我が名は豪鬼! メイドを極めし者なり!   作:とんこつラーメン

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シンフォギアと進撃の巨人のコラボ……。

まさか、この二つが合わさる日が来るとは流石に予想出来ませんでした。

しかも、10連ガチャを引くと、一発でクリス&ミカサと響&エレンをゲットしちゃいました。

なんか最近の私、妙にガチャ運が良すぎる気がします。

もしかして、これでもう早くも今年の運を使い果たしてる……?





メイド豪鬼 教えを請われる

 人込みを掻き分けて見つけたのは、ストリートファイトをする直前のリュウの姿。

 いつもの響ならば、すぐに話しかけるところなのだが、今の彼からは非常に近寄りがたい雰囲気が出されていて、場は空気が張り裂けそうな程の緊張感に包まれていた。

 

「そんじゃ、僭越ながら俺が見届け人をさせて貰うぜ」

「「頼む!」」

 

 やじ馬達の中から一人の男性が出てきて、自ら立会人を申し出てきた。

 彼が二人の間に入るように立ってから手を挙げると、先程以上に相対する二人の顔が真剣なものに変わる。

 

「「……………」」

 

 一陣の風が吹き、近くに生えていた木の枝から一枚の葉がゆっくりと地面に落ちていく。

 それが地に着いた瞬間、立会人の手が勢いよく下げられた。

 

「始め!!」

「「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」」

 

 両者の拳がぶつかり合い、大きな衝撃が走る。

 だが、全く痛がる様子を見せないどころか、お互いに静かに笑う。

 

「ふっ……」

「へっ……」

 

 瞬間、男の大振りな蹴りが放たれるが、それをリュウは余裕でガード。

 一瞬だけ相手が硬直した隙を狙い、リュウは懐に潜り込んでからの肘打ちを試みるが、相手はそれを読んでいたのか、両手を使って後ろに下がりながらガード。

 

「後方に下がりながら防ぐことで、ダメージを最小限に留めたのか」

「意外と考えてるじゃねぇか」

「え? え?」

 

 ギャラリー達が何を言っているのか分らない響は、キョロキョロとしながら頭を傾げる。

 ここに集まった者達は普通のやじ馬ではない。

 格闘技を嗜む者もいれば、異常なまでのストリートファイトマニアもいる。

 少なくとも、この場においてなんの予備知識も無いまま見学をしているのは響しかいない。

 

「やるな……!」

「アンタにそう言われるとは光栄だぜ! おらぁっ!!」

「ふん!」

 

 そこから始まる激しい攻防。

 相手のラッシュをものともせずに、リュウは時にはガード、時には回避をして、その場に応じた的確な対処をしていた。

 

「はっ!」

「ぐっ!?」

 

 そして、ほんの一瞬の隙も決して見逃さず、確実に相手に対して打撃を与えていく。

 決して派手な技ではないが、堅実で実直な戦い方は、まるでリュウという男の本質を表しているかのようでもあった。

 

 いつの間にか、響は声を出す事も完全に忘れて、目の前で繰り広げられるストリートファイトを夢中になって見ていた。

 こんなにも響が何かに対して夢中になったのは、これが生まれて初めての事だった。

 それ程までに鮮烈な衝撃が、響の小さな体を走っていった。

 

 そんな戦いが大きく動いたのは、リュウがある特殊な技を繰り出してからだった。

 

「ふんっ!」

「なっ……!」

 

 リュウは相手の拳を防ぐのではなく、細かく腕を動かすことで弾いた。

 弾かれた相手は勿論、周囲の者達にも驚きが走る。

 

「ブロッキングだ!」

「リュウのチャンスだ!!」

「ブ…ブロッキング?」

 

 またもや聞いたことない単語を耳にし、頭に疑問符を浮かべる。

 それを見ていたギャラリーの一人が親切に教えてくれた。

 

「ブロッキングってのは、格闘技における特殊な防御方法なのさ」

「特殊な防御方法…ですか?」

「そう。相手の攻撃を正面から受けるんじゃなくて、受け流すようにして弾く。そうすることで、受けた方は一切のダメージを負うことなく相手の攻撃を防げるだけじゃなくて、すぐに次の行動へと移ることが可能になるのさ」

「幾らガードをしても、少しずつダメージは蓄積していくからな。今みたいな真剣勝負じゃ、その僅かな差が明暗を分けることも多々ある。だから……」

「そういった意味でも、ブロッキングは非常に有効な手段なんだ。そのかわり、あれはかなり高等な技術で、世界中でも出来る人間はかなり少ないって言われてる」

「その大半が、名のある大会に出場するような猛者ばかりなんだけどな」

「ほぇ~……」

 

 マニアの本領発揮。

 一度でも火が付くと、自分が満足するまで説明をしないと満足出来ない。

 相手の事なんて全くのお構いないなしで。

 

 響が彼らの説明に目を丸くしていると、ここでリュウが一気に攻勢に出た。

 

「くらえっ!!」

「しまっ……!」

 

 僅かな隙をつき、リュウがしゃがみながら近づき、相手の顔目掛けての渾身の一撃を放つ。

 

「「「「出た―――――――――――!!!」」」」

 

              昇  龍  拳

 

 対戦相手の男は大きく吹っ飛んでから、派手に地面に叩きつけられた。

 

「く…くそっ……!」

 

 今の一撃で大きなダメージを受けたのか、男は倒れたまま起き上がる様子が無い。

 まだ意識はあるようだが、それでも残った体力は全て持っていかれたようだ。

 

「俺の……負けだ……」

「ってことで、この勝負…リュウの勝ち!!」

「「「「「おぉぉぉぉおおぉぉぉおぉぉっ!!!!」」」」」

 

 場が一気に歓声で埋め尽くされて盛り上がる中、響も思わず拍手をしていた。

 そんな中、リュウは倒れた男に向かって手を差しのべてから、ゆっくりと立ち上がらせていた。

 

「大丈夫か?」

「あぁ……まだ頭がフラフラとするけどよ、それ以上に気分はスッキリとしてるぜ。ここまで気持ちよく負けちまったら、悔しいって気にもならねぇよ」

「そうか。本当にいい試合だった。また俺と戦ってくれ!」

「言われなくても、絶対にこっちからリベンジしてやるから、首を洗って待ってろよな!」

「ああ! その時を今から楽しみに待っているよ」

 

 微笑みながら固い握手をする二人の男。

 先程まで激闘を繰り広げていたとは思えない程に仲が良くなっている。

 この時、響は前に豪鬼が言っていた言葉を思い出した。

 

(これが……拳と拳で繋がる絆……)

 

 戦う事とは、決して相手を傷つけるだけではない。

 拳を通じて自分の思いをぶつけ、同時に相手の思いを受け止める。

 これもまた一つの『絆』の形なのだと、響は思い知るのだった。

 

「凄い……」

 

 色んな思いが溢れて、この一言しか言えなかった。

 だが、それが逆に響の今の気持ちを如実に表してもいた。

 

「…………ゴクリ」

 

 自分の腕の中にあるレンタルをしたブルーレイを見る。

 リュウも出場していた格闘大会の記録。

 ここの中で、どれだけの人間達が、どれだけの激闘を繰り広げているのだろうか。

 早く部屋に帰って見たい。この興奮が冷めないうちに。

 そう思った瞬間、響はリュウに話しかける事も無く、一目散に走って部屋まで帰ることにした。

 

「ん? 今の後ろ姿は……」

 

 今頃になって気が付くリュウもリュウである。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

「思ったよりも遅くなっちゃたな~」

 

 肉体的にというよりも、精神的に疲れた未来は、自分の肩を揉みながら自室の部屋の扉を開ける。

 

「ただいま~。響~もう帰ってき…て…る…?」

「あ……未来……おかえり……」

「ひ…響っ!? 一体どうしたのっ!?」

 

 自分の疲れなんて一瞬で吹き飛ぶような衝撃。

 大切な親友がテレビの前に座ってから、静かに泣いていた。

 

「誰かに何かされたっ!? それとも、どこか怪我をしたとか……」

「だ…大丈夫だよっ!? どこも怪我してないし、何もされてないよっ!?」

「じゃあ、なんで泣いてるの…?」

「うん…ちょっとね……『コレ』見て感動してた…」

「コレって……響が言ってたやつ?」

「そう。こんなに感動したの、生まれて初めてだよ……」

 

 格闘技の映像を見て、何をどう感動したのかイマイチ分らない未来は、本気で目が点になる。

 

「格闘家って凄いんだね……。色んな人達と一緒に一生懸命に切磋琢磨して、お互いを高めていく……。どんなに激しい試合をしても、その後には皆、凄く楽しそうに笑ってた。絆の形って決して一つだけじゃないんだって分かった気がする……」

「響……」

 

 昔から、特定の趣味を持っていなかった響が、こんなにも夢中になって話している。

 彼女とはかなり長い付き合いである未来であっても、このような響を見るのは初めての事だった。

 

「しかもこれね、リュウさんとかも出場してたんだよ! 本当に凄いよね!」

「え? あの人も?」

「うん! それだけじゃなくて…なんと! さくらちゃんも出てたんだよ! 本当にびっくりしたよ~!」

「春日野さんも出てるのっ!?」

 

 自分達と同い年の女子高生。

 未来も本人から、彼女が格闘技をしていると聞いてはいたが、まさか大会にまで出場する程の人物だとは思わなかった。

 急にさくらが遠い世界の人物のように感じてきた。

 

「他にも、アメリカの軍人さんや、侍みたいな人もいたな~。高校生の男の子もいたし、すっごいムキムキなプロレスラーの人もいたっけ。異種格闘技って感じで、興奮したよ~!」

「そ…そう……よかったね」

「うん!」

 

 今まで誰も分らなかった。本人すらも把握していなかったであろう響の本質。

 新しい親友の魅力を発見して、嬉しいような虚しいような、なんとも言えない気持ちになった未来だった。

 

「そうそう! 実はこの大会ね、あの豪鬼さんも出てたんだよ~!」

「あ…それは、なんとなく予想してた」

 

 それどころか、普通に大会に出場してることに納得してしまった。

 

「もしかしてだけど……メイド服着てた?」

「勿論! なんだか、見てるこっちが恥ずかしくなったよ~。だって、今にもスカートが捲れて、中が何度も見えそうになったし……」

「あの人の場合、そんな事は気にしないと思う。『メイドですから』とか言って」

「そんなシーンは映ってなかったけど、控え室とかで普通に言ってそう……」

 

 豪鬼とはそれなりに長い付き合いになっている為、割と普通に予想出来てしまう二人であった。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

「くちゅん!」

「豪鬼くん、風邪か?」

「いえ…健康管理には普段から気を付けてますから、そのような事は無い筈なのですが……」

「それはそれとして、随分と可愛いくしゃみだったわね。豪鬼ちゃん……」

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 風呂に入ってから夕飯を一緒に食べていると、急に響が叫んだ。

 

「私決めた! 格闘技をする!」

「い…いきなりどうしたのっ!?」

「いきなりじゃないよ~。興味自体は前々からあったんだよ」

「そうなの?」

「うん。でも、今まではそれを上手く言葉に出来なかったんだけど、今日の出来事でハッキリと分かったんだ。これが自分のしたい事だったんだって」

「それって、さっきのビデオ?」

「それもあるけど、それだけじゃないよ。レンタルショップの帰りに、リュウさんが実際にストリートファイトをしてるのをこの目で見たんだよ」

「まだあの人、この街にいたんだ……。で、どう感じたの?」

「凄かった……かな? そりゃもう本当に。何気ない街の光景の一つだったかもしれないけど、凄い迫力だった。激しい試合だったのに、終わった後はリュウさんと対戦相手の人、まるで親友みたいに仲良くなってた」

「男同士しか分らない友情ってやつなのかもね」

「う~ん…この場合は性別とか関係無いような気がするんだけど……」

 

 ストリートファイトに性別も国境も無い。

 拳と拳をぶつけ合えば、そこには確かな友情が生まれる。

 少なくとも、響はそう信じている。

 

(そういえば、あの大会……ベガちゃんやギースさんも出場してたなぁ~…。やっぱり、あの二人も世界レベルの格闘家なのかな? 特にベガちゃんとか、すっごく可愛いのに……)

 

 因みに、ベガとギースが出場していたのは、単純にシャドルーとハワード・コネクションが大会のスポンサーだったからである。

 

「でも、格闘技を始めるって言っても、どうする気なの? まさか、体を鍛えてからの野良試合とかをするつもり?」

「まさか。身近な所にいるじゃん。世界を又に掛けていた最強レベルの格闘家が」

「あぁ~……」

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

「そんなわけで……豪鬼さん! 私に格闘技を教えてください!」

「………はい?」

 

 次の日。二課の本部にて出会い頭に教えを請われた豪鬼は、珍しく本気で驚いた。

 

(え? えぇ? なんでいきなり私は響さんにこんな事を言われてるの? 何がどうしてこうなった?)

 

 こうして、立花響の格闘人生が別の形で幕を開けたのだった。

 後に、響がこうなった原因が過去の自分達の映像を見たり、実際にリュウのストリートファイトを見たことが切っ掛けだと知った時は、なんとも恥ずかしい気持ちになったとか。

 

 

 




そんなわけで、豪鬼の弟子、また一人追加で~す。

響の場合は本当の意味で弟子になりそうですね。

流石に師匠とは呼ばないでしょうけど。
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