我が名は豪鬼! メイドを極めし者なり!   作:とんこつラーメン

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本当は戦闘シーンをやりたいと思ったのですが、やるならやるで一話でガッツリと本格的にやりたいので、今回は少し短めに、戦闘直前までをお送りしたいと思います。

因みに、少しだけ豪鬼がリア充してます。















メイド豪鬼 奉仕をする

 本日の特訓はお休みして、バイト後に二課の本部に赴いてからのトイレ掃除を行った。

 私に手に掛かれば、どんなに汚くなったトイレでも新品同様にピッカピカになって、まるで鏡のようになる。

 実際、掃除が終わった後の便器には私の顔が綺麗に反射していた。

 え? 女子トイレだけを掃除したのかですって?

 何を仰る読者さん。ちゃんと男子トイレも掃除しましたよ。

 掃除をするのに性別なんて関係ありませんから。

 

「我ながら見事な仕事をしました」

 

 掃除道具を戻してから手を洗い、袖で自分の汗を拭ってから廊下に出る。

 そこでふと、ある事を思い付いた。

 

(司令室に行く前に、給湯室で弦十郎さんにコーヒーでも淹れてあげましょうか)

 

 ここにはコーヒーを淹れてくるような甲斐甲斐しい女性はいないようですし。

 私は一肌脱ぐのも偶にはいいでしょう。

 因みに、翼さんと奏さんは今日はツヴァイウィングのお仕事で不在。

 だから、今日の特訓は中止になったのだ。

 確かに体を鍛え、技術を磨くのは大切だけど、それは決して仕事を蔑にしていい理由にはなり得ない。

 彼女達には仕事を優先的に行って貰うように最初から言い聞かせてある。

 

「……そう言えば、ここの給湯室にコーヒーなんてありましたっけ?」

 

 いつも、何かにつけて了子さんがコーヒーをよく飲んでいる姿を目撃しているから、多分あるとは思うけど……。

 もしもなかったら、代わりに他のお茶でも淹れてあげようか。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

「失礼します」

 

 コーヒーを淹れた私は、それを持って司令室へと向かった。

 辛うじて給湯室にコーヒーはありはしたが、とても少なくなっていて、なんとか一杯淹れるのがやっとだった。

 本当はオペレーターの人達にも淹れてあげようと思ったが、無いのであれば仕方がない。

 

「まだ見つからないか……」

 

 司令室に入ると、弦十郎さんがいつも以上に渋い顔をしながらモニターと睨めっこしていた。

 なんな顔をしていたら、小学生の子供とかは泣いて逃げ出しそうだ。

 

「何が『まだ見つからない』のですか?」

「おっと……豪鬼くんか。掃除はもう終わったのか?」

「はい。私の持てるメイド技術を総動員して、この本部のトイレを新品同様…いえ、それ以上に磨き上げました」

「そ…そうか……いつも済まないな」

「いつも言いますが、気にしないでください。私が好きでやっている事なので」

「そうかもしれないが、それでも俺達は非常に助かっている。だから、俺も好きに礼を言わせて貰うのさ」

「そうですか。給湯室でコーヒーを淹れてきました。よかったらどうぞ」

「おぉ……こいつは有難い」

 

 全く……こんな図体をしてると言っても、一人で色々と抱え込んでいい理由にはならないでしょうに。

 

「あの二人……なんだか夫婦みたいな会話してるよな……」

「案外、付き合ってみたらナイスなカップルになったりして」

 

 そこのオペレーター二人。ちゃんと聞こえてますからね。

 

「で、何を探していたんですか?」

「そうだな……豪鬼くんにも知る権利ぐらいはあるか……」

 

 大方の予想は出来るが、ここは黙って話を聞く事にしよう。

 それが出来るメイドというものだ。

 

「君が介入して事なきを得たライブには、実は別の目的があったんだ」

「それは?」

「完全聖遺物『ネフシュタンの鎧』の起動実験よ♡」

「了子くん」

 

 ここでタイミングを見計らったかのように了子さんのご登場。

 にっこりと笑顔を浮かべてはいるが、どうもこの笑顔は信用に欠ける。

 だから、彼女の前では常に油断をしないように心掛けている。

 

「完全聖遺物とは、確か通常の聖遺物とは違い、文字通り『完全な状態』で発見された聖遺物の事ですよね?」

「その通り。完全聖遺物はガングニールや天羽々斬のようにシンフォギアへと再構成しなくても、素の状態で十全の力を発揮出来る代物。でも、その起動には莫大なフォニックゲインが必要とされていたの。だから……」

「ライブという形式で、コンサートホールに集まった観客の歓声とツヴァイウィングの歌を共鳴、相乗効果でフォニックゲインを集め、それを利用してネフシュタンを起動させようとした……」

「だが、結果は君も知っての通りだ……」

「突如として出現したノイズによりライブは一時的に中断された。まさか、探している物と言うのは……」

「ノイズ出現の最中、混乱に乗じて保管庫に賊が侵入したらしくてな、我々は殆ど何も出来ないまま、ネフシュタンを奪われてしまった」

 

 弦十朗さんはとても悲痛な顔をして歯を食いしばっていた。

 被害者が出なかったとはいえ、絶対に盗まれてはいけない物が盗まれてしまったのだから、彼の苦悩は想像に難くない。

 

「だから『まだ見つからない』ですか」

「実行犯が誰なのか。どうやって盗んだのか。何一つとして分からないのが実状なのさ。我ながら情けない限りだ……」

「あまりご自分を責めるのは精神衛生上、よくありませんよ。お気持ちは理解出来る……なんて安易な事は言いませんが、だからと言って自分を追い詰めては意味がありません」

「そう……だな。根を詰め過ぎてもいい結果は期待出来ない……か」

「そうです。時にはリラックスして心と体を落ち着けるのも大切です」

「全くだ。ちゃんと心得ていたつもりだったんだがな……」

「過ちを気に病む必要はありません。ただ認めて、次の糧にすればいいのです。それが私達『大人』の特権なのですから」

「ははは……掃除の事といい、君には本当に敵わないな」

 

 あ、笑った。少しだけ肩の力が抜けたのかな?

 

「……………………」

「どうしました? 了子さん」

「もしかして……弦十朗くんと豪鬼ちゃんって付き合ってる?」

「「なんでそうなる(んですか)?」」

「いやだって……二人の会話、まるで長年連れ添った夫婦みたいだったんだもん」

 

 夫婦って……彼にも相手を選ぶ権利ぐらいあるだろうに。

 私のように格闘技とメイドしか取り柄が無い転生者な人物を娶るとか、普通に有り得ないでしょうに。

 私自身、自分が誰かと付き合って結婚するなんて想像も出来ないし。するつもりもないし。

 

「そうでしょうか?」

「俺に聞かれてもよく分からん」

 

 でしょうね。

 

「だが、豪鬼くんのような嫁を貰った男は幸せ者だろうな。家事全般をそつなくこなすばかりか、厳しくも優しい面を持っている。奏や翼ともすぐに仲良くなってみせたしな。妻としては理想的だろう」

「それを仰るなら、弦十朗さんのような方と結婚できた女性こそ幸せでしょう。自分の仕事に責任感を持ち、腕っぷしも申し分なし。他者を思いやる優しさもある。貴方こそが夫として理想的ではないかと思います」

「いやいや。豪鬼くんこそ」

「何を仰います。弦十朗さんこそ」

 

 むぅ……中々に引かないな。

 実はこの人、頑固な一面があると見た。

 ん? さっきから周囲の目線がこっちに注目してるような気が……。

 

(((もうこいつら、マジで結婚しろよ!!!)))

 

 いつもは飄々としている了子さんでさえ、なんか凄い目をしてるし。

 私達……なんかした? マジで身に覚えが無いんですけど。

 

「豪鬼ちゃん。弦十朗くん。仲人は私に任せて!」

「「何の話をしてる(んですか)?」」

「そうだ。式では翼ちゃんと奏ちゃんに祝いの歌でも歌って貰いましょうか」

「なんか変な方向に話が行ってるんですけど」

「俺達は何の話をしていたんだっけな……」

 

 完全に話が横道にずれてるし。

 集団で話をしていたら、こんな事は往々にしてよくある事だけど、ここまでずれる事ってあるか?

 なんでいつの間に、完全聖遺物の話から結婚の話になるんだよ。

 

「こ……これはっ!」

「どうした?」

「ノイズが出現しました!!」

 

 どうやら、お気楽な話はここまでみたいですね。

 最近は大人しかっただけに、どうにも不可解な感じですが、今はそれを議論している暇はない。

 

「出現地帯は既に特定済み! どうやら、周囲に目立った建築物などが無い場所のようです!」

「不幸中の幸いか……! 人的被害が出ないに越したことはないからな」

「装者二名にも連絡済みです! しかし、現在位置から少し離れてた為、緒川さんが車にて付近まで運んでいるようです!」

「アイツの運転なら、多少の無茶は出来るだろうが……最悪、明日には廃車が確定だな」

 

 現代の忍は一体どんな運転をするんですか。

 

「弦十朗さん。私も行きます」

「……頼めるか?」

「勿論です。こんな時の為に私がいるんですから」

「……すまない」

「言いっこなしですよ。では、行ってまいります」

 

 軽くお辞儀をしてから司令室から出ようとすると、そこで了子さんに止められた。

 

「ちょい待ち。ここから現場まではかなり距離が離れてるわよ。どうやって行くつもり?」

「ご心配なく。こんな事もあろうかと、ここにはバイクで通ってますから」

「バイクだとぉっ!?」

 

 ポケットから免許証を出して証拠を見せる。

 

「いつの間に……」

「ここに来る前からです。因みに、バイクは前にベガからシャドルー製の物を無償で譲って貰いました。電気で動くエコなバイクです」

「あそこの車両……無駄に性能がいいって聞くわよね……」

「ですので、移動手段に関してはご心配なく」

「そ…そうか」

「では、改めて行ってまいります」

 

 さてと、緊急事態なので少しぐらいは飛ばしても大丈夫でしょう。

 後でちゃんと充電しないといけないのがネックですが、四の五の言っても仕方がありません。

 今は兎に角、メイドとして走るのみ!!

 

「メイドって……」

「本当になんでもありなのね……」

 

 オペレーターのお二人さん。

 去り際に呟いた言葉はちゃんと聞こえてますからね。

 メイドの耳は三千里なのです。

 

 

 

 

 




次回こそ、本当に初めてのシンフォギアの戦闘シーンです。

彼女達以外にもゲストの登場を予定しているので、どうなるかはお楽しみ。

多分、土曜辺りに更新すると思います。(シンフォギアの放送日だから)
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