ナンダーク・ファンタジー   作:砂城

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オイゲンじゃなくて黒騎士が最終されるんかいっ!
とこれグラ11月号を読んで思いました。まさか先にそっちとは……。
しかも古戦場前に来るらしいという……。

まぁこの作品を書いている私ですので、黒騎士最終自体は嬉しいです。
エピソードはオイゲンかオルキスか……楽しみですね。

あ、因みにキャラ調整については後書きでだらだら語りますが興味のない人は無視してください。


三階と四階の戦い

 ユグドラシル・マリスの相手として三階に残ったロゼッタは、全員が階段を登り切ったのを確認してから姿を変貌させた。

 

「我こそは茨の女王。神惑と幻惑を統べる者――ってあなたに名乗るのも変な気分ね」

 

 厳かな声音で言ってから、ふっと表情を和らげて苦笑する。

 

 対峙しているのは見慣れた少女の変わり果てた姿だ。ルーマシー群島で一度戦っているとはいえ、本体の痛ましい姿は見るに堪えない。

 

 彼女と彼女はルーマシー群島の星晶獣であり表裏一体の関係となっている。ルーマシーでこそ本領が発揮されるのは言うまでもないことだが、星晶獣の模造品と本物の星晶獣では比較にならない。例え相手が強化された状態であっても、引けは取らなかった。

 

 茨の鞭と木の触手がぶつかり合う。

 その応酬は互角だった。

 

 しかし、徐々に茨が数を増やし木の触手を圧倒してユグドラシル・マリスを押していく。

 

「同じ姿とはいえ所詮は模倣品……あの時のように手加減する必要はないわ」

 

 口調を厳かなモノに戻すと触手に相殺されるよりも早いペースで茨を生み出し圧倒していく。

 

 彼女はルーマシー群島の裏の星晶獣・ローズクイーンそのモノである。その力は以前ユグドラシル・マリスを足止めした時に示した通り。

 ダナンが気絶し目覚めるまでの()()()()()()()()()()()()()()()()()()()上で戦い続けたほどだ。

 

 つまり。

 

 本気になった彼女を、紛い物のユグドラシル・マリスが止められるはずもなかった。

 

「それに、あの子の痛々しい姿を一秒でも長く見ていたくないの。だからこれで終わりよ」

 

 木の根に囚われたようなユグドラシルの姿は痛ましさを湛えている。なによりその姿を見ていると心が締めつけられてしまう。偽物とはいえ見ていて気持ちのいいモノではなかった。

 

「――スパイラルローズッ!!」

 

 直後、ユグドラシルの真下から茨が捩巻いてドリルのように突き出してくる。容赦のない殺傷力を持つ一撃がユグドラシル・マリスの本体を穿ち、呆気なく魔晶へと変化させた。

 

「……ふぅ」

 

 短い戦闘を終えて一息吐いたロゼッタが転がった魔晶を茨で掲げる。

 

「これを使えばローズクイーン・マリスに、なんてね」

 

 他のマリスもそうだが、魔晶による変化は無理矢理星晶獣を在り方を歪めるモノだ。中には超常の視点から人々を見ている獣も多いが、ロゼッタは人に紛れて旅をし、今も旅に同行している身だ。人の良し悪しという感性を理解していた。

 

 茨で魔晶を覆うと力を込めて粉々に砕き床に捨てておく。少なくともこの魔晶はもう使い物にならないだろう。

 

「一刻も早くあの子達の下に行きたいけど……上の戦いを邪魔してもいけないわね。少し休んでからにしましょうか」

 

 星晶獣から人の姿に戻ったロゼッタは言うと無事な部屋の壁に寄りかかって休息とする。

 順番通りなら上の階にはミスラ・マリスを相手にしている者達がいるはずだ。相対している者達が推測できた彼女には、急いで加勢する必要はないと考えられた。むしろ心配なのは下に残った二人なのだが。

 

「男の人って意地を張りたがるものね。中途半端に歳を取るほど、ね」

 

 見た目は置いておいて仲間達最年長の彼女は理解ある顔で苦笑し、しばらくの間目を閉じた。

 

 因みに適当な椅子に座らなかったのは、腰を下ろして一息吐く様がお年寄りと被るからでは断じてない。決してない。

 

 ◇◆◇◆◇◆

 

 四階ではおよそ星晶“獣”と思えないような物体と傭兵コンビが戦っていた。

 

 コピーとは一度黒騎士の補助をする形で戦っている。その時と同じようにミスラ・マリスは一度行った行動への対処法を自分の身体にアップグレードしていた。一つ一つ打つ手を潰していき、尚且つダメージは修復されてしまう――持久戦をするのにこれほど嫌な相手はいないだろう。

 

「さぁて、次はどんな手でいこっかな~」

 

 しかし三十分以上経って尚ミスラを翻弄する張本人は、軽薄な笑みを浮かべ楽しげに思考を巡らせている。

 

「そろそろ温まっただろ。決めるぞ、ドランク」

 

 そんな彼を戒めるように抑揚のない声が響く。

 

「はいは~い。じゃあ、さくっとやっちゃおうか」

 

 呼ばれたドランクはいつもと変わらぬ軽い調子で返事をすると、ミスラの周辺を飛んでいる宝珠の数を増やす。宝珠は緻密なコントロールの下ミスラの操る歯車を掻い潜って隙あらば魔法を撃ち込んでいた。撃ち出す魔法は数種に及ぶためミスラが対応し切れないのも無理はなかった。

 経験豊富な二人の傭兵は互いに手札が多く、特にドランクの手札は数だけで言えばトップクラスである。ミスラの対応範囲を軽々と凌駕するくらいは簡単だった。

 

 問題だったのは、修復能力の方だ。

 以前黒騎士がやったように一撃でミスラを倒すほどの威力を発揮させなければ手札が尽きる前に魔力が尽きてしまい戦い自体が続けられなくなってしまう。

 

 だからこそ時間を稼ぎ強力な手札を温存しながら徐々に上がっていく自分達の身体能力を最大まで高める必要があった。

 

「じゃあ終わらせよっか、スツルム殿?」

「ああ。これで決める」

 

 なにをどうやって、という作戦会議はいらない。十年付き添った黒騎士よりも長い間コンビを組んできた二人だ。互いにまだ知らないこともあるが、それでも連携という点において一切の不安要素はなかった。

 

「そぉれ、フェアトリックレイド!」

 

 ミスラ・マリスの身体を宝珠から放たれた魔法が撃ち抜く。

 

「レックレスレイド」

 

 静かな一太刀が火焔の斬撃を生みミスラを焼き焦がした。ミスラが修復するよりも早くドランクが次の魔法を使う。

 

「インタラプト・トラップ、ってね」

 

 攻撃を受けて修復しながら強化されていくはずのミスラを弱体化する。弱体が回復し切るまでに一気に押し切るつもりだ。

 

「じゃあ本気でいくよぉ。ナインス・アワー!!」

 

 最大まで攻撃性能が上がった状態で奥義を叩き込む。宙に浮かぶ九つの宝珠から同時にレーザーが射出されてミスラの身体を貫きしばらく発射し続けることで修復を阻害した。

 その間に頼れる相棒は動いてくれる。

 

「……」

 

 二本のショートソードを構え刀身に炎を宿す。炎に決意の見え隠れする無表情が照らされた。駆け出し、相棒が動きを止めていてくれる敵に近づくと二本の剣を振り被る。

 

「さよならだ。――フロム・ヘルッ!!」

 

 スツルムの放つ斬撃がいくつもの赤い剣閃となった奔り、ミスラを削っていく。トドメとばかりに振るわれた二本の剣による同時攻撃によって不可思議な歯車が両断された。修復できないほどののダメージだったためかミスラ・マリスの姿が消え、真っ二つに切断された魔晶だけが後に残る。

 

「ふぅ。これで終わりだね~」

「ああ。そこまで苦戦する相手じゃないだろ」

 

 宝珠による魔法は集中力が必要なため一息吐いて少し疲労した様子を見せるドランクとは対称に、スツルムは一切疲れた様子がない。

 

「まぁ僕達はねぇ。だって二人だし? 『一足す一は二じゃない、三にも四にもなるんだ』って感じの相性抜群な僕達だからね。勝って当然でしょぉ」

「そうだな。あたしも負けるとは思っていない」

 

 ドランクはいつものように軽口を言ったつもりだったが、特に刺されることなく頷かれてしまう。

 

「あれぇ、スツルム殿? 僕今相性抜群だね、って言ったんだけど?」

「? それがどうかしたか?」

「……あれれ~?」

 

 からかいに気づいていないのかと思って再度言ってみるが、肝心のスツルムは小首を傾げるだけだった。もしかして遂にスツルム殿もデレ期に入ったのかと思い、更に踏み込んでみる。

 

「いやぁ、スツルム殿もやっぱり相性いいと思ってたんだね~。このままゴールインしちゃう?」

 

 しかし、スツルムの返答はドランクの予想外のモノだった。

 

「ふん。その手には乗らない」

「えっ?」

 

 スツルムはどこか得意気な顔で言った。

 

「お前のことだ。どうせあたしをからかって楽しむつもりだろ。その上で刺されるところまで計算に入れてるはずだ。お前みたいなヤツに一々反応してたらリーシャみたいな目で見られるからな。あとそのリーシャから聞いた話によると、犯罪者の中にはリーシャやモニカに拘束されたいから捕まりに来る輩がいるらしい。拷問すると脅しても歓迎するからやりにくいと愚痴ってたな」

「……いつの間にリーシャちゃんとそんな仲に」

 

 予想外の情報網を意外に思っていたが、ふと気づいた。

 

「あれぇ、スツルム殿。それってもしかして僕がそういう変態さんだと思ってるってこと?」

「違うのか? 嫌で刺されるわけないから、好きで刺されてるんだと思うんだが」

「待って! 僕そんなんじゃないからね!? 断じてスツルム殿に刺されるのが癖になってるとかそういうんじゃないから!」

「……」

 

 弁明しようとするドランクを見つめるスツルムの視線は冷たい。だがもし仮にドランクが真性だった場合その視線を受けてゾクゾクしてしまうため逆効果になるのだが。

 

「ち、違うんだよスツルム殿っ」

 

 ドランクは状況がマズくなってきたと考えて必死に頭を回す。普段と違う返しに翻弄されてしまったが、取り戻さなければならない。彼はスツルムに近寄ると手を取り両手で握って顔を近づける。

 

「あれはおふざけだから。まぁスツルム殿のことは信頼してるから、なにされてもいいんだけどね」

 

 顔も普段より真剣なモノへと変えている。

 

「…………」

 

 返答はない。しかし彼女の身体はぷるぷると震えていた。よく見れば顔が赤い。

 そして、ぷすっともう片方の手でドランクの腹部へと切っ先を当てた。

 

「痛ってぇ!」

 

 いつも通り反応して飛び上がるドランクへと、離された手でもう一本の剣を抜いた。

 

「……お前というヤツは……いい加減にしろ!」

 

 怒りなのかそれとも別の感情なのか、顔は赤くしたまま怒鳴って剣を振ってくる。

 

「うわっ! ちょ、スツルム殿!? 刺すだけならいいけど斬るのはちょっと、やめてぇ!」

 

 咄嗟に避けるドランクだったが、紛れもなく痛い程度じゃ済まない可能性のある攻撃に堪らず逃げ出した。

 

「煩い! お前というヤツはいつもいつも……今日こそはお灸を据えてやる!」

「スツルム殿危なっ! お、落ち着いてってばぁ!」

「煩い!」

 

 こうして彼の()()()()に二人の追いかけっこが始まるのだが、奇しくもその構図はどこぞの船団長と船団長をからかい倒した少年がやっていたそれに近かった。

 

 因みに。

 

「ふふっ。ドランク、ようやく追い詰めたぞ」

「す、スツルム殿? 顔が怖いんだけど……」

「さぁどうしてくれようか……」

 

 と壁際にドランクを追い詰め切っ先を向けるスツルムの口元にはちょっとアレな笑みが浮かんでいたという。

 

「えっとその……なんか取り込み中みたいだなすまん。俺のことは気にせず続けててくれ。じゃ」

 

 その場面に下の階から上がってきた黒衣の少年が遭遇して目が合ってしまった。彼にしては珍しく申し訳なさそうな顔でそそくさに上の階へと続く階段に向かうのを、はっとしたスツルム殿が呼び止める。

 

「ま、待てダナン! 違う、誤解だ!」

「いやちょっと誤解とかなに言ってるかわかんないっす。なにも見てないんでどうぞ続けてください」

「急に余所余所しくなるな! おい、話を聞け!」

「まぁ趣味は人それぞれなんでなにも言わないっす。どうぞお楽しみください!」

「ま、待てと言ってるだろ!」

「……でもまぁこんな大事な時に二人きりだからってそういうのは……良くないと思います」

「っ!?」

 

 最後にそう言い残してさっさと階段を上がってしまうダナンに、スツルム殿が崩れ落ちた。その後スツルムは膝を抱えて虚ろな目で呆然とすることになり、やりすぎたかもと反省したドランクが割りと真面目に慰めることになったのだが。

 それはまた別の話。




11/7にキャラ調整が来るということで、今丁度わちゃわちゃしているかと思います。

スツルムはめっちゃ強くなりそうですよね。攻撃大幅アップとかできるようになりますし。この作品はアビとかも入れ込んでバトルさせてるので多少変わる可能性はあるんでしょうかね。スツドラは再アマルティアとこの話ぐらいでしかメインにバトルしているところがないので数も少ないし、修正を加える可能性はありそうです。

土の二人、カリオストロとハロユーステスはどちらも会心効果が追加されて使いやすさも増し、土属性に少ないと言われている防御ダウンの役目も頼りにできそうでいいです。会心的に言えば私はカイム持ってるのにクリ確定マグナより弱くなるという現実に打ちひしがれているのでもうちょっと甘えてられるかもしれません(笑)

シエテ頭目は、他属性出張お疲れ様でした。多分フライデーが圧力をかけたんでしょう。ただこの作品で「天星剣王のカリスマにより、そこに立っているだけで味方の奥義威力を上げることが」みたいなことを書いていましたがそれが適応されなくなったので要修正です。まぁ一応ポンバ=奥義威力上昇みたいな扱いをしているので同じようなことはできますが。エンブレーマ自動増加、ホント良かったですね。
そしてグランデの存在は、忘れ去られていくのであった……。

リーシャさんは楽しみです。サポアビが変わるので使い道が増えそうですよね。ざっと読んだ感じだとメッリサベルやモニカと組み合わせてばしばしダメアビ使いたいかもしれません。

サルナーンは……ブレキなくなるんすね。とりあえずホーリースパイクってなんだっけ? と思って効果見ましたが、まぁブレキの方が嬉しい人は多そうだなというくらい。

ルシオも強くなったと言われていますが、未確認情報では追撃が最大12割だとか。何ターンかかんだろ。オリヴィエと同じ感じだとは思ってますがどうなんでしょうね。割りと枠入れるようになった、のかもしれません。実際に使ってみてうちの光シャルと争えるのか見てみたいところです。まぁ常時追撃にストレングスと、かなり期待できそうですね。サポアビのLvのヤツも確か下がる条件なかったと思うので、最大の6にするのが簡単なら良さそうです。

シスたそェ……。まぁこの作品でも割かしダナンにしてやられたりしてるんでそう考えるとなんか丸くなった調整に文句も言えない気がします。シスは調整のメリットデメリットがあり、今のところデメリットが大きく取られてる感じがします。幻影付与時追撃がアビでの追撃になったので、効果ターンが限定されそうというところ。その分追撃量が上がってればいいんですが。ただダメ上限を超える術自体は増えそうなのがいいところ。通常攻撃時与ダメアップとかの辺りで。あと言われてるのは恐怖の位置とかばう効果についてが多いですかね。無敵がなくなったのは多分奥義の回避(1回)に移動したモノと思ってます。恐怖はまぁ、考えて使う必要が出てきたんでめんどくさいのかも? かばうはまぁ、心優しい団長と出会って仲間を守ることを覚えたんですよ。かばう回避で多段攻撃を避けられるっていう使い方ができるようにはなりましたが、それがシスっぽくないという意見も見受けられましたね。この作品でもシス君はカトルと共闘してましたが、弱体で俺が殴り続けられるようにフォローしろ、という感じの始まりにしてましたので、確かにそういうイメージは強いと思います。
ただ重要なのは、古戦場の敵が硬い傾向にあるっていうところです。私がシスを古戦場に向けて最終したのは、前回古戦場の敵が硬すぎて辛かった思い出を払拭するためでもあったりしたんですよ。その目的が調整によって頓挫した場合、古戦場ではシス君攻撃力弱体の件である意味燃えそうな感じあります。少なくとも私は燃えます(笑)

ロゼッタさんはまぁ、いいと思いますよ? 活躍の幅広がって今時アビリティに近くなりましたし。闇の回復は浴衣アンスリアを採用しているので、弱体面倒な敵相手に採用する価値が増えそうです。反射もつくので水着レ・フィーエくらいのダメカ率だといいかなぁ、というところ。五十%は望みすぎかな?

強化がほとんどですが弱体もあるので、発言撤回しない限り色々変わることになりそうなのもあり楽しみにしています。
感想でそれぞれの所感などもいただけると嬉しいです。
長々と失礼しました。

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