

 グラン、ジータ、ビィが応える。他の者も協力してくれるようだ。

 

「……では問題は」

「はい。ガンダルヴァということになりますね。あいつがいれば、それだけでこの戦いを終わらせることができます。逆を言えば――」

「ガンダルヴァを倒さなければ我々に勝利はない、ということか」

「はい……」

 

 カタリナが勝利条件を口にし全員が口を閉ざした。秩序の騎空団は元より、グラン達も圧倒的な強さを目にし肌で感じている。唯一リーシャが単騎でガンダルヴァに太刀を抜かせ、スツルムとドランクがコンビで撤退させることに成功したが。それでもまだまだ全力というほどではないと理解していた。全員で同時にかかっても勝てるとは限らないだろう。

 

「あ、リーシャ船団長。モニカ船団長補佐がガンダルヴァとの一騎打ちに臨む前に、これをリーシャ船団長へ渡すようにと……」

 

 ある団員がリーシャへおずおずと折り畳まれた紙片を差し出す。彼女はそれを受け取り、なにが書いてあるのかと紙を開いた。そこには二言だけが書き綴られていた。

 

「……偽物も魂が宿れば本物に勝る。纏うだけが紫電ではない。どういう意味でしょう?」

「さ、さぁ? 私もこれをリーシャ船団長に、と言われただけですので」

 

 モニカから手渡されたらしい団員も真意については知らないようだ。

 

 ……もっと噛み砕いて書いてくれればいいのに。

 

 読み解かせようとしている意図が見えてそんな余裕が時間的にない今、そっくりそのまま書いて欲しかったというところもある。だがモニカがこれをリーシャの手に渡らせた、ということはリーシャにとってこの状況を打破するのに必要な要素が書かれているとは思う。

 

「……偽者、魂、本物……」

 

 ぽつりとオルキスが呟き、つい「なにか心当たりが?」と聞きそうになってしまい、寸でで留まった。黒騎士の話では彼女はオルキス王女が心を失った状態の人格――つまりは偽物だ。言葉だけで見ると彼女に関係ありそうな気はしてくるが、リーシャについてのことなのは確実だった。

 

「……皆さんは、なにかモニカさんの言いたいことがわかりますか?」

 

 リーシャは明確な答えが浮かんでこず、グラン一行へと尋ねる。

 

「う~ん。紫電と言えばモニカさんだけど……リーシャさんが紫電も使えて疾風と紫電で超強化、みたいな?」

「あれは魔力の性質が齎しているモノですので、私には使えませんね」

「纏うだけが紫電じゃない、かぁ。モニカさんの紫電は確かに纏うだけじゃなくて、帯電してたよね。最後の方なんか発光してたし。身体に直接電流が流れてたりするのかも」

「そうかもしれませんけど……それがガンダルヴァを打ち破る策になるとも思えませんね」

 

 直接戦って目にしていた双子がそれぞれの考えを口にする。

 

「これはリーシャ殿に向けられた言葉なのだろう? ではあの、モニカ殿のような風による強化についてのアドバイスの可能性はないか? 今のところ、一人でガンダルヴァと対抗していたリーシャ殿が最重要戦力だ。悔しいが、決死の覚悟で戦ったとしても足手纏いになる可能性が高い」

「……あれは確かにモニカさんの紫電を真似て会得しようとしていたモノですね。もしかして私が風を纏うだけだから、紫電のようにするには全身に巡らせるとかそういうのが必要ということでしょうか」

「纏うだけで自分のこと切っちゃう風なんて身体に巡らせたら内側から八つ裂きになっちゃうわよ?」

「そ、それもそうですね」

 

 感情が昂ぶり制御できていなかったとはいえイオの懸念は尤もだった。リーシャもやってみるにはリスクが大きすぎると考える。

 

「別に秩序の姉ちゃんがあのちっこい姉ちゃんの真似する必要はねぇんじゃねぇか?」

「え?」

「だってよぉ、オイラこの二人ずっと見てたからわかるけど、同じ『ジョブ』の力を持ってるこいつらだって得意不得意があるんだぜ? 全く同じことなんてできねぇよ」

 

 ビィの何気ない一言に続き、

 

「そりゃそうだな。ってーことは、同じようなことを嬢ちゃんなりに再現してみりゃいいんじゃねぇか?」

「私なりに再現……?」

「ああ。風じゃあ同じことはできねぇ。真似事がただの真似事で終わっちまう。なら嬢ちゃんの思う方法であの子に近づけるようにやりゃいいんだよ」

「……」

 

 オイゲンのセリフにリーシャは目を見張る。彼女以外も驚いたような顔で彼を見つめていた。

 

「……そういやあんた、年長者だったな……」

「お、おいラカム。どういう意味だ!?」

「すまない。私も同じことを思ってしまった……」

「カタリナまで……。一応俺が最高齢じゃねぇか。そんなに威厳ねぇか?」

「……ふにゃぁ」

「それは今言うんじゃねぇ! 確かに威厳ねぇなぁ!」

 

 ためになる言葉を発したオイゲンは面食らっていた。

 

「……えっと、つまりビィ君やオイゲンさんの言う通り、紫電とは違う紫電のような力を身につけたらいいという言葉という認識でいいんですか?」

「はい、多分。モニカさんはリーシャさんがガンダルヴァ打倒の鍵になるってわかってたんですね」

「そう、なんでしょうか……」

 

 グランの言葉に本人は首を傾げていたが、事実リーシャと戦っていた時のガンダルヴァが最も本気に近かったのを見ている皆としては疑う余地がなかった。

 

「ではもう一つの偽物も魂が宿れば本物に勝る、とはどういう意味でしょう。関連した話で考えると、真似事という偽物に魂を込めろ、という風にも聞こえますが……」

「……違う」

 

 彼女の言葉を今唯一完全な偽物だとわかっている少女が否定した。

 

「……多分、心の強さ。偽物が本物に近づくには、心が必要」

「オルキスちゃん……」

 

 心を失った今の彼女だから出た言葉なのかもしれない。

 

「……確かに、リーシャ殿は先程から自分の強さに対して信じ切れていない節が見受けられる。もっと自分の強さを信じてもいいのではないかと思うが」

「自分の強さを信じる……」

「確かに今一番ヤツに近いのはあんただろうな。俺達なんか束になっても敵わなかったってのに」

「……う~ん」

 

 カタリナとラカムの言葉を受けても、悩み込むようにしていた。自信を持たせるための方便なのではないかと勘繰ってしまう部分もあるからだろう。

 

「なら私達と模擬戦をしませんか?」

「模擬戦ですか?」

「はい。私達二人が、ClassⅣを使ってリーシャさんと戦います。あ、自我なくなっちゃうので容赦なく倒してもらわないとダメですよ?」

「え、いや、あの……」

「大丈夫です。リーシャさんが倒してくれればいいんですから。早速やりましょう。他の目がないところならどこでもいいですから」

「確かマリス足止めするのに使ってたアレですよね? 流石に二人同時は……」

「はい。一人ずつ順に戦うので大丈夫ですよ。じゃあ行きましょう」

「ま、まだやるって言ってないんですけど」

 

 リーシャはジータに手を引かれて室内から出ていく。珍しく強引なやり方を取っているが、それくらい強引な方がいいのかもしれないと仲間達は考えた。

 

「あ、では敵の目がない場所にご案内しますよ」

「よろしくお願いします」

「あの、ちょっと待ってください、って……」

 

 狼狽えたリーシャを強引に引っ張っていったジータは団員に案内されてある場所へと移動する。

 

「グラン、アレ貸して」

「【ベルセルク】でやるの? ……まぁ、わかった」

 

 広いスペースで対峙したジータはグランに声をかけて斧を受け取る。

 

「ほ、本当にやるんですか?」

「はい。ちなみに今から使う【ベルセルク】になると手加減一切なしにリーシャさんを殺しにかかると思います」

「え」

「なので頑張って私を倒してください。全員がかりで止められるかわからないので、リーシャさんが頑張らないと私が皆殺しにしてしまうと思います」

「そ、そんな力を使わなくてもいいんじゃ……」

「大事なことですよ。じゃあいきますね」

「あ、ちょっと待っ――」

 

 制止する間もなくジータはそれを口にした。

 

「【ベルセルク】」

 

 基本はグランが変化した時と変わりない。白い毛皮のフードを被った戦士だ。彼の場合首から下から鎧に包まれていたが、彼女の場合は胴体部分の鎧は少なかった。なにより違うのはその顔つきで、普段の優しげな顔からは想像もできない獰猛な笑みを浮かべている。

 

「さて、やりましょうかリーシャさん。全力で殺し合いましょう!」

「性格変わりすぎでは!?」

「早く剣構えないと死にますよ!」

 

 変貌したジータがリーシャへと襲いかかったことで、模擬戦が開始される。ClassⅢに至ったダナンに大しても圧倒的な力を見せつけた【ベルセルク】だったが、リーシャはなんとか凌いでいた。瞬殺されないだけで彼女の強さが窺えるというモノだ。

 

「……僕もあんな風になってたんだなぁ。なんか凄い反省する」

「うぅ……あんな怖いジータ初めて見ました……」

「お、オイラ達はあれより怖いの知ってるからなぁ」

「聞きてぇような聞きたくないような話だな」

 

 二人の戦いを見守りつつ、リーシャが死にそうだったらいつでも助けに出られるよう構える一行だった。


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