我が名は豪鬼! メイドを極めし者なり!   作:とんこつラーメン

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やっと、この作品内での本格的な戦闘シーンです。

毎回毎回、初めての原作での戦闘シーンを書く時は、ちゃんと原作の雰囲気を再現できるかと思いながらドキドキして書いているんです。
今回は時にドキドキしています。
シンフォギアは作品全体の雰囲気もそうですが、戦闘シーンも独特の空気がありますからね。
果たして、私のような駄文製造機に皆さんにも楽しんで貰えるような戦闘シーンをちゃんと書く事が出来るのやら……。






メイド豪鬼 再会する

 二課本部の司令室の大型モニターには、バイクに跨った豪鬼が高速道路をとてつもない速度で疾走する姿が映し出されていた。

 

「本当にバイクを持ってたんだ……」

「あのバイク……通常では有り得ないような速度で爆走してるんですけど……」

「どう考えても、あれって軽く200キロは出てるわよね……」

 

 ノイズ出現による警報が出ているため、道路自体は車が全て止まっていて閑散としている。だからだろうか、道路交通法なんて知った事かと言わんばかりのスピードを出している。

 恐らく、暴走族でもここまでの速度を出したりはしないだろう。

 

「シャドルー製の車などはいい性能を誇ると聞いた事はあるが……」

「バイクも例外じゃなかったって事ね」

「というか、あの人、よくあんなバイクを簡単そうに運転出来ますよね」

「「メイドだからな(ね)」」

「二人共、豪鬼さんに影響受けてません?」

 

 ジト目で弦十郎と了子を見ながらも、しっかりとオペレーターとしての仕事はきっちとこなす二人。

 なんだかんだと言っても、この二人も立派な二課の一員なのだ。

 

「あっ!? し…司令! 大変です!!」

「どうした!」

「先程ノイズが出現した場所とは別の場所にもノイズの反応が!!」

「なんだとぉっ!?」

 

 まさかの二か所同時出現。

 流石の弦十郎も、この状況は想定していなかったのか、大きな声を上げた。

 

「どうするの?」

「今向かっている豪鬼くんに、今しがた出現した方へと向かって貰うのが妥当だろうが……それだと彼女に負担が掛かってしまう……」

 

 幾ら豪鬼が強いとはいえ、一人ではどうしても限界が来る。

 その事を考えると、どうしても彼女を一人で向かわせることを躊躇ってしまう。

 だが、そんな彼の迷いを払拭するかのように、走行中の豪鬼から通信が来た。

 

『弦十郎さん。聞こえますか?』

「豪鬼くんか!?」

『はい。話はお聞きしました。私がさっき出た方に向かいますので、奏さんと翼さんを最初の方に向かわせてください』

「しかし……それでは君が……!」

『ご心配なく。この程度でどうにかなるような、軟な鍛え方はしていません。それに、貴方も知っているでしょう? メイドに不可能は無いんですよ』

「君という奴は……どこまで……」

『それに、人員については問題無いと思います』

「なに?」

『毎度のように『彼女達』も来るでしょうし』

「シャドルー総帥『ベガ』と、ハワード・コネクション総帥『ギース・ハワード』か」

『そうです。こっちから何か言わなくても絶対に来ると思いますよ』

「……分かった。では、君は第二波の方へと向かってくれ!」

『了解です。藤尭さん、オペレートをお願いできますか?』

「藤尭!!」

「分っかりました! 任せてください!!」

 

 通信が切れ、司令室に再び緊迫した空気が流れる中、一人だけ鋭い目をしている人物が。

 

(なにやら予想外の事が起きてしまったが、いい機会だ。正体不明の力である『殺意の波動』とやらの戦いを存分に見させて貰おうか)

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 通信越しに藤尭さんの声を聞きながら、私はある予感を感じていた。

 

(なんだろう……さっきからずっと不思議な感覚がしている。なんて言っていいか分からないけど、まるで久方振りに家族に会ったかのような、懐かしくも暖かい感じ……)

 

 そこまで考えて、私はある考えに至った。

 

(まさか……『あの人』がこの街に来ているの……!?)

 

 確証はない。断言も出来ない。それでも、もしもそうだとしたら……。

 

『豪鬼さん! 次で高速を降りて、そこから右に曲がってください!』

「分かりました。……藤尭さん、奏さんと翼さんに伝言をお願いできますか?」

『なんですか?』

「『頑張ってください』……と」

『それだけですか?』

「はい。それだけで十分です」

『了解です。確かに伝えます』

「ありがとうございます」

 

 そんな話をしている間に、私は高速道路を降りてから、言われた通りの方向へと向かった。

 翼さん……奏さん。私の教えを決して忘れなければ、貴女達は絶対に負けません。

 だから……お二人の健闘を祈ります。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 一方その頃。

 緒川の車にて現場へと急行している途中の翼と奏に、豪鬼へのオペレートが終了した藤尭から通信が来た。

 

『……とのことです。確かに伝えましたからね』

「頑張れ……か」

「はは……なんとも豪鬼らしいや……」

 

 本当にシンプルな一言ではあったが、その中に秘められた意味を正しく理解したのか、なんだか急に照れくさくなる二人。

 

「にしても、まさか別の場所にもノイズが出現するとは……」

「未だにノイズの出現パターンは完全に解明されてませんからね。このような事も十分に有り得るでしょう」

「だな。少し前までのあたし達なら、この段階で狼狽えまくりだっただろうけど……」

「今は豪鬼さんという頼りになる仲間がいる」

「あぁ! ワールドクラスの格闘家に期待されたんだ! ここで体張らなきゃ女が廃るってもんだ!」

「そうね!」

「到着です!!」

 

 緒川が街外れの森林地帯に車をドリフトをさせながら停車させ、すぐに装者の二人が飛び出す。

 

「緒川さんはここで待機を! 奏!!」

「おう! 今日は最初から飛ばしていくぜ!!」

 

 二人は、首から下げたペンダントを握りしめて静かに聖詠する。

 

「Imyuteus amenohabakiri tron」

「Croizal ronzell Gungnir zizzl」

 

 二人の体が光に包まれ、次の瞬間には青と赤を基調とした戦闘用スーツ『シンフォギア』を身に纏っていた。

 

「見えた!!」

「数は……そこそこって感じか。特訓の成果を試すには絶好の相手だ!」

「奏」

「皆まで言わなくても分かってるって。でも、ここらでアタシ等の新フォーメーションをしてみてもいいんじゃないか?」

「それはそうだけど……むっ!」

 

 先程まで微動だにしていなかったノイズ達が、二人の姿を確認した途端に一斉に動き出す。

 

「前にも見たデカブツはいないようだけど、中くらいの奴なら数体いるな」

「ならば、奏はそいつらを中心に倒して! 私は他の小型の雑魚を!」

「よしきた!!」

 

 やる事を再確認した翼は走る速度を上げてから、先にノイズの群れへと突っ込んでいった。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

 一閃。

 翼の斬撃が眼前にいたノイズを一瞬で消滅させる。

 そこで決して止まることなく、滑らかな動きでノイズ達を翻弄しながら、確実に一体ずつ倒していった。

 

「やるな翼……! なら、あたしだって!!」

 

 軽快なフットワークでノイズの攻撃を全て回避しながら、奏の眼はジッと相手の動きを観察しつつ確実な隙を狙っていた。

 

「隙有り!! そこだぁっ!!」

 

 攻撃終わりの明らかな隙を見逃さなかった奏は、ノイズの胴体部の中心を狙って全力の突きを放つ。

 その一撃により、ノイズは成す術も無く倒された。

 

「翼! 分かるか!?」

「えぇ……今までとは比較にならない程に体が軽い!」

「だよな! まるで重りの着いたリストバンドを外したみたいだ!」

 

 翼が小型を、奏が中型を。

 己の役割を果たし続ける二人の動きは、まるでライブの時のように息がぴったりだった。

 

「複数で掛かってくるか……! ならばこれだ!!」

 

 いきなりその場で逆立ちをしたかと思ったら、翼は両脚部にブレードを展開して、バーニアにて勢いを増してから縦回転をして無数の敵を斬り裂いていく。

 

 逆 羅 刹

 

 技を放ちながら、翼は豪鬼の言葉を思い出していた。

 

(いいですか翼さん。貴女が主武装としている『刀』の真骨頂は『流れるような動きから放たれる怒涛の連続攻撃』です。『流水』の動きをしつつ『疾風』の如き斬撃を放つ。基本的にこの動きさえ忘れなければ、それだけで翼さんは数段パワーアップする筈です。『流水』のように舞い『疾風』のように斬る。この事を決して忘れないでください)

 

 幾多のノイズの群れの中を青い軌跡を描きながら舞い、鋭い斬撃にて葬る。

 その姿はまさしく、豪鬼が翼に言っていたような動きだった。

 

「もう一丁!!」

 

 奏の方も、撃破数は少ないが、下手をすれば脅威となり得るような中型のノイズを一体一体確実に倒していっていた。

 いつもなら息切れしていそうなぐらいに動いているにも拘らず、未だに全く息が切れる様子は無い。

 

「ついでだ……こいつも持ってきな!!」

 

 自身の槍をノイズの胴体に突き刺したと思いきや、その穂先を高速回転させて竜巻を発生させ、その威力にて周囲にいたノイズも纏めて消し飛ばした。

 

LAST∞METEOR

 

 この時、奏もまた豪鬼の言葉を脳裏で思い出していた。

 

(奏さんは翼さんよりも俊敏性に劣る代わりに単純なパワーが上です。それと貴女の武器であるランスを最大限に生かすには、相手の隙を狙った一撃必殺の攻撃で反撃の暇すら与えないままに倒す事です。その為には足腰を徹底的に鍛えて突破力を向上させる必要がありますが、奏さんなら出来ますよね?)

 

 奏は同じ敵に二度も攻撃しない。

 何故なら、全ての相手が一撃で葬られていくから。

 

 豪鬼が彼女達に施したのは、弱点の克服ではなく長所の向上だった。

 中途半端に弱点を補おうとするよりは、既に高いレベルにある長所を更なる高みへと導くことで結果的に総合的な強化をする。

 弱点があるのならば、それは仲間が補えばいい。

 これは、彼女達がコンビだからこそ出来た特訓であった。

 

「いける……いけるぞ!! 流れは完全にこっちに傾いてる!」

「だけど、最後まで油断はしない!」

「当たり前だ! ラストの一体まで気を引き締めて戦うぞ!!」

 

 それから十数分の後、この場に出現したノイズは全て二人によって駆逐され、人的被害も物的被害も殆ど無かった。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 奏と翼がノイズと戦闘を開始し始めた頃、豪鬼もまたもう一つの現場へと到着していた。

 

「邪魔です!! おどきなさい!!!」

 

 あろうことか、バイクごと殺意の波動を身に纏い、そのままノイズを轢き倒した。

 こんな事が出来るのも、彼女がメイドだからだろう。

 

「あのお姿は……矢張り!!」

 

 慌ててヘルメットを外し、目の前の光景に注目する。

 そこには、彼女がよく知っている筋骨隆々な老人がギース夫人と共にノイズと戦っていた。

 

「こ奴等が風の噂に聞いた『ノイズ』とやらか! この異形なる姿……確かに、人の世に仇なす敵のようだわい!!」

「だがしかし、このような雑魚如き、我等の敵ではない!!」

 

 剛 波 動 拳

 

 疾 風 拳

 

 二人の攻撃により、複数のノイズが一撃にて倒される。

 その威力は、装者達の比ではなかった。

 

「フッ……流石は私が認めた豪鬼の実兄。見事な腕だ」

「それはこちらの台詞よ。その実力、主婦にしておくには実に惜しいわい」

 

 ギースと共闘している人物を見て、豪鬼は珍しく大きく目を見開いて驚いた表情を見せる。

 

「やっぱり……貴方だったんですね……剛拳兄上」

 

 正真正銘、最強の格闘家である兄がそこにいた。

 これで増々、装者達の立場が危うくなってしまうのだが、本人達は全く自覚は無いだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




奏とが頑張ってパワーアップしている中、それをあざ笑うかのようなぶっ飛んだ強さを発揮するおじいちゃんとお母さん。

本当に、装者と敵さん達は泣いていいと思います。
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