我が名は豪鬼! メイドを極めし者なり!   作:とんこつラーメン

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前は歓迎された豪鬼ですが、今回は歓迎する立場に。

リュウやケンはともかく、デミデミといおりんはどんな反応をするのでしょうか?






メイド豪鬼 今度は歓迎する

「「「「「「………………」」」」」」

 

 まぁ……予想はしてたんですけどね。

 全員揃って目が点になって呆けてますし。

 

「はぁ……またやるんですか?」

「勿論だとも。こうして皆で大騒ぎをする機会を設けないと、ストレスで参ってしまいそうな職場だからな」

「それは分かりますけど……」

 

 だとしても、私に一言ぐらい教えてくれてもよかったんじゃないんですか?

 そうしたら、少しはお手伝いしたのに……。

 

「本当は豪鬼くんにも手伝って貰おうかとも思ったんだが、普段からノイズ討伐に本部の掃除や洗濯など、頭が上がらない程に頑張ってくれている君に頼りっきりになるのもどうかと思ってな」

「私は私がしたくてしているだけだから、そんな事を気にして貰う必要はないのですが……」

「それでも、さ。さぁっ、君達も遠慮無く入って来てくれ!」

 

 あくまでもフレンドリーにしているけど、さくらさんや響さんの女子高生コンビは未だにどうしたらいいのか分からないでいる様子。

 それは違い、コミュ力MAXなリュウとケンの二人はすぐに自分を取り戻して入ろうとする。

 

「最初は驚いたが、歓迎をされて悪い気はしないな」

「だな。今思えば、俺にとってこの手のパーティーって日常茶飯事だったわ」

 

 そういや、ケンの実家って大金持ちでしたね。

 このブルジョアめ……!

 

「リュ…リュウさんが行くなら私も!」

「ちょ…ちょっと待ってぇ~!」

 

 はい。女子高生組も参加決定~。

 一番の問題である女体化コンビは……。

 

「フン……下らん。オレは帰る」

「フッ……貴様のような人間に、このような催しは無理か」

「なんだと……!?」

「私は魔界でも最も高貴なる吸血鬼だからな。この手のパーティーなどはいつも参加している。時には私から開催する程だ」

「………………」

「普段から肉ばかり食っているから、中身まで野蛮になっていくのだ。全く……普通ならつかなくてもいい場所にまで肉が付きおってからに……」

「お前はどこを見て言っている!」

 

 間違いなく胸ですね。

 現在の庵さんは、どこに出しても恥ずかしくない立派なロリ巨乳になってますから。

 それが彼女の人気に一因にもなってるから皮肉ですよね。

 

「そんな訳で、私は遠慮無く入らせて貰おう。お? よく見たら中々に大きな骨付き肉まであるではないか」

「!!?」

 

 次の瞬間、庵さんは風になった。

 私達の誰もが彼女の姿を捉える事が出来ず、気が付いた時にはその手に骨付き肉を持って無表情で、でも嬉しそうに肉にかぶりついていた。

 

「モキュ……モキュ……」

「み…見えなかった……」

「アイツ、肉が好きだったんだな」

「らしいですよ。今みたいになるまでは一人暮らししていたみたいで、料理とか全部出来るって自慢げに言ってました」

「あの性格でその能力って……」

 

 この中で数少ない常識人枠のケンが本気で驚く。

 でも、意外とエプロン姿が様になってるから不思議なんですよね。

 仕事場の他の子達に料理を教えているところを何回か見た事ありますし。

 

 そんな訳で、結局は全員参加が決定しましたと。

 後で二課の全員に片付けを手伝うように言わないとな……!

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 お互いに軽く自己紹介をしてから、その後は完全なフリータイム。

 皆が皆、好きに動いて色んな物を食べて、色んな人と話している。

 

 なにやら響さんが、いつの間にか回収されていた自分の鞄の中身を調べられていた事に驚いたり、恐らくはこれから行動を共にする機会が増えることになるであろう奏さんや翼さんと緊張しながらも話していた。

 

「ようやくまともに話す事が出来るな。まずは自己紹介からか。あたしは……」

「いや、名前なら二年前から知ってますし」

「そりゃそっか。なんせ、アタシ等のライブに来てくれるぐらいだしな」

「こっちこそ自己紹介しないと。立花響です。よろしくお願いします」

「響……な。コッチこそよろしくな」

「よろしく」

 

 ふむ……原作のような険悪な雰囲気ではないようですね。

 奏さんが生きている事が最大の原因でしょうけど。

 

「あの……お二人って豪鬼さんともお知り合いなんですか?」

「知り合いっていうか……」

「武の師匠だな」

「師匠っ!?」

 

 本当に、いつの間に私はお二人の師匠になったんでしょうね。

 最初はそんなつもりは毛頭なかったんですが、気が付けば自然とそんな風になってたんだよな~。

 そこまで大したことはしてないんですけど。

 

「豪鬼ってメイドになる前は世界中を旅する格闘家だったらしいぞ」

「その中で数多くの戦士達と拳を交え、同時に無窮の絆を紡いできたと聞いた。その絆があるからこそ、今の自分があるとも」

「知らなかった……」

「そうなのか? なんか、豪鬼とは仲良さそうに見えたけど」

「はい……家が近所な事に加えて、よく朝の通学路でも会ったりするんで……」

「そういや、前にそんな事を言ってたっけ。仕事に行く前の朝の時間は、いつも道の掃除に費やしてるって」

「本当に豪鬼さんには頭が上がらないな……。まさに、誰もが理想とする女性だ」

 

 うぐ……! 翼さん、そんな純粋な目でそんな事を言わないでください……。

 彼女はその育ち故に天然気質な所があるけど、こんな場でそれを発揮してほしくなかった……。

 

「ん? 豪鬼くん、照れているのか?」

「照れてません」

「その割には顔が赤いが……」

「暖房が利きすぎてるだけです」

「そうか……」

 

 なんでか、弦十朗さんだけには自分の照れてる顔を見られたくない……。

 

「ケ…ケン・マスターズ……世界的な超有名人が目の前にっ!?」

「お? もしかして俺のファンかい?」

「は…はい! 日本で試合が行われた時は欠かさず見に行ってます!」

「そいつは嬉しいね! なんなら、サインでもしてやろうか?」

「いいんですかっ!?」

「当たり前さ。俺は自分のファンは大切にする主義なんでね」

「ありがとうございます!!」

 

 あらら。どうやら藤尭さんはケンの熱狂的なファンだったようです。

 彼の場合は、色んなメディアにも進出してるみたいだから、こうなる事は予想出来てましたけど。

 

「あ~! アタシにもサインくれよ~!」

「いいぜ! 天下のツヴァイウィングの一角が俺のファンだなんて、格闘家冥利に尽きるってもんだ」

 

 あの二人……性格似てますもんね……。

 よく見たら、イメージカラーも一緒だし。

 

「リュウさん。いつ日本に戻って来てたんですか?」

「ついこの間さ。ちょっとした気紛れだったんだが、どうやら戻ってきて正解だったようだ。さくらにもまた会えたしな」

「はい! またいつか、私と戦って貰えますか?」

「勿論だとも。あれからどれだけ腕を上げたのか見せてくれ」

 

 あの二人……こんなにも仲がいいのに微塵も発展しないんですよね……。

 いい加減、リュウもマジで落ち着く事を考え始めた方がいいと思うんですけど。

 何気に候補は何人かいるんですから。

 

「お二人は豪鬼さんと同門だと伺いましたが……」

「まぁな。俺達の師匠である剛拳先生が豪鬼の兄なんだから、当然と言えば当然なんだけど」

 

 今にして思えば、私達の流派も中々に広まりましたよね。

 リュウやケンを通じて、さくらさんやケンの弟子であるショーンさん、それからあの『サイキョー』な男もしれっと同門ですしね。

 お師匠様は、草葉の陰にて何を想っているのでしょうね……。

 

「同門っていっても、俺達と豪鬼とじゃレベルが違うけどな」

「あぁ。一つ一つの技のキレ、足運びや一瞬の判断力など、彼女を見ているとまだまだ自分が未熟であると嫌でも思い知らされる」

「だからと言って悲観はしてないんだけどな」

「な…何故ですか?」

「未熟と言う事は、自分にまだ成長の余地が残されているって事になる。今よりも更に高みへと至れるかもしれないと思うと、それだけで嬉しくなってしまうのが、俺達『格闘家』という人種なのさ」

「成長の余地がある……」

 

 人生の先輩として、リュウとケンが翼さんになにやらアドバイスをしているみたい。

 その手の経験だけは異常なまでに豊富ですから、同じように武に生きる翼さんには最高のお手本になるでしょうね。

 

「なんだか嬉しそうだな」

「そう…ですね。私は嬉しいのでしょう。兄の弟子である二人が、一人の人間として、格闘家として立派に成長してくれたことに」

「俺から見ても、彼ら二人は素晴らしい人格者に見える。なんと言えばいいのか……とても眩しく見える」

「かもですね。事実、彼等に影響を受けた人間は多々いますから。時には悪の道へと行こうとした者を改心させたこともありますし」

「それは……凄いな……」

「はい。本当に……自慢の『弟たち』ですよ……」

 

 どうも、私は彼等にだけは不思議と過保護になってしまうきらいがあるようだ。

 兄妹二人で生きてきた私達にとって、彼等も大切な家族みたいなもの……だからかもしれない。

 

「いい顔だな。まるで、自分の子供を慈しむ母親のような顔だ」

「なら、父親は弦十郎さんがしてくれますか?」

「なっ!?」

 

 いつもいつも言われてばかりじゃないんですよ。

 時にはこうして反撃しないと……って、なんでここで黙るんですか。

 逆にこっちが恥ずかしくなってくるんですけど?

 

「「…………………」」

 

 うぐ……急に彼の顔を見れなくなってしまった……。

 

「なぁ……あの二人って付き合ってんのか?」

「そう思いますよね? でも、本人達はそんなつもりはないっぽいんですよ」

「結構、お似合いのカップルだと思うんだけどな~」

 

 そこ、私達が何も言わないからって好き放題言わない。

 特に藤尭さん、後で覚えておいてくださいね?

 

「な…なにぃっ!? この少女が、あの『八神家』の次期当主っ!?」

「モキュモキュ……少女って言うな。コッチだって好きでこんな姿をしてる訳じゃない。それに、こんなナリでも、お前よりは年上だ」

「え……マジ?」

「マジだ。無論、実力も貴様等よりも上だ」

「八神家といえば、代々伝わる古武術があると聞くから、強いのは当然だが……」

「ふん。まさか、あの『風鳴』の人間が歌手デビューをしているとは思わなかったぞ」

「知っている……のか?」

「当然だ。『三種の神器』と『防人』は切っても切れない関係らしいからな」

 

 庵さん……さっきから肉ばっかり食ってません?

 彼…じゃなくて彼女は京さんとは違って、その辺はちゃんとしてるから大丈夫でしょうけど。

 

「ほぅ……? 中々にいいワインを揃えたな」

「ね…ねぇ……貴女って本当に吸血鬼なの?」

「さっきからそう言ってるだろうが。何度言わせる気だ」

「いや……だって……」

「どこからどう見ても、中学生ぐらいの女の子にしか見えなくて……」

「……それについては詳しくは聞くな……恥の上塗りになる……」

「デミデミちゃんも大変なのね……」

「デミデミちゃん言うな。それと、そこにある皿を取れ」

「はい、どうぞ」

 

 本人も相当に気にしてるみたいですね。

 そりゃ言えませんよね。くしゃみをしたせいでマッチョボディから美少女になっただなんて。

 にしても、彼女が友里さんと仲良さげなのには普通に驚きましたけど。

 あ、なんか頭を撫でられてる。嫌そうにそれを振り払ったけど。

 

 あれ? いつの間にか響さんと了子さんがいなくなってる。

 そっか。例の検査に行ったんですね。道理で普段から無駄に騒がしい彼女が大人しいと思った。

 

 それからも私達のドンチャン騒ぎは続き、響さんが戻ってくるまで賑やかだった。

 因みに、リュウたちは有事の際には協力体制になる的な感じで話が纏まった様子。

 以外にもデミトリさんが話の纏め役だったのは凄かった。

 伊達にお貴族様じゃなかったって事ですか。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 二課本部にある了子の研究室。

 そこで彼女は一人、響の検査結果を記したパソコンと睨めっこしていた。

 

「あの少女……口からガングニールの欠片を飲み込んだと聞かされた時は『んなアホな』と思ったけど、今日の検査で納得出来た……」

 

 彼女が少し操作すると、そこには検査を受けている時の響の様子が映し出される。

 

「彼女の体内からは欠片は全く検出されなかった。でもその代わりに全身から聖遺物の反応が検出された(・・・・・・・・・・・・・・・・)。この結果が示す事は唯一つ」

 

 手元にあるコーヒーを一口飲む。

 

「立花響は既にガングニールと融合している。彼女自身が生きる聖遺物のような存在となってしまっている。それならば、あの時にあの子がギアを纏う事が出来たのも納得できる。なんて事は無い。彼女はただ単に『戦闘モード(・・・・・)』になっただけなんだから。それよりも……」

 

 今度は豪鬼のデータをディスプレイに表示させる。

 そこには、これまでの検査にて得られた彼女の身体に関する情報が記載されていた。

 

「今日までの調査でやっとハッキリした。彼女の宿す『殺意の波動』、これはやっぱり……あの時、絶対不死である『あの女』を唯一、完全消滅寸前まで追い詰める事が出来た力……。今にして思えば、あの時に『彼』と一緒に戦っていた『少女』に豪鬼ちゃんはよく似ていた……。もしかして、豪鬼ちゃん達は彼女の子孫……?」

 

 と、そこまで考えてから頭を振った。

 

「流石にそれは考え過ぎか。単純に他人の空似でしょうね。そんな事よりも……」

 

 画面を下げていくと、そこには豪鬼と剛拳が共闘している写真があった。

 

「豪鬼ちゃんの『殺意の波動』と、その兄である剛拳の『無の波動』……。間違いなく、この二つこそが最後の希望となる……」

 

 背凭れに体を預けながら、背中を伸ばしつつ天井を見る。

 眼鏡を外してから、普段は纏めている髪を解くと、そこには二課の者達も知らない彼女のもう一つの姿があった。

 

「……私が動く時が来た……って事かしらね……」

 

 そう呟いた彼女の瞳には、燃えるような決意が宿っていた。

 

 

 

 

 




見え見えなフラグが立ってしまいましたね。

さて、次回はその後に話になりますが、どうなることやら。
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