我が名は豪鬼! メイドを極めし者なり!   作:とんこつラーメン

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ある意味、最も怒らせてはいけない兄妹の共闘。

世の中には、決して喧嘩を売ってはいけない相手がいるものです。






メイド豪鬼 兄と一緒に戦う

 私がこの姿で転生して、すぐに会ったのが彼だった。

 彼と過ごした覚えなんて本当は無い筈なのに、不思議と頭の中には幼い頃からあの人や師匠と過ごしてきた記憶があった。

 これはきっと『体』に刻まれた記憶だろうと判断した私は、その記憶に素直に従う事にした。

 

 少しだけ兄妹らしい話をしてから、兄とはそれっきりだった。

 自分でもおかしいと思うけど、彼の事はなんでか違和感無く『兄』として受けいられた。

 だからだろうか。こうして再び会えた事は素直に嬉しかった。

 

豪波動!! ……油断大敵ですよ、兄上」

「ふん! 来るならもっと早く来んか。馬鹿者が」

 

 兄の背後から触手を伸ばしてきたノイズを豪波動拳で撃破すると、にやりと笑いながらこっちを振り向き、有難い一言を貰った。

 

「これでも、そこにあるバイクで高速道路をかっ飛ばしてきたんですけどね」

「言い訳無用。今ある現実こそが真実じゃ」

「御尤も」

 

 流石は我が兄。この程度では許してはくれないか。

 

「ハッハッハッ! こうして並ぶと、兄妹というよりは、まるで親子のようだな!」

「自覚はあります。でも、れっきとした兄妹ですから」

「今更じゃな」

 

 こんな危機的状況下でも普通に会話出来るのは、世界広しといえども我々だけかもしれない。

 それだけ度胸が据わっているって証拠かもしれないが。

 

「にしても、お前はまだそんな動きにくそうな格好をしておるのか?」

「これがメイドとしての正装ですから」

「本当にぶれない奴じゃな……む?」

 

 おっと。久々の兄妹のお話タイムを邪魔しようとする無粋な輩達が飛びかかってきましたね。

 全く……これだからノイズは好きになれない。

 

「「「フンッ!!!」」」

 

 纏めて掛かってきたノイズは、殺意の波動を込めた私の拳と、無の波動を込めた兄の拳、膨大なまでの気を込めたギースの拳によって跡形も無く粉砕された。

 

「無の波動……まだまだ衰えてはいないようですね」

「抜かせ。貴様の殺意の波動も、前にも増して制御と磨きが掛かっておるではないか」

「フッ……このノイズ共も不幸なものだな。よりにもよって、闇の『殺意の波動』と光の『無の波動』を極限まで極めた戦士達が相手だとは」

 

 おや、ギースからのべた褒め。

 やっぱ子持ちなだけあって、誰かを褒める事は得意なんでしょうかね?

 

「あまり長引かせては街への被害が拡大してしまいます」

「豪鬼の言う通りじゃな。では、どうする?」

「そんな事、最初から決まっていよう」

 

 私と兄は波動拳の構えを、ギースは両腕を上げてからアレの構えをする。

 

「最強の一撃にて、一気に蹴散らすのみよ!!」

「「応!!」」

 

 私達がしようとしている事を野生の本能的な物で理解したのか、全てのノイズ達が三方から一斉に襲い掛かってきた。

 でも、それは私達にとって最も好都合。

 

「「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」」」

 

 自分達の『力』を究極まで高め、目前まで迫るノイズに対し、一気に解き放つ!!

 

 滅 殺 豪 波 動

 電 刃 波 動 拳

 レイジング・ストーム

 

 蒼く巨大なレーザーのような気の奔流と、雷を纏った強大な気の塊、まるで地の底から噴出するかのような幾つもの気の帯が一斉に放たれ、飛びかかってきたノイズを一体も残さず全て跡形も無く消滅させた。

 

「ざっとこんなもんじゃわい」

「滅殺……です」

「他愛の無い」

 

 どうやら、あれで全部だったようですね。

 周囲からもノイズの気配は感じられませんし。

 

「そう言えば聞きそびれていたんですが、ちゃんと住人の方々の避難は完了しているんですか?」

「それならば問題無いわい。ちゃんと、我々が到着した頃には自衛隊の連中が避難誘導を完了させておった」

「脆弱なれど、己の役目をきちんとこなす所は見事と言っておこう」

 

 本当に、このギース夫人は私の知っている『ギース』とは違って、かなり甘々になってますね~。

 自分の身で子供を産んだからでしょうか?

 

「そうじゃ。聞いたぞ豪鬼よ。お主、弟子を取ったらしいな?」

「弟子? 何の事ですか?」

「とぼけんでもいい。あの豪鬼が誰かに教授するようになるとはな……」

「いや。本気で意味が分からないんですが。勝手に感動しないでください」

 

 弟子なんて取った覚えは本気で無いんですけどね。

 この人は本当に何を言っているのやら。

 

「おや?」

 

 ポケットの中に入れていた通信機に着信が。

 

「もしもし?」

『豪鬼くん。そっちは大丈夫……みたいだな』

「はい。モニターしていたんでしょう? ご覧のとおりです」

『まぁ……君に関しては、そこまで心配はしていなかったんだがな』

「メイドとして喜ぶべきか。女として悲しむべきか」

『う……すまん』

 

 あらら。ちょっと意地悪をしちゃいましたかね。

 

「ところで、翼さんと奏さん達は大丈夫でしたか?」

『アイツ等なら大丈夫だ。ついさっきノイズを全て撃破したと緒川から連絡が来たところだ』

「それはよかったです」

『お前の事が心配らしく、今そっちに向かっている最中らしい』

「あら」

 

 終わったのなら素直に本部に帰ってもいいのに。

 何気に律儀な所がありますね。

 

「おや。噂をすればなんとやら。来たみたいです」

 

 私達の目の前に、緒川さんが運転する車が停車し、後部座席から私服に戻っている奏さんと翼さんが出て来たが……。

 

「ほら。もう泣き止めって。アタシが悪かったからさ」

「うん……」

「なんでベガも一緒なんですか? しかも、奏さんと手なんか繋いで」

 

 一体何があったのか、ベガが泣きながら車から出てきて、奏さんに慰められている。

 これは流石に何がどうなっているのか全く理解出来ない。

 

「豪鬼さん。御無事でなによりです」

「そちらこそ。私との特訓は生かせましたか?」

「はい! 今まで等よりもずっと軽やかに体を動かせたばかりか、とても効率よく戦えました!」

「そうですか。でも、それで慢心してはいけませんよ」

「分かっています。人生これ日々精進也、ですね」

「その通りです。……で、ベガが一緒にいる理由を教えて欲しいのですが……」

「あ~……それはですね……」

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 私達がノイズの殲滅を完了し、帰還しようとした時でした。

 いきなり何も無い所から彼女が現れてたんです。

 

「はぁ~はっはっはっ! ベガ様さんじょ~!」

 

「「あ……」」

「ノイズはどこだ!? 私のサイコパワーの錆びにしてくれ……あれ?」

 

 完全に帰る空気になっていた所に来たもんで、なんとも言えない空気になってしまったんです。

 そこで奏が余計な一言を言ってしまって……。

 

「残念でした! ノイズならお前が来る前にあたしと翼が全部やっつけちゃいました~!」

「にゃにぃっ!?」

「ま。お前なんかいなくても楽勝だったっていうか? 遅れてやって来て偉そうにするってどうかって思うよな~」

「うっ……」

「悔しかったら、今度からはちゃんと早くにやって来て……って、あれ?」

「奏……ちょっと言い過ぎな気が……」

 

 徐々に彼女が涙ぐんでしまい、やがて……。

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!」

「「うわぁっ!?」」

 

 完全に涙腺崩壊してしまったんです。

 

「私らって……私らって急いでお仕事終わらせて駆けつけたんだもん!! 頑張ったんだもん!!」

「奏……これは流石にやり過ぎ」

「えっ!? アタシが悪いのかっ!?」

「いや……どう考えても奏さんの言い過ぎじゃないかと……」

「緒川さんまでっ!?」

 

 車から出て来た緒川さんも困った顔で出てきて、本気で途方に暮れてしまいました。

 これまで幾多の修羅場を経験しては来ましたが、こんな事は初めてだったので。

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!! ばかぁぁぁぁぁっ!! 赤毛ぇぇぇぇぇぇっっ!! ろしゅつきょ―――――――!!」

「「…………………」」

「二人してそんな目で見ないでくれよ~!! あ~もう! アタシが悪かったよ! だから泣き止んでくれ! な?」

「びえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!」

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

「それで、豪鬼さんならばなんとかしてくれると思い……済みません……」

「………………」

 

 どこまでおこちゃまなんですか……。

 一応、彼女は立派な成人女性なんですよ?

 見た目は完全な合法ロリですけど。

 

「疲れた……だっこ」

「はいはい。ほらよ」

 

 奏さんとベガ。もう完全に歳の離れた姉妹みたいになってるじゃないですか。

 いや、それに関しては私もあまり人の事は言えないんですけど。

 

「大丈夫ですよ。彼女なら、後で甘いお菓子でも買ってあげれば、すぐに泣き止みます」

「そうなんですか?」

「えぇ。ベガは甘いものに目がありませんから。シャドルーが真っ先に事業展開したのがお菓子メーカーだったぐらいですし」

「それは……徹底してますね」

「はい。ですから、もう少しして街が元に戻ったら、どこかでお菓子でも買ってあげてください」

「分かりました」

 

 ふぅ……これで本当に一件落着……ですかね?

 

「ところで、一つお聞きしてもよろしいですか?」

「どうしました?」

「後ろにいる、ギース・ハワードと一緒にいるご老人は何方なのですか?」

「あ」

 

 いつもなら、すぐに居なくなるあの人がまだいる。

 どうやら、ギースと格闘技談義に華を咲かせてるみたい。

 つーか、まだ紹介とかしてませんでしたね。

 

「そうですね。いい機会ですから紹介しておきましょうか」

「え?」

 

 兄に目配せをして、手招きをしてこっちに来させる。

 自分を指差して『儂?』的な顔をしていたが、それに対して強く頷く。

 

「なんじゃ。折角、話が盛り上がって来ておったのに……」

「未亡人相手になに仲良さげに会話してんですか……」

 

 しれっと、世間的にとんでもない事をしてるって自覚あります?

 いや、絶対に無いでしょうね。

 

「ご紹介します。この方の名は『剛拳』。正真正銘、私と血の繋がった実の兄です」

「「「ブ―――――――――――――――――――!!!!」」」

『『『『ブ――――――――――――――――――――!!!!』』』』

 

 二課のメンバーが全員吹いた。それはもう派手に。

 車の運転席にいる緒川さんも、本部にいる皆も通信越しに吹いていた。

 

「こ……この人が……?」

『豪鬼くんの兄……だと……?』

「んなアホな……」

『し…信じられないわ……』

「でしょうね。無理もありません。でも、事実ですので」

 

 皆が皆、鳩が豆鉄砲を喰らったかのような顔になって口をパクパクさせていた。

 気持ちは分かりますけど、ちょっと驚きすぎじゃありません?

 

「どうやら、儂の不肖の妹が世話になっておるようじゃの。もしかしたら、これからは儂もちょくちょくとこっちの方に来るやもしれん。その時はよろしく頼むぞ!」

「「「は…はぁ……」」」

『『『『こちらこそ……』』』』

 

 結局、その日はなんとも言えない空気になって解散した。

 因みに、ギースとベガは既に兄の事は知っていて、私との関係もご存じですのであしからず。

 

 

 

 

 

 

 

 




剛拳と原作キャラ(一部)との初遭遇。

今後も、豪鬼の関係者達と原作キャラの絡みがあるかも?

それから、これはある意味で予告みたいなものですが……。

豪鬼って色んなゲームで色んなキャラとコラボしてますよね?
 
それってつまり、それだけ豪鬼は色んなキャラと繋がりがあるわけで……。

私が言いたい事、分かる人には分かる筈。
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