仮面ライダーカブト−If,World,Rider 作:蒼葉 桜木
−天音視点−
「はあぁぁぁぁぁっ!?」
こう叫んだ俺は、自分の手をまじまじと見つめる。じっと見ていた自分の手は銀色の鎧を纏い、太陽の光を受けて輝いていた。
「何だよこれ!!何が起こったんだ!?」
こんな風に動揺している隙を突いて、幼体ワームが俺のもとへ突撃してきた。
「うおっ!!」
咄嗟に自分の手で顔を覆った俺。すると、ワームの攻撃は簡単に弾き返された。
「ギッ!?」
「うおおおおおおうっ!?弾き返せた!!」
この鎧すげぇな。ワームの攻撃が効かないじゃん。それなら……。
「さっきの借り……返させてもらうぜ!!」
そう言いながら俺はワームに殴りかかる。拳を打ち込むと、さっき俺を殴ってきたときとは逆にワームが吹き飛んだ。
「パンチ力が上がってる……。」
この鎧はどうやら様々なゲームや映画に出てくる、所謂パワードスーツの様な物らしい。
「ギチチチチチチチチチッ!!!」
「何度向かってきても無駄だ!!」
次々と襲いかかるワームをいなし、拳を叩き込む。すると、幼体ワーム達は一瞬で灰になって消えてしまった。
「へっ。その程度かよ!!」
さっきまでボコボコにされてたくせに何をいうか。と、自分でも思ったがそう考えるほどにこのスーツの性能は素晴らしいものだった。動きがノロいことを除けば、ワームを簡単に殺すことが出来る。
「ギシャアアアアアアアアァァッ!!」
その時、成体ワームの姿が一瞬で消えた。
「な!!アイツ、何処に消えやがった!?」
周囲を見渡す俺の背後に衝撃が伝わる。
「ぐぁっ!!痛え……!」
背後を振り返ると、攻撃してきたはずのワームの姿は無い。
「ギチチチチチチチチチッ!!」
何処からかヤツの鳴き声が聞こえる。だが、俺にはヤツの姿を捉えることは出来ない。
「チクショウ!!どうすれば……!!」
『Cast Offしてください。』
突然、電子音声が響き渡る。
「だ、誰だ!!」
そう問いかける俺に、謎の声が更に答える。
『失礼しました。私は、カブトゼクターに搭載された戦闘サポートAI、アレスと申します。以後、お見知りおきを。』
「サ、サポートAI……?」
『Yes。Master。私はカブトゼクターの装着者をサポートする為に開発されたAIです。私の仕事は、パワードスーツの出力等のデータ表示。敵の動きの予測など、多岐にわたります。』
「な、なるほど。で?Cast Offってのは?」
『僭越ながら説明させて頂きます。ZECTの開発したマスクドライダーシステムには、2つのフォームが存在するタイプがあります。一つ目のフォームが、今現在の状態であるマスクドドフォーム。攻撃力、防御力が高いですが、機動力に欠けています。』
「ふむ、なる程。」
『そして、もう一つがライダーフォーム。その鎧をパージし、機動力を上げた形態です。この状態では、特殊能力であるクロックアップシステムが使用可能となります。』
「クロック……アップ……?」
『Yes。クロックアップとは、成体となったワームが使用できるタキオン粒子の力を利用し、時間流を高速で動くことができる能力です。マスクドライダーのライダーフォームは、クロックアップを使用することが可能となっています。』
「なる程な。で?そのキャストオフするにはどうすりゃいいんだ!?」
『まずは、カブトゼクターのゼクターホーンを上に少し押し上げて下さい。』
「こ、こうか?」
アレスの指示に従ってゼクターホーンらしきものを上に押し上げる。すると、体にまとっていたアーマーのロックが解除されていく。
『そして、キャストオフと発言し音声ロックを解除し、ゼクターホーンを反対側へ倒して下さい。』
「わかった。行くぜ!キャストオフ!!」
『Cast Off』
その瞬間、体にまとっていた重いアーマーが弾け飛んだ。そのいくつかが成体ワームへと直撃し、バランスを崩させる。
『Change Beatle』
角がせり上がり、フェイスメットにセットされると、電子音声が鳴り響き、変身の完了を告げる。
「すげぇ。体が軽くなってる!!」
その場でピョンピョン飛び跳ねてみるが、重さがまるで違う。
『それでは、クロックアップと発声して下さい。』
「クロックアップ!」
『Clock Up!!』
電子音声が流れた瞬間、周囲がゆっくりと流れていく行く。
「これが……クロックアップ……!!これなら、アイツの姿を捉えられる!!」
『タキオン粒子をフェイスアイに集中……循環完了。同時に、索敵を開始…………発見。敵をターゲット。』
「準備万端ってことか。さぁて、やるぜぇ!!」
高速でワームへと駆け出す。こちらを見て、ワームがまた拳を繰り出す。それを少し右へずれて回避し、敵の胴体へ数発拳を打ち込む。
「ギシャアァァァ!!」
ワームは悲鳴を上げるが、すぐに体制を立て直してきた。
「中々死んではくれねぇか。」
「ギシャアアアアアアアアァァッ!!」
「ぐっ…………!」
あの野郎、まだ進化してるってのか?戦う度にこっちの動きに慣れてきてやがる。
「おい、AI『アレスです。』……アレス。」
『はい、いかがなされましたか?』
「アイツ、戦ってる間にまだ成長してるんだが、なんとかしてトドメをさせないか?」
『分かりました。なら、ライダーキックを使用しましょう。』
「ライダーキック……?」
『Yes。ライダーキックとは、マスクドライダーの身体に流れるタキオン粒子を脚部へと集中させ、そのエネルギーをワームへとぶつけることでワームの身体を内部から原子崩壊させることが出来ます。』
「エゲツねぇな。おい。」
『ですが、確実に敵へとキックを当てる必要がある為、カウンターとして放つ必要があります。まぁ、今の場合ですけど。』
「分かった。タイミングはそっちに任せる。」
『では、私が合図を出した瞬間にキックを放って下さい。』
「了解。で、どうやってタキオン粒子を脚に貯めるって?」
『カブトゼクター側面にある3つのボタンを右から順に押して行ってください。』
「こうか?」
指示の通り、ボタンを押して行く。
『1、2、3』
電子音声が鳴ると同時にタキオン粒子が全身を駆け巡り、フェイスマスクの角へと昇ったあと脚部の装甲−後に、ライダーストンパーと言うらしい−へと集まっていく。
『そして、ゼクターホーンをマスクドフォームとの中間位置まで戻して下さい。』
「分かった。」
指示に従ってゼクターホーンを操作する。その間にもタキオン粒子が着々とチャージされていく。
「ギチチチチチチチチチッ!!」
背後からワームの声がする。
「ワームがこっちに突っ込んできてるんだが、まだなのか!?」
『あと少し引きつけて下さい。』
恐らく、ワームとの距離は5メートルも無いだろう。
『4、3、2、1、今です。』
「ライダーキック!!」
声がかかると同時にゼクターホーンを再び倒す。
『Rider Kick!!』
システム音声が鳴り響くと、俺は振り向きざまに上段回し蹴りを繰り出す。
「ギッ!!!?」
突撃してきたワームへと蹴りが吸い込まれるようにヒットする。
「ギシャアアアアアアアアァァッ!!!!」
苦悶の声を上げるワーム。だが、それ以降声を紡ぐことは無い。何故ならその体は爆発し、灰になってかき消えたのだから。
『ワームの消滅を確認。変身を解除。お疲れ様でした。マスター。』
「おう……。おつかれ……。」
その直後、カブトゼクターはZECT日本支部の方向へと飛び立っていった。
「天音君!!」
そんな声が聞こえた方向を見ると、なんとか守り抜くことが出来た少女、有希がこちらへと走り寄ってきたところだった。
「もう!あんな無茶して!もし負けてたらどうなってたか分からないんだよ!?」
「誰のせいだ、誰の。」
こっちは、お前を助けようとしてこうなったってのに。それでも……。
「まぁ、無事で良かったよ。」
「……! ……本当にバカなんだから……。」
「バカとはなんだ。バカ……と…は……。」
俺の視界が暗転していく。
「天音君!?大丈夫!?天音君!!」
段々と有希の声が遠ざかっていく。そして俺は、意識を失った。
「ん……、ここは……?」
俺が目を覚ますと、視界に映ったのは見知らぬ天井だった。
「あら、やっと目を覚ましたのね。」
聞こえてきた、凛とした声。そちらを見ると、そこにはうちの高校の制服を着た一人の少女がいた。
「ここはZECT日本支部の医務室よ。倒れていた貴方を有希がゼクトルーパーに頼んで運んでもらったの。」
「あれ?何でアンタがZECT日本支部について知ってるんだ?」
「あなたが有希を助けてくれたのね。」
「ガン無視かよ……。」
あれ?そういえば……。
「何でアンタがそれを……。」
そういえばこの人、何処かで会ったような気が……。
「本当に感謝するわ。妹を助けてくれて。」
「ん?”妹"?」
「貴方もあの学校の生徒なら覚えているでしょう?」
「!!思い出した。アンタ……いや、貴女は……!!」
「思い出していただけましたか。私は『加賀 美怜』。風音高校生徒会長。」
その後、彼女は衝撃の事実を告げる。
「そして、ZECT日本支部所属のマスクドライダー2号、仮面ライダーガタックの装着者よ。」
マジですかい……。
如何でしたか?もし今回もお気に召して頂ければ幸いです。それではまた、次回か他作品でお会いしましょう。