我が名は豪鬼! メイドを極めし者なり! 作:とんこつラーメン
私にとって『シンフォギア』という作品は非常にデリケートなイメージがあるので、どうしても更新が遅くなりがちに。
ま、ぼちぼち頑張っていきます。
バイクに乗って先行した私と翼さん、奏さんの三人は、二人の同時攻撃によって開いた道を真っ直ぐに進んでいく。
すると、前方に沢山のコンクリート製の建物が立っている場所が徐々に見えてきた。
「豪鬼さん! あれが先ほど言っていた製薬工場ですかっ!?」
「その筈です!」
よく見ると、工場の前には私達を待ち受けているかのように大量のノイズが配置されていた。
それを見て、私は思わず溜息をついてしまった。
「どうしたんだ?」
「いえね。恐らくですが、私達はこの工場地帯に誘い込まれてしまったと思います」
「なんだって?」
「考えてもみてください。既に作業員の方々の避難が完了して、工場の施設も稼働していないとはいえ、あそこにはまだ大量の薬品があるんですよ?」
私の軽い説明を聞いて、翼さんがハッとした顔になった。
「そうか…! 工場地帯に私達を誘い込んだのは、私達に広範囲の攻撃をさせない為!」
「変に派手な技を使って薬品を外に漏らしたりしたらとんでもないことになる…こっちがそんな事を許さないと見越して、敢えてこの場を選んだって訳かよ!」
「そうなります。そうなると、今回の要は接近戦を主とする翼さんや響さんになります」
「え? あたしは?」
「技さえ使用しなければ奏さんも十分に主戦力かと。その代り、かなり出来る事は限られますが。向こうはその事も考慮したんでしょうね。それだけ、相手は奏さんの広範囲攻撃を警戒している証拠です」
「喜んでいいのか、ムカついていいのか…なんとも複雑な気分だな」
「その気持ちはノイズ相手にぶつけてください。そろそろ工場地帯に入りますよ! 注意してください!」
「「了解!」」
二人に言った事と同じ棟の事を後方の車両にも伝えた。
門番のように立ち塞がっていたノイズの群れを私と奏さんで一掃し、そこでバイクを停止させた。
「ここから先に行くためには、このノイズの群れを蹴散らす事が必須になるでしょうね」
「こりゃまた豪勢な事で」
「だが、しなければいけない」
三人で並んでいると、車から降りてきた響さんも合流してきた。
来る途中でギアを纏ったのか、既に戦闘態勢に移行していた。
「お待たせしました!」
「おう。見てみろよ、あれ」
「うわぁ……」
どこを見てもノイズ、ノイズ、ノイズ。
私達の目の前で、文字通りノイズ達が大渋滞している。
「にゃっはっはっ~! こんな時の為に『あいつ等』を連れてきているんだ! 安心しろ!」
「ベガっ!? いつの間に……」
なんかしれっと私達の所にベガが来てたんですけど。
ま、彼女は普通にワープとか空中浮遊とか出来るんで、何にも不思議じゃないんですけど。
「というわけでお前達……かかれ~!」
ベガが号令を出すと、いきなりダミーの輸送トラックの助手席からそれぞれ人影が飛び出して、突如としてノイズ達を蹴散らした。
一人は凄まじいまでのパンチで木端微塵に。
一人は音にも止まらぬ速さで斬り刻み。
一人は怒涛の連続攻撃で次々と破壊し。
一人は蒼い炎を纏った蹴りで貫いた。
「ふん! この程度…準備運動にもならないぜ!」
「なんと醜い……ノイズ達よ。貴様等は存在そのものが罪だ」
「容易いな」
「余り舐めないで貰おうか」
そうだった……この人達がいたんだった!
並の連中なんか歯牙にもかけない程の実力者達!
ベガの下で戦い続ける最強クラスの格闘家!
「バイソンさんっ!?」
「あの仮面を被っているのは…まさかバルログ殿かっ!?」
「すっげ~…! 流石は『ムエタイの帝王』サガット! めっちゃ強い!!」
「相変わらずの蹴りの鋭さ。実力を上げましたね、キャミィさん」
これで戦力差はなんとかなる。
贅沢を言えば、もっと欲しい所ですが…って、そういや、まだいたじゃないですか。十分すぎるほどの戦力が。
「お…大きいのが来てます!」
「なにっ!?」
響さんの警告通り、小型のノイズの後ろから確実に数メートルはあると思われるサイズのノイズが三体ほどやって来ていた。
「どうやら、あれが向こうの主力のようですね。ならば……」
「おっと! そいつらはオレ達に任せな! いくぜアンディ!」
「分かったよ! 兄さ…じゃなくて、姉さん!」
「俺も続くぞ!!」
今度はハワード・コネクションのリムジンから二つの影が飛び出し、それに合わせるようにしてサガットも動いた。
「「「くらえ!!!」」」
パワー・ゲイザー
超裂破弾
タイガー・ジェノサイド
三人の超必殺技が炸裂し、三体いた大型ノイズは一瞬で灰となった。
「OK!」
「よし!」
「当然だな」
……あれ~? 気のせいですかね~?
あの金髪オールバックのイケメンは間違いなくアンディ・ボガードさんですが、その隣にいる見たことあるような恰好をした金髪美女は一体…?
パワー・ゲイザーを放っていたという事は、もしかして……。
「あ…あの~…まさかとは思いますが、そこの金髪の女性はまさか……」
「お! 豪鬼! いや~…本当に久し振りだな! 元気してたか?」
「……もしかして、テリーさんですか?」
「おっと。そういや、この姿で会うのは初めてだったな」
「やっぱり……」
なんで庵さんやデミトリさんだけに飽き足らず、貴女まで女の子になってるんですかっ!?
しかも、妙に違和感が無いし! もう少し恥じらいを持ちなさい!
「あ! あの帽子を被った女の人、あの時のレジの店員さんだ!」
「って、なんか見覚えのある顔があると思ったら、前にバイト先であのDVDを借りてったお嬢ちゃんか……」
なんか、私の知らない所でテリーさんと響さんが知り合ってるし……。
「な…なんか、凄かったな……」
「あれ程の気を放てるとは…彼女は一体……!?」
奏さんは呆れ、翼さんは真面目に感嘆。
これもまた毎度の流れですね。
「色々と話を聞きたいところですが、今はノイズを殲滅する方が先決。そうですよね?」
「その通りだ」
最後にのんびりとやって来たのは、我らがギースさま。
女性なのに、この全身から溢れ出る威容はなんなんですかね?
「どうだ? 私の自慢の子供達は」
「アンタの義理の子供ってあの人達の事なのかよッ!?」
「ああ見えて、この私と互角の実力を持つ猛者だぞ」
知ってますよ。
伊達に『伝説の狼』なんて異名を持ってないんですから。
「皆さん。お互いの自己紹介は後ほどに。先程も言った通り、今はノイズを倒しましょう」
「おう!」
気合を入れ直したところで、改めてノイズ殲滅戦を開始。
けれど、ここで決して油断をしてはいけない。
この場面、必ず『彼女』が介入してくるでしょうから。
「ちっ…! なんなんだよ…お前らはよぉっ!!」
「来ましたか」
思ったよりもお早い登場。
まだ名前は明かせないので、ここでは敢えて『ネフシュタンの少女』と呼称しましょうか。
「あの子はっ!?」
「知ってるのか? 響の嬢ちゃんよ」
「はい!」
「既に聞いているとは思いますが、彼女が例のネフシュタンの少女です」
「あれが…完全聖遺物を纏ってお前達に襲い掛かって来たという……」
ここで『返り討ちに遭った』と言わないのがサガットの優しさですね。
「あの子は私に任せてください! 皆さんはノイズを!」
「立花……」
「頼んだぞ!」
ここで響さんが率先して前に出ようとする。
だが、それをギースが彼女の肩を掴んで静止させた。
「待て」
「え?」
「任せてもいいのだな?」
「はい!」
皆がノイズとの戦闘を開始した後ろで、ギースが響さんの目をじっと見つめる。
まるで、何かを見定めているように。
「……いいだろう。そこまで言うのならば、やってみせろ。お前なりのやり方でな」
「ありがとうございます!」
響さんは真っ直ぐに少女の元まで走っていき、彼女と対峙した。
「随分とお優しい事で」
「あんな目をされてはな……ダメとは言えまいて」
「あんな目?」
「どこまでも真っ直ぐに前だけを見ている目。あれは『格闘家の目』だ」
格闘家の目……か。
どうやら、精神の方が肉体よりも先に一人前になっていたようですね。
「今の彼女ならば問題あるまい。だからこそ、お前も黙って行かせたのだろう」
「御見通しでしたか」
「母親を舐めるな」
いつの世も、母と言う生物にだけは敵わないってことですか。
「では、そろそろ私達も参りましょうか」
「うむ。むぅん!!」
「はぁぁぁぁっ!!!」
近くまで来ていた二体のノイズを、私は豪昇龍拳で吹き飛ばし、ギースは当て身投げで遠くに飛ばした。
響さん……頑張ってくださいね。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
格闘家集団VSノイズ軍団の戦闘が繰り広げられている中、響はネフシュタンの少女と向き合っていた。
「お前は…あの時のオレンジ女か」
「正直、あなたに聞きたいことがいっぱいある。名前は何なのか。どうしてこんな事をするのか。なんで皆が追っているネフシュタンの鎧を纏っているのか。けど、素直には話してくれないんだよね?」
「当たり前だ! 敵に向かってペラペラと自分の情報を喋るバカがどこにいるっ!」
「敵…か。そうだよね。今の私とあなたは敵同士…なんだよね。だったら……」
力強く拳を握りしめ、構えを取った。
それは、リュウやケン、豪鬼と同じような構えだった。
三人の戦いを何度も間近で見ることで、自然と構えが身についてしまったようだ。
「ここからはもう何も聞かない! 私はお世辞にも会話上手な方じゃないから、何かを聞こうとしても支離滅裂になって意味不明な事を言い出しそうな気がするから!」
「お前……いきなり何を言って……」
「だから! この『拳』で聞くことにする!! 私の拳であなたの心を聞く! 確かめる!!」
「訳分からない事を抜かしやがって! しゃらくせぇんだよ!!」
その時、戦う事に夢中で殆どの者達が気が付いていなかったが唯一、豪鬼とギースだけは響の方を見て驚いた顔をしていた。
何故なら、ほんの僅かではあるが、響の体から確かに『気』の奔流が感じられたから。
そして、それに応えるようにして、突如としてガングニールの両腕が光を放つ。
「あの光は…まさか…!」
「フッ……ようやく『入口』に立ったか……」
思わず自分の腕を見つめる響。
そこに現れたのは、今までには存在しなかったガントレット。
今までは手甲部を守護する目的の装甲が装着されていたが、それが大幅に変化を遂げ、まるで肘から下を完全に覆い尽くすような形で顕現した。
腕にフィットするように細くしなやかではあるが、それ故に響の動きを決して阻害することなく、シンプルなデザインでどこまでも『拳で戦う事』を意識した意匠になっていた。
「まさか……それがお前の『アームドギア』かっ!?」
「うん…そうみたい。私は…戦う事で繋がる絆を、拳を交える事で紡げる絆を信じたい! 格闘家の……『ストリートファイター』の皆のように!!」
「いい加減に黙りやがれ!! このご都合主義野郎が!!」
激高した少女が鋼鉄の鞭を放つが、響はそれを突撃しながら両腕で弾き、そのまま一気に彼女の懐に潜り込むことに成功した。
そこから響はしゃがんで、渾身のジャンピングアッパーを繰り出した!!
「は…速いっ!?」
「そぉぉこぉぉだぁぁぁぁぁぁっ!!!」
我 流 昇 龍 拳
その一撃は、お世辞にも綺麗なフォームとは言えなかった。
咄嗟の事で体勢は崩れているし、着地の事も全く考えられていない。
けれど、響の放った一撃は、確かに少女の顎を直撃し、相手を派手に吹き飛ばした。
「ぐはぁぁっ!?」
完全に予想外の攻撃に防御が間に合わず、少女はそのまま背中から地面に落下。
口の端からは血が流れ、そのバイザーには罅が入っていた。
「やりやがったな……テメェッ!!」
怒りのままに立ち上がった少女は、口から流れる血を腕で拭い、それを唾と一緒に地面に吐き出した。
そして、二本の鞭を振り回してから、その先端にピンク色の光輪を作り出す。
「これでも……くらいやがれぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」
巨大なエネルギーの塊となった光輪が放たれ、それは凄まじい速度で響に迫っていく。
だが、彼女は微塵も臆することなく構えていた。
(昔の私なら、絶対に怖くて目を瞑っていたに違いない。けど、なんでだろう……今は不思議と全然怖くない! それどころか、胸の奥から勇気が湧いてくる! もう…こんなのは全く怖くなんかない!!)
我 流 竜 巻 旋 風 脚
「なぁっ!?」
響の放つ回転蹴りに砕かれる光輪。
自分の攻撃が悉く破られる。
しかも、相手は少し前まで自分が格下だと思って見下していた少女。
それがいつの間にか、自分を追い詰めるほどに強く成長していた。
「認めねぇ……!」
「え?」
「認めて溜まるかぁぁっ!! こんな奴が!! 何も失った事のないこいつなんかに、このアタシが負けるなんざ認めねぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」
「私だって負けない!! この拳で、あなたの事を知りたいから!!」
戦いは激化し、乱戦へと発展していく。
だが、この時、了子ですらも気が付いていない事態が起きていた。
響と少女のフォニックゲインに感応してか、密かにデュランダルの封印が解け、その刀身が怪しく光っていたのだ。
そして、その事が後に豪鬼にとって本人すらも全く予想していない大きな分岐点となるのだった。
響、原作にはないアームドギアに本格覚醒。
ここから彼女が大きく化ける?
そして、次回はメイド豪鬼が……?
更に、もしかしたらマーヴル・スーパーヒーローズから誰か出るかもしれない?