我が名は豪鬼! メイドを極めし者なり! 作:とんこつラーメン
でも、今作では色々と事情が違うから、原作以上に賑やか且つほんわかとした雰囲気になっていると思います。
ノイズの発生現場に取り残されていた響さんを救出……したと言っていいのかは微妙ですが、保護した事には違いないので良しとしましょうか。
ともかく、響さんに会う事が出来たのは本当によかった。
万が一、何か原作とは違う事が起きたりでもしてたら本当に危なかったかもしれない。
しかし、原作のように体に突き刺さらなくてもギアが発現するなんて……本当にアレには謎が多いですね。
私のような生知識では分からないことだらけです。
なんて、この場で愚痴っていても始まりません。
私はメイドらしく、目の前に起きている事を一つ一つ解決していくだけです。
色々と事情とかを説明する為に、響さんを初めとする面々には、以前の私のように二課の本部へと丁重にご招待する事に。
流石に手錠はしなかったが、それでも見た事も無い黒光りする車に乗せられた響さんは、なんだか落ち着かない様子だった。
同じように、二課の車両にリュウやケン、さくらさんや庵さん、デミトリさんも一緒に乗せられた。
歳の近い同性ということもあり、さくらさんは響さんと一緒に車に乗せられていた。
勿論、私や翼さんは自前のバイクにて走りましたけど。
その時、翼さんの後ろにまた奏さんが乗ったんですけど、凄く怯えている様子でしたね。
私達が知らない場所で何かあったんでしょうか?
こうして、私達は一路、二課の本部がある私立リディアン音楽院へと向かって行った。
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私達が向かった場所が学校だと知ると、案の定リュウたちは驚いていた。
「ここは……学校じゃないのか?」
「だよな……」
「ココがリディアン音楽院……始めてきたかも」
彼等を伴って中央棟へと歩いていくと、さくらさんが意外な反応を見せる。
やっぱり今時の女子高生、他校の噂なども沢山知っているのだろうか?
「さくらさんはリディアンの事を知っているんですか?」
「別に知ってるって程じゃないんですけど、神月さんが前にココの事を話してた事があって……」
「あぁ~…あのお嬢さんな」
「はい。『私なら余裕で入学出来ますけど、どうも校風が私好みじゃありませんのよね』って」
「なんじゃそりゃ」
「はっはっはっ。彼女らしいな」
それって完全に負け惜しみじゃありません?
彼女の頭脳なら余裕で入学出来そうですけど。
「あの~……春日野さん」
「さくらでいいよ。私もそっちのことは響ちゃんって呼ぶから」
「それじゃあ……さくらちゃんは緊張とかしないの?」
「緊張? なんで?」
「だって、幾ら豪鬼さん達が一緒とは言え、どこに行くのか全く教えて貰えなかったし……」
「う~ん……」
天井を見ながら唸るさくらさん。
多分だけど、彼女はその手の悩みとは基本的に無縁だと思う。
それはきっと響さんもだろうけど。
「別に緊張とかはしないかな~」
「そ…そうなの?」
「うん。寧ろ、ちょっとワクワクしてる」
「す…凄いんだね……」
「そうでもないよ。それぐらいでもないと、リュウさんの背中なんて追いかけられないし」
「リュウさんって……」
チラっと横目でリュウの事を見る響さん。
彼女からしたら、これで二回も彼に助けられた事になりますからね。
原作では二回助けたのが翼さんだった事を考えると、なんとも皮肉ですが。
「私の憧れの人で、目標でもある人なんだ。私なんてまだまだなんだけどね」
「………………」
私から見ても眩しい笑顔で応えるさくらさんを見て、響さんも色々と思う所があったみたいですね。
自分と同じ歳の同じ女子高生なのに、彼女は明確な目標を持って。そこへと向かって只管に邁進している。
実に今更ですが、本当に将来が楽しみな子です。
このまま成長し続ければ、必ずや世界レベルの格闘家になれるでしょう。
さくらさんには、それだけの才能と素質が確かに存在している。
「なんか凄い話をしてるな……」
「えぇ。あの歳で既に自分の向かうべき目標をちゃんと持っている。なんだか羨ましいな……」
「あのリュウって奴も、世界を渡り歩いている格闘家なんだろ? ケン・マスターズと同門ってだけで驚きなのに、豪鬼の兄貴の弟子だったなんてな……」
「人の縁とはどこで繋がっているのか分からないものね……」
「全くだな……」
翼さんと奏さんも、どうやらリュウやさくらさんを見て何かを感じた模様。
若者達が切磋琢磨して己が腕を磨き合う。
う~ん……青春ですねぇ~。
「あぁ~……やっと少しだけ楽になった……」
「まだ顔が青いぞ? 矢張り、あそこで大人しく帰っておけばよかったんじゃないか?」
「ふん! オレはそんなに軟弱じゃない。それに……」
「それに?」
「……家族にはもう既に『少し遅くなる』とメールを入れてしまった。そんな状況で早く帰ってしまったらオレの立つ瀬がないだろうが……」
「プライドと自分の体調を天秤に掛けるな……」
「お前にだけは言われたくはないわ」
あの二人、なんだか急に仲良くなりすぎじゃありません?
これはまた、地獄歌の名物が増えそうな予感ですね。
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例の急降下するエレベータに乗って地下まで降りると、またもや長い廊下を歩いていく。
まだキチンと体を鍛えていない響さんは当然のように手摺に掴まっていたが、他の面々は普通に立っていた。
それを見て物凄く驚いていた響さんだったが、彼等彼女等にとってこれぐらいは当たり前ですよ?
リュウやケンは当然ですが、さくらさんも女子高生としては破格の身体能力を誇ってますし。
吸血鬼であるデミトリは普通に平気だし、庵さんに至っては腕組みまでしていた。
ま、彼女の場合は少し強がっている面もあるかもしれないけど。
「あれ? 意外と驚かれないのですね? 学校の地下にこんな施設がある事に」
「いや、表情に出ていないだけで驚いてはいるさ。ただな……この手の建物は見慣れてしまってな」
「そっか。リュウは前にアベンジャーズの基地に行ったことがあったんだったな。ま、俺もだけど」
アベンジャーズ。
私もよく知っている、アメリカに存在している『地球最強のヒーローチーム』。
以前にケンを訪ねてリュウがアメリカを訪れた際に、彼等と一緒にウルトロン軍団と戦った事があるとか。
その際にしれっと彼もアベンジャーズに誘われてるんですよね。
因みに、私は逆にこっちをライバル視しているウルヴァリン経由でX-MENに割とマジで誘われた事があったりして。
殺意の波動はミュータント的な能力とは違うんですけどね~。
「アベンジャーズ……」
「緒川さん、知っているのですか?」
「はい……裏にいる人間で彼等の事を知らない者はモグリと言われる程のチームです。これまでに幾度となく世界規模の危機を未然に防いできたヒーロー達で、実はアメリカに出現しているノイズの殆どは彼等が撃破しているらしいです」
「あんな芸当が出来るのって豪鬼たちだけじゃなかったんだな……」
「世界は広いとよく言うが、まさしくその通りだな……」
翼さんの仰る通り、貴女達が想像している以上に世界は広いのです。
無数の出会いが人を成長させ、より高みへと導く。
そうして、私もリュウもケンも、そしてさくらさんも強くなっていったんです。
「この廊下……まるでネスツの基地を思い出すな」
「窓が全く無いな。吸血鬼としては理想的だ」
後ろの二人も何か言ってますが、私には分からないので無視しましょう。
ネスツなんて、知ってはいるけど知りませんから。
「おい。そこの忍者男」
「に…忍者男って、もしかして僕の事ですか?」
「そうだ。お前の動きの全てがオレの知っている忍によく似ているからな。で、どこまで連れて行く気だ?」
「どこまでとは?」
「オレ達は事情聴取の為に連れて来られた筈なのに、それらしい部屋に連れていかれる訳でもなく、かと言ってどこかに幽閉する様子も見受けられない。貴様等、一体何が目的だ?」
ふむ……ここまでずっと歩かされては、流石の庵さんも怪しむのは当然か。
私も最初は同じような事を言いましたからね。
「もう少しで到着しますから、それまでの辛抱ですよ」
「豪鬼……お前は知っているのか?」
「知っているというよりは、なんとなく予想が出来るといった感じですね」
「予想だと?」
「えぇ。多分ですけど、私がココに来た時と同じ事をするつもりかと」
「お前は何をされたんだ……」
「一言で表現するのは難しいです。百聞は一見に如かずという言葉もありますから、まずは行きましょう」
「フン……いいだろう。今だけは貴様の言う事に従ってやる」
「はいはい」
全く素直じゃないんだから。
露悪的な発言が多い彼女だけど、私や京さんは知ってるんですよ。
本当は貴女が優しい人物だって事はね。
女の子になった事で、正真正銘のツンデレヒロインになってしまいましたけど。
「到着しました。ここです」
やっぱり……。
ついたのは司令室。ってことは、今から起きる事は……。
緒川さんが扉を開けると、そこで我々を待ち受けていたものは……。
【熱烈歓迎! ようこそ二課へ! 立花響さんと他の皆様!】
沢山のクラッカーと拍手の嵐だった。
あと、他の皆さまって……絶対にめんどくなっただけでしょ。
だって、響さんの名前の横に追加の紙を張った後が丸見えなんですもん。
はぁ……ちゃんと後で皆に片付けるように言わないと。
ちゃんと私も手伝いますけどね。
キリがいいので、短いとは思いますがまずはここで切ります。
次回は丸々一話使っての歓迎会をする予定です。