我が名は豪鬼! メイドを極めし者なり!   作:とんこつラーメン

35 / 39
本気の本気でお待たせして、申し訳ありませんでした!

この作品は、私の中で初めての本格的なシンフォギアの小説になるので、否が応でも慎重になってしまうんです。

けれど、これからは出来るだけこんな事が無いように気を付けていきます。








メイド豪鬼 フラグを立てる

 場が完全に乱戦になりつつあった時、それは突然起こった。

 

「え? ちょ……何ッ!?」

 

 突如として、了子が乗っていた車から眩い光が放たれ、ソレが姿を現した。

 黄金に光り輝く聖なる剣が。

 

「あ…あれが…そうなのかっ!?」

「この感じ…なに…?」

 

 余りにも突然の事に、この場に集った戦士たちは一瞬だけその動きを止めた。

 それは戦士たちだけではなく、何故かノイズ達も動くのを止めていた。

 まるで、その剣の登場を待ち侘びていたかのように。

 

「そんなっ!? アレには私が十重二十重に封印を施して、こっちから封印を解かない限りは絶対に外部に出る事は無い筈なのにッ!?」

 

 普段は飄々としている了子でさえも、この事態に本気で驚愕し、顔から冷や汗を掻いていた。

 

(一体どうして…!? まさか、一気に増大した響ちゃんのフォニックゲインに呼応して…? いや、それも原因の一つかもしれないけど、他にも理由はある筈。この場に集った格闘家たちの『気』と、ベガちゃんのサイコパワー、それから豪鬼ちゃんの持つ『殺意の波動』も一因になっていると見ていいでしょうね。そこに完全聖遺物である『ネフシュタンの鎧』がトドメになって…! もう! こんな事になるなら、あの子を使ったりしなかったのに!)

 

 どれだけ悔やんでも、時すでに遅し。

 今は、この状況をどうにかする方が先決だ。

 

「おい! 櫻井了子! アレがそうなのかっ!?」

「そうよ、ギース総帥! あれこそが今回輸送している完全聖遺物『デュランダル』よ!!」

 

 まさか、輸送していた代物が勝手に飛び出してくるなんて思いもしなかったので、このような状況に対する作戦を全く考えていなかった。

 というか、誰が想像するだろうか。剣がひとりでに飛び出すなどと。

 

「そうか…あれこそがデュランダル! あれさえ…あれさえ手に入れれば!!」

 

 目的のブツを見つけ、すぐに取りに行こうとするネフシュタンの少女だったが、それを目の前にいる響が体を張って防いだ。

 

「お前…そこをどきやがれ!!」

「絶対にイヤだ! 貴女をデュランダルの元には行かせない! 貴女の相手はこの私だよ!!」

「テメェェェェェェェェェェェェェェェェェェッ!!!」

 

 響の啖呵に激高した少女は、怒りに任せて鞭を振るうが、その悉くが彼女の拳や蹴りによって迎撃される。

 

「立花響……言うではないか」

「いいぞ~! 響~!」

 

 強気に出た響は企業のトップ二人には好意的に映ったようで、ギースは不敵な笑みを浮かべながら褒めて、ベガは思い切り手を振っていた。

 

「あのお嬢ちゃん…やるじゃないか!」

「こっちも負けてられないね、兄さ…姉さん」

「頼むから言い直さないでくれるかっ!? 本気で泣きたくなるから!」

 

 ボガード姉弟も更にやる気になったようだが、弟の何気ない一言に精神的なダメージを負う嘗ては兄だったお姉ちゃん。

 

「響の奴…いつの間にあんな……」

「全く立花は……本当に私達の心に火を着けるのが上手だな!!」

 

 先輩装者二人も、響の言葉に促されたのか、その攻撃が今まで以上に鋭くなる。

 奏と翼の眼前にいるノイズ達は、その全てが倒され、灰となっていく。

 

「誰でもいいから! 一刻も早くデュランダルを回収して! あのまま放置しておけば、何が起きるか想像もつかないわ!!」

「なんだとっ!?」

「ちっ! マジで洒落になってねぇな…!」

「となれば……」

「この場での選択は一つだけ!」

 

 了子の必死の声に、四天王&キャミィが反応し、全員が豪昇龍拳でノイズを蹴散らした豪鬼を見つめる。

 

「豪鬼! 行け!!」

「ノイズ達は私達が抑える!!」

「今、最も自由に動けるのはお前しかしない!」

「とっとと、あの剣を取ってきやがれ!!」

「皆さん……」

 

 四天王たちの言葉を受け、豪鬼は攻撃の手を止めてデュランダルを真っ直ぐに見据える。

 

「んなことやらせるかよ! テメェは何処をどきやがれ!!」

「そっちこそ! 大人しく諦めてよ!! 豪鬼さん! この子は私に任せて、そちらはデュランダルを!!」

「心得ました!!」

 

 周囲の戦闘には目もくれず、豪鬼は空中で光りながら静止しているデュランダルへ向けて全力で走り出す。

 その速度はそこらの車なんて目じゃない程で、あっという間にデュランダルを目で捉えた。

 

「どきなさい!!」

 

 途中、進行方向にいたノイズを踏み台にして、それを倒しながらデュランダルへ向けてスーパージャンプ。

 空中で手を伸ばし、徐々にデュランダルが近づいてくる。

 そして、その手でしっかりと黄金の柄を握りしめた瞬間……。

 

「こ…これはっ!?」

 

 豪鬼の体に凄まじい力の奔流が襲い掛かり、彼女の全身を赤黒いオーラで覆い尽くしてしまった。

 

「ぐ…がぁあぁあぁぁあぁぁぁぁあぁぁぁああぁっ!!!」

 

 倒れるように地面に落ちた豪鬼だったが、それでもデュランダルを放す事だけはせずに、しっかりと手の中に納めている。

 だが、その『力』は徐々に豪鬼の意識を侵食していって、やがて…彼女は声も挙げずに意識を失った。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

・

 

 

 

 

 

 それは、『黄金の柄』を持つ『不滅の刃』。

 イタリア・フランス史における最強の英雄騎士が持っていた聖なる剣。

 

 その剣の黄金の柄の中には…『聖バジルの血』『聖ペテロの歯』『聖ドゥニの遺髪』『聖母マリアの衣服』の四つの聖遺物が収められている…『聖なる剣』。

 

 

 

              D u r a n d a l

 

 

 

 デュランダルを握った私の意識は漆黒に染まり、闇深くに堕ちた。

 ここは全てが暗闇に満ちていて、他には何もない。

 私はどうしてしまったんだろう?

 

(どうやら『殺意の波動』のお蔭で、最悪の事態だけは避けられているようですね……)

 

 それは、同じ『闇』に属する者同士だからなのか。

 専門家じゃない私には判断しかねるが、それでも何とかなっている事だけは事実なので、今はそれで良しとする。

 問題は、これからどうするかだ。

 

「あ……」

 

 こんな意識の底でも、私はしっかりとデュランダルを握りしめていた。

 なんというか……これまた不可思議な感覚ですね。

 

 けど、これに触って理解出来た。

 確かに、このデュランダルという剣は普通じゃない。

 原作で響さんが暴走しそうになったのも頷ける危険さだ。

 

 この聖剣の本来の担い手の一人である『ローラン』。

 彼はフランク国王、シャルルマーニュの血脈であり大英雄。

 そして、最強にして真の聖騎士(パラディン)でもある。

 

 私には分かる。殺意の波動を身に宿す私には。

 この剣には血と歴史が刻まれている。

 これこそまさに『神話』の力そのもの。

 

 そう言えば思い出した。

 ローランには他にも逸話が存在している事を。

 

 フランク王国の国王であるシャルルマーニュの甥にして、十二勇士達の筆頭とされている聖騎士『ローラン』。

 あらゆる武勇に優れ、真の勇気を併せ持ち、最も信頼に足ると呼ばれていた彼だが、それ以上に恐るべき伝説を世に残している。

 

 その力は無手で人間を粉々に破壊する程の剛腕であり、その全身はまるで金剛石(ダイヤモンド)のように強固。

 人々から畏怖の対象とされている魔物達ですら、単純な腕力だけで殺戮していった彼の叙事詩…その名は……。

 

  

            『狂えるオルランド(Orlando Furioso)』

 

 

 

 納得だ。納得せざる負えない。

 こんな代物を扱う人間が普通な訳がない。

 これはまさしく『神に選ばれし者』にしか扱えない。

 デュランダルは間違いなく『神々に祝福された剣』だ。

 

(さて…考察はここまでにして、問題はどうやってここから脱出…もとい、意識を回復するかですね)

 

 試しに自分の頬を抓ってみる。

 うん。普通に痛いだけで変化なし。

 

「こうなったら……」

 

 よくよく考えたら、私に小細工なんて似合わない。

 こんな時に私が出来る事と言ったら一つしかないじゃないか。

 

「メイドたる者、この程度で狼狽えるなんて論外。己に出来るベストを果たすのみ」

 

 デュランダルを両手で握りしめ、大きく息を吸って、吐く。

 刀身からは相も変わらず力の奔流が来るが、もう私には通用しない。

 こんな時は受け止めるんじゃなくて、受け流せばいい。

 無理に全てを真正面から受ける必要はない。

 それでも相当にキツい事だが。

 

 目を瞑り、丹田に気を溜める。

 そして、裂帛の気合と共に体内から一気に『自分の力』を放出する!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

               「滅殺!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

・

 

 

 

 

 

 

 一方その頃。

 現実世界では、豪鬼がいきなり謎の赤黒い力に飲み込まれて、少なからず混乱が走っていた。

 

「ご…豪鬼さん!?」

「なんだよあれ…冗談じゃないぞ!!」

「あれが…デュランダルの力だというのか…!」

 

 装者達は完全聖遺物の力に驚きを隠せず、響と対峙していた少女は体を震わせながら後ずさりをしていた。

 

「あ…あの力はなんだよ…! なんなんだよ! 同じ完全聖遺物でもネフシュタンとは違い過ぎるじゃねぇか!!」

 

 少女も、まさかデュランダルがあそこまで危険な代物だったとは思いもよらなかったようで、さっきまでの怒りが完全に消え去り、完全に錯乱状態にあった。

 

『どうしたっ! 現場で何があっているッ!?』

「その声は風鳴弦十郎か!」

『ギース総帥か!? そちらはどうなっているんだ!? 原因は不明だが、映像が乱れてよく分らない!』

「……豪鬼がいきなり覚醒し始めたデュランダルを回収しようと握りしめた途端、謎の力に覆われてしまった……」

『な…なんだとぉっ!?』

 

 今までで一番の驚き。

 まさか、これまで一度も何事も無かった豪鬼が、まさかそのような事になっているとは思わなかったから。

 彼女に対して全幅の信頼と安心をしていただけあって、その驚きは人一倍だった。

 

『それで! 豪鬼くんは無事なのかッ!?』

「それはこっちが聞きたい! おい櫻井了子! あれはどういう事だっ!?」

「お…恐らく…デュランダルのフォニックゲインと豪鬼ちゃんの殺意の波動が共鳴し合っているのかも……」

「殺意の波動とデュランダルが……」

『共鳴しているだと……!?』

 

 ノイズを蹴散らしながら豪鬼の様子を見ていると、彼女の動きに変化があった。

 ゆっくりとではあるが、豪鬼がデュランダルを両手で握りしめたのだ。

 そして、大きく口を開けて……。

 

 

 

              「滅殺!!!!!」

 

 

 瞬間、豪鬼の体を覆い尽くしていた力が一気に拡散し、その凄まじい衝撃で周囲にいた大量のノイズだけを一掃した。

 

「きゃぁぁぁぁぁっ!?」

「こ…これはっ!?」

「うわぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

 咄嗟に全員が顔を腕で隠し、衝撃波から自分の身を守る。

 少女だけは一人、防御が間に合わずに吹き飛ばされたが。

 

「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」

「「豪鬼さん!」」

「豪鬼! しっかりしろ!!」

 

 三人の装者の中で一番近くにいた奏が豪鬼の体を支え、そっと起き上がらせる。

 彼女の顔はかなり衰弱していて、平気そうにしてはいるが、誰が見ても疲弊しているのは明らかだった。

 

「奏ちゃん! 豪鬼ちゃんをこっちに!」

「分かった!!」

 

 奏は咄嗟に豪鬼の事をお姫様抱っこしてから、走って了子の元まで向かった。

 了子の傍には車から出てきたファンもいて、心配そうに狼狽えていた。

 

「申し訳…ありません……」

「何言ってんだよ! 謝る事なんて何もねぇよ!」

「そうよ。豪鬼ちゃんはよくやったわ。ありがとう」

「それよりも、今は体を休めてください」

「そう…ですね……」

 

 ふらつく体を必死に抑えて、豪鬼は手に持ったデュランダルを了子に渡した。

 デュランダルは完全に停止していて、先程までの力の奔流は全く感じられない。

 

「これを……」

「えぇ。もう一回、私が責任を持って封印をするわ」

「お願い…しま……」

 

 そこまで言ってから、豪鬼は目を瞑った。

 どうやら、今度こそ本当に気を失ったようだ。

 

「豪鬼ちゃん……」

 

 彼女の奮闘を見て、了子の心に揺らぎが生じる。

 自分の決意が鈍っていく。

 思わず豪鬼から目を逸らしてしまったが、だからこそ気が付けた。

 

「嘘…でしょ……!」

 

 神話の通り、本来ならば絶対無敵、完全不滅である筈のデュランダルの刀身が、ごく僅かではあるが砕けていた。

 その砕けた破片は地面に落ちていて、了子は急いでそれを拾ってからポケットに仕舞った。

 

(豪鬼ちゃん…やっぱり貴女こそが……)

 

 目の前で眠っている少女の顔を見て、了子はある事を考える。

 それは、史実には無かった事。本来ならば有り得ない事。

 

「ノイズは根こそぎ倒されて……デュランダルも奪えなくて……! このままじゃ…このままじゃアタシはあいつに…!」

 

 俯いてから悔しそうに歯を食い縛っていた少女は、いきなり顔を上げてから、徐に何処からか黄金に輝く一本の杖を取り出した。

 

「ムカつく! ムカつく! ムカつく! どいつもこいつもムカつくんだよ!! クソッタレがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」

 

 少女が杖を掲げた瞬間、上空に巨大なノイズが出現した。

 それは平面上になっていて、雲のようにこの場に大きな影を作った。

 

「デ…デカいノイズッ!?」

「しかも空中を飛んでいるだとッ!?」

「ん? あの大きさ…形状……まさかっ!?」

 

 テリーとサガットが驚いている中、一人だけ冷静なファンは自分の推理が当たっている事を直感した。

 

「皆さん! 気を付けてください!! あのノイズは普通のノイズじゃありません! あれは…あれは……!」

 

 空中にいる巨大ノイズから、小さな物体が落ちてくるのが見えた。

 

「『輸送艦』です!!!」

 

 まさかの、空中からの襲来。

 全員が再び戦闘態勢を取る……が、それはいきなり無駄に終わった。

 

「……え?」

 

 凄まじい速度で空中を駆け抜ける赤い閃光。

 それから放たれるミサイルや白い光線。

 地面に降り立つ前に、ノイズ達は空中にて無残に散っていった。

 

「おい…ベガ。あれはまさか……」

「絶対にそうでしょ……」

 

 二人は知っていた。赤い閃光の正体を。

 増援として出現したノイズを全て撃破したソレは、静かに皆がいる場所へと着地した。

 

「おいおい。これは一体どういう事なんだ? ビルの窓からノイズの大群が見えたから、急いで念の為に持ってきておいたスーツで駆けつけてみれば、いるのは錚々たる面子じゃないか」

「やっぱりお前だったのか……」

 

 全身を覆っている真紅の装甲の顔面部分が展開し、その素顔が明らかになる。

 二十代後半ぐらいのナイスミドルな、お髭が素敵なアメリカ人。

 

「天駆ける黄金の騎士(アイアンマン)……トニー・スターク……」

 

 今ここに、新たなる英雄が参戦した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




遂に登場のマーヴル・スーパー・ヒーローズからの参戦第一号。

ここから徐々に増やしていければいいですね。



  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。