理の律者は笑わない 作:バイクに乗ったまま戦闘だって!?
アンケートはこの話の投稿日より3日後に締め切ります。
闇から浮上した
それに対して砲撃は悪手と考えた彼女は19cの武器腕を右腕と同じ手に換装した。遠距離攻撃の術はなくなったが
地を這うように迫る黒腕を19cを盾にさばきつつ常闇の視界から逃げるように柱の影に身を隠した。ゆっくり動態センサーを使う暇もない程の攻撃の頻度にため息をつきながら、再び迫り来る攻撃から脱兎のごとく逃げ出す。
「逃げてばかりでは終わらんぞ?」
暗闇から声が聞こえる。そんなことはブローニャも百も承知だ。柱を利用することで位置を悟らせずに攻撃を仕掛ける常闇は確実に時間切れを狙っていることだろう。
「そうですね、あなたの言う通りです。ですので──」
19cの大振り右フックで本日17回目の
そしてそこに窓ガラスがあることを確認した。
「
彼女は何事かを口に出し19cの装甲に触れた。
すると触れた部分から青色の粒子のようなものが吹き出し、それが重装ウサギ19cの全身を覆う。
粒子が晴れるとそこに重装ウサギの姿は確認出来なくなっていた。
(прозрачный……透明な、という意味だったか)
常闇は重度の中ニ病患者──というわけではないが、このようなカッコイイ響きのある言の葉には人一倍敏感である。ブローニャがこれから何をしようとしているかを幾らか検討をつけることができたのだ。
言葉の意味を理解した常闇は首元に装着していた通信機器を手早く起動しブローニャから距離をとって身を屈めた。
「ザイチクの19cが恐らく光学迷彩を起動した! 奴の行動範囲は分からないがそっちに来るかもしれん!」
『了解よ。ブローニャちゃんは?』
「今一階入口方向の窓側に──」
柱の陰からチラリとブローニャの様子を確認しようとした常闇はそこで言葉を切った。
彼の視線の先でブローニャは手に持った黒いコンバットナイフのようなもので窓ガラスに彼女が通れるくらいの正三角形の穴を開けていた。
三角形の底辺に足をかけたブローニャは背後を一瞥すると手首を回しながら敬礼の様な仕草を後ろへ送る。そして足元に向かって黒い何かを放り投げた。
「
トンっと底辺にのせた足を力を込め、玄関から外に出るかのような気軽さで空中へと身を投げた。
現在ブローニャがいる階層は四階、この高さから落ちれば確実にスプラッタな光景が広がってしまうだろう。
無論、彼女がただの少女であった場合のお話だが。
「──窓を飛び出て下層に向かった。捕らえきれるかわからん。迎撃準備を頼む!」
今彼女が投げた物体は何か、ブローニャは19cと自分で蛙吹を挟み撃ちしようとしているのか、はたまた光学迷彩を使った19cで窓に近づいた自分を捕らえようとしているのか。
それらの可能性を加味してbetterな選択をする判断力を今の常闇は持ちえていなかった。
逡巡も束の間、常闇は内心舌打ちして
光学迷彩を使用した19cが窓の近くに待機しているとも限らないし、窓近くに放り投げた何かも気になる。しかし彼女を確実に足止めできるとすればここしかないと彼は判断した。
ブローニャが飛び降りた穴は
突如として腹に響くような重低音が轟く。その直後に
「鳥黐か……!」
⚫
ブローニャは落ちていた。重装ウサギ19cに抱えられながらゆっくりとだが。
現在の重装ウサギ19cにはステルス──光学迷彩機能は搭載されていない。つまりさきほどのあの言葉はハッタリだ。
ブローニャは常闇がロシア語やあまり知られていない言い回しをした時にピクピクと反応していることに気がついていた。
余計な情報をばらまくことによって対象の判断能力を鈍化させる手はブローニャの常套手段だった。
「作戦、成功です」
重装ウサギ19cにはその巨体や腕の可動域の向上するために反重力発生装置がボディのいたるところに組み込まれている。
地面から近ければ近いほどそれは強く作用するが高所では落下を止めるレベルの効力は発揮出来ずないが、ブローニャにとってはその程度で十分だった。
ちょうどほんの少し下に2階の窓が見えたところでブローニャは重装ウサギ19cの腕から飛び出した。無様に激突する前に2階の窓をボレーキックで蹴り砕き、その勢いのまま床へと回転着地。既に重装ウサギ19cの制御は
四階と同じくここもだだっ広い空間でありその真ん中には核兵器のハリボテが鎮座し、蛙吹梅雨がそれを守るように立ち塞がっていた。
「中々アグレッシブなのね。飛び降りといい、さっきのガラス破りといい」
「常在戦場……とまではいきませんがそれなりの心構えはできているつもりです。使えるものは何でも使いますので」
舌をペロリと出した蛙吹は既に臨戦態勢のようだ。対してブローニャは重装ウサギ19cを再構築せずに右手を前へと突き出した。
「外にいる重装ウサギちゃんは使わないのかしら?」
「踏陰が脱出する可能性も40%ほどですが存在します。いわば保険のようなものです。では、そろそろ始めましょう」
──
ブローニャが新たに創造したのは実技試験の時に創造したもの雪娘と似てグリップや銃身にいたるまでかが真っ白の銃だった。銃種でカテゴライズするならサブマシンガンが適当だろう。
「実弾ではありませんが……警戒することを推奨します」
新たに創造したマガジンをガチャリとセットすると同時にブローニャは左へ駆け出した。
当然蛙吹もブローニャを核の元へは行かせないと自慢の脚力で迫る。十分に蛙吹を引き付けたブローニャは躊躇いなく銃のトリガーを引いた。
勢いよく吐き出された弾の雨が容赦なく蛙吹のボディにぶち当たる。
発砲音と身体にくるであろう衝撃に顔をしかめた蛙吹だったが、想像したような肉を穿つような威力ではなく、精々がエアガンレベルのものだった。
これならばいける、そう考えた彼女はブローニャの付近にある柱に向かって跳躍する。
ブローニャもそれに合わせて銃口を向けるが彼女の視界に映ったのは銃弾もかくやという速度でこちらに肉薄する梅雨の舌だった。
ブローニャは銃で梅雨の本体を迎撃したがエアガンレベルの弾では彼女を柱から落とすことは叶わず、身体を舌でぐるぐる巻きにされてしまった。
「ちょっとビックリしちゃったけどそれくらいじゃ私を止めることはできないわ」
「承知の上です。ですのであまり舌には当たりませんでしたよね?」
器用に壁から床へと降り立ち腰のポケットから確保テープを取り出した梅雨の頭にクエスチョンマークが浮かんだ。
彼女の言うことが本当ならブローニャに向かって舌を飛ばしていた時わざわざ舌を避け体を狙って弾を当てていたこととなる。
それには何か理由が──
「──ケロ?」
腕を動かそうとした彼女は気づいた。自分の胴体や腕、舌に霜が張っていることに。
蛙吹梅雨の個性は『蛙』。蛙っぽいことは何でもできる。それ故その弱点と呼べる性質も発現してしまう。
蛙はある一定以上の寒さになると冬眠してしまうのだ。彼女もその例には漏れない。
じわじわと襲い来る睡魔に耐えようとした蛙吹だったが、生物としての本能に抗うことは出来ずにへこたれるように倒れてしまった。すぅすぅと気持ちよさそうな寝息を立てている。
ブローニャは力が抜けたことにより緩まった舌の拘束から脱出。
常闇が追撃してこないことを確認すると核兵器のハリボテに触れた。
『ヒーローチーム WIN!』
ちょっとあっさり終わらせすぎたかも。ブローニャが使ってた武器とか諸々のことは次回解説するよ!
投稿が遅れてしまったのはリアルが佳境に入ったり難産だったりしたからです。待っててくださった方々には不甲斐なくて非常に申し訳ない。
よろしかったらYouTubeの崩壊3rd公式のブローニャちゃんの動画も見てみてください。アグレッシブに動くブローニャちゃんが見れます。超かっこいい。
武装解説
銀狼:ルビはジェド・マロースと読む。入学試験の時に使用した雪娘を持っていたヒーローが使っている武器。詳細情報は次話記載。イメージはキャリコM950A。