我が名は豪鬼! メイドを極めし者なり!   作:とんこつラーメン

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なんか、急にメイドイベントの復刻がありましたね。

これはあれですかね? 運営さんが私にメイド豪鬼を書けと言っているのでしょうか?







メイド豪鬼 狙われる

 響さんから『格闘技を教えて欲しい』と言われてから数日が経過した。

 最初に言われた時は本当に驚いたけど、彼女の眼はどこまでも本気だったので、私はその心意気に応える為に、彼女の申し出を了承した。

 元々、響さんは原作でも弦十郎さんに格闘技を教わっていた為、筋自体は全く悪くは無かった。

 まるで、乾燥したスポンジが水を吸い取っていくように、次々と私が教えたことを会得していく。

 勉強の方もこれぐらい頑張ってくれれば、未来さんも苦労しないんでしょうね……。

 

 で、今は何をしているのかというと……。

 

「こぉ~れぇ~でぇ~…20!」

 

 修行中、リュウやケン、私や兄上もよくやっていた、長い棒の両端に水の入ったバケツを掛けてから、中の水が零れないようにしながら部屋の端と端を往復して歩く特訓だ。

 これは、腕や体だけでなく、足腰なども同時に酷使するため、一度に全身を鍛えることが出来る。

 更にはバランス感覚も同時に鍛えられるから、本当に凄い。

 やっている事は非常に地味だが、だからこそ有効な修行でもあるのです。

 というか、昔の私達にとってはこれは修行と言うよりは完全に習慣の一部となっている。

 実際に行ったことは無いのだが、それでも記憶だけは鮮明に残っている。

 私達の場合は、今いる平坦なトレーニングルームじゃなくて、道が険しい山々でやっていたから、物凄く大変だった。

 山では基本的に素足で過ごしていたから、足の裏に豆が出来るなんて当たり前だったし。

 

「すっげ~…」

「やるな立花……。もしかしたら、タフネスだけで言えば私達以上かもしれない」

 

 少し離れた場所で休憩をしながら響さんを見ているのは、彼女に釣られて同じ修行をすると言い出したツヴァイウィングのお二人。

 翼さんは12回で、奏さんは16回でリタイヤした。

 

「立花。もうそろそろお前も休んだらどうだ?」

「そうだぞ~。あんまし無理しても意味ないぞ~」

「お二人の仰る通りです。時には体を休める事も修行の一環ですよ」

「わ…分りました……」

 

 ここでようやく響さんも休憩してくれた。

 頑張るのは結構なのだが、それで体を壊しては元も子もない。

 ここに未来さんがいてくれれば。いいブレーキ役になってくれるんでしょうが。

 

「はぁ…はぁ…はぁ…」

「大丈夫ですか?」

「はい…なんとか……」

 

 なんて言ってはいるが、響さんの顔は汗でびっしょりだ。

 彼女も、さくらさんと同様にこっち方面の才能はあるんだろうが、いかんせんスタートが遅すぎた。

 今は基礎トレーニングと並行して、様々な修行を課しているのだが、どうも響さんはそれを必要以上にやっている節がある。

 恐らく、生まれて初めて出来た目標に、自分でも無自覚なままに真っ直ぐに向かっているのだろう。

 文字通り、一直線に、最短距離で。

 だからこそ、私は響さんに最も大切な事を教えなければいけない。

 時には回り道をすることも大事なのだと。

 『回り道』こそが、本当の意味での最短の道なのだと。

 

「これってさ、豪鬼たちも昔はやってたんだよな?」

「そうですよ。私達の場合は、修行ではなくて生活の一部でしたけど」

「と言うと?」

「朝起きてから、山の中にある大滝がある場所まで歩いて行って、そこで二つのバケツに水を汲んでから、自分達が寝泊まりしている小屋まで持っていく。それを何回も繰り返していました」

 

 一応、貯水しておく為の水瓶も有りはするのですが、それでも食事や洗濯などに使っていると、あっという間に無くなってしまう。

 だからこそ、基本的に一日三回、朝と昼と夕に水汲みをやっていた。

 その事を話すと、三人揃って鳩が豆鉄砲を食らったような顔になっていた。

 

「マジかよ……」

「流石は豪鬼さん……幼い頃からそのような過酷な修行を行っていたとは……」

「やっぱり、豪鬼さんもリュウさんも凄いんだな~……」

 

 む~…そこまで驚かれるようなことですかね?

 私としては、他の修行の方が何倍も辛かった記憶があるのですが。

 

「お。今は休憩中か」

「弦十郎さん」

 

 ここでまさかの弦十郎さんのご登場。

 普段は司令としてお忙しい身ではあるのだが、私が来る前はよくこうして暇を作っては奏さんや翼さんの特訓相手になっていたそうだ。

 メイドとして、司令である弦十郎さんの負担を少しでも軽くするのは当然の義務。

 

「お仕事はいいのですか?」

「一応な。小休止がてらに少し様子を見に来たんだが……」

 

 息も絶え絶えな響さん達を見て、なんとも爽やかな笑顔を見せる。

 ……別に胸キュンなんてしてませんから。

 

「どうやら、豪鬼くんから相当に絞られているようだな」

「全くだぜ……自分から言っておいてなんだけど、これは物凄くハードだぞ……」

「そうなのか? ふん!」

 

 おや。徐に弦十郎さんが、先程まで響さんが持っていた棒付きバケツを軽々と持ちあげましたよ?

 

「成る程な……。持ち上げるだけならば楽だが、これを持った状態で起伏の激しい山道で何往復もするとなると、とてつもなくキツイな……」

「そうでしょうね。平坦な道でも相当に疲労したのですから、これがもしも豪鬼さん達が過ごしたような山だったならば……」

「きっと、三人揃ってすぐにダウンしちゃいそうですよね~…」

 

 弦十郎さんがそっとバケツを床に置く。

 一滴も零れていないのは流石だ。

 

「バケツ運び…か。今度から、俺もこれをトレーニングメニューに加えるかな」

「わぉ……」

「気に入られた……」

 

 弦十郎さんが始めるなら、私もやってみようかな?

 い…いや、私は何を考えているんでしょうか……。

 

「矢張り、豪鬼くんに三人の事を任せて正解だったようだな」

「お褒め頂き光栄です」

「本当に助かっている。男である俺や慎二ではどうも細かい所まで気が回らなくてな。君のような女性が来てくれた事は本当に助かっている。ありがとう」

「い…いえ……私はメイドとして当然の事をしているだけであって…褒められるような事なんて何も……」

 

 なんででしょうか……他の人から同じことを言われても何ともないのに、弦十郎さんに褒められると、生娘のように嬉しく思ってしまう自分がいる……。

 なんなんでしょうか……この気持ちは……。

 

(恋する乙女の瞳だ)

(豪鬼さんが顔を真っ赤にしている……)

(やっぱり、豪鬼さんと司令って付き合ってるのかな~?)

 

 そこの三人。さっきから私の事を生暖かい目で見ているのは分かってますからね?

 

 はぁ……前に兄上に変な事を言われたせいで、どうも変になってますね……。

 メイドたる者、この程度で精神に不調をきたすなど論外だというのに。

 これは、私も改めて気を引き締めないといけませんかね。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 ここ最近は和やかな日々を送ってはいたが、それでもやっぱりノイズはやってくる。

 こればかりは避けようがない。

 なんせ、相手は『災害』なのだから。

 どれだけ強大な力を持っていても、人間の力では絶対に台風や地震などは防げない。

 私達に出来る事と言ったら、いつ来てもいいように対策を講じる事だけだ。

 

 今回の現場は工場地帯。

 既に人々の退避は完了している為、ここにいるのは私達だけだ。

 ベガやギースなどは他の現場に出現したノイズの掃討をしてくれているから、ここには来ていない。

 

「豪波動!! 響さん! 今です!!」

「はい! どりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

 

 私の豪波動拳に合わせて、響さんが目の前のノイズに拳を構えて突撃する。

 気の塊を避けようと人型ノイズが移動するが、その先には既に響さんが拳を振り被っている。

 

「こぉぉぉぉぉれぇぇぇぇぇぇぇでぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!」

 

 拳がノイズの頭部に直撃し、そのまま拳を突き出す。

 その一撃により、ノイズは頭部から粉々に砕け散り、灰となって消えた。

 

「どうやら、今のが最後のノイズだったようですね」

『はい。もう周囲にノイズの反応は有りません。ご苦労様でした。すぐに撤収準備に入らせます』

「お願いします」

 

 いつも通り、二課の人達が来るまでの僅かな休憩タイム。

 

「にしても、豪鬼に教わり始めてから、一気に腕が上がったな!」

「そうね。拳を振るうことに躊躇いが無かったし、踏み込みの速度も悪くなかった」

「そんな~。私なんてまだまだですよ~」

「なんて言いながら、響さんの顔はにやけてますよ?」

「えぇっ!?」

 

 今はそれでいいと思いますけどね。

 自分の成長が実感出来るのは非常にいい事です。

 

「この調子なら、響のアームドギアが発現するのも時間の問題かもな」

「そうですね。恐らく、響さんのアームドギアは手甲のような物になるでしょうね」

「手甲……」

「成る程。立花のは文字通りの意味での『アームドギア』になるわけか」

 

 翼さん、お上手ですね。座布団一枚です。

 にしても……。

 

(戦闘中からずっと感じていた、この殺気は一体……?)

 

 どこからか私達の事をジッと見ているような、そんな感じがする。

 いや、私達じゃなくて、この視線は私だけを見ていた。

 このタイミングで登場する人物には覚えがありますが、なんで『彼女』が私の事を見ていたんでしょうか?

 それとも、これは私の思い過ごしで、実は別の敵が私の事を狙っている……?

 

『もうすぐ撤収部隊が到着しま……これはっ!?』

『どうしたっ!?』

『装者及び豪鬼さん達の周囲に突如として大きなアウフヴァッヘン波形が!』

『なんだとぉっ!? 分析を急がせろ!』

『りょ…了解!』

 

 通信越しに急に慌ただしくなる指令室。

 弦十郎さんの大声が聞こえ、藤尭さん達オペレーターが慌てているのが分かる。

 

「アウフヴァッヘン波形が検知された……?」

「まさか……」

「え? えぇ?」

 

 どうやら、翼さんはなんとなくの検討がついてるみたいですね。

 それとは逆に、殆ど事情を知らない響さんは右往左往してますけど。

 

「皆さん。念の為に警戒態勢に移行しますよ。お互いに背中合わせになるようにして周囲を警戒です。翼さんは北を、奏さんは東を、響さんは西をお願いします。私は南を担当しますので」

「「「了解!」」」

 

 四人で円を描くような陣形になって視線を巡らせる。

 工場地帯なだけあって、物陰だけならば沢山存在している。

 隠れようと思えば、何処にでも隠れることは可能だ。

 

「どこにいやがる……!」

「殺気だけは感じるが…場所の特定は難しいな……」

「……………」

 

 どんな小さな変化も見逃してはいけない。

 私ならばともかく、まだ戦闘に不慣れである響さんが狙われたら大変だ。

 

『解析…出ました! そ…そんな…これは!』

 

 解析……? そう言えば、今日はまだ了子さんの姿を見てないな……。

 はっ!? しまった!! すっかり忘れていた!! 彼女の正体を!!

 

『ネフシュタンの鎧です!!』

 

 その瞬間、私の目の前にある物陰から、深紅の光輪が二つ、高速で飛んできた。

 

「豪鬼さん!!」

「分っています!! はっ!!」

 

 両腕を使って、光輪を薙ぎ払うようにして打ち砕く!

 矢張り、狙いはこの私か! けどどうしてっ!? そっちの狙いは響さんじゃないのですかっ!?

 

 完全に予想の斜め上をいく事態に戸惑っていると、その隙を狙われて同じ物陰から私に向かって白い鋼鉄の鞭のような物が伸びてきて、そのまま私の両腕に巻き付いた。

 

「豪鬼っ!!」

「「豪鬼さん!!」」

『豪鬼くん!!』

「くっ……!」

 

 この『鞭』は……間違いない!

 間違いなく『彼女』だ……!

 

「お前の両腕は封じた。これでお得意の格闘技は使えないだろ」

 

 物陰からゆっくりと歩いてきたのは、白銀の鎧を纏った少女だった。

 その両腕から伸びた鞭は、そのまま私の腕に絡みついている。

 

「お前は……!」

「それが…ネフシュタンの鎧の戦闘形態か……!」

「女…の子……?」

 

 さて……ここからどうしましょうかね……。

 

 

 

 

 

 

 




まずはここまで。

敢えて名前は出しませんが、やっと出せました。

彼女は豪鬼とどんな風に関わっていくのでしょうか?
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