理の律者は笑わない   作:バイクに乗ったまま戦闘だって!?

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頑張った(頑張った)。多分この更新速度は維持できないと思うのじゃ。


テリテリ〜♪成績発表〜♪

「成績発表だよブローニャ少女!」

 

「……なるほど。他の生徒たちはこのセットで録画したデータを配るんですね」

 

 成績発表の日、ブローニャとオールマイトは無駄に豪華なセットの壇上で向かい合っていた。オールマイトはトゥルーフォームではなく対外向けのマッスルフォームである。

 最近はヴィランがいたとしても他のヒーローにまかせているのでちょっとだけ活動時間が上がったとか、上がっていないとか。

 

「ま、私が雄英で教鞭を執ることは世間一般には知られていないからね。サプライズも兼ねてってことさ!さて、前置きはここまでにしようかブローニャ少女!君の結果は〜」

 

 オールマイトはどこから取り出したのか、いきなりドラムロールを叩き始めた。無駄にテンポが早い上に結構長い。その割には叩き方が様になっているのは入試の後ブローニャに音ゲーに付き合わされたからである。その後味を占めたのか彼の私室に小さめの電子ドラムが設置されていたとか。

 

「ジャカジャン! おめでとう、合格だよ! と言っても君にとってはさほど驚くべきことでもないのかな?」

 

「まぁそうです。一応ポイントは重装ウサギ19cの分だけですが計測はしていましたし、それだけでも十分合格圏内なのは分かっていました。それと仮想ヴィラン撃破だけが今回の合否を分かつわけではありませんよね?」

 

「その通りだよブローニャ少女!……あれ?私がうっかり君に試験内容洩らしたりはしてないよね?」

 

「そこは大丈夫ですから安心してください」

 

 ブローニャはオールマイトに過去にどんな試験内容があったのかを聞いたことがあったが彼が見せたのは過去の試験内容だけで今年度のものはさすがに見せてはこなかった。

 それからブローニャは過去十数年にわたる実技試験内容を洗い出して選別し、今回の試験で出題されそうなものをピックアップしておいたのだ。

 更にピックアップしたものの中からいくつかのシークレット加点ポイントを見出していた。

 

「それで私は何位なんでしょうか?」

 

「んん゛っ……まぁそこは気になるか。えーと筆記試験は受験者の中では2位、そして実技試験は堂々たる1位だね!」

 

 筆記試験は五教科+αで587点、そして実技試験はヴィランポイント64点とレスキューポイント47点で合計111点。総合成績は紛れもない首席合格だ。

 

 ここでオールマイトはカンペをポケットに突っ込んでわざとらしく一つ咳払いをした。

 

「さぁ来いよ、ブローニャ少女!ここが君のヒーローアカデミアだ!!」

 

「……他の合格者の撮影をする時はカンペ見ないようにしてください。何故か私が恥ずかしいです」

 

「辛辣ゥ!」

 

 

 オールマイトはまだ他の生徒の分の撮影があるそうなのでブローニャは先に帰宅することにした。

 

 撮影会場から退室して少し前に自作したスマホのマップを開く。この雄英の校舎は中々に広い。一日で全てを回ることが不可能なレベルで広い。

 国が本気で作った学業のアミューズメントパークのようなものだから当然と言えば当然なのだが。

 

 てくてくと歩くこと十数分。ブローニャはあることに気を取られていた。

 

(後ろに誰かいますね)

 

 さすがにこれだけの時間後ろからコツコツと反響する音がすれば嫌でも分かる。しかしブローニャは自分がストーカーされる理由を全く分からないでいた。

 

 もしオールマイトの自宅を知りたいマスコミだった場合、彼にとんでもない迷惑がかかってしまうだろう。マスコミでなかったとしてもここまで後ろを取られているのは何か気持ち悪い。

 

「重装ウサギ19c、fire」

 

 歩きながらごく自然に19cを創造してノールックで後ろに弾を放つ。今回射出したのは着弾した対象にトリモチのようなものを付着させるものだ。非殺傷兵装の上に低コストなのでブローニャはとても重宝している。

 

「わぷっ! ふぁみよふぉれ〜!!? (何よコレ〜!!?)

 

「あなたが後ろからついてきていたことは分かっています。何が目的ですか?それともただのストーカーですか?」

 

 トリモチが着弾した方向を見やればモゾモゾと動く何かが一つ。恐らく自分よりも2cmほど小さい身長のソレは懸命に身体を動かすが、全身を覆うトリモチには敵わないだろうとブローニャは思っていた。

 

「セイっ!」

 

 黄金色に輝く巨大な十字架が目の前に突き刺さるまでは。

 

 ガチャリとその形状に似合わぬ機械音を鳴らした十字架の中から本体と同じ色をした大量の鎖が飛び出してトリモチを覆っていく。

 

「粘着力を『制約』するなんて初めてね。というか声かけようと思ってついていってただけだし!ヒドイじゃない!」

 

 粘着力の無くなったトリモチがその華奢な腕によって廊下の隅っこに放り投げられる。

 

 ソレは人だった。シスターのようなデザインの服をまとったブローニャよりも少しだけ小さな少女だった。……見た目は。

 

「子ども……?」

 

「違うわよ!少なくともオールマイトよりは歳上よ!」

 

「!?」

 

 少しだけ瞳孔を大きくしたブローニャに得意そうにしながら彼女は高らかに名乗りを上げた。

 

「あたくしはテレサ。テレサ・アポカリプス。今年から雄英の教師になるのよ! よろしくね、ブローニャ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 Bronya File.2『ゲーム』

 

 

 File.1から数ヶ月後の話である。デトラネットとFGIで稼いだ資金でそれ以外のヒーローサポート会社の株も買い始め、女子中学生としては破格のお小遣いをGETしたブローニャ。

 

 そんな彼女が貯めたお金はPC機材の他にどこに使われているのかというと──

 

 

「格ゲーでも脳筋ですか……それはそれで大したものですが」

 

 カチャカチャとブローニャのコントローラーが音を鳴らす。対してオールマイトはがむしゃらに攻撃ボタンを連打するだけだった。VSヴィランならばそれが彼の最適解なのだろうが。

 

「平和の象徴がこんなところで終われるかァッ!!」

 

 しかし彼の奮戦虚しくキィン!と子気味のいい音と共にオールマイトが操作していたキャラに赤黒いイナズマのエフェクトが走る。所謂「致命エフェクト」というものだ。

 

 

『 Bronya WIN! 』

 

 

「最初は回避に出の早い小攻撃と通常必殺技を織り交ぜていたので中々突破口を作れませんでしたけど追い詰められるとダメですね」

 

「くぅ……やっぱり練度が違うかぁ」

 

「まぐれでもオールマイトに負けたらブローニャは落ち込んでしまいます」

 

 

 ──彼女の大好きなゲームに注ぎ込まれていた。

 

 オールマイトはブローニャの養父という立場もあり、原作よりもヴィラン相手に出撃する回数が少なめになっている。というか意図的に塚内警部や根津校長がオールマイトへの出撃要請を減らすように根回ししているのだがそれはまた別のお話。そしてその時間はブローニャとの遊びと指導に使われているのだ。

 

 ちなみに総合勝率はもちろんブローニャの方が高いが、音ゲーとパズルゲーの勝率はオールマイトの方が上だったりする。

 

 

「じゃあオールマイト、行きましょうか」

 

「もうかい? おじさんちょっとだけ目が疲れて……」

 

「じゃあブローニャのアイマスク貸すのでさっさと治して下さい。では20分後に」

 

 リビングから軽い足取りで出ていくブローニャを見送ったオールマイトは先ほど渡されたアイマスクに目を落とした。

 

 少し前から何か勝負をする時は軽めの賭け事をするようになったのだ。

 今回はオールマイトが負けたのでブローニャの買い物に付き合うことになっている。行先は多分ホムのアンテナショップだろう。

 

 負けるのは悔しい。しかしブローニャの仕草が軟化している様子を見るのは楽しい。

 これが子どもを持つ幸せということなのだろうか。人々の心の拠り所になると決めたあの日から、自らは人並みの幸せを手にすることはないと思っていたオールマイトだったが──

 

「まったく、素直じゃないんだから……」

 

 ──その顔にはいつもの張り付けたようなものでは無い、八木俊典その人としての笑顔があった。

 




バンナムのどんちゃんみたいなノリのサブタイ。

次回は個性把握テストの時間だァ!


テリテリ~♪増々可愛い~♪

というわけでテレサちゃん登場です。崩壊3rdってタグ付けといたから許されるはず。ヒロアカSSで教師枠にキャラを追加してるのあんまし見たことないんですよね。

偏見だったら申し訳ないです!許してください!戦乙女・誓約のテレサちゃんの欠片集めてSSS目指しますから!(なお現在未だSの模様)


追記:アポカリプス先生の講座は予告無く他教科に変更される場合がございますのでご注意ください。

追記の追記:アンケートへのご協力よろしくお願いします。


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