我が名は豪鬼! メイドを極めし者なり!   作:とんこつラーメン

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丸二ヶ月もお待たせしてすみませんでした。

今年は少しでも更新速度を上げられるように頑張ります。

それと、今回は場面切り替えが多いので、それを踏まえた上でお読みください。







メイド豪鬼 胸キュンする

 弦十郎さんに家に送って貰い、その後に了子さんの余計なお世話によって図らずも夕飯を一緒にする事になった私達。

 この家で自分以外の誰かに食事を作るなんて初めてだったので、情けなくも少しだけ緊張してしまったが、そこは頑張って平常心を保って料理をした。

 で、今は食事を終えて一緒に食後のお茶を飲んでいた。

 

「本当に美味しかった。こんなにも上手い食事は初めてだったよ」

「そ…そうですか?」

「あぁ。翼や奏、響くんが絶賛するのも納得だ」

 

 私はよく二課の食堂を借りて装者の皆やスタッフの人達に食事を作っている。

 別にそこまで凝ったものを作ってはいないのだが、それでも皆にはよく喜ばれているで、今では完全に私が食事係のようになっている。

 全く負担にはなっていないので、全然構いはしないんですけどね。

 

「そう言えば、豪鬼くんの食事を食べるのはこれが初めてだったな…」

「そうでしたね。弦十郎さんはお忙しいから、余り食堂にも顔を出されませんし」

「可能な限りは行きたいと思っているんだが、どうしてもタイミングがな…」

 

 矢張り、あれだけ大きな組織の司令ともなれば、私達が想像している以上に忙しいに違いない。

 そんな彼の負担を少しでも軽減出来ればいいのだけれど……。

 

「弦十郎さんは独り暮らしでしたよね? 自炊などはされているんですか?」

「一応はな。だが、俺が出来る料理なんてたかが知れている。米を炊いたり、味噌汁を作ったりは出来るが、おかずなどはよくスーパーの惣菜に頼っているよ」

「よろしければ、二課の食堂で弦十郎さんの分のお食事も作りましょうか?」

 

 ………はっ!? わ…私はいきなり何を言ってッ!?

 

「いいのか? そうしてくれると、こっちとしては本当に助かるが……」

「勿論です。メイドとして、司令である弦十郎さんの健康管理も立派な仕事ですから」

「それではなんだか、メイドというよりは妻みたいだな」

「つ…妻ッ!?」

「あっ!? す…すまん! 別にそんなつもりで言ったのではなくてだな……」

 

 変な声を上げてしまった……き…気まずい……。

 

「え…えっと…もうそろそろ帰らないとな! これ以上、豪鬼くんの邪魔をする訳にもいかんしな!」

(別に邪魔なんかじゃなんだけどな……)

 

 寧ろ、もっといてほしいって言うか……って、何言ってんですか私ー!!

 弦十郎さんがお帰りになるんなら、ちゃんとお見送りしないと……きゃっ!?

 

「おっとっ!?」

 

 急いで立ち上がろうとした瞬間、目の前が真っ暗になって足元がフラっとなってしまい、弦十郎さんに抱き着くような形になってしまった。

 か…顔が熱くてドキドキします……。

 

「だ…大丈夫かっ!? 矢張り、まだ本調子じゃないのでは……」

「みたいです……。ちょっと立ち眩みがしました……」

「今日はゆっくりと休んだ方が良い。君の分は俺達が全力でカバーをする」

「あ…ありがとうございます……」

 

 彼の胸に顔を埋めているような状態だからか、凄く心臓がドキドキしている。

 それは弦十郎さんも同じみたいで、彼の心臓が激しく鼓動しているのが聞こえてくる。

 

「あ…あの……」

「どうした?」

「お帰りになる前に…その……」

「その?」

「……少しの間だけでいいので……このままでいさせてください……」

「………分かった」

 

 僅かではあるが抱きしめる力が強くなり、彼の温もりを全身で感じていた。

 男の人に抱きしめられるのって…こんなにも安心するんだ……。

 そう思ったら、いきなり瞼が重たくなって、それに抗う事無く私は目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

「クソッ! クソッ! クソォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!」

 

 部屋の中は荒れに荒れている。

 そこらじゅうに色んな物が散乱し、家具などは罅が入ったり、壊れたりして滅茶苦茶だ。

 私服を着ている『少女』は、その怒りをまき散らしながら暴れ回っていた。

 

「なんでだよ!! なんでアタシは勝てない!! あんな連中に!! どうして!!」

 

 急にピタッと止まり、今度はフラフラとしながら床に座り込み、そのままベットに体を預けた。

 

「このままじゃ『アイツ』に捨てられる……また…一人になっちまう…それだけはイヤだ……イヤだよぉ……」

 

 悔しそうに歯を食いしばりながら、少女は涙を流す。

 もう二度と孤独になりたくないから。

 寂しさに濡れた毎日を送りたくないから。

 

「邪魔すんなよ……アタシはただ…この世界から戦争を無くしたいだけなのに……」

 

 嗚咽が漏れる。

 もう大声を出す気力も、暴れる体力も残されていない。

 部屋には一人きり。他には誰もいない。

 本当ならいる筈の『もう一人』も。

 

「パパ……ママ……助けてよ……」

 

 少女の嘆きは静寂に包まれ、消えていった。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 

 全てが眠る丑三つ時。

 町外れにある廃ビルの一角にて、二人の男が向かい合っていた。

 

「まさか、お前が助力してくれるとは思わなかったぞ。武神流のガイ」

「それはこちらの台詞。よもや、あの飛竜殿がかの少女について調べておったとは」

 

 飛竜と話している青年の名は『ガイ』。

 武神流忍術と呼ばれる格闘技の第39代目の正当継承者であり、嘗てはアメリカに存在していた犯罪組織『マッドギア』を仲間達と一緒に壊滅させたことがある。

 その後も数々の犯罪組織を壊滅させてきており、更には修行の一環としてストリートファイトもしている。

 そんな彼もまた豪鬼とは深い知り合いであり、一人の格闘家として多大な尊敬と信用を得ている。

 因みに、飛竜や慎二とは忍繋がりで知り合っている。

 

「俺の場合は豪鬼から依頼を受けただけに過ぎん」

「豪鬼殿から?」

「あいつが現在、あの『二課』と協力関係にあるのは知っているな?」

「うむ。知った時は驚いたが、あの豪鬼殿ならば得心がいく。それに、噂ではリュウ殿やケン殿、他にも数多くの戦士たちが協力しているとか」

「まず間違いなく、豪鬼に影響されて来たんだろうな……」

 

 呆れているようににも見えるが、そんな飛竜もまた豪鬼に影響を受けた人間の一人なので余り強くは言えなかった。

 

「この少女に豪鬼は襲撃を受けたらしい」

「なんとっ!?」

「しかも、その時に彼女は行方不明となっている筈の『ネフシュタンの鎧』を身に纏っていたらしい」

「ネフーシューターンの鎧…例の『完全聖遺物』とやらでござるな…。なんで、彼女がそのような物を……」

「それは分からん。だが、鎧自体は例のコンサートの時に何者かによって奪われている」

「いや…彼女がまだ下手人であるという証拠は……」

「俺もこいつが犯人だとは思っていない。戦闘能力があるからと言って、盗みの技術まであるとは限らない」

「ならば……」

「まず間違いなく、この少女の裏には黒幕が潜んでいる。そいつがネフシュタンを盗んだ張本人だろう」

「そやつが何らかの形で彼女を拾い、盗んだネーフーシュータンを与え、いいように利用している……」

「豪鬼も、そう睨んでいるようだ」

「…どうやら、我等の想像以上に闇が深そうでござるな」

 

 悔しげに拳を握りしめ、己の行動の遅さを恨むガイ。

 もっと早くに動いていれば或いは…そう考えずにはいられない。

 

「しかし、依頼された俺はともかく、どうしてお前が彼女の事を調べている?」

「拙者も頼まれたのでござるよ」

「誰に?」

「ハガー殿でござる」

「マイク・ハガー…メトロシティの市長か。確か今度、アメリカ大統領選に出馬すると聞いたが……」

「そうでござる。故にハガー殿は非常に多忙で、それ故に拙者に白羽の矢が立ったのでござる」

 

 あの筋肉ダルマが大統領。

 飛竜にはその光景が全く想像出来なかった。

 彼の事だから、もしも当選すれば素晴らしい大統領にはなるだろうが。

 

「なんでも、ハガー殿は昔、彼女のご両親に助けられたことがあるとか。だが、ご夫婦はとある戦地にて……」

「知っている。それで行方知れずになった娘が心配になり、お前に捜索を頼んだ…か」

「その通りでござる。だが、飛竜殿も同じ目的と分かれば心強い。万の味方を得たも同然でござるな」

「言い過ぎだ」

 

 徐に口を覆っていたマフラーを取り、手にした書類を月明かりに照らした。

 

「雪音クリス……か」

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 同時刻 風鳴邸

 

 屋敷全体が静寂に支配されている中、屋敷の主である訃堂は自室にて静かに瞑想をしていた。

 そこに、予想してない訪問者がやってきた。

 

「……こんな時間に失礼致します」

「櫻井了子……否、『フィーネ』と呼ぶべきか?」

 

 訃堂の背後に立っていたのは、普段ならば絶対に見せない無表情の了子だった。

 『フィーネ』と呼ばれた彼女は眼鏡を取り、纏めている髪を解いた。

 

「よくもまぁ、このような刻限の屋敷に誰にも発見されずに入れたものよ」

「この程度、私に掛かれば児戯にも同じです」

「そうだったな。全く…剛拳といい、貴様といい、どうして儂の周りには常識を弁えん輩が多いのやら」

「貴方様がそれを仰いますか」

「違いない」

 

 ここでようやく訃堂は後ろを向き、了子と対面する。

 彼女の表情は一切崩れることなく、真っ直ぐに訃堂を見つめていた。

 

「して、本当に何用だ。まさか、世間話をする為にここまで来た訳ではあるまい?」

「はい……」

 

 了子はその場に音も無く正座をし、訃堂を視線を同じにした。

 

「風鳴訃堂……貴方を真の防人と見込んで、お話しすることがあります」

「申してみろ」

「この星の未来を守る為に…『星の意志』の復活を阻止する為に…力を貸してください」

「…それは誰の言葉だ? 科学者『櫻井了子』としてか? それとも……」

「先史文明の巫女として、お願いしています」

「……話してみよ。全てはそれからだ」

「承知しました」

 

 これは運命の分岐点。時代の分かれ目。

 とあるメイドが知っている歴史とは違う道へと進み始めた世界の始まり。

 

 全ては、この星の明日の為に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




久し振りにしては短いですが、どうかご容赦を。

もっと長くなると思っていたのですが、思っていたよりも短く済みました。

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