我が名は豪鬼! メイドを極めし者なり!   作:とんこつラーメン

31 / 39
此方では本当にお久し振りです。

前回の更新日時を見てみると、約一ヶ月前ぐらいになってるんですね…。

複数の作品を同時投稿することの難しさは理解しているつもりですが、中々に難儀な物です。
割とマジでその日のモチベーションに大きく左右されますからね。







メイド豪鬼 お説教をする

「……という訳で、ストライダーズの生き残りである飛竜くんが協力してくれるようになりました」

「風の噂で聞いてはいたが、まさか本当に生き残りがいたとはな……」

 

 二課の本部に戻ってきた私と緒川さんは、弦十郎さん達に先程のまでの話を報告した。

 思ったよりも驚いている様子が無い事から、それなりにはストライダーズの事を知っていたようですね。

 

「豪鬼さんは本当に顔が広いのですね」

「これも、世界中で格闘家として戦ってきたが故…なのか?」

「それもありますね。彼との場合は私が嘗て、アベンジャーズに個人的に協力をしていた時に知り合ったんです。それからはずっと腐れ縁が続いてますね」

 

 まだ知り合ってから数年しか経過してないんですけど、なんとも懐かしいですね。

 あの超人集団の中にいても、全く見劣りしない戦闘力を発揮してるんですから、彼もまた十分に人知を超越してるって事でしょう。

 

「その飛竜さんって人は、どんな人なんですか?」

「そうですね……口数が少なくて、いつもクールに淡々と任務をこなしていく人物なんですが、意外と優しい一面や熱い一面を持っていたりするんですよね」

「口には決して出しませんけど、飛竜くんは他者との繋がりを大切にする青年ですから」

 

 もうちょっとでいいから素直になれば、少しははぁとさんとの仲も進展するでしょうに。

 私で良かったら、仲人ぐらいはしてあげますよ?

 

「む? 慎二もその『飛竜』という青年と知り合いなのか?」

「はい。彼がいた『ストライダーズ』とウチの一族は、昔から色々と繋がりがありましたから。その関係で会うことが多かったんです。ストライダーズが壊滅してからは完全に行方不明でしたけど」

「内部からの裏切り者のせいで壊滅したんだったな……」

「しかも、その『裏切り者』が飛竜くんの同僚であり親友でもあった男だった…」

「「「!!!」」」

 

 私がふと呟いた一言に、装者の三人が過剰に反応した。

 

「ちょっと待てよ…! その飛竜って奴は、大切な親友に裏切られちまったのかっ!?」

「はい……。その時の彼の心境は私達では理解出来ないでしょうね……。飛竜さんにとって、ストライダーズは家族であり、同時に帰るべき場所でもあった。それを、唯一の親友の手によって奪われたのですから……」

 

 もしかしたら、その時の出来事が切っ掛けで、彼の顔から表情が消えたのかもしれない。

 自分に課せられた『最後の任務』を果たす為に、感情を殺したのだろう。

 

「…彼はそれからどうしていたのですか?」

「自分に与えられた『最後の任務』を果たす為に、一人で孤独に戦っていました」

「最後の任務って……」

「世界の支配を企もうとした謎の存在『冥王グランドマスター』の抹殺」

「冥王……」

「グランドマスター……?」

 

 彼女達が知らないのも無理はない。

 私は当然の事、世界中の誰もが奴の事を詳しく知っている者はいないだろう。

 それ程までに不気味で謎に包まれている男なのだ。

 

「その過程で、自分達を裏切った親友とも対決し、これを倒したと聞いています」

「復讐…のつもりだったのかな……」

「違うでしょう。彼は言っていました。『任務の障害になったから排除したに過ぎない』と」

「忍びたる者、いついかなる時も私情に走らず、心を律して任務を果たす…か」

「本当は色々と思うところもあったのでしょうが、それを口に出したら自分の中にある何かが壊れると思ったのかもしれません」

 

 一度でも出した言葉は戻せない。

 言霊の威力というのは、我々が思っている以上に大きい。

 

「そんな彼も、最終的には折れて誰かに頼る道を選んだようですが」

「それってどういう事ですか?」

 

 響さんの疑問も最もなので、私と緒川さんで喫茶店でのことを軽く話した。

 

「月に拠点があったなんて…かなりぶっ飛んでるな」

「流石の天才忍者も、月に行く手段だけはどうにも出来なかった…か」

「でも、私はそれでよかったと思いますけどね。飛竜さんがまた、誰かと手を取り合う事を思い出してくれたのですから」

「そうですよね!」

 

 彼が装者の三人と出逢えば、どんな化学反応が起きるのか。

 実は地味に楽しみにしてるんですよね。

 

「しかし、若干19歳で特A級ストライダーになっている天才が実在していたとはな……」

「それってそんなに凄い事なのか? その飛竜って奴はあたしと同い年なんだろ?」

 

 あ。そういえばそうでしたね。

 飛竜さんと奏さんって地味に同年代でした。

 

「特A級と言えば、たった一人で国を相手に戦えるレベルの実力者であることが最低条件だった筈だ」

「く…国を相手に戦えるぅっ!?」

「因みに、裏切り者の青年もまた特A級だったらしいです」

「特A級同士の死闘……とてつもなく壮絶だったに違いないな……」

 

 同時に、一生忘れられない戦いでもあったでしょうね。彼にとっては。

 

「けど、どうして飛竜の親友は自分の組織を裏切ったんだ? 洗脳でもされたのか?」

「洗脳というよりは、魅了されたのだと思います。グランドマスターのカリスマと実力に」

「下手に洗脳されるよりも質が悪いな……。誰かからの精神制御ではなく、自分の意志で敵側に寝返るとは……」

「悲しいですね……」

 

 その悲しみを乗り越えているのが、今の彼なんですよ。

 だからこそ飛竜さんは強い。実力も、その心も。

 

「彼の持つ『光剣サイファー』はあらゆる物を一撃で切り裂く威力を誇っています。恐らく、ノイズも斬れると思います」

「なんだとぉっ!?」

 

 弦十郎さん、本当にリアクションが大きいですよね。

 

「前に亡霊の類を普通にぶった斬っていたので、ノイズにも通用するんじゃないかと」

「……あたし等はどっからツッコめばいいんだ?」

「さぁ……」

 

 え? 何かおかしなことでも言いましたか?

 

「と…兎に角、例のネフシュタンの少女については、その飛竜という青年に任せておけばいい訳か」

「はい。一応、念の為にこちらでも調査は進めておくべきでしょうが、多分向こうの方が早いでしょう」

「相手は諜報のスペシャリストだからな。自由に動ける分、彼の方が圧倒的に早いのは道理か……」

 

 もしかしたら、かなり早い段階で『彼女』の事が判明するかもしれませんね。

 そうなったらそれで、原作よりも早く和解イベントが発生するだけですが。

 

「そういえば、了子さんはどうしたのですか? こんな話をしていれば、真っ先に飛びつきそうですが……」

「彼女ならば、今は永田町に出かけている」

「それはまたなんとも……」

 

 なんな堅苦しい場所に行っているなんて…普通に同情します。

 

「政府のお偉方に呼び出されてな。本部の安全性や防衛システムについてを関係閣僚に説明をしに行っているのさ」

「政府に属する組織であるが故の説明義務という奴ですか……」

「その通りだ。もうそろそろ戻ってきてもおかしくは無い時間帯なんだが……」

「どうやら、流石の了子さんもお堅い政治家相手では、そう簡単にいかないようですね」

 

 彼女が帰ってきたら、メイドとして労ってあげましょうか。

 了子さんがどのような人物で、どんな思惑を持っているとはいえ、今はお互いに二課の仲間。

 疲れて帰ってきた同僚を労わるのは、メイドとして同然の事ですから。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

「た~だ~い~まぁ~……」

 

 それから一時間半後に了子さんは見るからに疲労困憊といった感じで帰ってきた。

 

「お帰りなさい、了子さん」

「豪鬼ちゃぁ~ん! お腹が空いたよぉ~…」

「はいはい。分りましたから、まずはどいてくださいな」

 

 戻ってくるなり、いきなり私に抱き着いてこないでください。

 ほら、其処で見ている藤尭さんが顔を真っ赤にしてこっちを見てますから。

 

「何回かこっちから連絡をしても待ったく通話に出る様子が無かったから、心配していたんだぞ?」

「へ? 連絡?」

 

 ゴソゴソと白衣のポケットを探ると、そこには電池が完全に切れたスマホが一つ。

 

「充電…し忘れてたみたい……」

 

 これは素で忘れていましたね?

 もう皆揃って溜息を吐いてるじゃないですか。

 

「え? これは…司令!」

「どうしたっ!?」

「つい先程……広木防衛大臣が暗殺されたと……」

「「「「はぁっ!?」」」」

 

 あれ? 了子さんも本気で驚いてる?

 ってことは、彼女は全くの無関係?

 

「彼とは、本当についさっきまで話していたのに…どうして……」

「もうニュース速報になってるみたいです! モニターに出しますか?」

「やってくれ!」

「了解!」

 

 カタカタカタとオペレーターの二人が機器を操作すると、司令室の大きなモニターに緊急ニュースが流れた。

 こんな事を言える空気じゃないので敢えて心の中で言いますが、こんなにも巨大な画面でニュースを見るってかなり贅沢ですよね。

 

「車で移動中に狙撃……」

「犯人は不明で、複数の革命グループから犯行声明が出ている……?」

「普段はいがみ合っている連中が、こんな時に意気投合とはな……!」

 

 共通の敵がいるならば、多少の遺恨には目を瞑ってでも協力する…ですか。

 なんとも皮肉な物です。

 

「この世で最も怖いのは、ノイズなどではなくて、このような『人間の悪意』なのかもしれませんね」

「そうかもしれないな……」

 

 一歩間違えば、響さんもその『人間の悪意』の犠牲になっていたかもしれない。

 そう思うと、やっぱりあの時の判断は間違いじゃなかったと信じたい。

 

「この事件に関しては、こっちでも全力で調査しよう。全く…仕事ばかりが増えていく……」

「まぁまぁ」

 

 愚痴を言っても始まりませんよ。弦十郎さん。

 

「政府から受領した機密任務があるんだけど……明日にした方が良さそうね。私も、物凄く眠たいし……」

「そうだな。今日は本当に色んな事があったからな。装者達は戻って休んでくれ。あんな事件があった以上、要注意をして帰ってくれ」

「「はい!」」

「分かったよ」

 

 装者の皆さんが各々に挨拶をしてから指令室から退出していった。

 そう言えば、まだ一日経過してないんでしたっけ。

 なんか濃密過ぎて地味に忘れかけてました。

 

「弦十郎さん。私は了子さんを仮眠室まで連れて行きます。このままだと、廊下のど真ん中で寝ちゃいそうですから」

「頼めるか?」

「お任せください。これも立派なメイドの務めですから。では、行きますよ。了子さん」

「豪鬼ちゃんの優しさが身に染みる……」

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 了子さんと一緒に仮眠室までの道を歩きながら、私はズイっと彼女に顔を近づけた。

 

「了子さん」

「どうしたの?」

「先程は皆さんの前でしたから、敢えて何も言いませんでしたが、私の目は誤魔化せませんよ」

「な…何のことかしら?」

 

 ほぅ…? あくまでしらばっくれる気ですか。

 いいでしょう。ならば、ハッキリと言って差し上げようじゃないですか。

 

「了子さん……貴女……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここ数日、碌に睡眠を取ってませんね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……へ?」

「へ? じゃありません! 女性にとって、徹夜は美容の天敵である以上に健康の大敵でもあるのです! どれだけ化粧で誤魔化しても、眼鏡の下の隈は隠せませんよ!」

 

 全く……! よりにもよって、メイドである私の目の前で不健康な生活を送るとは……これは私に対する挑戦と見ました!

 

「そもそも、了子さんはこの二課においてなくてはならない『頭脳』とも言うべき存在なのですよ! 分かってますかっ!?」

「も…勿論よ?」

「ちゃんと目を見てから話してください。研究などを頑張るのはいいですが、それで倒れてしまっては本末転倒です!」

「う…うん。その通りよね…ごめんなさい」

「分かればいいのです。まずは一刻も早く仮眠室まで行きましょう。話はそれからです」

「ちょ…豪鬼ちゃんっ!?」

 

 モタモタと歩いている時間も勿体無い!

 了子さんを横抱きにしてから、そのまま阿修羅閃空でダッシュ!

 

「ちょっとぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?」

 

 叫んでいると舌を噛みますよ。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 仮眠室に到着してから、まずは了子さんをそっとベッドに寝かせる。

 それから、こんな事もあろうかと思い、密かに家から持ってきておいた水筒を取り出した。

 

「豪鬼ちゃん…その水筒、今スカートの中から出さなかった?」

「メイドのスカートは色んな道具が入っているのです」

「初めて聞いたわ……」

 

 初めて言いましたからね。

 

「仮眠をする前に、まずはこれを飲んでください」

 

 水筒の中身を蓋に入れて了子さんに差し出す。

 程よい暖かさとリラックス効果のある香りが鼻孔を刺激する。

 

「これは?」

「カモミールティーです。カモミールには不安感などによる精神的負荷を軽減させる効果があるらしいのです。それをお茶にしたカモミールティーには高い快眠効果が期待できるらしいのです」

「そうなのね……」

 

 零さないようにしながら、了子さんがそっと一口飲む。

 早速効果が出たのか、彼女の顔が一気に柔らかくなった。

 

「美味しい……」

「それは良かったです」

 

 自分でも紅茶を淹れる腕が上がってきた自覚がありますが、こうして直に言われると自信が出ますね。

 

「確かに、これは心が落ち着くわ……。これなら、本当に熟睡出来そうな気がする」

「それはなによりです」

 

 カモミールティーを一杯飲み干してから、了子さんはゆっくりとベッドに横になった。

 

「それでは、ごゆっくりとお休みください。いい夢を」

「ん……」

 

 私がいたんじゃ熟睡なんて出来ないだろうから、ここは電気を消してから部屋を出ましょうか。

 まだ洗濯物などが残っていた筈ですから。

 

「豪鬼ちゃん」

「どうしました?」

「……ありがとう」

「どういたしまして」

 

 去り際にお礼を言われた。

 例え相手が誰であれ、お礼を言われるのは嬉しいですね。

 それだけで、メイドは幾らでも頑張れるのです。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 本当に…本当にありがとう…豪鬼ちゃん。

 こんな私に、ここまで優しくしてくれて。

 貴女の優しさが、私の決意を後押ししてくれた。

 勇気が湧いてきたわ。

 

 きっと、私は皆から嫌われて、憎まれるだろう。

 これから、それだけの事をするのだから。

 

 私は……皆の『敵』になる。

 

 さて…と。

 ひと眠りしたら、まずは『あそこ』に行かなくちゃ…ね。

 

 

 

 

 

 

 




この作品は、私なりのビジョンがありまして。

原作に沿ってないように見えて、実はどこかで原作に繋がっているようにしているんです。

その上で、大きな原作改変なんかもあったりして。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。