我が名は豪鬼! メイドを極めし者なり!   作:とんこつラーメン

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今回もオリジナル回になります。

というか、話の展開上、オリジナルの話が殆どになるんですよね……。






メイド豪鬼 励まされる

「はぁ……」

 

 響さん他のドタバタ歓迎会が終了し、私は自分の部屋に戻って来ていた。

 勿論、二課の皆でちゃんと後片付けはしましたけど。

 因みに、今の私の恰好はメイド服じゃなっくて部屋着になってます。

 と言っても、下着の上に適当なシャツを着ているだけなんですけどね。

 この方が体が楽でいいんですよ。

 

「なんとなく想像はしてたけど、やっぱり響さんは二課に協力することになりましたね……」

 

 と言っても、まだ正式に二課のメンバーになった訳ではない。

 彼女は翼さんのように最初から関係者だったわけじゃないし、奏さんのように確固たる目的を持っているわけでもない。

 響さんは事故のような形で巻き込まれたに過ぎないのだ。

 

(ある意味では、ちゃんと原作に沿っていると言えなくはないけど……)

 

 原作とは大幅に違っている部分があった。

 それは、響さんやリュウ達が帰った後に聞かされたことだった。

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

「なん……ですって……?」

 

 了子さんから聞かされた時、私は本気で己が耳を疑った。

 

「あの時、飲み込んだガングニールの欠片が響さんの体を融合して、一体化してしまった……?」

「えぇ。彼女の体を少し検査してみたんだけど、本来ならばお腹の辺りから検出される筈のガングニールの反応が、響ちゃんの全身から出てきたの。これが表す事はつまり……」

「響さん自身が『聖遺物』になってしまった……」

「そうなるのかしらね……」

 

 余りに出来事に、私は生まれて初めての眩暈を覚えた。

 思わず足がふらついて、その場に倒れそうになる。

 

「豪鬼くん!」

 

 よろけた私の体を、弦十郎さんが後ろから支えてくれたお蔭で、なんとか倒れずにはすんだ。

 同時に、少しだけ彼の優しさが嬉しかった。

 

「今のあの子は、見た目も中身も完全に人間ではあるけど、そこに新しくシンフォギアの能力が上書きされた状態になってる。完全な生体融合ね。私も長い間、聖遺物の研究をやってきたけど、こんな事例は本当に初めて。これから先、何が起こるか全く予想が出来ないわ」

「そう……ですか……」

「でも大丈夫よ。生きていく上では全く支障はないし、これからも響ちゃんには定期的に検査をして貰うわ。今は何も分からなくても、これから何かが分かるかもしれない。だから、そんなに気を落としちゃダメよ、豪鬼ちゃん」

「はい……分かってます……分かってはいますが……」

 

 まさか、彼女に励まされるとは思わなかった。

 もしかしたら、これが彼女の本来の姿なのかもしれない。

 

「やっぱり……思わずにはいられませんね……。もしもあの時、私が介入しなかったら、響さんがそんな事にはならずに済んだのかもしれないと……」

「そんな事は無い!!」

「弦十郎……さん……?」

 

 私を振り向かせて、肩を痛い程に掴んできた。

 その顔はとても辛そうで、でも、なんとか耐えているようにも見えた。

 

「君があの時、来てくれたお蔭で大勢の命が救われた! 下手をしたら、あの場で翼や奏も討ち死にしていたかもしれないし、響くんだって無事じゃなかったかもしれない!」

「それは……」

「確かに君の技の余波でガングニールが砕け、それを飲み込んだのが切っ掛けとなって今のような事になってしまったが、それでもまだ彼女達は生きている! 君がその手で助け、救った命だ! その事を後悔するのだけは絶対にしてはいけない!!」

 

 彼の言葉は、私の心に真っ直ぐに突き刺さった。

 例え原作介入をして改変をしてしまったとしても、それで何らかの歪みが生じてしまったとしても、その事で笑顔を取り戻した人達がいる。

 私は、原作の事を尊重しすぎるあまり、最も大切な事を忘れていた。

 

(ここは物語の世界じゃない……ちゃんとした『現実』なんだ……。それなのに私は……)

 

道筋(レール)の通りに歩かないと意味が無いと、無意識の内にそう思い込んでいた。

 でも、それは大きな間違いだった。

 

「ありがとうございます……少しだけ気が楽になりました」

「そうか……。だが、少し強く言い過ぎたかもしれないな……」

「そんな事はありません。もしも貴方がいなかったら、私は延々と自分を責め続けていたかもしれませんね……」

「君なら必ず立ち上がると思うがな……」

 

 そうでもないですよ。

 幾ら体が強くても、中身はどこにでもいる一般人ですから。

 そう簡単にメンタルが鍛えられれば、誰も苦労なんてしません。

 

「んもうっ! 幾ら豪鬼ちゃんが強くても、か弱い女の子なのよ? ちゃんと誰かが支えてあげないと」

「誰かとは?」

「それは……」

「もう……」

「一人しかいないわよねぇ~……」

「「???」」

 

 この時の私達以外の全員の目がなんとも意味深だったのは、何故だかよく覚えている。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 まさか、あんな風に抱きしめられるとは思ってなかった……。

 男の人の体って、あんなにも大きかったんだ……。

 

「いつか、弦十郎さんにはちゃんとお礼をしないといけないな~……」

 

 なんだか今日はどっと疲れた気がする。

 一度に色んな事が起き過ぎなんですよ……ったく。

 こんな日はとっとと寝るに限る……って?

 

 コンコン

 

「ん?」

 

 窓の方から何かを叩くような音が聞こえ……って、えぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?

 いつの間にか、ベランダに兄上がいるしぃぃぃぃぃっ!?

 

「早く開けんか」

「いや、そんな所にいるって知らなかったし……」

「気配で気が付かんか」

「無茶言わないでください。兄上が本気で気配を消したら、それこそ目の前にいても分からないんですから」

「それは貴様が未熟なだけよ」

「いや……『圏境』を普通に使える人に言われても困るんですけど……」

 

 自分がどれだけの高みにいるか自覚無いんですか? この愚兄は。

 

「それよりも兄上」

「なんだ?」

「足……拭いてください」

「なに?」

「どうせ部屋に上がる気満々なんでしょう? だったら足を拭いてから上がってください」

「そんな心の狭い事を言うでないわ。多少の汚れぐらい後で掃除すればいいだけだろうが」

「その掃除をするのは私なんですよ。だったら、その手間を少しでも省きたいと思うのは普通でしょうに」

「そんなみみっちい事を言っておると大成せんぞ?」

「御託はいいから、早く足を拭いてください……!」

「わ…分かった分かった! だから、殺意の波動を漏らすな!」

「最初からそうすればいいんですよ」

 

 私が渡した布巾でいそいそと自分の足を拭く兄上。

 こんな姿をあの二人が見たら、どんな顔をするのかな?

 

「お前……段々と師匠に似てきとらんか? あの人も融通が利かぬお人だったからのぉ……」

「私にとっては最高の褒め言葉ですね」

 

 ブツブツと文句を言いながらも、部屋に入って来た。

 いつまでもベランダに居られても困りますからね。

 

「というか、いつからいたんですか?」

「ついさっきからよ。心配するな。お前の着替えなんぞ見てはおらん」

「誰もそんな事なんて聞いてませんよ」

 

 妹の着替えを除く兄なんて、ラブコメの世界だけで十分ですよ。

 こんなジジイに見られてもなんとも思いませんけど。

 

「で、お前は何をウジウジと悩んでおったのだ?」

「そうですね……」

 

 ドカっと私の目の前に座り、私が出した御茶を一口飲む。

 相変わらず、遠慮ってものを知らない人ですね。

 

(でも、兄上も既に装者の二人とは会ってるし、ある意味で関係者みたいなものか……)

 

 なら、話しても問題無いかな?

 んな訳で、話しても問題無い範囲で兄上に説明した。

 かくかくしかじか。

 

「かくかくうまうま。成る程な。そう言う事であったか……」

 

 自慢の顎髭をなぞりながら目を瞑って思案に耽っているが、この顔はどう見ても全部把握してる顔だ。

 

「どうせ、全部知ってたんでしょ」

「そんな事は無いぞ。儂が知っておるのは、精々が街中でリュウとケンがあの化生共を倒して、お前の知り合いの『響』とかいう小娘を助けた所までよ」

「前半部分の殆どを見てるじゃないですか」

「はっはっはっ! そう言うな! 流石に見ているだけでは悪いと思ってな、儂も少しだけ手伝ってやった」

「どれぐらい?」

「ざっと、一区域に出現した連中を根こそぎ倒した程度だわい」

「それってもう、手伝いじゃなくて普通に戦ってません?」

 

 実際、この人だけで一個師団を軽く超えるぐらいの戦力があるから怖いんですよね。

 え? 私もそれぐらいあるんじゃないかですって?

 う~ん……どうなんでしょうね?

 

「その響とやら、普通に生活をする分には問題が無いのだろう?」

「そうらしいです。まだ詳しい事は不明ですが」

「ならば、そう難しく考える必要はあるまい。それよりも、なし崩し的にとは言え、あの雑音共と戦う定めになったのであれば、誰かが鍛えてやらねばなるまいよ」

「それは私が担当しようと思っています。奏さんや翼さんと一緒にすれば問題無いでしょうし、さくらさんもいますし」

「お前の弟子となった娘達と、リュウに憧れて格闘家となった娘か」

「はい。あの二人は同じ装者として、さくらさんは同年代の同性として、お互いに支え合ってくれるでしょう」

「そうだな。切磋琢磨し合える存在というのは、それだけが掛け替えのない宝よ。リュウとケンがそうだったようにな」

「そうですね。ところで、兄上から見てさくらさんはどうですか?」

「そうさなぁ……」

 

 また顎髭をさすって考える兄上。

 この人が何かを考える時はいつもこうだ。

 なんて分かりやすい癖でしょう。

 

「まだまだ未熟な部分は多いが、だからこそ光る部分もある。あれは将来、必ずや大化けするぞ。今から将来が楽しみだ」

「私から見ても、彼女は紛れもない天才児ですよ。普通、見よう見真似で波動拳は習得出来ませんから」

「儂らもアレを会得するにはそれなりの時間を有したが……」

「彼女はそれを、文字通り一朝一夕で身に着けました。きっと、響さんといいお友達になってくれると思います」

「時代は移り行くもの……か。儂らも負けてはおられんな」

「では……?」

「もう本格的に隠居は止めるべきだな……。儂も表舞台に出る時が来たのかもしれん」

 

 そう呟く兄上の目は、鬼神のように鋭く力強かった。

 この目をした時のこの人は、誰にも止められない。

 

「では、もうそろそろ行くとするか」

「そうですか」

「豪鬼よ。娘達はお前が支えてやれ。それが、年長者としてお前の今取るべき道よ」

「はい」

「それと、最後に一つ聞いておきたいのだが」

「なんでしょうか?」

「お前……その弦十郎とかいう男と恋仲なのか?」

「兄上!!!」

「はっはっはっ! お前もそろそろ、女としての幸せを手に入れても悪くないだろう! では、また会おうぞ!」

 

 言いたい放題言ってから、兄上は入ってきた窓から去っていった。

 色々と文句は言いたいけど、まずはこれを言わせてほしい。

 

「せめて……玄関から出ていってくださいよ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




剛拳おじいちゃん再び登場。

次回から響を鍛えます。
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