理の律者は笑わない 作:バイクに乗ったまま戦闘だって!?
追記︰テレサのヒーローネームは『誓約ヒーローTeRiRi』となりました。皆様ご投票ありがとうございます!
ここは4コマサードみたいなノリです。
「ホムショップに行くわよ!」
「先生に誘われておいてアレですが、他の仕事は──」
「あたくしは新任だから本格的なのは明日からよ!」
個性把握テストが終えた日の放課後、ブローニャとテレサは校門前で待ち合わせをしていた。
テレサはテストの時に着ていた体操服から既にラフな格好──と言っても少々ゴスロリチックなので傍から見ればソレはラフとは言い難いのだが──に着替えており、準備万端のようだ。ちなみにブローニャはこれといった着替えを持ってきていないので制服のまんまである。
「ここからホムショップまでは結構な距離があったと思うのですが何で行くんですか?」
説明しよう!!
ホムショップとは大人気キャラクターの『ホム』のグッズの専門の全国にそこそこの数を展開しているお店のことだ!
オラよくわかんねっぞ! という方は夢の国ストアみたいなものだと考えてもらっていいぞ!
更に説明しよう!!
『ホム』とは崩壊3rd内に登場する布袋の結び目みたいな耳がトレードマークのゆるふわなキャラクターである!
そのキュートなフォルムのどこにそんな発声器官が存在するのか疑問が尽きないが、無駄に渋くてイイ声をしているぞ!
「もちろんハイペリオン*1! ……と言いたいところだけどさすがに私用で使ったら母様に怒られちゃうわ。あたくしたちの家みたいな場所だしね」
だから今回は私の自家用車よ! とテレサはニカリと笑った。
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「なかなかのドライビングテクニック……」
「そう? ちょっと前までペーパードライバーだったから心配だったけど問題なさそうね」
テレサとブローニャは車を降りて目の前にあるホムショップに入店する。
いらっしゃいませ、とホムがプリントされたエプロンとキャップを身につけた店員が笑顔で会釈した。
入口近くのショーウィンドウには春季限定の桜ホムグッズとタイアップ商品の『ホムと桜』が展示してある。お値段はかなりの高額だがこの二人に買えない額ではない。
「あたくしは漫画コーナーに行ってくるけどブローニャはどうする?」
「私は春季限定商品を見ていきます。あの辺で落ち合いましょうか」
「了解!」
通常のマグカップや生活雑貨などが置いてあるコーナーに集まることにした彼女らは思い思いの場所に移動して商品を吟味し始める。
「とりあえずタイアップホムカップ(春季)は揃えておきましょうか」
うさ耳和装桃髪の少女とホムがプリントされたマグカップをカゴに入れたブローニャは次の物品に目を通す。
期間限定商品は次の季節が来る頃にはまた別のデザインに変わっていることが多い。タイアップ商品も同様にコロコロと柄を変えたりイラストレーターが変わったりする。
季節限定タイアップ商品なんてものは余程の好評でなければ次の季節に同じ物が回ってくる保証はない。なのでブローニャはそこのところを了解した上で季節限定コーナーに入り浸っているのだ。
今回ホムとタイアップしたのは実在のヒーローである『八重桜』だ。彼女はとあるヒーロー事務所に所属するヒーローで日本の美容系のCMなどにも度々出演するで認知度は割と高い。
最近は朝ドラ時代劇のヒロイン役を演じたりと女優としての活動が多いが、ヒーローとしての彼女は一時はヒーロービルボードチャートJP十位前半に到達するほどの実力者である。
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「随分買いましたね」
「えへへ、小説版も発売してたから大人買いすることにしたの!」
二人は購入量で周りからの注目を集めながら会計を終えた。では車に戻ろうか、というところでブローニャは窓の外に到底信じ難いものを目にする。
(黄色のボディ、巾着の結び目のような耳、光に照らされて輝く白い歯、くりくりとした目。そして何よりその凛々しくも渋い声……!)
「ホムァ────ッ!!?」
テレサが彼女の不在に気がついた時には既にブローニャはホムにすごい勢いで抱きついていた。もはやタックルと言っていいレベルの組み付きである。
「ホム、ホムです……本物の……!」
「い゛、痛いホム……ゴフッ」
その華奢な身体のどこからそんな力が出てくるのか、万力のように胴を締め付けられたホムは無表情ながら恍惚そうな声色で自分の名を呟く銀髪少女とその少女を引き剥がそうとするゴスロリ幼女の姿を最後に意識を手放した。
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「ホントに申し訳ございませんでした! あたくしの監督不行き届きでホムさんにご迷惑をかけてしまって……」
「反省したならいいホム。ホムも大事にするのは望まないホムし、こんなにもホムを愛してくれている人を邪険に扱うのはそれこそホムの沽券に関わるホム」
ホムショップ内にあるこじんまりとした応接室でテレサとブローニャはホムと対面していた。
ホムがファンの手によって意識を手放すことはままあることらしく彼も「これもホムが愛される所以ホム」と鷹揚に語っていた。いいのかそれで。
ちなみにブローニャはホムを後ろから抱きしめながら微々笑を浮かべていた。傍から見れば人形を抱いた制服の女の子である。ただしその人形はナマノモなのだが。
「見たところ雄英の生徒さんと……もしかしてヒーローホム?」
「よく分かりましたね。あたくしはヒーロー事務所『天命』所属の誓約ヒーローTeRiRi、テレサ・アポカリプスです」
「これはこれは名刺をどうもホム。ホムは株式会社H×H(ホム×ホム)カンパニー社長補佐のホムだホム。これでも人間観察には自信があるホムよ!」
「雄英高校1-Aのブローニャ・ザイチクです」
「これはどうもホム。名刺い「いります! 欲しいです」」
「……即答ホムね」
食い気味に答えたブローニャに若干驚いたホムだったがすぐに持ち直し彼女たちとの他愛のない会話に興じることとなった。
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薄暗い部屋の中、人影が電子機器の前で忙しなく手を動かしている。それの口や首元には様々なチューブが繋がれており、人目で随分な重傷を負った人間なのだと理解できるだろう。
しかし果たしてソレは本当にヒトと呼べるべきものなのだろうか。ヒトとして大切なものなど、この怪物は遠い昔に置き去っているのではなかろうか。
怪物は背後に感じた自らと同じく人ならざる気配にゆっくりと振り返った。
モニターの光に照らされた長い白髪はその光を反射させ彼女の姿をぼんやりと映し出す。
背中には奇怪な形の三槍の鉾に、橙々に輝く羽の白い三翼。
真っ直ぐに怪物を見据えるその目は爛々と淡い光を放つ。
膝にまで届こうかという長さの白髪をかきあげて、気だるそうに目の前の怪物に尋ねた。
「急に呼び出したかと思えば、よもやこんな窮屈なとこだとはな」
「ここは君を出迎えるには役不足だったかな?」
「当たり前だ。が、お前のその状態を見るに致し方ない部分もあるようだし、大目に見てやらんでもないさ」
白髪の少女はおもむろに怪物に近づいて、つうっと首元のチューブをなぞった。微笑を浮かべる彼女に少しだけ不機嫌そうにしながら怪物はカチッとボタンを押す仕草をした。
「今すぐ君の心臓を破裂させても構わないんだがね」
「……お前を害した記憶はないが」
「白々しい。僕が手網を握っていなきゃ三秒前くらいにはしでかしていたじゃないか」
鳩が豆鉄砲を食らったような顔をした後、彼女はそのあどけない顔に似合わない笑い声をあげた。
「また新しい力でも仕入れたのか?」
「まさか! ただの当てずっぽうだよ。……茶番はここまでにしようか。君を呼んだのはちょっと頼み事をしようと思ってね」
「頼み……既にアレは定期的にハゲの元へ送っていると思うが?」
「アレとは別だ。多分今年度中に僕は平和の象徴と衝突することになると思う」
「ほぉ。それで?」
「もし、万が一だけど僕が負けた時の弔の後見人、及び彼への協力をお願いしたい」
彼女が何かを発する前にその怪物、ALL FOR ONEは畳み掛けるように言葉を重ねた。
「やってくれるかい? シーリン──いや、今は
シーリンと呼ばれた少女は内心舌打ちした。丁寧に頼み込んでいるように聞こえるが、実際のところ彼の言うことに彼女は逆らえなかった。
弱み(物理)を握られているからだ。
「……私に拒否権はないんでしょうね」
「あるけど実質無いようなものだからな」
ため息一つ、少女は分かったわよと返事をして踵を返した。
「弔……だっけ。そいつのとこには今すぐ行かなくてもいいんでしょ」
「もちろん。その時が来るまで静かにしてくれていれば尚良しだ。ちゃんと約束を守ってくれたら褒めてあげよう」
「御生憎様、私はもうガキじゃないわ」
その台詞を最後に少女はその部屋の中から掻き消えるように消失した。
「ふふふ、つれないねぇ」
暗闇に一人残された怪物は嗤う。
彼は知っている。あんなつっけんどんな態度の彼女だが、律儀に自分の約束は守ってくれることを。
幼少の頃からじっくりと施したチューニングはようやく功を奏するレベルにまで達したらしい。
もう少しだ、後もう少し。
――USJ襲撃事件まで後約一ヶ月
キアナちゃんだと思った?
残念、空の律者ちゃんでした!!
本家とは違い律者コアによって形成された別人格ではないためそこまで文明に対して退廃的な思想はお持ちではないです。